2011年7月4日月曜日

2011年 7月 1日 統合対策本部共同記者会見:20mSv/年が前提、特定避難勧奨地点、考え変えない政府。高いセシウムが検出された海底土周辺の海産物から数千Bq/kg レベルのセシウム検出。

2011年 7月 1日 共同記者会見 (40回)

録画 IWJ
本編 http://www.ustream.tv/recorded/15727726
木野さん まとめ http://www.ustream.tv/recorded/15729048



■会見のポイント
今回の会見では 原災被災者生活支援チームの担当者が参加し、6月16日に公表した特定避難勧奨地点を決めるための汚染マップを作成するための足がかり、知見を得るための第一段階の調査結果が公表された。記者から連続でだめ出しされる内容。

特定避難勧奨地点の詳細、問題点については 6月16日 の共同会見のアウトラインで述べている。ご存知のように政府は 0~20km エリアを警戒区域20km ~ 30km エリアを計画的避難区域 とし、同心円を基準に決めている。

しかし一部の計画的避難区域では場所によっては警戒区域を上回る汚染が確認されており、政府は特例として避難させるかどうかの指針を6月16日の共同会見で公表した。それが特定避難勧奨地点という、いかにもごく一部の特異な箇所という印象を与えることを狙った過小評価ネーミングには怒りすら覚える。

指針の大まかな内容は、家単位で計測し年間 20mSv 以上であれば避難を推奨し、支援を行う。20mSv/年 を少しでも下回れば支援の対象にもならない。つまり、妊婦であろうが子供であろうが、19.9mSv/年 の被ばくを強制させるための指針となっている。

ついでを言えば、細野豪志は大臣になってから、20mSv を下回り水素爆発の心配がなくなれば住民を説得して帰還してもらうと発言し、原発事態の終息を急ぐ姿勢を見せている。

昨日の会見では福島第一に緊急医療に対応出来る医療施設と放射線医療の専門家が配置された事が伝えられたが、その会見の場で前川先生は医療スタッフの年間被曝量を 5mSv/年 以下には抑えたいという旨の発言しており、政府主張の 20mSv/年は矛盾している。日曜日に書いているのだが、先ほど、NHK スペシャルでも 1mSv/年 が被ばく許容値と報道されるようになった。

今回の調査は2kmメッシュ(2kmマス)に区切り、そのうちの 2箇所 400ポイント を原災被災者生活支援チームが依頼した東電と電力中央研究所調べた結果が公表された。ここで得られた知見を元に今後のマップ作りを行うというのが趣旨であるが、記者団からだめ出しの嵐。

配られた資料は測定場所と測定結果(数値)のみであり、土地の利用形態が分からない。測定場所、測定結果に加え土地の利用形態の併記を記者から求められるものの、「計測ポイントと土地の形態か全て把握できているか分からない。」と発言するなど、今回の調査が知見として生かせるのか自体、疑問に思える。しかも調査そのものは国の原災他作本部が 東電 と 天下り先公益法人に丸投げして行う。

また、福島市の子供の尿からセシウムが検出された問題で早々に回答があった。回りくどく説明しているが、とどのつまり、福島原発事故との因果関係はないという放医研の見解。これは前日前川先生が過去の核実験の影響によるものという旨の発言と同じ。

ちなみに飯舘村の住民2名が放医研で内部被爆検査、ホールボディーカウンターによる検査を受けたが、放医研は結果の公表を拒んでいる。政府(細野)、文科省も公開すべきだといいながら何もしない。この問題は今回もこの会見で NHK石川記者が指摘している。

一体何度目の質問だろうか。既に過去のデータから推測する以外になくなった。全く進展しない、取り合う気すらない政府。
NHK石川記者、NPJ おしどりさんが再三指摘、政府の迅速な対応を要求してきた。特に上記の立ち寄っただけで作業員の内部被爆が明らかになった状況からみて、飯舘村住民、子供達は大量に内部被爆している事は ほぼ間違いなく、会見のやり取りを見ていても、政府の対応は住民から放射性ヨウ素が検出されなくなるまでホールボディカウンターの検査を拒んでいるようにしか見えなかった。

結局、6月末、事故から約4ヶ月経過して福島県で飯舘村住民のホールボディーカウンターによる内部被爆調査が始まったものの、時間がたちすぎて半減期8日の放射性ヨウ素は検出は無理。遅くなっても逆推定出来るという安全委員会の説明だったがガス状ヨウ素が殆どでセシウムが少なくそれも難しい状況。

放医研は 大丈夫と診断結果を伝える。→ 住民:検査結果の内容を教えてほしい → 放医研:個人情報だから公開できない → 細野(補佐官時代):本人に対し個人情報はおかしい公開すべき → 放医研:読み取れないほど小さな画像(スペクトルデータ)を渡す。→ 数字が一人歩きするのは怖いので教えられない。とう結論。
住民の被ばくの可能性を知りながら政府は隠蔽、問題ないとし、その後もメルトダウンの事実を隠蔽し続けた。このことで住民の被ばくが明らかになれば、間違いなく政権批判は高まる。メディアも 自民党、公明党はこの問題については全く触れず原発対応だけを批判する。

なぜか。住民の大量被ばくが明らかになれば、政権転覆はおろか原発に対する国民感情が一気に高まる、ただそれだけの理由。今回の共同会見は、政府 と 放医研 のこのような経緯を事前に知った上で見ると現状が理解できる。

後、放射性セシウムに高濃度で汚染された海底土に生息する魚介類から 数千Bq/kg を超えるセシウムが検出され、原子力安全委員会から警告が出ている。水産庁のサイトを調べるものの情報見あたらず。水産庁のサイトは酷い。国民に情報を公開する意志があるとは思えない。


■本日の議題
  • 細野原発相のあいさつ 挨拶  00:00:00~
  • 警戒区域及び計画的避難区域における基礎データ収集モニタリング結果の公表について 00:02:15~ 原子力災害対策本部 原子力被災者生活支援チーム 放射線班 高畠正明室長
  • 環境モニタリングについて (東電・文科省)00:11:55~ / 00:15:10~
  • 環境モニタリング結果の評価 (原子力安全委員会)00:22:15~
  • 各プラントの状況 (東電)00:25:05~
  • 質疑 00:34:55~

2011年7月2日土曜日

2011年 6月 30日 統合対策本部共同記者会見:福島題意原発 構内の救急医療体制強化 前川和彦先生も出席。矛盾する国の 20mSv/年基準。子供の尿からセシウム他。

2011年 6月 30日 共同記者会見 (39回)

録画 IWJ
本編 http://www.ustream.tv/recorded/15708943
フリーライター木野さんによるまとめ http://ustre.am/_13UC3:LI2



■会見のポイント
この会見で夏に向けて福島第一原発の医療体制が大幅に強化された事が報告された。これまで Jビレッジでの 風邪、ケガ等の往診から、地理的に北側にある5、6号機の間の建屋内に救急被爆医療施設を設置。心筋梗塞、熱中症など命に関わる緊急医療体制の充実が図られることになった。周辺の医療機関へ搬送するかどうかの判断も ここで的確に決定される。

熱中症による死者を出さないことが重要視されており、併せて現地での被ばく医療に対する強化、作業員の安心へつながる点で評価はあるが時間がかかりすぎだという声も。このような会見は見ていて恥ずかしいほど政府(大臣)の発言は自画自賛。口裏合わせで自画自賛。反面、失態は反省より言い訳説明が長く、見ていて見苦しい。

診療所開設期間は7月~9月の3ヶ月間と言うことになっているが、後の運用は状況を見て判断するとのこと。土日も含め、常に2人の医師が常駐し放射線医療の専門家、放射線管理の専門家など非常事態に備えた医療体制がようやく整ったことになる。

また、この医療環境を構築するため、細野大臣のもと調整役をおこなった園田康博 内閣府大臣政務官も出席、医療ネットワーク、医療体制づくりに尽力した放射線被爆医療の権威である前川先生が会見に出席し、緊急医療体制を構築するまでの経緯を説明している。

肩書きは 放射線医学総合研究所 研究被ばく医療ネットワーク会議 委員長 前川和彦 東京大学名誉教授。JCO 臨界事故における被爆者治療の最前線で戦ってこられた方。ビデオ1~5参照



後述するが、NHK石川記者の前川先生に対する質問に注目。

プラント関連
プラント関連ではメガフロートに6号機の汚染水への移送が始まったと報告。東電会見にも出ずっぱりの木野さんの話では前触れもなく突然の報告だったらしい。既に仮設タンクが満杯になり低濃度とされる6号機のメガフロートへの汚染水移送に関して保安院の評価が酷い。

モニタリング関連
海洋汚染、特に海底土に関しては汚染が深刻だが、東電、文科省、それを評価する原子力安全委員会からも危機感が全く感じられない。特に文科省は高い値が検出されても何も言わない。自己評価すらせず、聞かれるまで答えないとう姿勢。取り敢えず安全委員会が評価する。

特に海域モニタリングは発電所近海は東電、それ以外は文科省と水産庁が分担して行っているが特に近海、東電担当のモニタリングポイントが圧倒的に少なく汚染の広がりを監視するつもりは全くない。最初から指摘されているが既に3ヶ月以上、何の進展も見られない。

海産物にしても身の部分以外は検査対象ではなく、グリーンピースの調査に対しても圧力をかけた。海産物の摂取は国がモニタリング方法を改めるまで避けるべき。 現に空間線量も最近になって1m計測を始めた。理由は自治体が調べ文科省の過小評価が広く知られるようになったため。

質疑
前半は前川先生に対する質問という進行。これまで飯舘村 住民被ばく問題を追っている NPJ &吉本 おしどりさん、NHK石川記者が再三にわたりヨウ素安定剤の服用など質問してきたがまともな回答は得られなかった。今回、既に放医研側の前川先生が出席された事により明確な答えが聞けると期待。

薬の服用に関しては専門医の観点から、認証されていない薬、扱いの難しい薬を多くの住民に対して服用させるのは慎重に行う必要があること、ラディオガルダーゼにしても大量被ばくした際の治療剤としてということで今回の作業への必要は低いと専門医らしい回答。

ただ、何時、何が起こるか分からない現場で緊急時に服用する必要に迫られる事は考えておく必要があることは間違いなく、現場の服用チャートというおしどりさんのこれまでの指摘は正しい。今後は緊急医療体制が現場に整い、放射線被曝の専門医が常駐することになるので心配も解消されるのではないかと思われる。

ただ、自己造血幹細胞の保存に関しては強く否定しており、理由が JCO の経験から骨髄だけ救っても人命が救えないという理由だった。大量被ばくならそうだろうが、将来起こりえる白血病に対する治療、延命では大きな意味がある筈と個人的には思えるのだが腑に落ちない。他にも腑に落ちない点が多く見受けられた。

NHK 石川記者が前川先生に医療班の年間被ばくについて尋ねた際、前川先生は 5mSv/y 以下に抑えたいと回答。同心円20~30km圏内で高い汚染の飯舘村や並榎町住民に対する救済策として決められた 特定避難勧奨地点(6月 16日の会見で報告)では年20mSv が基準となっている。

学校の 20mSv/年 問題もそうだが、医療団の被ばくは 5mSv/年 に抑えたいと放射線医療の専門家が発言し、住民は 20mSv/年 未満で問題ないとする国。細野大臣は 避難住民は 20mSv/年未満になれば戻ってもらう、説得するとまで発言。誰もこの矛盾について追及する記者はいなかった。20mSv は経済活動を最優先に国が決めた値だ。人命を最大限重視したと繰り返し発言する細野だが一体どの口が言うのか人間性を疑わざるを得ない。

福島市の子供の尿からセシウムが検出された報道に関する質問にも注目。前川先生の発言を聞いたとき子供の尿のセシウムが1970年代に頻繁に行われた核実験の影響を引き合いに出した前川先生の発言に疑問。江川さんも後に細野に質問している。細野大臣も余程気に入ったのか前川先生のこの発言を度々引用している。薄っぺらさがよく分かる。個人的には不信感のぬぐえない放医研、前川先生、細野大臣(国)の姿勢を見た気がした。

他には、7月1日から東電エリアで大口事業者に対しては罰則、強制力を伴う夏の 15%節電実施される。関連する質問が多かった。田中優氏の講演で電力会社はデータを開示しないという事実を聞いて知っているが、非常に不透明。強制力が伴うのは今のところ東電だけだが、関西電力でも根拠となるデータを開示しないため、橋本知事、大阪市平松市長も関電を強く批判している。後半の江川さん、ブルームバーグニュースの稲島記者の質疑に注目!


■本日の議題
  • 細野原発相のあいさつ 挨拶 ~ 医療体制の充実について 00:00:40~
  • 福島第一原発内での診療所の設置、及び、医療スタッフの派遣ネットワークについて
    (園田康博 内閣府大臣政務官) 00:03:05~
  • 福島題意原発 構内の救急医療体制の展開、経緯について (前川先生) 00:07:35~
  • 医療体制の充実・強化について(東電) 00:14:30~
  • 環境モニタリングについて (東電・文科省)00:19:35~ / 00:21:50~
  • 環境モニタリング結果の評価 (原子力安全委員会)00:22:50~
  • 各プラントの状況 (東電)00:24:35~
  • 質疑 00:38:50~

2011年7月1日金曜日

2011年 6月 29日 統合対策本部共同記者会見:東電株主総会、東電新社長就任、細野大臣就任の翌日となる共同会見。西山審議官突然の交代と人事面で大きな動き。海底土 汚染深刻。

2011年 6月 29日 共同記者会見 (38回)

録画 IWJ
本編 http://www.ustream.tv/recorded/15690322
まとめ http://www.ustream.tv/recorded/15691734


■会見のポイント
昨夜に細野豪志氏は内閣官房補佐官から 原発相 大臣に任命、就任してから最初の統合対策本部共同記者会見となる。直前には東電新社長 西沢社長の就任会見があった。また、本日、午前中の保安院の会見で何の引き継ぎもなく徳前、保安院 西山審議官から森山原子力災害対策監への突然の後退もあり人事面で慌ただしい動き。

記者の質問の受け答えを見る限り、細野豪志は大臣となってから従来と殆ど替わらない印象。省と言っても細野大臣が従える担当部局も存在しない。もんじゅに対する発言や株主総会、玄海原発など意見を求められても細野大臣は原発を推進する立場の回答。

同日、朝の保安院の会見で西山審議官から森山原子力災害対策監に変わった。西山審議官については1週間前、女性問題で海江田大臣から厳重注意を受けている。大手メディアはスキャンダルによる事実上の解任と報じているが、実際はそうではない。

原発大臣を据え、経産省が原発再開・推進を進める上で経産省生え抜きの西山審議官をおいておくのは支障があるという政治判断があったと思われる。以前、中村審議官はメルトダウン発言により海外左遷、更迭。原子力の専門知識は隠蔽する上で不味いという政治判断で経産省から原子力の知識のない人材、西山さんを充てた経緯がある。

今回は原発を推進する経産省と取り締まる保安院が経産省内部署が行っている問題を IAEA からも指摘され世界に広く知られてしまった。原発の運転再開、推進をしていく上で経産省生え抜きの西山審議官を何時までも安全保安院に当てるのは不味いという政治判断があり、このタイミングでの後退となった。女性スキャンダルが事実なら政府にとっても都合が良かったはず。

現に西山審議官の娘は東電社員だし、経産省の上層部親族の多くが東電に就職している。なるべく経産省と電力会社との癒着は国民にさらしたくない。今回の会見は多くの質問が予想されたが、記者は少ないものの質問数が多く、今までの共同会見の中では最も一人あたりの質問時間が長い会見になった。

細野大臣となったことで今後は原発事故収束だけでなく脱原発とエネルギー政策を国がどう考えているのか注視していく事に。大臣という権限ある立場の人に直接摂するというのは、そういう事だと思う。



■本日の議題
  • 細野豪志事務局長  挨拶 ~ 循環注水冷却開始の報告 00:00:00~
  • 環境モニタリングについて (東電・文科省)00:03:35~ / 00:06:55~
  • 環境モニタリング結果の評価 (原子力安全委員会)00:11:20~
  • 各プラントの状況 (東電)00:13:25~
  • 森山原子力災害対策監 自己紹介 (保安院)00:31:00~
  • 質疑 00:36:00~

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