2015年2月9日月曜日

特定原子力施設監視・評価検討会 第31回会合

特定原子力施設監視・評価検討会
第31回会合

中継:https://www.youtube.com/watch?v=zKyfzuWNkhY
資料:http://www.nsr.go.jp/committee/yuushikisya/tokutei_kanshi/20150209.html

議事録
日時:平成27年2月9日(月)15:00~19:11
場所:原子力規制委員会 13階 会議室A

出席者

担当委員
更田豊志 原子力規制委員会委員
田中 知 原子力規制委員会委員

外部専門家(五十音順)
井口哲夫 名古屋大学大学院工学研究科 教授
橘高義典 首都大学東京大学院都市環境科学研究科 教授
高木郁二 京都大学大学院工学研究科 教授
角山茂章 会津大学 教育研究特別顧問
山本章夫 名古屋大学大学院工学研究科 教授
渡邊 明 福島大学大学院共生システム理工学研究科 特任教授

原子力規制庁
安井正也 緊急事態対策監
平野雅司 技術総括審議官
山田知穂 審議官
佐藤 暁 東京電力福島第一原子力発電所事故対策統括調整官
金城慎司 東京電力福島第一原子力発電所事故対策室長
南山力生 監視情報課長
武山松次 事故対処室長
持丸康和 地域原子力規制総括調整官
須々田和博 首席原子力施設検査官

オブザーバー 福島県
高坂 潔 福島県原子力専門員
オブザーバー 資源エネルギー庁
新川達也 原子力発電所事故収束対応室長
武田匡樹 原子力発電所事故収束対応室 係長

東京電力(株)
松本 純 福島第一廃炉推進カンパニー プロジェクト計画部長
石川博之 福島第一廃炉推進カンパニー プロジェクト計画部 部長
中村紀吉 福島第一廃炉推進カンパニー プロジェクト計画部 部長
柴崎尚史 福島第一廃炉推進カンパニー プロジェクト計画部 課長
白石哲博 福島第一廃炉推進カンパニー プロジェクト計画部 課長
荻原義孝 福島第一廃炉推進カンパニー プロジェクト計画部 課長
山口 献 福島第一廃炉推進カンパニー プロジェクト計画部 課長
味沢慎吾 福島第一廃炉推進カンパニー プロジェクト計画部 チームリーダー
今井俊一 福島第一廃炉推進カンパニー プロジェクト計画部 グループマネージャー
白木洋也 福島第一廃炉推進カンパニー プロジェクト計画部 グループマネージャー
都築 進 福島第一廃炉推進カンパニー プロジェクト計画部 グループマネージャー
村野兼司 福島第一廃炉推進カンパニー プロジェクト計画部 グループマネージャー
斎藤 久 福島第一廃炉推進カンパニー 福島第一原子力発電所 土木部 部長
西鶴祥一 福島第一廃炉推進カンパニー 運営総括部 チームリーダー
鹿島建設(株)
森川誠司 土木設計本部 解析技術部長
瀬尾昭治 技術研究所 上席研究員
柳井修司 技術研究所 上席研究員




○更田委員:
それでは、定刻になりましたので、特定原子力施設監視・評価検討会の第31回会合を開催します。お手元の資料を御覧ください。議事次第が座席表に続いてありますけども、本日の議題が5件。まずはこの福島第一原子力発電所の中期的リスクの低減目標マップについて。前回少し御紹介をしましたけれども、これ少しずつ改善をしていくということになりますけども、これについて改めてこの特定原子力施設監視・評価検討会での議論を進めてまいります。二つ目は、海水配管トレンチ、言うまでもなく、この閉塞が数回の特定原子力施設監視・評価検討会で、言ってみれば最大の議題として進めてきましたけども、これの進捗状況について聴取をして、今後の方針等々について議論を進めていきます。三つ目が遮水壁ですけども、陸側遮水壁閉合後の水位管理について。サブドレンの運用が始まろうとしているところではありますけれども、これと関連をして遮水壁、今後どういうふうに進めていくか。これ部分的な実施計画の認可は進んでいるところではありますけれども、これの全体像を含めて議論をしていきます。四つ目が、3号機のガレキ撤去作業に伴う放射性物質の敷地外への降下量について。これは既に原子力規制委員会に対して、原子力規制庁から報告があって、原子力規制委員会としてこの報告を受けたところではありますけど、この特定原子力施設監視・評価検討会では、この辺の御紹介をしていなかったということで、改めてここで御紹介します。五つ目は、これは先般原子力規制委員会に事務局から提案があって、これを原子力規制委員会が了承したものですけども、福島第一原子力発電所に係る事故故障等の報告基準の見直しについて。これも改めて水曜日に行われている原子力規制委員会に報告があった内容を、この特定原子力施設監視・評価検討会で御紹介をするものです。時間としては、最初の三つの議題に主に時間を割いていくことになろうかと思います。配付資料、お手元にあるもの、資料は5件、それから参考資料が5件ついております。過不足があれば、途中でも構いませんので、事務局のほうへお知らせを下さい。それでは早速ですけども、まず議題(1)中期的リスクの低減目標マップについて、これをまず事務局から説明してもらいます。

○金城室長:
それでは中期的リスクの低減目標マップですけども、資料1に基づきまして、福島第一原子力発電所事故対策室長の金城のほうから、御説明させていただきます。まずこのマップですけれども、前回、平成26年12月26日に目標マップのイメージという形で、原子力規制委員会において議論したものを御紹介させていただきました。その後、こちらでも御意見をいただきましたし、福島県に出向いたり、東京電力から面談等で意見を聴取いたしました。その結果を踏まえて、平成27年1月21日の原子力規制委員会に付議しまして、まだいろいろと修正の指示はございますので、その修正をやっているものではございますけれども、了解をいただいたものでございます。そういったものですけれども、今後の予定としましては、今回議論いたしますけれども、また原子力規制委員会において最終案を報告するといった流れになっております。では、まずマップの御説明に入りますが、前回お配りした資料は、この1ページ目の下に参考として掲げていますので、そちらと比較しながら、どういうところが前回から修正が入ったのかを確認しながら聞いていただければというふうに考えております。この後ろのA3の大きなページのリスク低減目標マップ(平成27年2月版)のほうを説明させていただきます。まずこれ、原子力規制委員会ではいろいろと了承いただいておりますけれども、まだ(案)の時点で、原子力規制委員会で指摘を受けた修正を今やっている過程のものでございます。そういった中で、まずありますのが、やはりある時点のものを切り取ったものでありますので、ちゃんとそういったタイムスタンプ、平成27年2月版といったものを押したような変更を加えております。次にありますのが、前回のマップでは分野だけで、その分野で一体何をするのか、何を意図しているのかというのが、やはりはっきりと書かれたほうがいいというような御指摘、多数ありましたので、分野の下のほうに目的という形で、それぞれの分野において目指しているものを明記したところでございます。そういった中でいろいろと議論を進めていきますと、五つ目と六つ目の分野の間は、同じマップに載せてはいるんですけども、ちょっと扱いが異なるかなということで、線を引いたりして、若干扱いに差をつけているようなところはございます。続けての修正のところですけれども、四つ目ぐらいになりますか。前回のものは縦軸のほう、時間というものだけでしたけれども、やはりいろいろと横並びをそろえるためにも、年度を可能な限り入れて、あと5年間の施策を対象にしたものだということを明記されるように平成31年といったもののタイムスタンプを打っております。そういった中でございますのは、やはりいろいろ中に並べるものも軽重をつけてというような議論もありましたけれども、まず凡例のところにありますように、差をつけたのが、終了したもの、例えば4号機の燃料取り出し、これは緑色に塗ってみました。あとは、今の段階で実施時期が不確定のものは、液体放射性廃棄物関連の一番下のところにございます、廃棄物総量の削減のところでございますので、そういったものはしっかりと明記をする形をとっております。逆に言うと、その他のところは、ある程度の東京電力のほうの計画なども確認ができているところでございます。あと小さないろいろと加筆にはなりますけれども、施設内調査のところで、この前は二つしかありませんでしたけども、二つまた加えております。あとは、この間にもいろいろと東京電力のほうの計画の変更もございましたので、そういうものも反映させてありまして、今日は最後にまたそのうち説明をいただこうかと思いますけども、例えば液体放射性廃棄物関連でありますけれども、タンク内の高濃度汚染水処理による放射性物質濃度の低減、これは年度内にといっていたのが、平成27年5月に延びているような状況です。あとは労働環境改善のところで全面マスクや新事務棟も現在の状況を踏まえて変更してあります。今日、補足説明をしていただきたいと思うのは、全面マスクのところでございます。前回の資料を見ていただきましても、これは平成28年3月といっていたところを前倒ししまして、平成27年5月といったことで今検討しているものでございますけども、この部分につきましては東京電力のほうからの補足の説明をよろしくお願いします。

○白木(東電):
それでは、今ありました補足をさせていただきます。資料ですが、資料5の後ろについています参考1という資料でございます。題目が、全面マスク着用を不要とするエリアの拡大に関する検討状況についてというものでございます。めくっていただきまして、1ページでございます。概要をちょっと述べさせていただきます。発電所につきましては、御存じのとおり、当初は全面マスクを着用して作業していただきましたが、ある基準値を設けまして、その基準値以下になったエリアは、全面マスク着用不要とするというふうにしてきてございます。その基準値といいますのは、1ページ目の一番下に書いていますように、法令で定める値の10分の1というものを設定いたしまして運用してございます。その運用を平成23年11月8日から開始いたしまして、今現在では構内面積の約65%、先ほど金城室長からありましたように、平成27年度、運用を含めますと5月になりますが、いろいろ準備等を含めますと平成27年度末までに、約90%、1~4号機周辺以外のエリアの拡大を計画してございます。順次全面マスク着用を不要とするエリアにつきましては、作業がなく移動の場合はサージカルマスクを、作業は原則、DS2という使い捨て式防じんマスクを着用していただいてございます。一部作業でも全面マスク等を使うのはありますが、これは後で御説明いたします。なお、このエリアでございますが、万一の不測のときに備えて、全面マスクもしくは半面マスクを着用していただいて、作業等をやっていただいております。その結果、平成23年10月以降は有意な内部取り込みというのは発生してございません。次、2ページ目を見ていただきまして、これは現在の全面マスク着用を不要とするエリアの絵でございます。小さくて申し訳ありませんが、オレンジ色に塗ったところが当該エリアとなってございます。図の中にあります赤い丸、青い丸は、ダスト濃度を連続で監視しているモニタの位置でございます。赤と青を、若干ここに図の横のところにありますが、目的は若干違っておりますが、性能的には同じでございますので、これらのモニターで連続監視してガス濃度を確認しながら運用しているということでございます。次、3ページ目でございます。このように原則はエリアごとに管理しているということでございますが、エリアの中でも非常に特異な作業につきましては、全面マスクを着用不要とするエリアであっても、全面マスクまたは半面マスクを使っていただいているということでございます。それが右側の表の小さい字でございますが、高濃度粉塵作業。具体的な幾つかの例を挙げますと、土壌のはぎ取り、アスファルトのはつり、工作物の解体等につきましては、全面マスク不要とするエリアであっても、全面マスクもしくは半面マスクを使っていただいていると運用してございます。次に4ページ目でございます。これが将来的なものとして先ほどもありました、平成27年5月中の運用を目標開始としてございます。先ほど2ページ目の絵と比べますと、敷地の南側のところまでエリアを拡大するということで、最終的には1、4号周りを除いて全てこのエリアとするというふうに考えてございます。そのためには、丸の白抜きが2カ所ございます。ここにさらにダストモニタを追記するということで、ほぼ1~4号の周りを囲むような形で監視を行いながら、運用していくということを考えてございます。次に5ページ目でございます。ちょっとこれは今まで申しましたエリアの管理と作業の管理と若干異なるものでございますが、タンクエリアにおける課題ということでございます。御存じのように高Sr濃縮塩水を保管しているタンクがございますので、そこの工事等につきましては、ダスト濃度の観点というよりも、この高Sr汚染水をかぶる、もしくは内部取り込みをするというおそれがあるということで、全面マスクを使用していただいています。ただし、これにつきましても例えばエリア全体とか、そういう大ざっぱな管理を今してございますが、それをもう少しきめ細やかな管理にするということで、さらにタンク周りにつきましては堰も今つけてございますので、今後の運用といたしましては、まだこれは(案)でございますが、そこの表にありますように、まず堰内については原則全面マスクを使うと。ただし、今後、水処理をして、高濃度Srを除いた水につきましては、全面マスクではないDSマスクを使っていただくということでございます。さらに堰外につきましては、高Sr汚染水をかぶるようなリスクが少ないということで、DSマスクを使うということでございます。ただし、表の下のところの注にありますように、これにつきましてもまだ一定のリスクがあります。例えばタンクの移送ラインに関わる作業につきましては、引き続きマスクを使っていただくというふうに考えておるということでございます。表につきましては各濃度の参考でございますので、御覧になっていただきたいというふうに思います。簡単ですが、以上でございます。

○金城室長:
それでは最後になりますけど、繰り返しになりますが、今後の予定としましては、最終(案)といったものを原子力規制委員会に報告する予定となっております。説明は以上であります。

○更田委員:
途中で全面マスク着用に係る議論が入りましたけど、まずこれはちょっと置いておいて、最初に説明をしました中期的リスクの低減目標マップ、これについて。これは前回御紹介したものから、今、金城室長のほうから説明があった変更等がありました。凡例の中でも、ちょっとうまく表現しきれていないのは、対策が完了したものを緑で塗ってあり、それから実施時期が不確定のものを破線で囲んである。白抜きの実線で囲んであるものが一番たくさんあるわけですけれども、凡例がない。要するにまだ達成されていないもので。そして、さらに中に一応目途となっている時期が書かれているものと、書かれていないものがあります。時間に関しては左に目標とする年度を書き込んではいますけれども、時間に関してはかなり不確定な要素がある。それから貯蔵液体放射線廃棄物総量の削減、これ前回囲んでいるものが、枠が小さかったために、そして年度が入ったものですから、平成29年度以降にというような報道も一部にありました。しかし、これは原子力規制委員会では一切、年度についてまだ触れていませんので、今回は枠を大きくするという形ですけれども、実施時期に関しては不確定な要素があるということで、こういった表記になっているというふうに聞いています。この中期的リスクの低減目標マップ、まだリスクの軽重、これ今までさかんに言っていますけども、非常に大きなリスクのものと、それからそうではないもの、それから言ってみれば準備作業に当たるようなものまで書き込んでありますので、重みはそれぞれ随分違います。現在進めている海側の海水配管トレンチ内の閉塞であるとか、それからRO濃縮水の形での貯蔵であるとか、それから4号機・3号機の使用済燃料の取り出し、こういったものが非常にリスクとしては重く見ているものだというのは、前回申し上げたところです。本件、これからもこの特定原子力施設監視・評価検討会で折に触れて議論を進めていきますけども、今の時点でこの今の説明のあったマップについて御質問、御意見があればお願いします。山本先生、どうぞ。

○山本教授:
御説明ありがとうございました。こういうマップをつくることで、見える化がきちんとできるようになるのは大変結構なことではないかと思います。コメントは三つありまして、1点目なんですけれども、今回目的というのを追加していただいておりまして、これ非常に重要だと思います。ここの書き方なんですけれども、目的という書き方でもいいと思いますが、「考慮すべきリスク」という形で書いて、リスクも多分二通りありまして、現状のリスクがどういうものがあるかということと、あとここの福島第一原子力発電所の特殊事情で、経年というか、時間とともにリスクが増大していくファクターがあるので、それとしてどういうものを考えないといけないかと、その2点についてここに書き込んではいかがかなというふうに思います。それが1点目と2点目です。3点目は、当初よくトラブルの原因になりました仮設機器の話がここには明示的には出ていないんですけれども、恐らく仮設機器、より信頼性の高いものに順次リプレイスされていっているかと思いますが、ちょっとその状況がはっきりつかめていないこともありまして、こういうマップに入れておいてもいいんじゃないかなというふうに考えます。以上です。

○更田委員:
三ついただいた一つ目の御指摘は、おっしゃるとおりだと思います。何に対するリスクなのか、例えば海洋汚染に対するリスクなのか、陸域に与えるリスクが大きいのか、あるいは作業に当たる課題に対するリスクが大きいのか、それぞれ何を恐れて、何から守るためにそのリスクを下げなきゃいけないのかということは、それぞれ明確にしていかなきゃならないと思います。二つ目はちょっと、時間とともに高まるとおっしゃったのは。

○山本教授:
設備とか、ある意味健全じゃない状態で、経年劣化というようなもので、例えば腐食等が進んでいくところもあるわけです。それでリスクが増大していくものがあるという、多分特性があると思いますので、そういうところがあれば、明示的に書いておいたほうがいいかなという意見です。つまり、これ、リスクの低減目標マップという、そういう形なんですけれども、低減するだけじゃなくて、ほうっておくと増大するという、そういうファクターもあるので、そこをきちんとリマインドしておきましょうと、そういう趣旨です。

○更田委員:
ちょっと私はまだイメージがつかみかねているところがありまして。というのは、確かにおっしゃるように、例えば高濃度の状態のまま汚染水をタンクに貯蔵し続ければ、経年劣化が考えられる。ですので、それに対処するためにはタンクをリプレイスするというよりは、むしろ高濃度の状態そのものを除去しようという方向で進めています。これ、そういう意味では低減目標マップですので、老朽化、時間がたつことに応じてのリスク増大する項目があれば、それを載せていくということに関しては全く異論はないんですけれども、全体から見たときにそういったものがというと、恐らくはタンク類と、それからさまざまな汚染物質除去装置、ただ、これは更新が非常に短期間で進むものではありますけども。それから、これは既に特定原子力施設監視・評価検討会でも議論していただきましたけれども、フィルタ類の固体化したものの保管の監視を続けなきゃならないという点はおっしゃるとおりだと思います。三つ目にいただいた指摘というのは、仮設等々の。これはここに明示的に出てきませんけど、例えば今炉心の冷却をしていますけども、水で冷却し続けるのがいつまでかという議論は別途ありますが、今のような非常に大きなループでやっているものの小ループ化といったものは、一つ大きく当たるだろうと思っています。これどちらも仮設には違いないけれども、仮設のものがあれだけ大きく回っているという状態よりは、はるかにそれを小さくすることでリスクが小さくなる。その他いろんなことはあろうかと思います。渡邊先生、どうぞ。

○渡邊特任教授:
3点あるんですが。一つは、低減リスクマップ、福島県民にとっては大体どの地点でどんなものがあるかということがわかりますので、大変ありがたいなというふうに思います。その上でなんですが、実は先日、別な会議の中で、要するに作業員のアンケート調査というのが事業者のほうでやられまして、見たときにやっぱり一番大きいのは、もちろん放射性物質に対する警戒、懸念という問題が一つあったんですが、2番目にどうもタイムスケジュールに追われているというような状況があって。不幸なことに、実は死亡事故があったというようなことがあって、それの原因追及みたいな話もあったんですが。そうすると、やはり現場とこのスケジュールとがどういうふうにマッチングしているのか、あるいはこういう提案をするときに、どういう検討がなされて出てきたのかというのが、ちょっと懸念材料としてあります。もし、規制委員会のほうで現場なり、あるいは事業者のほうで検討されているのであれば、教えていただきたいというのが1点です。それから2番目なんですが、これ短期ロードマップみたいな形で大変ありがたいんですけども、私たち今まで、次の議題にも関わるんですけれども、凍土壁問題とか、サブドレンの汚染水の問題というのは、基本的にもうドライアップの多分作業の手順の一つなんだというふうに理解をしているんですね。凍土壁問題も順調に周りについてはいくという話を伺っていますので、それでもなおかつ、例えばドライアップ、この時間の5年間ではできないのかどうか、このスケジュールの中には入っていないんですが。ちょっと一番懸念材料として、あるいは興味があるところという形で、その辺のところはスケジュールに入らないものかどうかというのが2点目です。それから3点目なんですが、多分、私、液体放射性廃棄物の関連の中で、点々で表示されていますけど、海洋放出というのが出たのが、これは多分この委員会では初めとだというふうに理解をしています。それで、この委員会でも私、何度か委員長にお願いをしておりましたけれども、ぜひ放出をするのであればアセスをしてほしいと。確かに濃度規制の中で、これだけであれば大丈夫だ、薄めれば大丈夫だという話があるんですが、量が量なので、そういう意味ではやっぱり放出するに当たってきちんと、いわば環境影響評価というものをやるべきではないかということで、環境影響評価をしますということで、これは多分、国の、経産省のほうの事業になるのかもしれませんけれど、規制庁ではないのかもしれませんが、国のほうで受け取ってもらうというようなことが何度かあったと思うんですが。今回あえて明確に「海洋放出」ということを、このスケジュールの中に明記したというのは、何かそういう検討が加えられた上でのやっていることなのか、あるいは検討なくこういうことが出されているのかという3点、お願いしたいんですが。

○更田委員:
一つ目は、大変難しい問題だと思います。リスクを下げるという観点からすれば、これをこの時期までにというのは、規制する側としては当然のことながら要求事項としてはありますが、一方で、現場を踏まえない要求は意味がない。あるいは現場を踏まえずに別の危険を惹起してしまうようなリスク低減の目標というのは、ないだろうと思います。個々のものに関しては、確かに議論を深めていかなきゃならない部分もありますし、それから、これ時間的にも横軸に同じ時期に並んでいるものが幾つもありますので、その中でのプライオリティというのは、さらに考えていかなきゃならない。ただ、これは先ほどの三つ目のお尋ねとも関連をしますけれども、汚染水を高い濃度のまま保管し続けることの危険は再三指摘をしてきたので、東京電力、目標よりはやや遅れてはしまうけれども、処理済み水の形での貯蔵というふうに持っていくべき、今、最大限の努力をしている。では、さらにこの処理済み水に関して、これを貯蔵しておくための努力が全体に対して及ぼす影響というのは大きく懸念をされているところで、これが現場の作業を非常に厳しいものにしているということは、これは事実であろうと思います。そこで、三つ目のものに関してちょっと後でお答えをしますけれども、ただ、やはり作業全体の効率というのは考えていかなきゃならなくて、人と時間は無限に投入できるというふうに考えるのは、もちろんふさわしくありませんので。そのためにもこれ、プライオリティをつけるというのも一つのマップの目標ではありますので、マップの精緻化の議論の中で、さらに深めていきたいと思います。二つ目のドライアップに関して、これは今の時点で、ちょっと新川さんのほうにお尋ねしなきゃならないけれども、ドライアップの時期をどのぐらいの確度で言えるのかというと、私はまだ少し議論に入る段階に達していないように思っているんですけれども、経済産業省のほうでの検討で、ドライアップの時期についての議論があるのであれば、紹介をしてください。

○新川室長:
ドライアップにつきましては、中長期ロードマップで目標となる年限のお示しをしています。ですが、御承知のようにドライアップに至る過程においては、技術的にはかなり難しい点がたくさんあると思っております。止水そのものもそうですし、水位を下げることによって乾燥した地下階から放出が起きるかもしれないといった問題もあると思っております。そういう意味では、具体的な工程として、エンジニアリングとして何か具体的な年限を今示せるというところまでは、まだいっていないという理解をしております。

○更田委員:
この点、渡邊先生、いかがですか。

○渡邊特任教授:
了解です。そうすると、少なくともこの5年間の中には予定に入らないというふうに理解をしろということだと思います。それから、今の更田さんからお話のあった、例の処理済みをいつまでも置いておくということは、それは作業が非常に効率が悪いということはよくわかるんですけど、ただ問題はどの時点で放出するほうがいいのかという問題も、逆にあるんだろうと思うんです。要するにいつまで保管をする。少なくともトリチウムの場合、12年になれば半減期になりますので。そういう意味ではいつの段階でどれだけの量を環境中に放出するのかという課題が一つは残されているんじゃないかと思っているんです。ですから、そういう観点から、確かに労力としては大変だということは十分わかりますし、現場に行けばタンクの憂慮さというのはおっしゃられるとおりだというふうに思いますけれども。ただ、こういう形で海洋放出されるということが、例えばある程度科学的にきちんと国民に理解されるような形で情報を伝達していただかないと、結局、風評被害だとか、そういうのが全部なくならないんです。ですから、そういう観点でもぜひ科学的なアセスメントをした上で、この濃度であれば環境で将来にわたっても問題ないという、そういう情報発信をお願いできればありがたいというふうに思います。ありがとうございました。

○更田委員:
三つ目についてですけど、今おっしゃった。三つ目の、貯留液体放射性廃棄物総量の削減というふうに書いていますけれども、処理済水をため込み続けること、これをずっと、年限の定めなくしてため込み続けておくということは、これは山本先生からの御指摘もありましたけど、遅かれ早かれ高経年化、老朽化の問題にぶつかることになります。また、これ航空写真一つ見ていただければわかりますけども、今、福島第一原子力発電所は一大タンク群になっていて、こういったものが全体のリスクを下げる上での大きな障害になっていることは、これは想像に難しくないことだと思います。一方で、処理済水の海洋放出に関して、これは規制が要求をしているのは濃度制限であって、告示濃度制限を満たしたことに関しては液体廃棄物としての放出を認めている。これは規制の立場です。ただ、一方でおっしゃるように、一般論として何を最も恐れているかというと、やはり一つは風評被害であって、風評被害はこれは科学的な説明を尽くしても、なお起きてしまうものだと考えるべきで。であるからこそ説明は、これは規制当局としてだけではなくて、国全体ないしは東京電力も含めてですけども、十分な説明を尽くしていくことが必要であるのはもちろんですけれども、一方でなお風評被害は起きてしまうものだというふうに考えるべきだろうと思います。ですので、これは時期についても十分な検討が必要ですし、規制が決めるものでもないだろうとは思います。一方で、総量、「アセスメント」という言葉がありましたけども、規制と別の観点から言えば、総量、例えば年間の放出、これは従来はトリチウムに関して――どこの原子力施設でもそうですけども、管理目標値というのが保安規定に書かれていて、管理目標値というのは事業者自らが定めていますけれども、総量の議論と総量と、それが与える影響については、これは事業者として東京電力によるアセスメントは当然あろうかと思いますし、渡邊先生の御指摘にもありましたように、経済産業省のほうでそれを確認することはあると思いますけども、規制当局としての見解が恐らく当然求められることになるだろうから、そこで何らかの言及をすることになるだろうとは思っています。

○高坂専門員:
今の渡邊先生の議論に関連して気になったんですけど。先ほど金城室長からのご説明にありましたけど、福島県の方へ、このリスクの低減目標マップについて説明に来ていただいて、意見交換させていただきました。その時に説明いただいた資料は、今回参考で付いている前回第30回の資料でした。その後、規制委員会の方でいろいろ議論されて、資料が見直されていますけど、今お話があった中で、一番気になったのは、多核種除去設備で処理した水を海洋放出等によって貯蔵によるリスクを削減するということを具体的に書かれたということです。県側での受け取りは、トリチウムも含めた水の処理については、最終的にどうするかについては、国で検討していただいていまして、未だ結論は出ていないということです。具体的には経済産業省のエネ庁さんの方でやっているトリチウムタスクフォースがありまして、そこで、この海洋放出も一つのオプションでありますけど、それ以外に貯蔵とか分離等で処理する方法とかを、色々知見を集めながら検討していただいている最中で、まだ結論に至っていません。従って、海洋放出は、もう決まっているというか、方向性として出ていると受け取られる形で具体的に規制委員会・規制庁の資料で書かれてしまうのはどうなっているのかということで時期尚早ではないかと思います。これが第1点です。それから、先ほどドライアップの話がありましたけど、廃炉を進めていただく中で、リスクは、今後、廃炉に伴っていろいろ変わっていくことがあると思います。5年間で見ると、たしか第2期の目標はデブリの取り出し開始ということですけども、デブリの取り出しに伴って色々新たなリスクが出てくるのではないかと思いますので、それについても今後の定期的なリスクマップの見直しで進めていただければ思います。、廃炉の進捗に合わせて、定期的な見直しをお願いしたいということ、この2点でございます。

○更田委員:
ありがとうございます。1点目に関して、まず申し上げると、この中期的リスクの低減目標マップは、原子力規制委員会の名において、こういった個々のリスクを減らしていこうという項目と時期を、おおよその時期ですけど、を示しているものです。貯蔵液体放射性廃棄物、これに関して規制基準を満足する形には海洋放出等と書かれていることは、これは規制委員会としての立場としてここに書いておりますけども、国全体として、ではコンセンサスがとれているかといえば、当然これはトリチウム水のタスクフォースというのが経済産業省のもとで行われていて、当然そことの間で協議してこれを書いているわけではありませんので、これは規制委員会としての立場を示しているものだというふうに理解をしていただければと思います。確かに、国全体としてこう決めたわけではないという御指摘もわかりますけれども、一方で、処理だとか濃縮であるとか、オプションであること自体は理解ができますけれども、では、それが現実的なオプションなのかどうかということは、そろそろきちんと発信をしていくべきことであろうと思っています。トリチウムの濃縮であるとか、トリチウムの処理であるとか、こういったものの検討を延々と続けて、それがあたかも実現可能なオプションであるかのように維持し続けて時間を過ごすことが福島のためになるとは、私たちは思っていない。そういった意味で、現実的なオプションとは何なのかという議論をいつまでも避けて通ることはできないというふうに考えています。これは議論を惹起する形になったとは思いますけれども、時期尚早という御意見は御意見として承りたいと思いますけれども。やはりトリチウム水の処理に関して目をそらすわけにはいかないという、規制委員会としての姿勢を示したものだというふうに受け止めていただきたいと思います。それから、デブリの取り出しに関しては、これは一方でデブリの取り出しは急ぐことがいいのか、それともある程度時間をかけたほうがいいのかというのは、処理済水とは異なる問題だろうと思っています。いたずらにデブリの取り出しを急ぐことがいいのかどうかというのは、ちょっと今の時点で判断し切れるものではないのです。この目標マップはどちらかというと、できるだけこれは早く処理しましょうよというものを並べていますけども、デブリの取り出しに関しては、先ほどのドライアップの議論とも関連はしますけども、取り出し方法も含めて議論が成熟した段階で、時期についても私たちの意見を発信したいと思います。急ぐべきだということであれば急ぐべきということですけれども、今の時点ではそういう判断にまでは至っておりません。角山先生、どうぞ。

○角山教育研究特別顧問:
3点あるんですが。今のトリチウムの議論の一つで、管理目標値というお話があったんですが、ワンプラントごとの管理目標値というものの合理性、これはきっと規制委員会のマターだと思うんですが、総量、要するにどうしたって薄めたら出していいという論理は通じないので、管理目標値の合理性を出していただきたいなと思うんです。例えば、多分、天然に存在する地球上のトリチウムの、既に5分の1ぐらいは人工で、原爆・水爆の話は別として、存在するのではないかと思うんですね。それに対して5分の1、2割が人工であるという中で、どの程度が管理目標値が合理性があるのか、そういう点をぜひ御議論いただければありがたいと思います。それから、先ほどのタンク等の経年劣化ですけども、圧力容器とか既に傷んでいる容器で当然塩分が入っていたり、今後水をうまく張れればですけども、水圧がかかる、一方、底が抜けている、ペデスタル部が傷んでいる。そういった点から見て、こういった容器がどの程度のリスク増加要因になるのか、そういった点もぜひ今後ですけど、御評価いただきたいと思います。それから、この5年間のリスクの低減マップというのは、確かに非常に大事だと思うんですが、これを見て住民の方が、では順次戻って生活の元に戻ろうか、そういう判断をなさる材料にもなり得ると思うんですが、例えば先ほどのデブリ取り出し等でまた再度リスクが大幅にアップするとか、そういうことがありますと、再度避難というのは当然考えることはできないわけですので、このリスクマップと同時に、もう少し長期的なロードマップも併記していただいて、精度は当然落ちるかもしれませんが、全体像としてはこうなっている。この5年間はこういうリスク状況になっている、そういう資料があるべきかなと。以上、3点を述べさせていただきました。

○更田委員:
ありがとうございます。これは全て、お尋ねいただいたことに私がお答えするという会ではないんですけども、ただちょっと行きがかり上といいますか。一つは管理目標値ですけども、これはある時点で事務局に参考資料としてまとめてもらったほうがいいかもしれませんけど、各原子力施設で管理目標値が一体どういうふうになっているのかというのを、ちょっと御覧いただくことにも意味があると思います。管理目標値は、これは基本的には事業者がこれこれで管理すると保安規定に書き込みましたというものを、保安規定の認可という形で規制当局が認めているという形であって、管理目標値がこれこれでなくてはいけないというふうな決め方をしてきた経緯がありませんので、それぞれが事業者のほうで各施設に対して、管理目標値をこういうふうにしますと。それが十分保守的な値であればこれでいいだろうということで、実際問題実は施設の中で随分開きがあります。ちょっとこれを一度、全国の原子力施設で管理目標値がどういうふうになっているかというのを御覧いただくといいと思います。その実質的に総量の議論となると、この管理目標値が一つの指標になるであろうと思いますので、ちょっとこれは次回ないしは次々回までに準備をしてもらって、御紹介をしたいと思います。さらに管理目標値がそれでいいかという議論に関していいますと、それは改めて、実施計画に申請があった時点で、帰省委員会として確認をすることになると思いますが、では今おっしゃったような、どのような視点を持ってこれでいいとしているかということに関しては、あまり私の知る限り突っ込んだ議論なり、指標を持っているとは思っていませんので、これは改めて少し議論の議題としていきたいと思います。それから二つ目、圧力容器であるとか、格納容器であるとか、これ確かに懸念としてありまして、このマップでは地震・津波関連として書いていますけども、検討用地震動に耐えるであるとか、それから、それを超えるような外的事象に対して、建屋であるとかタービン建屋をもつかどうかというようなことに関しては懸念をしていて、これについては、しかるべき時期までに必要なものに関しては耐震補強であるといったものを進めてもらうというふうにしていますけれども。さらには先ほど来の議論で言う、デブリ取り出しの時点でどれだけ建屋を初め、ペデスタルが一つの例として挙がっていましたけれども、どれぐらいの強度を見込んで作業ができるのかというのは、非常に重要な課題であろうと思います。ただ、これも今の時点でそれを確定させようと押さえにいくのは、あまり工学的に賢いアプローチではなくて、もう少し時期を要するんであるというふうに思っています。それから、三つ目ですけども、三つ目、長期的なリスクに関して。確かに精度がますますこれよりも先のものになってくると、落ちてくるだろうと思います。ただ一つは、これ、ちょっと東京電力に折節で伝えてほしいのは、今、福島第一原子力発電所の中にある放射性物質の総量が一体どういう状態なのかというのは、折節で外へ示してほしい。例えば災害事前対策の検討の中で、もう放射性ヨウ素は減衰してしまって中にはありません。放射性ヨウ素がないのに、安定ヨウ素剤を用意しようというのはナンセンスだよという議論がありましたけども、ないものを怖がるのはナンセンスであるのと同様、一体どういうものがあって、どういう形状であるのか。先ほどデブリ取り出しが始まったらさらなる放射性物質の放出のリスクがというお話がありましたが、実際に具体的にどういうリスクが考えられるのか、気ガスが出ますとか、ヨウ素が出ますというのは、ないものは否定できるだろう。しかし、粉じんであるとか、そういったものでの懸念というのはどうしても残るだろうと思いますので、そういったものについて、まずは一体そのときにどれだけのものを抱え込んでいるのだというのは、示していただきたいと思います。それから、長期的ロードマップについては、すみません。長期的課題になってしまうんではないかと思います。まず中期的リスクをうまく表現するということがある程度できるようになって、その上で経済産業省の進めているロードマップとの関連も含めて取り組んでいきたいというふうに思います。角山先生、どうぞ。

○角山教育研究特別顧問:
ただいまのお話で、最後のデブリ取り出しとか、そういう件ですが、たしか2012年にチェルノブイリ関係の方の発言を要約した資料に、チェルノブイリみたいに燃料がもう噴き出しちゃって、空に近い状態でも再臨界、今でもチェックしているという状況があるというコメントがあったと思うんですが、福島の場合、幸か不幸か現時点では燃料が固まって残っているわけです。そういう意味で、やはり別のリスクというのを視点に入れておかないといけないかなと思って、ぜひそういう点も御検討いただければと。作業員も大事な住民ですので、そういう意味で御検討いただければと思います。

○更田委員:
これはもし、御要望であれば、少し再臨界についての可能性とその影響について、一つテーマを立てて議論をしてもいいと思います。個々に工学的な判断を今の時点で持っていると思いますけども、再臨界の可能性の小ささと、それから仮に再臨界が起きたとして生じる影響というのは極めて小さなものだと思いますけれども。これについては臨界のものを含めて御懸念があれば、御指摘を受けて少しテーマとして御紹介することを考えます。井口先生。

○井口教授:
1点だけ確認させてほしいんですけども。このリスクの低減目標マップの相互関係、非常にわかりやすくていいと思うんですが、前回の参考の結果と比べて、奇異に思うところが一つありまして、それは固体放射性廃棄物関連で、敷地境界実効線量の関係ですと、途中で年間1mSv未満になるというときに、前回の場合には屋外の廃棄物を建屋内において遮へいをするということで達成できるという、そういうふうに読めるんですけども、今回の場合はそこが空白になっています。これは何か意図があるんでしょうか。これだと、どうして1mSv/年未満が達成できるかというのが、このマップの相互関係からちょっと読めないなというふうに思ったので、御説明いただけるといいかと思います。

○金城室長:
そのことについては、事故対策室の金城のほうから説明させていただきますが。これは、まずありましたのは、この前のマップも1mSvを達成するために、左側の建屋内保管完了というのが前提になっているわけではありませんでした。これはこれで、この時期までにこういうことができないかということで、縦の分野の中で議論があったんですけれども、実際、東京電力のほうの持っているいろいろな廃棄物の、これからの対策を確認していくと、ちょっと長期的にはこういったものを目指しているんですけど、今直前でできるものは、今日のマップの固体廃棄物関連の下から二つ目の四角のような形で、建屋内保管に向けてそれに必要な貯蔵施設の増設とか、あとは現用施設の計画的な整備が今計画されているところということで、ある意味、不確定なものではなくて、確定的な固体廃棄物に対する計画をここで記させてもらったということになります。

○井口教授:
ということは、今回のマップの縦軸というのは、相互に独立であるというふうに考えていいわけですか。関係していないわけですね。それぞれの目標値が時系列的に並べてあるという、そういう解釈でよろしいでしょうか。

○金城室長:
すみません。これは関係しているものもあれば、関係していないものもあるというのが御説明で。例えば、今の固体廃棄物は関係していませんでしたけれども、関係しているものとしましては、液体放射性廃棄物関連の中にあります、タンク内の高濃度汚染の処理。これに関しましては、平成27年3月の2mSv/年未満の達成に関連したものになっております。ただし、5月にならなければ2mmじゃなくて、この過程の中で3月までは2mmという計画になっていることを一応確認をしていると、そういったもので。個々には関係しているものと関係していないものがあるということでございます。

○更田委員:
井口先生、よろしいでしょうか。松本さんどうぞ。

○松本(東電):
東京電力、松本でございます。今の先生の御指摘の部分に関しましては、これは屋内に保管をするかどうかということとは独立をして、金城室長がおっしゃられた点は、達成してまいりたいというふうに思っております。ただし、屋内に保管をするというのは、保管をする作業にも被ばくを伴う作業が発生いたします。そういう意味では、先にその下にございます焼却減容施設というものをしっかりつくって、減容をした上で、屋内に入れていくということが、ある意味合理的だろうということでございまして、そういう手順を踏んで、なるべく合理的に作業を進めつつ、敷地境界の線量は、それとは独立した努力を重ねて達成してまいりたいということでございます。

○田中知委員:
金城さんのほうから、具体的にどういうふうな努力をすると、1mSv/年未満になるのかという説明があると、もっとわかりやすいんじゃないかと思う。

○金城室長:
そういった意味では、残念ながらまだ。今、まさに上の、むしろ2mSv/年未満をしっかりと達成できるようやっているところでありまして、これが達成された暁には、次の1mSvをしっかりと詰めていくということになるかと思います。その中には多分具体的には……。

○更田委員:
ごめんね。これ、金城さんの説明責任じゃなくて、東京電力から説明してもらいます。

○松本(東電):
お答えいたします。つまり仮設できちんとした建物にないところに保管をするものについては、例えば遮へい効果をしっかり持たせるというようなことで、敷地境界に与える影響というのを押さえ込むことがある程度できますので、そういったことをしつつ、作業そのものはなるべく被ばくの観点からも合理的に進めてまいりたいということでございます。幾つか仮設のやり方で敷地境界に与える影響というのはしっかり下げてまいりたいということでございます。

○更田委員:
井口先生、よろしいでしょうか。

○井口教授:
結構です。

○更田委員:
高木先生、どうぞ。

○高木教授:
三つほどあるんですが、一つは先ほど更田委員のほうからリクエストのありました廃棄物の性状であるとか量であるとか、分布であるとか、そういうのを示してもらいたいというようなことだったんですが、そうするとどのくらいリスクがあるのかということもある程度評価できるんではないかと思います。今まで結構、具体的なリスクは出せるか、なかなか難しいでしょうね。でもオーダーというか、順番ぐらいつけられませんかというと、それもなかなかというのがずっと繰り返されてきたと思うんですが、性状と量がわかるなら、ある程度のリスクは出せるんだろうと思います。それがどういう形であるかはわかりませんが、それをできればせっかく中長期リスクの低減目標マップというふうに書いてありますので、何らかのリスクの大きさの指標というのがここに加えられればいいんじゃないかなと、よりわかりやすいのではないかなと思いますが。もちろん、これは何回も同じことを申し上げて、何回も難しいと御回答をいただいていますので、それでもやはり順番を問うとき、こっちのほうが先ですねというのを皆さんが納得するように説明するには、やっぱり大小ぐらいはある程度わからなければならないんじゃないかと思うんですね。あまり細かいことにこだわって、大きいリスクは後回しにするというのはやっぱりよくないですから。そんなことはしてないとは思うんですが、それは御存じの方がそういうふうに判断できるんであって、これを見た方が、あまり詳しく御存じない方でも、確かにそうでしょうねというぐらいのことは言っていただけるようなものであればと思います。これは理想かもしれません。これは質問というか、お願いみたいなものです。2点目は、新川室長に伺いたいんですが、トリチウム水に関しては、今どのぐらい検討が進んでいて、ここに規制庁から出てきたマップでは、時期が不確定というふうに書いていますが、それでもタンクはずっと増え続けていまして、どこかで飽和に達するわけですから、何らかの目標とする期限がなくてはならないんではないかと。そこのところで具体的に何か有効な方法が出ればいいんですけども、それはまだ出るかどうかわからない。ということは、事前にやはり規制庁、規制委員会のほうがある程度具体的な案を出さざるを得なかったんではないかというふうに、私はこの部分は思っています。ですから、いつごろそういう案をお示しいただけるのか、どういう状況になっているのかというのをちょっとここで簡単に伺えればと思います。三つ目は簡単なことなんですが、前回に比べて非常にわかりやすくなっていまして、それはどういうことを具体的にするということを書いていただいたので、じゃあ何が問題であるかというのがわかりやすくなったということなんですが。細かいところなんですが。それでしたら、この固体放射性廃棄物関連の一番最後の、高性能容器と二次廃棄物の安定的な管理という、こういうちょっとわかりにくいものは、今後具体的にどうするということを、例えば書いていただけると、そうしたら今これが問題なんだということがよりわかりやすくなるんじゃないかというふうに思います。三つです。

○更田委員:
まず一つ目。一つ目の中での順序は違いますけど、リスクの軽重という観点から言うと、これは私も前回、私はこれが大事だと思うというのを申し上げたように、数値化することは簡単ではないと思います。ですので、それが高中低なのか。ただ、低という言葉も、また低と書くとひとり歩きしますので、なかなか表現がしづらいところではあるんですけれども。ただ、皆さんこの中でどれが重要だと思いますか、三つから五つぐらい挙げてくださいとアンケートをとってみたいというようなことを申し上げましたけども、概ね重視をしているのは、この海水配管トレンチ内の閉塞、それから高濃度のまま汚染水をため込むことのリスク、そして4号機の使用済燃料。これは幸い完了したけれども、まだ3号機が残っている。相対的に2号機、1号機に比べると4号機、3号機の使用済燃料を取り出すことを急ぐべきであるというのが、非常にあらあらではありますけれども、高いリスクとして挙げているものであります。軽重についてはいろいろ御意見も伺った上で、今後さらに――表現の問題でもありますけども、工夫をしていきたいと思います。それから、リスクの軽重をつける上で重要なのは、先ほど東京電力のほうに何がどれだけどういう状態であるのかを可能な範囲で示してほしいと言いましたけれども、先ほど角山先生から、臨界を懸念する御質問がありましたが、そうすると実際に臨界が起きる可能性がとなると、これこのマップの右下の隅に書いてありますけども、格納容器内、圧力容器内での状況把握。何が、どれだけ、どういう状態で固まっているのかというのを見ないことには、それが低いリスクなのか、極めて低いリスクなのか、なかなか判断をしていくことが難しいだろうと思います。ですから、これは状況把握の進展によって、どのぐらいの精度で軽重をつけていくかということもまた進化していくものであろうというふうには思います。二つ目の御質問は、これ資源エネルギー庁に対するお尋ねでしたけれども、新川室長どうですか。

○新川室長:
その他も含めてコメントさせていただいてよろしいでしょうか。

○更田委員:
どうぞ。

○新川室長:
まず。この中期的リスクの低減目標マップ改定案をお示しいただいてありがとうございます。リスクに対するコミュニケーションは非常に重要だと思っておりますので、ここに書いてある項目、書いていない項目も含めて、こういった目標マップを使ってコミュニケーションが強化できるということが必要であると思っております。ここには書いてございませんが、地下水バイパスを既に運用しておりまして、47回放水をしております。現時点で問題なく運用できているというふうに考えております。サブドレンについては、先月、意見集約のプロセスに入るということを福島の漁協の組合長会議でお決めいただいて、現在御議論いただいているところと承知をしております。まだ意見集約をいただいておりませんので、どうなるかということが決まっているわけじゃございませんが、私どもでは精いっぱい漁協に対して御説明をして、きちんと御了解を得ていきたいというふうに考えております。このトリチウム水の問題については、現在トリチウム水タスクフォースで議論をさせていただいているところでございます。あらゆる選択肢について評価をするということを目標にしておりまして、現時点で海洋放出ということについて、何かその方針を出しているというものではございません。高木先生から、検討が遅いのではないかという御指摘もいただきましたが、あらゆる選択肢についてきちんと評価をしていきたいというふうに考えております。それから、先ほどのリスクの軽重につきまして、原賠・廃炉支援機構、NDFと呼んでおりますが、そちらのほうで戦略プランをつくろうというふうにしております。更田委員から御指摘ございましたように、なかなか定量的にきちんとリスクが示せるものではございませんが、リスクの軽重、例えば汚染水と使用済燃料と燃料デブリでどういうリスクの軽重があるのかというようなことを、何とか表現できないかということをトライしたいと思っております。機会がございましたら、こちらのほうでも御説明をさせていただくような機会をいただけるとありがたいというふうに考えております。それからあともう1点、再臨界につきまして、地域の住民の方が非常に再臨界の可能性について御懸念をお持ちであるというふうに承知をしております。もし何かそれが心配に及ばないというようなことがうまく示していただけるのであれば、大変ありがたいと思っております。エンジニアリング的には皆さん、リスクは小さいとおっしゃっているのは承知をしておるんですが、なかなかうまく形に表すことができなくて、我々も今苦慮しているところでございます。以上でございます。

○更田委員:
高木先生の三つ目のお尋ね、高性能容器等の二次廃棄物の安定的な管理、これは今の段階で、そこまでなかなか議論が及んでいないのは事実ですけども、ただHICやボックスカルバートの議論を思い出していただければと思いますけども、一旦安定した形での管理ができる状態になっていますので、今これが非常に大きな脅威を与えるようなリスク源になっているという認識は持っていません。ただ、長期に及ぶに従って、これから何年もたてば、そこでさらに例えば保管場所の更新であるとか、ないしはさらなる処理方式であるとかといった議論はあるかもしれませんけれども、これはある程度長期間にわたって安定した状態であろうというふうに思います。それから、リスクの軽重に関してちょっとつけ加えますと、1回言及をいたしましたけれども、原子力施設の場合は。今まで歴史的にリスクというと、リスクの指標として人命であるとかを一つの尺度ととるようなやり方が、リスク評価の世界で一般的です。ただし、この福島第一原子力発電所が人と環境に与える影響を、うまくそのリスクを表現する場合には、やはり海洋汚染に対してこういう脅威があるとか、あるいはその近隣にお住まいになる、あるいはこれからお住まいになる方々の健康や生活に対してどういった脅威がある。それから、これは規制委員会の所掌範囲ではないと言ってしまえばそれまでかもしれないけど、風評被害も立派なリスクの一つだと思いますので、こういったものに対してやはりそれぞれに関して注意を払っていく必要があるのであろうというふうに思っています。

○高木教授:
まずリスクに関しては、軽重では無理なら、重いものだけをマークするとか、それだけでもいいんではないかと思いますし、今更田委員のおっしゃった、どういう観点からこれはリスクであるという、そういう説明がつくとなおわかりやすいと思います。それから、トリチウム水の処理に関しては、いつごろそういう結論が出るのかという時期があれば、それも伺いたいというふうに思いました。

○新川室長:
トリチウム水につきましては、今現在、分離についての実証事業を行わせていただいております。昨年から始めておりますけれども、来年度いっぱいかかる予定でございます。それを抜きで、ある程度の評価をほかの選択肢について行うことは可能かもしれませんが、そういった分離の可能性につきまして、実証試験の結果をまって判断を最終的にはしていくということかと思っています。もちろん、ただ、トリチウム水タスクフォースは評価をする存在でございますので、方針を決定する存在ではございません。この扱いについて今後どうしていくかということは、皆さんともよく御相談の上、決めていくということではないかと思っております。また、中長期ロードマップの改定を現在やっておりますので、今回お示しいただいたこの提言目標マップ、どのように取り込んでいったらいいのかということは、規制委員会ともよく議論させていただきたいと思っております。

○高木教授:
今のことについては、あとは規制委員会との話になりますか。要は時期というのを示していただくというのが多分非常に重要で、それによってどうマップに入れていくかというのは、変わってくるように思うんです。それが個々のテーマがどうなっているかというんではなくて、最終的にいつ結論が出るのかということを、多分示していただかないと、全体にこの話、動きにくいんではないかというふうに思います。その結論によっても随分とその後の動きは変わりますので、時間的な余裕というものが、場合によったら、もしかしたら今の時点であまりないかもしれないというふうなことをちょっと懸念します。それと、先ほどの3番目の高性能容器のお話については、これは例えばとして出しただけでありまして、5年分のことをこういうふうに書いていただくと、何が問題になりそうかというのが割とわかりやすくなりますので。別に、すぐにこれを具体的に書いてくださいというつもりはありません。ただこういう項目を書いていただいたので、よりわかりやすくなってよかったというふうに思っております。以上です。

○更田委員:
よろしいですか。ほかに御質問、御意見ありますでしょうか。これも先ほど金城室長から説明があったように、平成27年2月版というふうに年限、そのとき、そのときを示しておりますので、これについては少しずつ改善をして、それから高木先生からの御指摘がありましたけど、重いものをということに関してはちょっと表記上の工夫も含めて検討させてください。それから臨界の懸念ということに関して、規制委員会はリスクが小さいことを説明すると、先ほど結論ありきの説明はいたしませんで、評価をしてリスクが高ければ高いというふうに言いますし、初めからリスクが小さいことを示すための議題提供はしませんけれども、ただし、これは純粋に技術的、工学的に見て、ともあれ――私がちょっと自分の工学的な見解を先に申し上げているので、少し混乱を招いているかもしれませんけれども。これについてはその分野の専門家も含めて、御紹介できる機会を準備したいと思います。それでは、以上で最初の議題、中期的リスクの低減目標マップに関する議論を終了します。二つ目ですけれども、二つ目はこの特定原子力施設監視・評価検討会もずっとやっている、海水配管トレンチ汚染水工事の進捗について。ごめんなさい。ちょっと忘れてましたけど、全面マスクの着用に関して、これ紹介がありましたけれども、これについて特にここで何かというのがあれば。高木先生、どうぞ。

○高木教授:
すみません、簡単な質問です。1ページ目に「有意な内部取り込みは認められていない」という表現がありましたけども、これは具体的にどのくらい以下と考えてよろしいんですか。

○白木(東電):
具体的には、ホールボディをかけて、その前にかけたホールボディから3σを超えていないという評価で判断してございます。

○高木教授:
ということは、内部被ばく量が具体的にどれだけであるという評価ではないということですか。

○白木(東電):
そうでございます。一義的には定期的に3カ月に1回はからせていただいておりますホールボディの数字で、過去からの変動を考えて有意な上昇はないということで。そのときにホールボディのカウンター値が上がった場合に、先生がおっしゃるような今度は線量の評価というフェーズに入りますので、そこまでいっている方もいらっしゃらないということで、不明確で申し訳ありません。

○高木教授:
わかりました。

○更田委員:
すみません。私からも一つ質問があるんですけれども。この全面マスクの着用を不要とするエリアの説明の資料の2ページに、全面マスク着用基準が2E-4Bq/cm3とあるんですけど、「法令に定める基準値の10分の1」とあるんですけども、これ10分の1の心は何ですか。

○白木(東電):
社内基準として、当然法令ぎりぎりですと万が一超えてしまう可能性があるということで、社内的な安全裕度を見ているということで運用してございます。

○更田委員:
こういう基準って保守的なら保守的なほどいいというものではないと思うんですけども。深い議論になると思いますので、改めてまたちょっと伺いたいと思います。

○白木(東電):
ちょっと考えさせていただきます。

○更田委員:
それでは議題の二つ目、海水配管トレンチ汚染水対策工事の進捗について、東京電力から説明をお願いします。

○石川(東電):
それでは資料2に基づきまして、海水配管トレンチの汚染水対策工事の進捗状況について御説明させていただきます。本資料につきましては、後ろのほうにグラフ、4ページ、5ページがA3版になっておりますので、そちらも御覧いただければと思います。まず1ページを御覧ください。本資料の目次でございます。進捗状況の概要、それから2号機の海水配管トレンチ、3号機、4号機、それから今後の予定というような構成でございます。2ページを御覧ください。海水配管トレンチの汚染水の対策工事の進捗状況でございます。まず2号機につきましては、12月18日にトンネル部の閉塞工事が完了してございます。立坑の充填作業について、現在準備中でございます。左側のところに残っている滞留水の量、それから充填量ということで、充填量につきましては2,510m3、残っているm3につきましては1,990m3ということになります。3号機につきましては、トンネル部の充填を開始してございます。先週から始めまして、まだ220でございますが、残っている量としましては引き算しまして5,680m3でございます。4号機につきましては、今タービン建屋の接続部、それから開口部1の調査中、それからほかの開口部につきましては、充填の作業の準備中でございます。残っている汚染水の量としましては、900m3という記載でございます。3ページを御覧ください。昨年末、それから1月20日に実施しました揚水試験の実施内容でございます。目的としましては、トンネル部の充填完了後のトンネルのA~Cの連通部の確認ということで実施してございます。試験日につきましては記載のとおりでございます。評価方法につきましては、各立坑の水面の面積から水位変化を算出しまして、変化量、それから水の流れをもとに、連通度合いを推定してございます。ここで立坑部Bにつきましては、砕石の上をモルタルで詰めてございますので、水面の面積がかなり小さい。それから立坑Dの南につきましては、開削ダクトが含んでいますのでかなり大きい、このようなことになってございます。先ほど申し上げました、大きいグラフを見ていただければと思います。4ページでございます。12月24日に実施しました1回目の揚水試験の水位変化について御説明させていただきます。紙面右側中ほどに、先ほど申し上げました試験概要が載ってございます。立坑C、北から60m3、その後に立坑Aから30m3を揚水してございます。このグラフの左側の縦軸でございますが、立坑の水位、それから右側につきましては新たに下に降水量を入れましたので、降水量の軸になってございます。次に左側の上のほうから、色ですが、立坑のAが青、それから濃いピンクがタービン建屋の水位、立坑Dの南が薄いピンク、立坑D北が水色というような順に記載してございます。前回の特定原子力施設監視・評価検討会につきましては、12月25日の19時までのデータの報告をさせていただきましたが、今回、2回目の揚水試験までということで、このページに記載してございます。まず1回目の揚水試験におけるトンネルの連通量の評価を御報告させていただきます。まずトンネルのAでございます。紙面中央上側でございます。トンネルAの評価ということで、青い枠で書いてございます。立坑Aと立坑B、C、Dの水位差がついたままで安定してございます。したがいまして、トンネルAの連通量は、ほぼないというような評価でございます。次にトンネルBでございます。トンネルBは紙面左下でございます。茶色い枠で囲ってございます。立坑C北の水位を下げた直後から、立坑Bの水位が低下しており、立坑Bについては連通していると考えられるということでございます。次にトンネルCの北・南でございます。紙面左側の上のほうでございます。赤で囲ってございます。立坑C北・南の水位低下後、立坑D北・南の水位が低下しており、トンネルC北・南についてもやはり連通しているというふうに考えてございます。続きまして5ページでございます。5ページにつきましては、1月20日に実施した2回目の揚水試験の水位変化でございます。試験概要につきましては、紙面右上にございます、立坑Aから30m3の揚水をしてございます。この結果でございます。この結果につきましては、左側の揚水の中段に書いてありますが、この丸印のところから右下にトンネルAの評価と書いてございます。立坑Aの水位低下後、立坑Bの水位が低下してございます。トンネルAの連通はあるものの、立坑Bの面積が極めて小さいということで、連通量はわずかと評価してございます。最後に1回目と2回目の揚水試験の結果から推定される概算の連通量を紙面上側の赤い枠で囲ってございます。12月24日と1月20日の2回、揚水試験の結果から推定される概算の連通量でございます。トンネルAにつきましては0.003~0.008m3/h、トンネルBにつきましては、0.01~0.02m3/h、トンネルC北、C南につきましては、0.19~0.22/hと評価してございます。以上が揚水試験の結果でございます。6ページを御覧ください。6ページにつきましては、揚水試験を実施した水質結果の結果でございます。揚水試験の前後、これは1回目なんですけども、結果、A、C、Dの変化はほぼありません。またBにつきましても、ほかの建屋の水位と同じレベルだったということでございます。したがいまして、トンネルの連通に起因する水位変化以外、顕著な立坑の水位の変化は見られてございません。よって、トレンチへの地下水の流出入はほとんどないと推定してございます。1点、左上に塩化物イオンがございますが、立坑Aの部分についてはかなり急激に上がっているというところでございます。塩化物イオンが上昇した理由につきましては、トンネルの充填材料打設時に、立坑Aからアルカリ中和剤、この辺を投入した影響ではないかというふうに推察してございます。7ページでございます。2号機の海水配管トレンチの前回までの報告ということでございます。2号機の海水配管トレンチのトンネル充填を行いまして、2,500m3の滞留水をも除去してございます。その後、地下水の流出入の再滞留の防止をしたと考えてございます。また、内部を充填し、汚染水を除去したことに伴いまして、外的要因により高濃度の汚染水が流出するリスクを低減したと考えてございます。今後立坑の充填を実施して、さらなるリスクの低減を目指したいと考えてございます。8ページでございます。2号機海水配管トレンチの立坑の施工方針の検討でございます。まず立坑の充填の施工方針でございます。立坑の充填につきましては、タービン建屋側の立坑A、それからDから実施していきたいと考えてございます。立坑内部につきましては、高線量下でございまして、人が入ることができないことから、トンネル充填と同様、充填の孔を使いまして、材料を流動させて充填していきたいというふうに考えてございます。立坑の充填での重要な要求品質につきましては、立坑内の水平方向、約5m程度ですけれども、流動すること。それから支障物の周り、密実に充填できて、鉛直方向に連続する水みちを残さないこと。水中で材料が分離しないこと。それから、材料自体が難透水性であること。このような性能が発揮されれば、水みちが遮られることで、遮水性が期待できるというふうに考えてございます。9ページでございます。立坑の充填材料の絞り込みでございます。立坑の充填で用いる材料の選定に当たりましては、各材料の特性を活かしまして、複数を組み合わせることを考えてございます。下にセメント系と薬液・樹脂系の比較をしてございます。充填性、流動性、水中不分離性、施工性、施工実績をまとめまして、青字を長所、赤字を短所と記載してございます。立坑につきましては、かなりの容積がございますので、施工性を重視しまして大量打設、施工性にすぐれたセメント材料を基本とすることを考えてございます。10ページでございます。次に特性を踏まえました材料の組み合わせということでございます。セメント系の材料につきましては、硬化に伴う収縮により、ひび割れ、それから隙間が生じる可能性があることから、収縮低減策を施すとともに、ひび割れ等の微細な隙間への充填性にすぐれた材料、及び隙間の表面を覆うことで遮水性の効果を発揮するということで、3種類の材料を層状に組み合わせて水みちを遮ることを基本として考えてございます。右側の箱でございます。材料の①としまして、内部の充填をするということで、セメント材料、材料②ということで、隙間を充填するというところで、二次充填材というところでございます。三つ目、表面を遮水するということでキャッピング材の3種類、この三つの組み合わせで遮水効果を高めたいと考えてございます。11ページ目でございます。一次充填材の選定ということで、セメント系材料に関しましては、ひび割れ抑制策を施したものを一次充填材としたいと考えてございます。膨張材や収縮低減材を添加した流動性の高い水中不分離性コンクリートを選定してございます。セメント系材料のひび割れ抑制対策としまして、単位セメント量の低減、それからセメントによる温度上昇の抑制、混和材等の使用がございます。これを一次充填材の適用に踏まえた主な項目としまして、充填性、流動性、水中不分離性、遮水性、施工性の確認を室内試験、ヨウ素実験を実施しまして、この結果を表にまとめてございます。12ページでございます。12ページが二次充填材の選定ということでございます。一次充填材の発生の可能性があるひび割れ・隙間に対しまして、材料投入位置が限定されるという現場の条件を踏まえまして、材料の投入位置から流動して隙間に流れ込む材料について検討してございます。隙間への充填性を向上させるために、トンネル閉塞材料のフライアッシュをより真比重の大きな材料に置き換えて、材料の自重を大きくすることで対応したいと考えてございます。フライアッシュと同等の粒径で、加重材として使用実績のあります硫酸バリウムを選定してございます。硫酸バリウムの真比重につきましては、フライアッシュの2.3に比べまして、4.2~4.35程度になってございます。同じく一次充填材と同様に二次充填材の適用性に向けての項目を実施しまして、下の表にまとめてございます。それから13ページでございます。13ページにつきましては、キャッピング材の選定ということでございます。セメント系材料より遮水性の高い樹脂系の材料ということで、エポキシ、発砲ウレタン、シリコン系、このような項目を選定してございますが、やはり立坑の端部までの流動性を有するエポキシ材が、流動性というような観点で重視してございます。13ページの下の表にも確認項目が書いておるんですが、申し訳ございません。「二次充填材」と書いてありますが、これ「キャッピング材」の間違いでございます。14ページでございます。14ページにつきましては、この立坑における施工のサイクルでございます。施工のサイクル、3種類の材料を一次充填材、二次充填材、キャッピング材ということを組み合わせまして、2回のサイクルで充填することが望ましいと考えてございます。14ページの右側の図面を御覧ください。2の立坑Aのポンチ絵でございますが、立坑の閉塞部につきましては、約7mの高さがございます。右に点線でくくってございますが、一つ目、二つ目ということで、2回のサイクルでございます。こちらにつきましても申し訳ございません。印刷の関係で二次充填材とキャッピング材がちょっとずれてございます。二次充填材が斜線のところでございまして、キャッピング材が濃いグレーというところでございます。この下の矢羽の二つでございます。一次充填材、二次充填材、キャッピング材を2層組み合わせることで、1サイクルとしまして、高い遮水性を期待してございます。また、2サイクルを実施することで、施工時の改善点を次のサイクルに反映することが可能ということで、2回のサイクルを考えたいというふうに思ってございます。15ページでございます。具体的な施工の手順にございます。まずトンネル閉塞材料の最終打設面に生じていると可能性がありますわずかな隙間の充填、及び表面の遮水性の高い材料で覆うことを目的としまして、二次充填材、キャッピング材料の充填を実施したいと思います。次に一次充填材、二次充填材、キャッピング材の順に、必要な養生期間を設けながら充填するということでございます。養生期間につきましては、右側の下の箱でございます。一次充填材につきましては中2日程度、二次充填材につきましては中2日以上、キャッピング材につきましては中1日以上というふうに考えてございます。ここまでが2号の立坑の材料、それから施工の手順の報告でございます。16ページでございます。16ページが3号機の進捗状況でございます。3号機の海水配管トレンチのトンネル部につきましては、2月5日より開始してございます。2月9日の段階で220m3の打設を完了しまして、同量の滞留水の除去をしてございます。打設の高さについては、現在調査、評価中でございます。■の点でございますが、天井部の打設につきましては、2号機のトンネルの充填時における知見を反映して、投入側、到達側の水位が同程度になるように管理して慎重にやっていきたいと思ってございます。17ページでございます。3号機の今後の予定でございます。トンネル充填の完了次第、順次立坑の充填を行いたいと考えてございます。立坑の充填に際しましては、建屋と連通している立坑Dを、2号機の立坑A、Dと同様の手法について充填していきたいと考えてございます。立坑Aにつきましては、建屋との連通状況の確認を行い、連通がないということが確認できた場合、立坑A~Bにつきましては海側へのルートにならないと考えられることから、滞留水の早期除去のリスクの観点から、立坑A、BにおきましてはDの充填と並行して充填していきたいというふうに考えてございます。立坑Cにつきましては、立坑Dの充填後、順次行いたいというふうに考えてございます。18ページでございます。次に4号機でございます。4号機の調査の実施状況でございます。開口部ⅠとⅢにつきましては、ガレキが存在しております。それから移送ポンプ、打設管の設置に向けて現在調査中でございます。開口部Ⅱにつきましては、現場調査の結果、支障となるガレキが少ないことがわかりまして、打設管を設置中でございます。それから建屋の張り出し部につきましては、現在引き続き調査をしてございます。これらの準備完了次第、内部充填・間詰めの充填を実施していきたいというふうに考えてございます。19ページ、4号機の施工方針でございます。滞留水を早期に取り除くという観点から、以下のとおり計画してございます。トンネル部の充填に際しましては、建屋との接続部の高さがO.P.-0.3mであるため、当該高さまでは閉塞材料で充填して、その後、間詰めを行いたいと考えてございます。間詰め充填につきましては、建屋張り出し部、それから開口部1、開口部Ⅱを候補としてございます。現在建屋張り出し部につきましては、調査中でありまして、間詰めの完了には時間が要すると考えてございます。また、開口部Ⅰにつきましてはガレキが大量に存在しており、現状では撤去が困難な状況でございます。よって、滞留水の早期除去のリスク観点から、間詰めにつきましては開口部Ⅱで行いまして、開口部Ⅱ~Ⅲを先行して充填したいと考えてございます。その後、建屋張り出し部、間詰めを行いまして、開口部Ⅰ~Ⅱの充填を行いたいと思います。トンネル部の充填とあわせまして、放水路の上部にございますトンネル内の隔壁の周辺の充填などによりまして、建屋から海側への水の移動の阻害を図りたいと考えてございます。施工の手順につきましては、右下の箱の丸印と、それから左側の断面図、これでステップを記載してございます。最後でございます。20ページです。トレンチの充填・閉塞の今後の予定でございます。2号機立坑AとDの充填につきましては、準備が完了します2月下旬より開始予定でございます。充填完了後、1サイクル目の終了後に、揚水試験を行い、引き続き立坑B、C及び開削ダクトの充填を行いたいと考えてございます。3号機につきましては、トンネル部を2月5日より充填を開始してございます。トンネル部の充填が終わり次第、引き続き立坑の充填を継続してやっていきたいと考えてございます。4号機につきましては、準備工事が整い次第、内部充填、それから間詰め充填を実施していきたいと考えてございます。以上で海水配管トレンチの説明を終わらせていただきます。以上でございます。

○更田委員:
幾つも随分議論しなきゃならないところがたくさんあるんですけれども、まず、これA3に拡大したものも示してもらっていますけれども、揚水試験の結果について。まず、2号機に関して言うと、B、Cには連通があるものと思われるけれども、Bのほうの連通のほうがやや小さそうである。Aに関しても完全に押さえ込めたわけではないけれども。ただ、挙動に関して言うと、これ立坑Aから抜いていったときにBの挙動に変化というか、水位低下があったけれども、断面積が小さい割にはちょっとした低下で済んでいるのと、ただちょっとわからんのは、じわじわ戻っていって、何かのバランスで、立坑Aと立坑Cとの間の連通のバランスでこの水位が決まっていくのかなとも思えるんだけども、これ、なかなか完全に解釈が難しいですね。

○味沢(東電):
ここのデータについては、非常にいろんな時間断面で立坑A、B、C、Dの水位の高さの位置関係とか、あとはそういう想定される連通量と水位差が変わってきますので、それによってまた連通量も変わってくるというところを逐次全部チェックして、最終的にどれぐらいの量があるかということの評価を行った結果として、こちらのA3版2枚目にあります連中量としてはこれぐらいだろうという幅で示させていただいています。そのときにトンネルAについては、少なくとも2枚目のところの一番最初のところで、立坑Aから水を抜いたときに、立坑Bも少し下がったという事実からすると、全くゼロでは恐らくないんだろう、何か反応しているということでゼロではないんだろうと。ただボリュームとしては非常に小さいんだろうというような評価の仕方をしており、その値について時間断面でチェックもしたところ、これぐらいのものではないかなという推定をしております。

○更田委員:
そもそも相変わらず絶対値がどのくらいの精度が出ているのかというのに疑問はあります。もともと立坑Bの水位が何でずれているんだというのも、連通性があるんだったらどうしてここで安定しているんだというふうなこと、まだ戻っていくのでも同じ水位へ戻っていくんではなくて、非常にゆっくりした戻り方をしている。ですから、これが今どういう状態になっている、メカニズムをずっと突き詰めるよりは、立坑に期待しましょうというのは、東京電力からの報告の趣旨であったように思いますが。そうすると、まだ論点が幾つかあるのは、2層構造に進むのか、1層構造なのか、3層構造なのか、結論としては2層構造というのを選びたいとしているところが一つ。それから、立坑AとDから始めるということになっていますけれども、これそう始めていいのか、それとも徐々に始めていてどこかで様子を見る余地があるのかどうかということなんですが。A、Dは、これは水位がある状態ですので、水位がある状態で作業をしていって、そこで本当にとまったら、今度は立坑B、Cに関して言うと、水を抜いてドライアップして詰めるということも可能になるわけですよね。

○石川(東電):
先生の今おっしゃったとおりなんですが、ポンプの位置が立坑Cの部分につきまして、ちょっと下までいっていませんので、若干水が残る水中作業にはなってしまいます。

○更田委員:
したがって、水位があるA、Dと同じような施工方法でB、Cにも対処するとなっているのはそういう理由ですか。ドライならドライなりにもっとうまいやり方があるというわけではないんですか。

○石川(東電):
現在の状況でいいますと、今、先生のおっしゃったとおり水がある中でやるということで、A、Dが確実にとめてしまえば、BとCにつきましては今トンネル充填材の材料で、かなり流動性のあるもので埋めれればというふうに考える次第です。

○更田委員:
特に今のやりとりで議論を縛るつもりはありませんので、何か御質問、御意見があればお願いします。高坂さん。

○高坂専門員:
5ページに2回目の揚水試験の結果が載っていますけど、確認です。5ページの最初のところで、2回目の揚水試験を1月20日にやっており、それで立坑Aの水位が急に下がって、その後また徐々に回復していますけども、タービン建屋の水位が変動していない。タービン建屋との連動がないということは、諦めていた凍結止水が達成できているという可能性はないのでしょうか。もしそうであるとすれば、もともと当初の目的だった凍結止水に期待して、立坑Aは水を抜いてからコンクリートを充填するという方向はないのかどうか。尤もその後、2号機以降、3号機・4号機も同じ方法採っているので、水中充填について随分経験も自信も生まれたので、同じやり方を採りたいということかもしれませんが。先ほど立坑B、Cのところもドライにして充填したらどうかという話もありましたので、上述のタービン建屋との縁切りが、2号機について凍結止水が期待できるするところまで行っているのかどうかを教えていただいて、行っているとすればそれを使わない理由を説明していただきたい。特に、立坑Aの水位が低下後に徐々にまた回復していますけど、この水がタービン建屋から来ているのか、あるいは若干の連通が考えられているトンネルAを通って、B、Cのほうから来ているのか、最終的にどの水位で一緒になるかによって判断できるかも知れませんけれど、教えていただきたい。それから、もう一つ、最終的には立坑の充填で、きちんと建屋との縁切り、止水対策を採りたいというのが今日の結論になっているんですけども、そうした場合には立坑の充填が確実にやられているかということを、その信頼性について実証とか確認がされているのでしょうか。最終的にタービン建屋との縁切りが確実にできないと困るので、タービン建屋からの水みちが残っていないかをどのように確認するのか、例えば水位計を残すのか、それで、もし漏えいが見られた場合は、さらに流動性の良い充填材を充填する等、追加対策が考えられているのかどうか、その辺の検討がされているのか教えていただきたい。

○松本(東電):
1点目は、この5ページについて立坑Aがゆっくりとはいえ水位が戻ってきているということについて、その原因はタービン建屋側から来ているものなのか、あるいはトンネルのB、Cのほうから来ているものなのかという点が、クリアにわかっているかというような御質問かと。もしタービン建屋から来ていないということであれば、完全に水が遮断されているのだったら、水を抜いて施工することはできないかという御質問だと思います。かなり凍結状態がよくなっているということはわかっておりますけれども、それで完璧かというところは、結局なかなかその結論が出せない部分でございます。いずれの方向からにせよ立坑Aについては水位を下げると、ゆっくりゆっくりではあっても戻ってくるというところですから、ここを完全に水を抜けるということを前提にした工法をとるよりは、水が入っているということを前提に考えた工法を選択するべきというふうに考えてございます。それから2点目、途中で何らかの検証をしながら進める手段はないのかというようなお話でございましたけれども、今回2回に分けて層状のものを打っていくということの1層目が終わった段階では、1度水を抜いて、もう一度挙動を見るということができると考えております。その時点で実際に立坑がどれぐらいきちっと押さえられたのかということを確認して、もしそれで不十分であれば、さらに材料をその状況からもう一度選び直して、2回目のチャレンジをするという意味で、一旦立ち止まりながらやっていくということをしたいというふうに考えてございます。

○更田委員:
高坂さん、よろしいですか。

○高坂専門員:
それで、最終的に、長期的に立坑の充填したものがきちんとシール性を持っているかということを見るために、長期的に監視するようなこととか、もしなかった場合に、さらに流動性のいいものでさらに埋めるとか、その辺の対策は検討されていないんでしょうか。

○松本(東電):
現状は、まずここまでの作業ということで、その後については周辺、たくさん地下水のモニタリングはしてございますので、こういったものは継続してまいりたいと思います。その上でさらに現状、このペントハウスと言われる2層に打った後の部分がまだございますので、そういったところにも追加的な対策をしてまいりたいと思いますけれども、現状そこのところまではお示しできるような具体的な計画というのは、まだできていないという状況でございます。

○更田委員:
そういう意味では――ごめんなさい。高坂さん、ちょっとよろしい。

○高坂専門員:
はい。

○更田委員:
立坑Aと立坑Dを閉塞した後、B、Cの閉塞を急ぐ必要があるのかというお尋ねでもあろうと思うんです。立坑Aと立坑Dの閉塞作業が終わった時点で、しばらくの間、しかるべき期間の間、立坑B、立坑Cの監視を続けて、トンネルAにはわずかではあるけど水みちがあるけれども、一番気にするのはタービン建屋との間の連通ですので。タービン建屋の影響が立坑Bに対して、立坑Aの閉塞によって本当に排除できているのかを見るために、A、Dが終わって――気持ちとしてはA、Dが終わったらさっさとB、Cをやってしまいたいと思うのは人情かもしれないけれども、きっちり確認するという意味では、A、Dの作業後しばらく期間を置いて、B、Cの監視を続けるというのも一つの手だと思いますけど、いかがでしょうか。

○松本(東電):
御指摘のとおりだと思います。全量をなるべく早く除去するという気持ちもありますけれども、しっかりとした対策という点からは、御指摘の観点があると思いますので、少しそこを考えて、海側の立坑というところはやり方を考えたいというふうに思います。

○更田委員:
高坂さん、どうぞ。

○高坂専門員:
今、そういう対応の仕方もあると思うんですけど、ただ質問した趣旨は、せっかく立坑A、Dに観測用の水位計をつけているので、それを充填するときに残すとか、将来の漏えい検出のためにとっておく必要があるんじゃないかなと思ったもんですから。コンクリートの性状で将来的にひび割れが生じたり、いろんなことで多少リークパスが出ることもあるので。まあ、量的な大きさであまり問題ないという話があるかもしれませんけども、何かの形で監視できるようなことは、このシステムとしてどこかに残しておいたほうがいいんじゃないかと思っただけですけど、いかがでしょうか。

○松本(東電):
水位として見るということは、もはや多分有効ではなくなるというふうに思われますので、水位計そのものは撤去することのほうが望ましいと思いますが、追加的に継続的に観測をしていく手段は、あわせて検討してまいりたいと思います。

○田中知委員:
先ほどの松本さんの話で、立坑Aを埋めていくときに、まずは第1層をやって、それからチェックして問題あればというような発言があったかと思うんですけども、もしそれ問題があれば、本当にそこの第2層のところで対応できるのか、もしできないとすれば、今高坂さんがおっしゃったように、第1層をやる前にどこかにモックアップでも検証して、これは確実にいきそうだというふうなことをやるということは考えないんでしょうか。

○石川(東電):
まず1層目を打つときに、材料が入っていくということで、水位の上昇がありますので、ここで立坑CとかDの連通というのが、まずある程度は確認できるとは思います。その後1層を打った後に連通性をやると。その後確認した後に、先ほど松本のほうから言いました材料もそうなんですが、もう少し加重材の厚みを厚くするであるとか、材料を厚くするであるとかというような施工方法の工夫とか、そういうのは可能になるかと思ってございます。

○松本(東電):
先生の御質問は、その1層目を打つ前にいろいろな確認をしているのかというような御質問だったかと思いますが。11ページから実は少し説明を飛ばしながらいきましたけれども、下側半分の表は、それぞれの材料について充填性、流動性、水中不分離性といったような項目について、右側に写真もございますけれども、こういった部分的なモックアップをして、材料の特性をそれぞれに確認をさせていただいて、使える材料であろうということを確認しております。二次充填材につきましても、同様に12ページの下半分の表では、そういった確認をしていますし、先ほどちょっと私どもミスプリントがございましたけれども、13ページも下半分は、このキャッピング材というものについて、ケーブル間に材料が行き渡るかというようなことを一通り確認した上で、選定をさせていただいているという状況でございます。

○更田委員:
そこで、立坑の充填方式ですけども、その他でもどうぞ。

○安井対策監:
本件プロジェクトで立坑が、どれだけ完全にとまらねばならないかという点についての議論は若干あるんじゃないかと思うんです。もともと数千m3あった水を除外して、外へ流れ出るであろう潜在的な速度は落とすことにはなっていると。ただ、その議論はあるにせよ、今の連通状態については、一旦これ以上やると、あとわからなくなるので、しっかり状態をつかむべきじゃないかと思うんです。それで、今回はこれ立坑Aだけを抜いてやっていますけど、ほかに、例えばDだけ抜けるかというようなことは、行われていないわけです。それから。あれだけやって、なかなか凍らなかった、例えば開削ダクトが、あれまで当時温度分布みたいなものがございました。そういうデータなしに、いわば開削ダクトをうまく凍ってきたと思うんですと、こういう話にはなっているんだけども。4ページ、12月の時点でもタービン建屋と立坑のDとの間には水位差が存在をしていて、あまりにお話が少し、根拠が、一部断面だけで話がされている気がするんです。うまくつじつまが合わないなと思っているところはちょっとありまして、この5ページ目なんですけど、立坑Aをぐんと引いて、AとBの間も多少つながっているだろうと、こういうことになっているわけです。確かに立坑Bの茶色の線は、2.32ぐらいから2.2過ぎまで下がっているんですけど、そこから下がりませんよね。これだけの降格能力があるのに、しかも、今までは立坑Cとの間を並行になる要素はなかったんですよね。だからここにもともと高さの差が存在をしていたし。それがここでぎゅっととまっちゃっているんです。それを立坑AとBの間は、あまりつながっていないからという理由で、説明ができるんでしょうかと。それでまた逆に、立坑AとBとの間はそんなにつながっていないと思うのなら、立坑Aの上昇速度は本当にタービン建屋からの流入量が、これはほとんどないという説明ですよね。ということで、たしか凍結が進展と書かれているんだけども。おかしいでしょう。だってこれ、立坑Bが1回ちょっと下がるんだけど、そのまま後でじりじり多少上がっていますけれども、それは一体どこから水が来るんですかと。立坑CやDよりもBのほうが高いわけです。それでAよりも高いわけです。だから、Bは一人だけ高いわけです。だから、これ計測器のドリフトの問題も若干あるんじゃないかと思いますし、タービン建屋よりも立坑Aの水位が高かったのは、これはですから充填をしたからですか。このスタートラインのところでですね。立坑Aの水位がタービン建屋よりも高いですよね。ちょっとこの辺数値自身がね。だからもって今までの努力がどうということはないんだけれども、これをもって開削ダクトの凍結が進んでいるというふうに一気に言うのはなかなかおかしいところがあって、それはもっと開削速度をあれだけ調べていた温度とか、ああいうものは今でも温度計、生きていると思いますので、幾らでもデータはあるんじゃないかと思うんですが、その辺はどうなっているんですか。

○斎藤(東電):
発電所サイトの斎藤から、今の御質問等についてお答えさせていただきたいと思います。初めに、温度データについて掲載していなかったことに対して、お詫び申し上げます。数値自体としては、しっかり押さえています。口頭で大変恐縮ですが、簡単に温度の話をさせていただきますと、最初の1回目の昨年12月に行いました揚水試験のときは、2号A立坑の部分ですが、4点ほどマイナスではなくて、プラス方向に転じていて、完全な凍結止水ができていませんでした。2回目の1月の段階で、揚水試験により連通していた疑わしいところのレベルまで水位が下がった結果、温度は下がりました。ただ、最近また上がってきてございまして、プラス側に転じているということで、この凍結の壁については、微妙に水位の変動に応じて凍結、融解を繰り返しているような状況だと考えています。一方、開削ダクトのほうについては、前々回の特定原子力施設監視・評価検討会のときにお話し差し上げたかもしれませんが、計測している位置が、凍結の壁からちょっと離れています。実際の計測温度としては、12月の時点の温度に比べてあまり変動はしていません。マイナスの部分もあれば、プラスの部分もあるということで、それなりに凍っている部分もあれば、多少つながっているところもあると判断しています。温度の話については以上です。次は水位の関係についてです。まず絶対標高は、12月の時点でいろいろ御指摘があったかと思います。特に今4ページ目で言うと、立坑のAとタービン建屋との関係、それから前回の資料では立坑Cの南と、立坑Cの北が、ずれていたかと思います。まず立坑Cからお話をさしあけますと、現場の管理としてチェック漏れをしたところがございまして、観測管の天端のレベルが、トンネルの打設とともに移動していたというのがわかりました。それを補正すると、立坑Cの南と北の水位は、O.P.-1.4よりちょっと上の辺りで同じになり、図面上のつながっている位置と一致しますので、ドリフトというかシフトしていた測量誤差を表してしまったと考えています。結果として9cmほど前回の資料に比べてシフトさせています。それから、立坑Aとタービン建屋との関係については、それらのチェックを実施しましたが、距離が長い測量もしているという関係もあり、標高のチェックをしているんですが、この辺が見えないところではあります。しかし、逆転しているとは思っていません。この差については測量誤差、あるいはドリフトの関係だということで、逆転現象が起きているとは認識していません。それから、5ページ目のグラフですが、立坑Aの水位を下げたときに15分ぐらいのタイムラグがあって下がり始めていますが、立坑Bについては下がったということで、トンネルAは連通が当然あるだろうと評価しています。その後の挙動ですが、ざっくり見ていただきますと、立坑C、立坑Dについては、若干この1月20日の左のグラフから下がってきています。この下がっている量と、立坑Aの上昇量と、この辺の水収支を、地下水が入っていないという大仮定のもとですが、考えますと、タービン建屋からの水の供給がないと説明がつかない部分があります。ということで、先ほどの温度の関係、それから水位の出入りの収支関係等を見て、タービン建屋のほうから来ているんだろうと考えています。それから、降水量との関係を今日お示しさせていただきましたけれども、現場サイドとしては降水が降ったときにそこに入るような、雨養生をしているとは思っていません。ただこれを見ると、雨水の影響がないというのも否定できないところがありますので、ここはもう一度現場サイドとして、集水していないかどうかを含めて、確認はしたいと思っています。今のでお答えできたかどうかはよくわかりませんが、以上でございます。

○安井対策監:
結局やっぱり先ほど来、高坂さんが提起されておられる、凍結がばっちりなっているんだったら、それを尊重したらどうかという、こういう御趣旨だったと思うんですけれども、やや、やはりデータ的にはここに書かれている開削ダクトを含めた部分の凍結が進んでいるというのは、僕は言い過ぎなんじゃないかと思っていまして。そういう理解だということですかね。

○斎藤(東電):
御指摘のとおりだと思います。

○田中知委員:
違う観点なんですけども、6ページに1回目の水質分析結果ってあるんですが、2回目のデータというのはないのかということと、それから、立坑Aの閉鎖が完璧じゃないときには、トレンチから、あるいはトレンチへの地下水の流出入は、どこまで本当に少ないのかということを押さえないといけないと思うんですけども。ここの6ページの見て、本当にそれを見ると流出入がほとんどないと書いているんだけど、どう見ればそれが言えるのか、あるいはどのぐらいのレベルだったらないと言えるのかということ、二つ目。1個目はどうして2回目の水質分析結果がないのか、教えてください。

○味沢(東電):
申し訳ございません。あと2回目につきましては、採水はしておりまして、今ちょっと分析をラボのほうに送って、濃度の分析を今、まさにしている最中でございまして、もう数日期間には出てくるかと思いますので、そうしたら別途報告させていただきたいというふうに考えております。それと濃度につきましては、おっしゃるとおり、これから先の、2回目の試験の結果も踏まえ、傾向を見て再度分析をしたいというふうに考えています。現段階の値だけですと、ざくっと言ってしまうと変化がないということぐらいしか、正直は確かにおっしゃるとおり言えないレベルで、もうちょっとデータを積み重ねて、もう少し詳しく分析をしていきたいというふうに考えております。

○安井対策監:
それから、もう一つ、全く別の角度の質問なんですけど。立坑Aをがあんと抜いたデータであることはわかったんですけど、もう一つどうせ縦に埋めるのなら、少なくともAとDというのがターゲットになっているんですけど。Dの側をぐっと抜いたデータをとるということは、計画されていないんですか。

○味沢(東電):
そうですね。申し訳ございません。Dのほうは面積のほうで書かせていただいていますけれども、開削ダクトがございまして、非常にこれ水位を下げるのに220平米の開削ダクトを持っていますので、水位差をつけるのにかなりのボリュームの水を抜かなきゃいけないという事情もあったので、立坑Cのほうから抜いて、水位差をつけたほうが、より水位差をつけて評価するという意味ではやりやすいということから、立坑Cを優先させていただいたという事情がございます。

○安井対策監:
今おっしゃっているのは、Cは前回12月にやったときですね。あのときはちょっといろんな操作が隣接し過ぎてて、若干データがよくわからないというのは、この前の議論だったように思うんですけれども。だから、Aを抜いた効果で、周りとの関係はわかりにくいけれども、大分はっきりしたんですけれども。今度、Dが無理ならCを抜いてみないと。立坑BとCの間がつながっていることになっているんですけど、逆にここに急速に水位が戻るのなら、やはり先ほどの連通、凍結問題も間接的にはわかりますよね。それはやっぱり全体の工程との関係を考えておられるんですか、どうせいつかは立坑のAとDをまずはとめて、見ていくしかないわけですよね。

○斎藤(東電):
今の御質問のお答えになるかどうかわかりませんが、前回第1回目の12月の時点での現場サイドとしての失敗というか、あれは御指摘のとおりCを抜いた後、すぐAを抜いてしまったために、よくわからなくなってしまったと。ただ、4ページ目の真ん中の下に拡大した当時の図がありますが、立坑Cを抜いたと同時に、間髪入れずにDも下がってきていますので、ここはトンネルBにしろ、Cにしろ、まず連通はあるだろうと判断しています。今回Aを抜いた理由としては、Cで抜いてしまいますと、またトンネルB、トンネルCが連通していると、そこから水を呼び込んでしまいますので、まずはAを抜いてしっかりトンネルAを評価するという形をとりました。あと、凍結の状況から鑑みたときに、先ほどもお話し申し上げましたけれども、マイナスのところもあれば、プラスのところもあるということで、止水がきっちりできているわけではないというのは、もうわかっていますので、しっかり立坑のD、立坑のAの部分で、止水の充填をしていきたいと考えています。

○安井対策監:
充填の前後との、立坑Dの閉塞作業との前後関係、若干あるんですけれども、CとBがどうつながっているんだというのは、この前はCとAを同時に抜いちゃっているものですから、この4ページの図の立坑のBの水位の変動が、立坑Aによってもたらされているのか、Cによってもたらされているのか、判然としないわけです。今回はAだけをやってみたんだけれども、先ほど申し上げたように、この5ページの図の立坑Bの水位の低下はかなり限定されておりますから。そうすると、AとBだけがつながっているとはちょっと思いにくいですよね。だけど、CとBとの関係はどうなっているんだというのは。もうこれ埋まっていくと後でわからなくなってしまうので。

○更田委員:
東京電力の説明にあったように、非常に短い時間ではあるけれども、Cを抜き出したらすぐ変化が現れたのでというところが、説明の理由ですよね。この拡大図で見ると、Cを抜き出したら、まだAを抜き出すまでの間にもうBが動いているから、そっちの連通性を見たということではあるんだけれども、ちょっと監視する期間が数分間、20分間、立坑C引いて、それから9分程度でもう立坑A、引き出してしまっているので。そういった意味では、一つ素朴なあれは、今回、立坑を埋め出すのに、準備するのにまだしばらく時間がありますよね。その間にCだけ抜いてみるというのは、相当手間になっちゃうんですか。

○斎藤(東電):
今、立坑の充填開始は、本日の特定原子力施設監視・評価検討会である程度の方向性が見えた段階で準備を進め、2月の中旬ぐらいからと考えていました。その間にCが抜けないのかという御指摘に関しては、抜くとすれば数時間抜けばいいわけですから、その抜く時間はとれないことはないです。

○更田委員:
あるいは、AとDを立坑埋めて、B、Cとの関係だけだったらば、そこに水位がある段階だったらCを抜いてしまえば、水位を抜いて様子を見るということはできますよね。だから先ほど申し上げたように、立坑B、立坑Cを閉塞するのは急ぐ必要はないんだから、立坑A、立坑Dに関して作業の、既に心づもりがあるのであれば、立坑A、立坑Dの閉塞は考えどおりに進めて、一方立坑B、立坑Cについては少し時間的余裕があるのだから、その時間的余裕の中で、立坑Cを例えばちょっと水位を下げてみて、Bの様子だけを見るということはできると思いますので、それは少し検討してもらいたいと思います。ほかに。橘高先生、いかがですか。

○橘高教授:
立坑Aの充填に関しては、材料的にも今考えられる最適なものではあるとは思うので、ぜひ早く進めていただくのがいいかなと思います。ただ、やはり立坑Bに水が漏水しているかどうかというのは、これはモニタリングしながらするのでいいかなと思うので・特に一次材を充填した後に、その後二次材をどれだけの期間を置いて充填するのか書いていないんですけど、多分一次材を、コンクリートを充填してからしばらく置いて、ひび割れが安定するまで様子を見てから、二次材を詰めるということが、私はいいのかなと思うんで。その辺の時間的なことも考えつつ、漏水に関しては立坑Bの水位をモニタリングしながらやっていくということが、いいのかなと思うんですけど。それで最終的には、一番上の立坑Aの一番上が完全に防水できればいいんですよね。だから、とにかく立坑Aをタービン建屋の、今、凍らせているレベルまで充填していって、最後の底の部分を、きっちり防水するということでよろしいのかなと思いますので。

○石川(東電):
今、先生のほうから御指摘のありました養生につきましては、15ページのところに一次充填材につきましては中2日程度というところで、その後に充填材という、この辺を考えてございます。

○橘高教授:
これを見て中2日間程度養生というのが、ちょっと短いかなとは思ったんですけど。例えば収縮性のひび割れとか温度ひび割れとかということを考えると、もう少し見てもいいかなと。

○柳井(鹿島):
鹿島建設の柳井と申します。御指摘のとおりで、本来はひび割れないし隙間というのは、十分収縮が落ちついた後にきちっと隙間を詰める、ひび割れを詰めるというようなことをするのが理想ではあります。ただ、温度炉解析を別途進めている結果と、実はコンクリートにもう膨張性を付与させておりますので、既設の側壁との縁切れがいつ出るかというようなことも検討いたしました。あくまでも弾性解析の範囲ではあるんですけれども、コンクリートに膨張性を付与させるということがあって、実は隙間というのが長期的に起き得ないということになっています。もう一つは、コンクリートの打ち込み温度が非常に低い状態で打設しようという計画がありますので、温度による隙間というのが今、キャンセルされた状態になっています。その結果、側壁との隙間というのは、極力生じないという話と、ひび割れが出るのであれば、まさに15ページの絵に描いているとおり、コンクリートの発熱による内外の温度差、部材の中心部が、温度が上がって膨らんでいるとき、一方では表面部、天端部ですね。天端部は水に接していて温度も上がらない。このときが一番実は、ひび割れの発生リスクが高いという検討結果になっておりまして、一刻も早く水を処理するんだということも踏まえて、ひび割れ発生リスクが高くなる2日から3日にかけて、二次充填材というのを打ってやろうというような計画で今動いています。ですから、一応解析の検討結果を踏まえて、こういうような工程を現場のほうで今考えているというところでございます。

○橘高教授:
わかりました。いずれにしても立坑Bのほうのモニタリングで異常が出るか、出ないかということを、その確認のためにしていただければいいかなと思いますので。

○柳井(鹿島):
ありがとうございます。

○更田委員:
ほかによろしいでしょうか。この2号機については、A、D、今日提案のあった計画で進めてもらって、その上でB、Cに関してはしばらく監視を続ける。その中でCを取水してみて、Bの状態を見るというのも、その計画の中で検討してほしいと思います。A、Dの立坑の閉塞状況、それからB、Cの監視状況について、次回確認をしたいと思いますので、その時点で報告をしてもらおうと思います。よろしければ、以上でこの議題2を終了しようと思います。三つ目の議題ですが、陸側遮水壁閉合後の水位管理について、これは東京電力並びに鹿島建設から資料を用意してもらっていますので、説明をお願いします。

○中村(東電):
東京電力の廃炉カンパニーの中村でございます。資料3の陸側遮水壁閉合後の水位管理について御説明いたします。あと、もう1点、参考資料3のほうに、こちらの水位管理についての参考資料を添付してございますので、後ほどそちらも使いながら御説明させていただきます。こちらですが、これまで凍土方式遮水壁と題して御説明してまいりましたが、そもそもの目的は凍土をつくるということではなくて、建屋に水を入れないために陸側を遮水するということもありまして、名称を変更してございます。内容については変更してございません。めくっていただきまして、1ページに目次を示してございます。本日の御説明内容ですけれども、まず現状の建屋滞留水の水位管理をどうやっているかというものを御説明した後に、陸側遮水壁の遮水性発現後の水位管理としまして、現在計画しております遮水壁造成の順序とそれに伴います地下水位変化の想定について、並びにその際の建屋内外の水位管理の方法について御説明いたします。まず、1番の現状の水位管理についてでございますが、3ページを御覧ください。こちらは実施計画に記載しております内容でございますけれども、1~4号機の建屋内に滞留しております高濃度の放射性汚染水につきましては、プロセス主建屋・高温焼却炉建屋に移送しまして、さらに、汚染水処理設備、SARYY、KURIONによりまして、放射性核種のセシウム及び塩分を除去して淡水を生成し、原子炉への注水に再使用してございます。ただし、1~4号機の建屋内には地下水が流入しておりますので、高濃度の放射性汚染水が系外に放出しないよう適切に建屋内水位を管理する必要があるというふうに認識してございます。現状の水位管理の運転上の制限は、こちらの下のほうにございますように、2・3号炉の立坑およびタービン建屋の滞留水水位はOP3,500mm以下であること。建屋滞留水の水位が各建屋近傍のサブドレン水の水位を超えないこととして管理してございます。現状の水位の状況を4ページに示してございます。こちら濃い目の赤が既設のサブドレンピットの番号、それから濃い目の青が新設のサブドレンピットの番号でございます。その周辺に薄目の赤と青がございますが、それぞれが対応しますサブドレンピットを計測しました地下水位を示してございます。それから、建屋の中に緑で示しておりますのが建屋の水位でございます。建屋水位は、1号リアクターで4.5m、それ以外の建屋では3m以下になっております。一方、地下水位は図の下側、山側になりますけれども、概ね7~8m、海側では1号タービンの海側の一部で3.4mとなっておりますけれども、それ以外は4~5mとなってございます。続きまして、5ページを御覧ください。こちらは昨年の6月の特定原子力施設監視・評価検討会でも御説明しましたように、現在、建屋内に水位計、それからポンプを追加設置する計画を進めてございます。そして、その実施計画の変更をしておりまして、新たな水位計の配置を示しましたのが、こちらの図になります。青丸が建屋内に設置します水位計の配置で、71カ所を計画してございます。こちらのデータは――こちらの建屋水位と、それから既設・新設のサブドレンピットの水位のデータは、免震棟に伝送しまして、図中のピンク、緑、それから茶色で囲みました各建屋ごとに、建屋の水位計の水位が近傍のサブドレン水位を上回らないように管理していく、そういう計画で考えてございます。続きまして、6ページ以降、陸側遮水壁の遮水性発現後の水位管理について御説明いたします。7ページを御覧ください。こちらは陸側遮水壁閉合等に伴います地下水位変化のイメージを示してございます。なお、詳細は後ほど各ステージごとに御説明しますが、こちらは全体像を捉えていただきたいというふうに思って示してございます。横軸は時間の経過を概念的に示してございます。図の上段は設備の稼働状況を示しておりまして、地下水バイパスが現在稼働している、サブドレンにつきましては、関係者の御理解を得た後稼働させることを考えてございます。陸側遮水壁につきましては、まず部分先行凍結、これは全体の凍結を確実に行うということを目的にしまして、局所的に凍りにくそうなところを先行して凍結させるということを考えてございます。その後、山側の3辺を閉合し、その後、海側を閉合していく計画でございます。これは建屋への流入量をなるべく抑制してやろうということ、それから閉合の確実性を高めるためにこういった順序で考えてございます。それから図の下段、こちらはこれらの設備の稼働の流れに沿いました建屋水位、これが黄土色というか、茶色の線でございます。それから地下水位、紺色が山側、水色が海側になってございますが、その変化を示してございます。なお、サブドレン稼働の影響につきましては、稼働自体が未確定であることと、イメージをつかみやすくお示ししたいことから、ここでは除外してございます。まず現状でございますけれども、こちらは先ほど示しましたように、山側の地下水、紺色の部分が高く、海側は山側に比べて低い、建屋水位はそれよりさらに低いという状態にございます。それから、部分先行凍結による影響は、ほとんどないというふうに考えてございます。続きまして、海側の遮水壁が閉合しますと、建屋海側の地下水位は、場所によりましては最大50cmほど上昇すると予想してございます。次に、陸側遮水壁の山側を閉合することによりまして、主に山側の地下水位が低下していくと。海側につきましても、少しずつ、先ほど海側遮水壁の閉合により上昇しました50cm分、キャンセルする程度ぐらいまで低下していくというふうに考えてございます。続きまして、陸側遮水壁の海側を閉合すると。これによりまして、海側の地下水位が20~30cmほど上昇する可能性もありますけれども、その後、陸側遮水壁の内側全体が均一化しながら全体的に水位低下していくというふうに予想してございます。この段階で、建屋周囲の地盤がまだフェーシングなどが十分できていないということで、降雨の影響がございます。これを考えますと、地下水位と建屋水位の水位差というものは極端に接近することはないというふうに考えてございますけれども、必要により、建屋内の滞留水を移送させることによりまして、建屋水位を低下させていく計画で考えてございます。それから、右端のほうに行きますが、建屋水位を低下させてまいります作業の過程の中で、建屋内での作業の必要などによりまして、地下水位を一定レベルに維持する期間が生じるというふうに想定してございます。この際にも、地下水への涵養の関与によりまして、30cm程度以上の水位差を確保できると考えておりますけれども、降雨につきましては不確定要素であるということもございますので、必要により、注水設備、以前にリチャージ設備と申していたものですけれども、こちらを稼働させることによって水位差をキープする計画でございます。なお、これ以降につきましても、現場の状況ですとか、作業の必要性などによりまして、建屋水位の低下と一定維持というものを繰り返していくことになるというふうに考えてございます。8ページ以降、ただいま申しました各フェーズの具体的な水位の状況を交えて御説明いたします。8ページが現状でございます。左上に海側遮水壁と陸側遮水壁で囲まれる部分の水位状況の解析結果を示してございます。現在、海側遮水壁につきましては、上段の中央の図の茶色の線の部分の施工が完了し、一部未完了となっておりますけれども、解析上は海側遮水壁が一切ないという条件でモデル化してございます。ただ、実際にはこの部分的にあいている部分で水の行き来がございますので、地下水位の全体の状況としては、全体の海側遮水壁を考慮しない解析モデルでも、現状と大きくは外れていないというふうに考えてございます。それから、左上の水位コンター図、それから下の東西断面のイメージに示しますように、建屋水位が3~4mであるのに対して、地下水位は山側から海側に向かって低くなっているという状況が御確認いただけるかと思います。なお、右のほうの四角の三つ目に書いてございますが、部分先行凍結によります地下水位の明瞭な変化は起きにくいというふうに考えてございますけれども、これにつきましては、後ほど参考資料のほうで御説明いたします。続きまして、9ページを御覧ください。こちらが陸側遮水壁の山側閉合をした後の状況でございます。こちらも左上に解析結果を示してございます。ここでちょっと解析条件に触れさせていただきたいと思いまして、すみません、14ページに飛んでいただければと思います。こちらにモデルですとか、それから設定条件などを示してございます。解析モデルの領域としましては、先ほども御紹介しましたが、海側遮水壁と陸側の遮水壁の山側3辺で囲まれた領域、右下の領域、水色の線と上の黄色いところの外枠の海側遮水壁で囲まれた領域でございます。解析は準3次元の非定常の地下水流動解析を行ってございます。それから、建屋水位と地下水位の水位差が今回焦点になりますので、これについては水位差が小さい条件、制御上厳しい条件ということで、具体的にはサブドレンが稼働した状況という仮定の解析結果について示してございます。それから、その他の条件としまして、左下にございますが、海側遮水壁は閉合した状態、それから10m盤の陸側遮水壁内のフェーシングは0%、それから注水井からの注水はなし、ただし、降雨量としまして、中段の右側にございますが、年間の平均降雨量1,500mmをもとにしまして1日平均4mmの雨を降らせてございます。それで、地盤の降雨浸透率としては55%を仮定してございます。このような条件で行いました結果が、先ほどの9ページの左上の水位コンター図でございます。こちらでは原子炉建屋の水位をポンプが設置した後に低下させる計画もございますので、建屋は全てO.P.3mにしているという状態でございます。これによりますと、山側の陸側遮水壁を閉合した後、凍結の進展によりまして遮水性が発現し、先ほど申し上げましたように、主に建屋山側の地下水位が低下していき、このケースでいきますと4m程度まで下がっていくというふうに考えてございます。一方、建屋海側の地下水位につきましては、海側遮水壁が閉合した影響によりまして一旦上昇した後に、陸側遮水壁山側閉合により、また若干低下していくということで、ここでは3.5m程度になっているというふうに考えてございます。続きまして、10ページを御覧ください。先ほどの解析条件に、陸側遮水壁の海側部分を閉合させた条件で非定常解析を行った結果を示してございます。この状況におきますと、陸側遮水壁海側の凍結によりまして、遮水壁内の地下水位は均一化しながら低下していきまして、こちらの図ですと、陸側遮水壁の内側については全体的に4m程度の水位となってございます。それから、建屋周辺の地下水位の低下に合わせまして、水位差が小さくなることも予想される場合には、建屋水位を必要に応じて低下させることで、建屋水位と地下水位の水位差を確保する計画でございます。ただ、こちらを御覧いただきますと、建屋水位が3mであるのに対して、周辺の地下水位が4m程度、あるいはそれより若干下回るぐらいとなってございます。これが先ほどの降雨の、毎日4mm降らせているということもございますので、その降雨が入ってくるものと、それから建屋周辺の地下水が建屋に入っていく分がバランスしていて、こういった水位差が保たれているというふうに考えてございます。続きまして、11ページでございます。こちらが建屋水位の一定維持期間についてでございます。ここで、左上では建屋水位を今度は2.5mに下げた状態で引き続き解析を行った結果を示してございます。この状況では、先ほど来申し上げていますけれども、降雨による地下水涵養と建屋への地下水流入量のバランスをしまして、地下水位の低下は緩慢となりまして、建屋周辺の地下水位はここでいきますと3m~4m程度に落ちついてまいります。ただ、この場合には、必要に応じて注水井からの注水を実施することで建屋水位と地下水位の水位差は確保する計画でございます。解析上は、注水について考慮してございません。こういった形で陸側遮水壁が閉合した後に敷地全体の地下水位は変化していくだろうというふうに想定してございます。続きまして、12ページ以降、これを踏まえまして、建屋内外の水位管理をどのようにやっていくのかについて御説明いたします。13ページを御覧ください。ここでは今申し上げてまいりました地下水位の変化に対しましての水位管理の方針をまず御説明します。下の図は先ほどと同様なイメージでございまして、青いラインが建屋の水位、ピンクのラインが地下水位を示してございます。まず基本的なところですが、現状どおり、建屋水位が地下水位を上回ることがないよう管理するということがまず大原則でございます。そのために、図中に示しましたように、運用の目標として水位0.3mというものを目安に管理する考えでございます。それから、先ほど来申し上げていますけれども、地下水位の低下に合わせて、必要に応じて建屋水位を低下させ、建屋水位と地下水位の水位差を確保するということ。それから、建屋水位の一定維持期間におきましては、実際には降雨を考えますとある程度の水位差は確保されるものと考えてございますけれども、必要に応じ、注水井からの注水を行うことによりまして、この水位差を確保する計画で考えてございます。また、サブドレンにつきましては、降雨時ですとか、建屋への地下水の流入量を低減させたい際に、必要に応じて稼働させるということを考えてございます。この辺りの解析の結果を補足いたします。15ページを御覧ください。こちらが先ほどの陸側遮水壁の山側を閉合した後の地下水位の低下の時刻歴を右側の図に示してございます。これ、対象箇所としましては、左側の図の青丸を打ったところでございますけれども、解析上、水位差が最も小さい4号機のタービン建屋の南東の角、図では右上の点になってございますけども、こちらでの結果を示してございます。それで、赤いラインが建屋水位、青いラインが建屋海側地下水位でございます。実際には、山側の閉合後、1~2カ月程度の後に海側を閉合させることを考えておりますけれども、ここの解析結果は、閉合させずそのまま放っておいたらどうなるかという仮定の解析結果です。そのまま12カ月ほど放っておくとどうなるかという非定常解析の結果でございます。これによりますと、3.5m弱の当初の地下水位が、山側が閉合し遮水性が発現した後に、1~2カ月かけて10cm程度地下水位は低下していく。その後、降雨の影響もありまして、3.4m程度で安定しているという結果でございます。また、こちらのケースは、先ほど来申し上げているように、この青いポイントで10cmという低下量ですけれども、それ以外の部分を確認しましたけれども、建屋海側の地下水位の低下量は10cm~30cm程度というふうになってございます。続きまして、16ページから注水設備について御説明いたします。まず、こちらの図でございますが、水色のラインが陸側遮水壁でございまして、それに沿いまして紫のドット、注水井を31カ所配置してございます。それから35m盤、図の下のほうに設置しました注水タンクから注水配管の本管を遮水壁のラインに沿って配置しまして、各注水井ごとに枝管がブランチしていくという構造になってございます。右下に示しますように、ブランチした枝管から注水井ごとに水位計、バルブ、流量計等を設置してございまして、そのデータを免震棟に伝送しまして、免震棟にて遠隔監視・操作が可能な構成としてございます。なお、電磁弁が故障した場合には、手動バルブの開閉により注水井への注水が可能な仕組みとしてございます。続きまして、17ページでございます。こちらは昨年もちょっと御紹介したものと似ている図ですけれども、注水井からの注水の効果がどの程度あるのかという解析結果でございまして、一番危険側と考えられます、雨が一切降らない0mmの状態ということで解析をしてございます。解析ケースとしましては、1が雨が一切降らないという状態、それから、2につきましては、こちらでは28カ月の辺りから1日40tの水を注水すると。これは注水井1本当たり0.9L/分を注水するということに相当するものでございます。グラフは、左側が0カ月~70カ月、右側はこれを拡大したものでございます。それで、線が、赤いラインが建屋水位でございまして、緑のラインが注水なしのケース1の結果でございます。こちら御覧いただきますと、注水なしで雨も一切降らないという場合に、建屋の水位を一定にしていくと、この場合ですと、50カ月ぐらいから建屋水位に漸近していくという結果でございます。それに対しまして、地下水位が0.7m弱の付近、28カ月目辺りから注水を開始することによりまして、紺のラインになりますけれども、右側の図のほうがわかりやすいかと思いますが、55cm付近で地下水位が安定している状況がおわかりいただけるかと思います。この結果から、一番下の箱に書いてございますけれども、水位差50cmを目標として、15cm程度の余裕を持って注水井からの注水を行うことで水位差を確保できるというふうに考えてございます。それからもう1点、この結果に関しまして、先ほど雨と注水の関係を申しましたけれども、この1日当たり40tの注水というのが、1日当たり1.1mm程度の降雨が降っているというのと同等の効果がございます。したがいまして、仮に毎日1mmの降雨が継続するとするならば、注水なしでも同様の水位が維持されるということになるかというふうに考えてございます。続きまして、18ページでございます。先ほどの一つの注水井に毎分0.9Lを注水するというふうに申し上げましたけれども、これに関しまして、5・6号機周辺で注水試験を行ってございまして、それによりますと、注水井1本当たり10L/分以上注水できるということ、それから、注水井からの注水によりまして、解析結果と同程度の地下水位上昇があることを確認してございます。これらをもとに解析を実施しまして、先ほどの注水井配置による地下水位の維持を確認してございます。1~4号機周りにつきましては、陸側遮水壁の山側の凍結開始前に、各注水井におきまして上記、この10L/分というものが入るかどうかということを注水試験により確認してまいります。なお、万が一、十分な注水を行うことができないという場合には、注水井の再設置等を行っていくという計画でございます。それから、陸側遮水壁の海側を含めた閉合後に再度現地において注水効果を確認しまして、この時点で不足する場合には、注水井の増設等必要な対応を行っていく計画でございます。続きまして、最後になりますけども、参考3の23ページ以降で、冒頭のほうで御説明しました部分先行凍結について御説明させていただきます。まずは陸側遮水壁を確実かつ早期に閉合させていくためには、凍結箇所ごとの凍結に要する時間の差をなるべく小さくすることが重要であろうというふうに考えてございます。そういった考えのもとに部分先行凍結というものを考えました。まず、それがどういうことかという点から御説明させていただきたいと思います。こちらに示しました図等は、昨年、福島第一原子力発電所のサイトの中で行いました、小規模の実証試験の中で行いました複列施工――貫通施工できない場合に複列施工を計画してございますけれども、それを想定して、凍結管の間隔を3m離した場合に片側3本ずつに複列施工して、どの程度の時間がかかって凍るのかということを確認した試験結果でございます。左の図の左下の黄色く囲んだところの左右に青いドットが打たれていますけれども、これが凍結管でございます。この水平方向、左右方向の間隔が3mとしまして、凍結の状況を確認してございます。こちらのS-24、黄緑色のひし形が測温管でございまして、こちらの中央にありますS-24の測温管の結果が右側のグラフでございます。こちらのS-24につきましては、高さ方向に12カ所で温度を計測してございまして、各ポイントの温度の時系列の変化を示してございます。図の左側ですけれども、3月に凍結を開始してございますが、こちらは6月までは割愛しまして、7月の最終的に凍結した付近の温度トレンドを示してございます。結果的には、7月16日の時点で全てのポイントで0℃を下回りまして、ここで凍結したというふうに確認してございます。結果的には、3月14日に凍結開始して120日ほど要したということでございます。これに対しまして、示してございませんけど、一般部におきましては、凍結開始後10~15日で0℃に到達したことを確認してございます。続きまして、24ページでございます。ただいまの実証試験の結果をもとにしまして、物性値等を定めるというか、アジャストしまして、複列施工箇所の凍結に要する時間がどれぐらいかかるのかということにつきまして、三次元の熱-水連成解析を行ってございます。解析のモデル、地盤のモデル、三次元モデルを左側の中断、青い表面、それから断面方向が御覧いただけるかと思いますけれども、こういった三次元の1/2対称モデルを用いて解析を行ってございます。この図の中の赤い四角の平面を拡大しましたのが、右側の黄色いメッシュ図でございます。この中の赤い部分が凍結管の位置でございまして、離間距離、こちらが複列施工の凍結管間隔になりますけれども、これをパラメータに解析してございます。その結果が25ページでございます。まず、現地での複列施工の計画といいますのが、凍結管の間隔が1.5m以下で片側2本配置というもの、それと凍結管の間隔が1.5~2m程度で片側3本配置の2種類に大別できることから、これらのケースの結果を示してございます。こちらの図の見方なんですが、三次元の対称モデルの対称面を少し上から見おろした感じになってございます。黄色が原地盤でございまして、0℃以下になった箇所を水色で示してございます。上段が2本の1.5mの凍結管間隔の結果でございまして、20日の時点ではぽつぽつと水色が見えますけれども、40日のところで鉛直方向に水色部分がつながっておりまして、ここで凍結していると。実際には、計算上35日で凍結したというふうな解析結果になってございます。それから、下段が3本の2mの場合でして、こちらは40日でまだ部分的にしか凍っておりませんけれども、60日では全面的に水色になっていると。詳細を見ますと、52日で閉合したという結果でございます。これで先ほど一般部が10~15日で凍った結果に比べますと、この程度の間隔になると、20日あるいは40日程度余分に時間がかかるということを示していると考えてございます。これらの結果を踏まえまして、目的を整理しましたのが26ページでございます。凍結管の間隔が広い箇所につきましては、複列施工などを行っておりますけれども、一般部と比較して凍結に時間を要しまして、20~40日程度の追加期間が必要になるというふうに考えてございます。そのため、一般部と同時に凍結を開始した場合には、凍結に時間を要する部位が残りまして、地下水流が集中し、海側トレンチなどのときにもありましたけども、水が集中して、さらに凍結しにくくなるというような事象が想定されます。このような地下水流が集中する部位に対しましては、部分的に地盤改良工法等の止水対策を施すことによりまして対応が可能だと思ってございますけども、より確実かつ早期に全体を閉合させるためには、凍結に時間を要すると予想される部位の凍結を先行的に開始することが望ましいというふうに考えてございまして、こういった工法で進めていくということを計画してございます。これによります地下水位への影響につきまして評価しました結果を、27ページに示してございます。こちらでは複列施工箇所など部分先行凍結により先行的に遮水する長さは全体の6%程度と設定しまして、三次元の浸透流解析を行った結果を図に示してございます。赤い丸が部分先行箇所、凍結箇所でございまして、右側が拡大図になってございます。この図ですけれども、まず、部分先行を凍結する前に対します凍結した後の地下水位の増減のコンターを示してございます。右側の拡大したほうを御覧いただければと思いますが、3号機の山側、図の下のほうに赤い丸が六つぐらいございますけれども、こちらが先行凍結させる部分で、これによりまして、その山側、下のほうが黄緑色に部分的になってございます。これが右のスケールからいきますと1~3cm程度水位が上昇しているという結果になってございます。それから、この白いラインが遮水壁の計画ラインでございますけれども、この内側では、3・4号機のリアクター周りでこちらも1~3cm程度、地下水位の低下があるという結果になってございますけれども、影響については小さいものと考えてございます。説明は以上でございます。

○更田委員:
ちょっと大きな話と小さな話とまとめて説明があったように思いますけど、まず資料3、陸側遮水壁閉合後の水位管理について、幾つも質問はあろうかと思いますけども。渡邊先生、どうぞ。

○渡邊特任教授:
そもそも論で申し訳ないんですが、これ、今のシミュレーション関係、要する凍土壁の中でのシミュレーション関係をやって、前もちょっと私お尋ねしたんですけど、凍土壁ができたところの周辺でどういう現象が起こるのかということを確認しないと、凍土壁が完全に止まっているかどうかということがわかりませんねと言うんですが、中での地点はわかるんですが、外での凍土壁の周辺での、例えば水位の管理とか、水流の管理か、あるいは監視ができる場所というのは、当然設定して監視されているんでしょうか。まず、ちょっとその点だけお尋ねしたいんですが、いかがですか。要するに、全体としてちゃんと凍っているかどうかということをですね、確認をどうやってやるんですかという、簡単に言えばそういうことです。

○中村(東電):
まず、凍土壁というか、遮水壁が凍っているかにつきましては、前回御説明したかもしれませんけれども、測温管を5mピッチで設置しまして、そこのポイントで0℃以下に下がるということを確認していくということで、凍っているかどうかということを確認していく計画でございます。それから、それだけではなくて、水位計につきましても、凍土壁の内側あるいは外側に25mピッチ程度で配置しまして、そこで水位差が生じているかどうかということを確認していくことを考えてございます。水位差につきましては、緩慢な動きになると思ってございますので、そこで直接的に凍っている・凍っていないという判断が難しいかなということもございまして、最初に申し上げましたように、まずは測温管で0℃以下に下がるということを確認することで、凍結できているかどうかということを判断していこうというふうに考えています。

○渡邊特任教授:
測温管の深さはどこまでなんですか。

○中村(東電):
一番下部の……。

○渡邊特任教授:
35m……。

○中村(東電):
凍結管の先端以下までです。

○渡邊特任教授:
以下になっているということですね。

○中村(東電):
はい。

○渡邊特任教授:
そうすると、その上でなんですが、仮に凍結をされれば、多分、外側の水位というのは変わってきますし、それから流れの方向も当然変わりますよね。それをやっぱり確認した上での海側の遮水というのが多分必要なんだろうというふうに思うんですけれども。もし例えば凍土壁の中で確認をして、全体が、いわば凍土壁ができるとすれば、もう一つ、海側のいわば遮水壁というのがありますね。これ、少しあいていて、全体としてその中に幾つかの地下水位を、ウェルポイントみたいな形で水を抜こういう話で、海洋流出の問題がありますけど。そこの必要性というのはなくなるんじゃないかというふうに思うんですけど。当然、雨が降ってきて、敷地内の中に雨がたまるから、いわば吸い上げなきゃならないという問題はあるかもしれませんけど、少なくとも今の状態から考えると、いわばタービン建屋ないし原子炉建屋の中というのは、基本的にはもう遮蔽されるわけですから。そうすると、あえて、例えばサブドレンの中での注水というのは必要なのかもしれませんが、海側遮水壁というのは、地下水の海側の、いわば今かなり鉄板をやっている遮水壁ですけれども、あの必要性というのはどんなふうに考えているのかということをちょっと質問したいんですけど。

○中村(東電):
今回の陸側遮水壁は、まずは建屋の中に水を入れない、汚染源に、汚染水を近づけない対策というふうに考えてございまして、ここで汚染水を漏らさない対策というところまでは位置づけていないという計画でございます。それで、汚染水が海側に漏えいしていくというような、リスクというか、そういった危険に対しましては、汚染水を漏らさない対策としまして、海側の遮水壁を設置して、そこできっちり抑えていこうという当初からの計画でございますので、海側遮水壁については、そういった機能を有しているというふうに考えてございます。

○渡邊特任教授:
ただ、海のほうの遮水壁って今あいているわけですね。それで、少なくとも今、事業者さんのほうでの放射性物質の結果を見ると、ここには少なくとも全然観測されていませんよね。それとの整合性というのは。どうもわからないのは、海側のもし本当に凍土壁がうまく作用するのであれば、あえて二重に海側をするという意味が、どういう意味があるのかということ、あるいは、どういうリスクを考えているのかということをちょっと教えていただきたいんですが。

○中村(東電):
今申し上げましたように、凍土壁自体の遮水性能はあると思ってございますけれども、こちらに対してアウトリークしないように100%担保するということを設計の条件とはしてございませんで、あくまでも建屋の中への流入量を抑制するという機能を要求してございます。それですので、外部のリークに対しましては、あくまで海側遮水壁でそこの機能を有させるという思想で現在計画をしてございます。ただ、結果的に、陸側遮水壁の海側部分が構築された後には、そこは当然二重の効果で外部へのリークリスクは低減していくというふうには考えてございます。

○渡邊特任教授:
もう一つお願いしていいですか。10ページを見ますと、これ、海側の遮水壁というのは、一番最初のいわば透水層まで達していて、下のほうの遮水壁というのまで達していませんよね。それから、陸側で今計画されている凍土壁というのは、基本的にはかなり深いところまであって、全体的にもう三つの透水層について一応遮水するような形になっているということなんですが。そうすると、下のほうの透水層から、例えばタービン建屋――タービン建屋まではないんですけども、タービン建屋と海側の間に何か海水の変動が入ってくるというような、こういう懸念というのはあるんでしょうか、ないんでしょうか。

○中村(東電):
すみせん。先生の御指摘は、陸側の遮水壁の海側部分ができるのであれば、タービン建屋と海側との水の行き来があるのかないのかということでございますか。

○渡邊特任教授:
そうですね。

○中村(東電):
これはシミュレーションをいたしますと、どうしても透水係数というのはゼロではございませんので、数字的には水の行き来は生じ得るということはあると思っています。ただ、それがボリュームとして大きいものかというと、それはかなりネグレクティブなものだとは考えてございます。

○渡邊特任教授:
ありがとうございました。

○更田委員:
割と入り口論に近いところがあるので、ちょっと入り口論で二つ質問をさせてください。まず一つは、資料の、フェーズが書いてあるところですので、7ページ。ここでそれぞれ山側閉合だとか海側閉合だとかステップが書かれているんだけども、地下水を汚染している部分に触れさせないという観点からすると、サブドレンというのは非常に大きな役割を担っていると理解をしているんですね。そうすると、サブドレンの運用を行った時点で、地下水位なり、それから原子炉建屋、タービン建屋への地下水の流入がどうなるかという確認はしないのか。これが一つ目の質問です。サブドレンの運用によって、地下水の流入が目標となるだけ抑制されたら、もう遮水壁要りませんよね。だけど、これは割と様子を見るまでもなく遮水壁の運用に入るような計画に見えるんだけども。これは主役の一つではあると思うんですけど、サブドレンにそこまで期待できないのはなぜなのかというのが一つ目の質問です。二つ目の質問は、今、渡邊先生がされた質問と実は逆で、陸側遮水壁の海側のものはある程度透水性があるんだと、流入を抑制するためのものだと。それから、海側遮水壁は遮断するためのものだと。だったら、海側遮水壁があれば、陸側遮水壁の海側は要らないんじゃないかという、なぜ海側遮水壁があるのに陸側遮水壁の海側をつくるんだというのが二つ目の質問です。

○中村(東電):
まず、1点目でございます。サブドレンと陸側遮水壁の定量的な効果がどうかというものにつきましては、参考資料の38ページにシミュレーションの結果を示してございます。前回もお示ししましたけれども、それと若干条件を変えて、もう少し比較がしやすいような形の解析結果を示してございます。

○更田委員:
ごめんなさい。質問はそういう意味ではなくて、今まで凍結壁にしても何にしても、見込みはこうですとか、シミュレーションはこうですという話は、ずっと説明は受けてきたけど、でも、さっきの水位を抜いてみるという話にしてもそうだけど、やってみて、はかるということはしないのですかというのが質問です。まずサブドレン単体の効果は見ないのですかというのが質問です。

○中村(東電):
それにつきましては、サブドレンの単体の効果は確認してまいる計画でございます。

○更田委員:
確認後、陸側遮水壁の凍結に入るという理解でいいですか。

○中村(東電):
はい、そういう計画で考えてございます。ただし、サブドレンの稼働につきましては、まだ未確定な部分がございますので、それが凍土壁稼働のための前提条件ということではないというふうに考えてございます。

○更田委員:
サブドレンが運用できなくても、凍土壁には入るということですか。

○中村(東電):
それは条件にはなっていないというふうに考えてございます。そういったやり方もあると思ってございます。

○更田委員:
それはちょっと、これまでと話が違いはしませんかと。やはり、要するにサブドレンの運用が全くできなくても遮水壁の運用に入っていくかどうかというのは、ちょっと議論の余地があると思いますけれども。また、サブドレンはサブドレン単体としてまた効果が期待できるものなので、サブドレンの運用に入れることが望ましいとは思っていますけども、それが、いろんな議論がまだ残っている、了解なりいろいろ議論が残っていることは承知をしていますけども、サブドレンの運用に入れるのであれば、サブドレン単体の効果をまず見るべきだろうと思っています。それから、二つ目のお尋ねですけども。

○中村(東電):
海側遮水壁があるならば、凍土壁の海側部分が要らないのではないかという御指摘でございますけども、ちょっと先ほど比較のところで十分御説明できなかったところがございますが、現状、サブドレンが、建屋周辺で線量が高いですとか、あるいは既存の構造物、新設の構造物などの制約によりまして、100%機能を発揮できる位置にまでは設置し切れてございません。ですので、サブドレンだけで完全に水位を下げていこうということは難しいというふうに考えてございまして、解析上もそういった結果になってございます。それも補完するという意味合いもございまして、陸側遮水壁というものの効果は必要であろうというふうに思ってございます。

○更田委員:
それはサブドレンの効果を見てからの話ですね、今の議論は。

○松本(東電):
今、更田委員の二つ目の御質問というのは、陸側遮水壁の海側は不要ではないかという御質問かと思います。全体を囲むという意味からすると、一囲みがあればいいというふうには思います。現状、目指しているのは、例えば囲みができた段階で、外側の水位を高く保って、建物の中の水位を低く保つ。基本的には、建屋の中の水位コントロールというのはボリューム的に考えても余裕でございますので、こちらでしっかり管理をしていくというのが基本です。ただし、外側についても、ある程度きちっとコントロールしたいわけでございまして、そのためにサブドレンと、それから注水井というもので、上げ方向・下げ方向がコントロールできるようにしたいと。そのボリュームは、小さいほうがですね……。

○更田委員:
ボリュームというか、面積を小さくしたいと。

○松本(東電):
はい。面積が小さいことによって、そこの制御が、上げ方向・下げ方向においてできるようにしていくことは、一定の意味があるというふうに理解をしてございます。

○更田委員:
一定の意味はあると思うんですが、遮水壁にしても、建屋近くでの作業をやるわけですよね。それから、そこらじゅうを掘りくり返すわけであって、要するにやればいいことばかりではないのであって、やらないで済むんだったら、やらないで済ませたいものの一つでもあるわけですよ。作業をする人たちは、建屋のそばへ行くわけだし、掘るわけですし、それから、それだけの人と時間を投入するわけだから。何らかの効果が、一定の効果があるからやればいいというふうにすぐ結論を出せるわけではない。やっぱりサブドレンの効果を見て、そこでメリット・デメリットを比べて、次のステップへ進むべきではないかというのが私の問いかけですけれども。どうぞ。

○安井対策監:
若干まとめて答えていただけるように、補足の質問もしておきたいのですけれども、例えば9ページの図を見ると、陸側遮水壁の山側の閉合がなくても、大体、コンターに差のない、これは資料3の9ページのですね、こうなっていて、多分、タービン建屋の水位をこれは3mでやっていますけれど、2.5ぐらいにすれば、より平たくなる上に、少しサブドレンを運用すれば、この場所間の水位の傾きも小さくなるわけですね。だから、あることをやるのに、効果はゼロではないという議論をしても、リスクとの比較ができないので、一体、例えば今で言えば陸側遮水壁の海側ですか、をやることで一体どれだけ変わるんですかと。今、山側にあるサブドレンが完全でないという議論はあるかもしれませんけれども、こっちこそ、それは引けばそこそこの効果があるのは、これはもともとあった施設ですから、それはわかっているわけなので。そうすれば、よりこの絵よりもいわば水位の平準化には寄与することはまず間違いないはずなので。一体、どれだけの効果を期待してやろうとしているんだろうかと。しかも、一部の話によると、トレンチをやっぱり貫通させるのは相当危険度がありますので、トレンチを貫通させないことを検討されていると理解をしています。そうすれば、下に穴があいているわけなんで、そうすると、ちょっと先ほどの更田委員からの質問になっちゃうんですけれど、どのぐらいのリアルなメリットがあって、ここを全部掘り返して、もちろん運用にもお金がかかるとも思いますけれども、ちょっとその辺、メリットがどれだけあるんだということなんですよ。海のほうが、先ほどおっしゃっていたように、ちゃんと鉄板で閉まってしまえば、それだけ原子炉の近くにいろいろややこしいものができるリスクを下げられるということもありまして、ちょっとそこが、この絵を見るとますます――9ページを見ると、かなり安定しているなという感じを持っています。それが一つ。それから、もう一つは、先ほどから凍土壁で完全に山側も止めるというイメージの議論がされていますけれども、いわば傾きを小さくするという効果が主たる効果じゃないかと思いまして、めちゃめちゃ全然止まらないというのもいかがかと思いますけれども、かなり止まればいいということで物を設計することもできるように思っていまして、その辺は一体どれだけの止水性があれば目的としていることができるのかという議論でないと、どうもおかしいなというふうに思うんですけどね。

○中村(東電):
先ほどちょっと御紹介しようとしました建屋への流入量のシミュレーションについては、こちらは全体があるかないかというもので、海側があるかないかというところではないので、ちょっと直接的にはいけませんけれども。それについては、その効果というものと、それから、あと先ほど松本が申し上げました全体をコントロールしていく上で、狭いエリアにおいて。それからリチャージ井を置くにしましても、陸側遮水壁の海側のラインに沿った形でリチャージ井を設置しませんと、効果は半分というか、それ以下になってしまいますので、建屋の水位をリークさせないために、周辺の地下水位をコントロールするという意味では、範囲を絞った形でリチャージができる、サブドレンができるといったものが必要かというふうに考えてはございます。それから、あと施工上のリスクにつきましては、サブドレンの先ほど施工が難しくて近寄れないと申しましたのは、実際に、サブドレンは建屋の本当の近傍にまで近寄って井戸を掘る必要がございます。それで、現状できていませんのが、1・2号機のスタックの周辺で2桁の線量率ですとか、あるいは3号機のリアクターのちょっと奥のほうの線量率が高いというところ、そういったところがありますので、そういう制約がございますけれども、今回計画してございます陸側遮水壁につきましては、ある程度距離をとって、比較的、1桁でも1mmですとか、それ以下の線量率のところで作業ができるということもございますので、そちらに対するリスクというものは低減できるかなというふうに思ってございます。

○更田委員:
高坂さん。

○高坂専門員:
更田先生と、それから安井さんと同じところですね、県側でこの資料を見たときに思っていたんですけども。やはり陸側遮水壁の海側の施工が本当に要るのかどうか。というのは、今、海側の部分の陸側遮水壁というのは、先ほど海水配管トレンチを貫通させる部分等の複雑な凍結管施工等非常に難しい工事になる。先ほどの議論もありましたけど、9ページと10ページで何に差があるかというと、陸側遮水壁の海側の閉合があるかないかですね。 それで、この解析上の違いは、条件は何が違うかというと、降雨の影響とかですね。地下水の流入は、山側の遮水壁でもう抑えられているので、抑制されると思いますから。そうすると、降雨の差です。そうすると、4m盤のフェーシングがかなり進んで、終わっている状況になっていますから、本当に残っているエリアの降雨の影響という意味で見ると、ほとんど差がないと思うんです。そういう意味で見ると、山側の陸側遮水壁部分を海側遮水壁(護岸に打っているもの)と連結してしまえば、本来の遮水壁としての効果は十分期待できるんじゃないかと思います。繰り返すと、海側の陸側遮水壁の部分をつくるというのは、非常に工事も大変だし、作業員の被ばくの問題もあるので、その必要性についてもう一回検討を十分していただいたほうがいいんじゃないかと思います。それよりは、陸側遮水壁の山側を、よりきちんとつくることに注力していただいたらどうかなと思います。それが一つ。それと、先ほどからサブドレンを使うという話がありました。実際には有効な方法だと思うんですけども、今、サブドレンの放出についてはいろんな問題があります。エネ庁さんでまとめていただいた陸側遮水壁の位置づけというのは、もともとサブドレンが使えない場合を想定して、陸側遮水壁をつくれば、それに見合う効果があることで採用したものですので、本来ですと、陸側遮水壁ができれば、サブドレンは、7ページにありますように、必要に応じて稼働すれば良いということになるのだと思うのですけど。また、そういう意味で見ると、地下水バイパスについても、県の漁民の方から言わせれば、できるだけ海への放出はやめて欲しいという話になるので、山側遮水壁ができた段階で、地下水バイパスも運用については山側遮水壁のダムアップによる越流の防止のために必要に応じての運転で良いのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。2点申し上げましたけど。

○中村(東電):
先ほど来申し上げているのと繰り返しになりますのと、あと、すみません、ちょっと地元の皆様などに今サブドレンの説明などをしている際に、ちょっと我々としてどのようにお考えかというところ、はっきりきちんと把握しているわけではございませんけれども、伺っているのは、やはり陸側の遮水壁をやることによって、サブドレンでくみ上げた水を放出する量を少しでも少なくしてほしいですとか。あるいは、先ほどの渡邊先生の意見に対して、陸側遮水壁の海側部分では機能は担保していないと申し上げましたけれども、ただ、担保はしていませんけれども、実際に遮水の性能はあると思ってございますし、それによってアウトリークに対する防げるというような安心感というようなことも思ってございまして、それらに対する皆様の期待というものも大きいのかなというふうには受け止めてございます。そういったことも含めますのと、あとは、もともと重層的な対策ということで考えていますので、じゃあ、片側ができたから、片側は要らないのかということではなくて、今後も両者を並立させて補完し合いながら設置していくという意味合いは大きいのではないかというふうに考えてございます。それと、あと、先ほどもう1点、トレンチのお話がございまして、トレンチの下のところを貫通させないような施工のやり方についても、現在、まさに検討をしているところでございます。ただ、それにつきましては、かなり海側の長さに対して局所的なところですので、さほどそれによる影響はないだろうというふうに考えてございますので、それについては、また改めて御説明させていただければと思います。

○更田委員:
まだ少しですね、少しというか、説明にきちんとすることができない部分があります。それはまず重層的な対策ということを――重層的な対策というような言葉をですね、これを進めるための根拠であるかのように言うのは、これは技術的な議論ではないと思います。各対策とも、払う投資というと言葉が悪いけど、払う努力とメリットと、実際にそれはリスクがあるし、被ばくもあるんだから、掘りくり返せば土も出るわけですから、打った努力に見合うだけの、見合う以上の効果があるんだということを言っていただかないと、念のためとか、重層的とかという言葉は、私は言葉遊びだと思います。それから、やっぱり根拠として、この解析が、何度も解析に触れられるんだけども、これはいわゆる勾配×透水率、フィックの法則と同じですよね。フィックの法則でも、フーリエの法則でも、オームの法則でも、みんな同じ形だけど、要するに勾配×係数ですと。係数は地質によるデータがありますと。勾配に関しては地形のデータがありますと。非常に単純なモデルですけども、これは積分的な効果において検証がなされているわけではない。例えば、サブドレン一つ運用してですね、サブドレンの運用によって120m3になりますと、日量。これ、こうなったというんだったら、「ああ、地下水モデルというのはそこそこ使えるんだな」という、その時点になってからの話であって。そうであれば、サブドレンの運用ができるようになるのであれば運用して、地下水モデルはこれだけの精度を持って流入量を推測していますと。そしたら、この地下水モデルの流動モデルに基づいて遮水壁の議論もできますねと。ステップの問題だと思いますけれども。サブドレンの運用に入れるんだったら、サブドレンの運用を持って、見込みがどのぐらいの確からしさを見せているのか、それをまず示していただきたい。頭からこの流動モデルをずっと説明の根拠に使われるのは、非常にふさわしくないアプローチだと思いますけども。どうぞ。

○中村(東電):
流動解析のモデルにつきましては、以前、ちょっと御説明させて……。

○松本(東電):
お答えをしたいと思いますけれども。御指摘の部分は、そのとおりだという部分があると思います。現状、それに頼らざるを得ないという面もあって、解析のお話をさせていただいて、どうなるんだということについては、それに頼った説明になっていると、偏っているというところは御指摘のとおりだと思います。一つ一つ確認をしていくということは必要かなと思います。あと一つ、つけ加えさせていただければ、このサブドレンが本当にフルパワーでですね、今、完全には復旧していないという中ではございますけれども、かなり汚染があって、あるいは海側の部分でありますと、海側の護岸全体が、やはり今地下水の調査をしている中で、例えばトリチウムの濃度とか、そういったものが非常に高いところもございます。そういう部分も踏まえて、なるべく不確定要素が少ない状態にはしたいと思っていますが、それも程度の議論でございますので、更田委員のお答えにはなっていないかと思いますけれども、そういったことを私どもとしては総合的に考えてということになって、これも重層的と同じことでございますけれども、今のところ判断をしているという状況でございます。

○更田委員:
松本さんが今おっしゃったので言うと、サブドレンはなるべく使いたくないんだという意味ではないんですか。

○松本(東電):
いや、それは違います。ただし、オペレーションで、できるだけの量を引いていこうと思ったときに、いろんな濃度のものが出てくる可能性があって、必ずしも運用が――特に海側ではもう既にトリチウム濃度が高いところがあるわけでございますので、そういったところの水を引き込んできたりするときにはリスクがあって、そのリスクというのは、今、海側において、広いエリアだと高まるのかなというふうには考えてございます。

○更田委員:
だから、サブドレンはあまり使いたくないと、そうではないんですか。

○松本(東電):
いや、それは例えば山側などはそういったリスクは非常に低いと思っていますので……。ただし、そういうところのオペレーションがフルにできないリスクは、海、山、好きなようにですね、自由自在に抜けるという状況ではないということを念頭に置きながら対策を考えてきたというところでございます。

○更田委員:
サブドレンの運用は制約を受けると。

○松本(東電):
できるだけしたいと。制約条件があると。

○更田委員:
運用はしたいけれど、制約を受けることを考えておくべきであると、そういうことですか。

○松本(東電):
はい。おっしゃるとおりでございます。

○更田委員:
田中委員、どうぞ。

○田中知委員:
モデルの検証というのは、しっかりとやっぱりやるべきだと思うんです。実際に試験しながらやっぱりモデルの検証をしないと、同時に、サブドレンについての今のリスクが今のところわかったんですが、やっぱり一番大きいなのは、本当にいろんな操作をしていったり、また雨が降ったりしていったときに、本当の建屋の中の水位が地下水位よりも低くできるのかというのが、本当に現実的にいろんな状況が変わったときに、あるいは制御したとしても、何か操作したときの結構時間遅れはあるわけですよね。それが完璧にできるのかと。それをどう組み合わせればいいのかと。そのときに組み合わせていっても、どれを重点的にやっていけばいいのかとか、その辺が結構重要だと思います。今日、話を聞いても、その辺がよくわからなかったので、ちょっとその辺をしっかりと検討してほしいなと思いました。

○松本(東電):
ありがとうございます。1点は、地下水の水位変化があるときに建屋側がきちっとフォローできるかと、きちっと追随して下げること、十分余裕を持って下げることができるかというような御質問だったと思います。これは一度、御説明を早い時期にさせていただいたことがあったかと思いますけれども、もう一度、現状も踏まえて御説明をさせていただきたいと思います。

○更田委員:
渡邊先生。

○渡邊特任教授:
1点だけお願いです。私のほうも前にもお話をしたんですが、いわば遮水壁の陸側ができた段階で、例えば水位と流速ですね、多分、当然やられるんだというふうに思いますので、そういうデータをこの委員会の中に出していただきたいというふうに思います。そうしないと、結局、先ほど言われましたようにシミュレーション結果と、それから遮水の状況というのが多分判断できないと思いますし、多分、それでシミュレーション結果とうまく出るようであれば、中での流動の問題もある程度解釈できると思うんですね。ですから、そんなに難しいことではないと思いますので、流速を計算しているのであれば、ぜひ、次の工事に行く前に、陸側が終わった段階で出していただくとありがたいというお願いです。

○松本(東電):
わかりました。出てくるデータについては、お示しをしながら進めたいと思います。解析の確からしさを上げるという意味では、例えば地下水バイパスが動く前後というようなところで、両方の状態を今の解析コードがちゃんと反映できるのかどうかというようなことは、一歩一歩確認をしながら進めてきておりますし、必要があると思われるモディフィケーションしながら解析コードは精度を上げてきておりますけれども、引き続き、そういうデータをお示しして、どこが合ったのか、どこが合わないのか、どういう部分が我々まだわかっていなかったので、そこを解析の中に入れていくかというようなことは、お示ししながら進めてまいりたいと思います。ありがとうございます。

○安井対策監:
先ほどから言っている陸側遮水壁の海側、つまりまずちょっと要否論に行く前に、それができることでどれだけの効果があるかという議論はやっぱりしたいなと思っております。というのをちょっと言わせていただいた上で。この中で部分凍結でしたか、先行凍結でしたかというお話があったと思うのですが、これはあれですか、結局、この前モックアップをされていましたよね。それをやったけども、もう一回、実機版でやろうと。こういうことになるわけですか。

○中村(東電):
いいえ、そういうことではございませんで、モックアップをしたりですとか、結果から、凍結管の間隔が離れているところは、狭いところに比べて、どうしてもやはり凍結する時間が長いということが現地での実証試験の結果わかってございます。それで、実際の現場の施工を考えたときに、例えばトレンチなどが、1,500のワイドのトレンチがあった場合には、そこについては凍結管を2mのピッチで入れてあげて、そこを3本ずつ入れてあげれば、複列施工ということで、その2mのギャップを凍結し得るというふうに考えていまして、そういった施工も今計画しているところでございます。それから、あと、現場のどうしても複列施工を計画していたところ以外にも、現場の例えば側溝ですとか構造物があったりして、若干、この位置がずれたりして、1mの間隔でやろうとしていたところが1m200の間隔になってしまうですとか、そういったところもございます。そういったところを一斉に用意ドンでスイッチを入れた場合に、どうしても1,500とか1m200とか離れている場所の凍結が遅れるという可能性はあるだろうと。そこの部分の凍結が遅れると、そこにさらに水が集まってきまして、より遅くなってしまうというリスクが考えられると。もともとは、それに対しましては、そういった事象が発生しそうだということがわかった時点で、そこについては例えば水ガラスなどで止水してあげて、水の流速を遅くして凍結するですとか、そういったやり方でできるとは思ってございますけれども、そういったやり方で後から対応していくのではなくて、あらかじめ間隔が離れているところがわかってございますので、そこについては、先に凍結をさせることによって、仕上がりの時期をそろえてやることによって、局所的に流れが速くなって凍結が遅くなるということを避けようという発想で、今回のこういう考え方をお出ししているものでございます。

○更田委員:
これは、今確認しておきたいということ、御意見があればおっしゃっていただきたいと思いますけど、ちょっとこれ、もう一回仕切り直そうと思います。もう一回やりましょう。サブドレンは、運用に向けて各種の検討・調整が進んでいることと思いますけれども、この次のフェーズとしてどういうステップに入っていくかということに関しては、これは引き続き、この特定原子力施設監視・評価検討会で議論を続けていきたいと思います。今日の時点で、特にここで判断をしなければならないというのは、前の二つの議題とは違っていないとは思いますので、前の議題とは異なっていないとは思いますので、引き続き議論を進めていきたいと思います。それで、あと二つ、報告ですけれども、一つは3号機の瓦礫撤去の際のダストに関する問題で、規制委員会に既に報告にあった内容ですけども、改めて南山課長のほうから説明してもらいます。

○南山課長:
監視情報課長の南山でございます。それでは、お手元の資料4でございます。これ、御案内にもありましたように、昨年の11月26日の規制委員会に報告させていただいた資料の内容につきまして説明させていただきます。まず表紙をめくっていただきまして、2ページになってございますが、放射性セシウムの実測値というタイトルですが、そのモニタリングの最終地点を赤い丸で印をしたものでございます。それから、円の中心に、右の中ほどでございますけれども、福島第一原子力発電所のところを×印でしたものでございます。近いところから、郡山、浪江、福浦、馬場、原町という地点、それぞれの3号機からの方向・距離が図の左側のところに表にまとめてあるものでございます。これは県の月間降下物のモニタリングの最終地点というものでございます。そのデータを経時的にプロットしたものが、次の3ページでございます。これを見ていただきますと、左側の縦軸が放射性セシウムの実測値という値、それで右側が採取時期ということになってございます。横軸でございます。それで、見ていただくとわかるように、この双葉町(郡山)の地点のみが、平成25年8月のみに顕著な上昇を示した地点ということで見てとれるところでございます。そのほかの地点、4点ございますけれども、この図では詳しい傾向がわかりにくいと思いまして、次のページに各地点のそれぞれのプロットしたものを用意したものでございます。それで本日、恐縮でございます、差し替え版という形で、このページを用意させていただきました。この各地点のデータをグラフ化する際に、右上の実測値の経過②と書いてある浪江町(浪江)の地点につきまして、セシウム137に加えて、セシウム134のほうを足すべきところ、資料が修正が間違ってございまして、お詫びして訂正させていただきたいと思っております。ここで見るように、縦軸の桁が大分違いますので、傾向性として、平成25年の8月のところをもう一度見ていただきますと、一番左上から、郡山地点が8月のところがピーク、高くなってございます。3万5,000程度のレベルになってございます。それから、真ん中の左の福浦の地点につきましても、8月のところで高くなってございますが、このほかのところでも、例えば平成25年の6月辺りでも高くなっているというような傾向が見えたりします。これを見通していただきますと、放射性セシウムの実測値が平成25年8月のみに顕著な上昇を示した地点は、3号機から3kmの位置にある双葉町(郡山)地点だけであったという結論でございます。これは放射性セシウムの降下物量ということですので、ダストの濃度とは違うものだということで御注意いただければと思います。さて、もう一つ、SPEEDIを用いた計算ということをしてございます。これは最初に非常に留意する点ということで事細かに書いてございます。そこに一つ一つ書いてございますけれども、SPEEDIによる拡散計算につきましては、放射性物質をガスの挙動ということで、移流・拡散まで計算してございます。地表面の近くに到達した後、一定速度で地表に沈着するという仮定で成り立ってございます。3号機のガレキ撤去作業に伴って飛散した粒子というのは、残念ながら形状は不明ではありますものの、作業の関係を想定しますと、粗大粒子モードと言われるモードの粒径であるということが想定されます。その下にございますように、環境省の報告書によりますと、環境大気中に存在する粒子の粒径分布は生成過程によって異なっておりまして、粗大粒子のモード、これは破砕過程において生成されるとされてございます。5~30μmという粒径のピークをもつと。それから、蓄積モードというのがございまして、これは凝結したり凝固によって形成されるというもの。それが大体1桁落ちぐらいの粒径の分布のピークをもつと。それから、各形成モードということで、これは燃焼過程で生成されたもので、さらに1桁落ちぐらいの粒径分布のピークをもつものであるというふうにされてございます。3号機のガレキ撤去作業でございますけれども、これに伴って飛散した放射性セシウムの降下量の計算では、簡便に計算する手段として、SPEEDIに予め組み込まれている地表への沈着速度というのがございます。これは乾式の沈着速度として0.001m/sという数字で設定されてございます。これに相当する粒径としては、約2.5μmというものが仮定されます。として、原子力規制庁として評価された飛散量1.1×1011Bqを用いて計算したものでございます。この1.1×1011Bqの計算につきましては、この場で、10月ですか、報告があった――御審議いただいたものでございますが、参考3という形で後ろのほうにつけてございます。本来、重力沈降といったものを考慮する必要があるような粗大粒子の拡散計算にSPEEDIをそのまま用いることは、技術的な限界があると考えてございまして、本計算結果につきましては、近くの距離につきましては過小に、また、より遠くのほうには過大に評価している可能性があるということを十分お含みおきいただければというふうに考えてございます。その上で、次の6ページの表でございます。この表はセシウムの降下量の実測値と計算値を並べたものでございまして、これ自体がどうのこうのという比較を本来すべきものではないかもしれませんけれども、先ほどのデータの実測値として出てございます5点(5地点)のところの実測値を数字に並べさせていただいたものが実測値として書いてある欄のところでございまして、郡山が3万4,000、浪江が580、福浦が1,100等々と並べてございます。これに対して、計算値として書きましたのが、SPEEDIを用いて計算した値でございます。この位置における値ということになります。これを比較いたしますと、下の四角に書いてございますが、平成25年8月に高い実測値を示した双葉町(郡山)、また南相馬の福浦の計算値が実測値に占める割合としては0.4~1.1というパーセントオーダーで、そういう数字になるということでございます。それから、もう一つ計算したものを挙げてございます。これは放射線セシウムの降下量ということで、7ページの縦軸が計算値の数字、放射性セシウムの降下量の計算値でございまして、横軸が3号機からの距離を1kmごとに計算値でプロットした数字を並べてみたものでございます。これに示してございますとおり、これは右上の図でちょっと赤く――細かくて恐縮でございますけれども、オレンジ色で囲ってあるところが、玄米が食品の基準値を超えた地点というところが赤いプロットになってございまして、ここと3号機のところを直線で結んだ線、この線上における計算値を並べたものでございます。こうやって見ますと、玄米が基準値を超えた地点というのが概ね12kmと21kmというところでございますけれども、ここにおける計算値は、それぞれ30Bq、12Bqという値でございます。なお、ここに参考に書いてございますけれども、このもとになりました農水省の調査結果というところを抜粋してございますが、放射性セシウムの降下量1,000Bq、これは/m2でございますけれども、この降下量が、玄米への影響を試算すると100Bq/kgの上昇というものがあり得るということを、この農水省の調査結果には言われております。まとめでございます。これは、大きな一つ目としては、放射性セシウムの実測値が平成25年の8月のみに顕著な上昇を示した地点は、3号機から3kmの距離にある双葉町(郡山)地点だけであったと。それから、二つ目のガレキ撤去に伴って飛散した粒子の粒径を約2.5μmと仮定して、SPEEDIを用いて、放射性セシウムの降下量を計算した結果としては、高い実測値を示した郡山、福浦について、計算値が実測値に占める割合は0.4~1.1%。それから、玄米の基準値を超えた地点における計算値は、30Bqと12Bqという値になると。これらの値は、平成25年度産米の南相馬市の基準値超過に関する調査結果で言及された1,000Bq/m2と比較して2桁ほど低いという結論でございます。この後、下のところに細かい――くどいようですが。SPEEDIの限界というものをここに記載してございますけれども、ここは省略させていただきます。なお、参考資料でございますが、降下物の、月間降下物のどういうふうに測定しているかというのは参考1に示してございます。一般的な採取・測定方法ということでまとめさせていただいておりますが、水盤に水を張りまして、その中に1カ月間降下してくるものを全てその水でキャッチしまして、それを容器に移し替えて処理等を行いまして、前処理等を行いまして測定をするという、こういう工程になってございます。ですので、この水盤のところにはいろんなものが落ちてくるというようなことが大前提的な絵となっております。それから、参考2のほうでございますけれども、これはSPEEDIによる計算条件ということでまとめさせていただきました。このSPEEDIの計算の範囲としましては、100km四方という計算範囲でございまして、それから気象条件としては、ここの下に書いてございますけど、入力の気象データとしましては、気象庁の予報モデルに加えてAMeDASのデータ、それから、現地で実際にモニタリングステーション等で観測された観測データというものがここに入力されるということでございます。それから、③の濃度、線量計算の――これ、気象計算につきましては、12時間、8月19日の朝6時~夕方の18時まで。それから、濃度・線量計算のほうとしましては、朝の9時~夕方の18時という、9時間の計算値にしてございます。それから、放出高さとしましては、原子炉建屋の5階のオペレーションフロアの高さということで、40mというふうに入力させていただいております。それから、飛散量としましては、これは参考3に書いてございます飛散量の評価した数値の放出の時間と飛散量をそれぞれ入力したものでございます。入力条件としては以上でございます。参考3のほうは、この場で説明済みのものでございますので、省略させていただきます。以上でございます。

○更田委員:
渡邊先生、どうぞ。

○渡邊特任教授:
すみません、あまり時間がないところを申し訳ないんですが。幾つか今の御報告について、ちょっと細かいところまでお話をしてもあまりいいことではないと思いますので、幾つか、ちょっと訂正というか、理解が違うところについて、ちょっとお話をさせていただきたいと思います。まず、今日、差し替えた②ということなんですが、郡山しか出ていないというんですけども、浪江も、それから南相馬も、それから原町も相対的に上がっていますけども、これはどんなふうに考えているのか。やっぱりこれはここしか出ていない――たくさん出ているのは、顕著に出ているのは確かに郡山なんですが、そういう意味では、ほかのほうもやはり少し出ているのではないかというふうに思います。相対的に、6月というのは、実はこれは事業者のほうからもこの委員会でもお話しになったんですが、ちょうど水蒸気問題が起こっていた時期なんですね。この辺との関わりというのは、どんなふうに考えたのかということもあって、この辺、もうちょっとやっぱり注目していただく、今後のいわば対策の中で注目していただきたい点だというふうに思います。それから、セシウムのSPEEDIの問題なんですが、これは前回の更田委員との神話問題になりますのであまりしたくないんですけれども。ただ、私は今の規制庁のお考えを聞いた段階では、これはSPEEDIで基本的には8月19日の期間は表わすことができなかったという結論だけなんじゃないかというふうに思うんです。ただですね、ぜひ、これは規制庁さんのほうでも注意してほしいんですが、地方の新聞では、8月19日はなかったという報告になっているんです。放出がなかった。現象そのものがなかった。起こるはずがないというふうに伝えられています。これは地方の新聞を見ていただければわかりますが。そういうことの中で、例えば農水省関係、あるいは県なんかも含めて、詳細な実は検討が今でもされていますし、農水省の国については、間もなくまた最終答案が出るというふうに伺っていますけれども、その上で、規制庁さんのほうでいわば放出がなかった、要するに放出がなかったということについて懸念が持たれているという、こういう実態があります。ですから、今日聞いた段階では、ちょっと私は安心したんですが、少なくとも今持っているSPEEDIでは表現できなかったというこの結論については、私はよく理解できます。ただ、ぜひ、これ、口幅ったい言い方で申し訳ないんですが、私もエンドユーザーなんですけど、今、もうSPEEDIを使う時代というか、3.11以降、ものすごく進化しているんですよ。ですから、こういう試算問題については、ぜひ、例えば原子力規制庁が所属している環境省の中にも、あるいは応援していただいているJAEAさんの中にも、あるいはJAMSTECとか気象庁とか、そういう機関の中ですごく今はモデルが非常によくなっています。しかも粒子別にそれを表現できる、そういうモデルもできています。ですから、福島県にとっては、こういう問題が出たときに、やっぱり全国的な英知を集めてやっているんだという、そういう気迫といいますか、そういう熱意が欲しいんですね。ですから、そういう意味では、今回のまとめに私、異論があるわけではないんですが、要するにSPEEDIで3,400Bqというふうにあった双葉の郡山のこれが0.4%しか表現されていない。私どもモデルを使った人間から言えば、あくまでもモデルはDiagnosticに使うべき問題であって、あるかないかということを証明するために使える問題ではないです。その辺は、神話説には一定程度私理解しているつもりなんですが。ですから、そういう意味では、やっぱりSPEEDIを使って3,400Bqを証明しなきゃいけないというぐらいの感覚で使っていただかないとまずいのではないかと。それから、もう一つ、客観的データという点から言えば、これは研究者も含めてですね、私、前にもお話をしたかもしれませんが、丸森という60km離れたところで、この日600倍ぐらいになっているんですよ。そういう意味では、粒子を2.5μmでやるということも、実は今私たちが観測しているところの粒径では一番少ないところの粒径です。一番濃度が高いのは、やっぱり0.3μmぐらいの非常に細かい粒子ですし、それから、やっぱり大きい粒子で言うと、4μm以上ぐらいの粒子が粒子別では非常に濃度が高くなっていますので、そういう意味では、粒子としてもSPEEDIというのはちょっとやっぱりこれではまずいだろうというふうに思います。それから、沈着速度も――これは間もなくいろんな国際会議も開かれるんですが、1mmというのは、いかんせん、ちょっと小さ過ぎます。これは自分ではかっていてびっくりするんですが、4m/sみたいな大きなものが実は出てきています。理由はわかりません。再飛散も含めて、近くからの飛散問題が入るのかというんですが、私のところでは24mぐらいの高いビルの上ではかっているんですけども、それでも4~5mのm/sくらいの沈着率が出るというのは一体何なんだということがありますのでね。そういう意味では、福島の原発事故というのは、いろんな意味で新しい知見が出ていますので、その辺も含めて、ぜひ御検討いただきたいと思いますし、その意味では適切な、いわば評価方法を、モデルをぜひ使っていただいて、進化したモデルを使っていただいて、評価方法を検討していただければありがたいということだけお願いしておきたいと思います。

○更田委員:
お答えしないほうがいいのかもしれないですけど、お答えさせていただきます。まず、SPEEDIでそれぞれの各地点の降下物を――SPEEDIじゃなくてもいいです、どんなシミュレーションモデルでも、これを表現しようとすると、全ての放出源を把握しなきゃならない。近くの山から来るもの、木から来るもの、いろんな降ってくる降下物を、表現とおっしゃいましたけど、再現しようとすると、あらゆるソースを今度は特定しなきゃならない。これは別にSPEEDIでなくても、ソースの特定が難しいので、どんなツールを使ってもなかなか難しいことだろうとは思います。それから、SPEEDIは、こういった使い方に関して言うと、もちろん粒子径であるとか、それから沈降であるとかということに関して、まだ不足している部分はあるけれど、使い方としては、これは正しい使い方だと思っているのは、既に起きてしまって、気候条件もわかっていて、放出量も近くのモニタリングからわかっている、過去のものを検証するというのは、こういうツールに関しては、非常にいいツールだと私は……。非常にいいというのはちょっと語弊があるな。なかなかいいツールだと思っています。さらにその後の進化も取り入れて、もっといいツールが生まれてくれば、さらに現場検証にとっては非常にいいツールだと思います。ただし、御承知のようなことに、将来のことを予測するのには不向きだと。これは自信を持って申し上げております。私は、SPEEDIは、だから何で「P」という名前を入れてしまったんだと思っているんです。PredictionのPが入っている。だけど、SPEEDIは何もPredictするわけではなくて、将来の気象データ、予想されている気象データや、SPEEDI自身は拡散を見るもので、拡散、沈降を見るもので、Pの要素がどこに入ってくるかといったら、これは気象予測のほうに入ってきて。何でPが入ってしまったのか、私、経緯はよく知りませんけれども、将来のことを予測するツールではなくて、こういう現場検証に使うのには――もちろん、さらにいろんなツールがあるだろうと思いますので、それはそういったツールをこういった過去の検証に使っていけばいいんだろうと思っています。それから、これに関して放出がないとか云々ということを申し上げているつもりは全くありません。ある一定の放出量を仮定して、こういった計算をしていることからもわかるように、当然、エリア内ではモニター鳴っているわけですから、ダストの作業に伴って放出――ダストの噴出があったことは間違いない。ただ、それと玄米の汚染との関連において、こういった評価をしているということです。もう、これは先生、以前指摘をされましたけど、福島第一原子力発電所事故において、まだまだ私たちは捕捉し切れていない、把握し切れていない汚染があると。それは風なり降雨なり、いろんなものによって、また降ってきてしまうというのが一定程度あるのは、これは、こういった水盤を置いてはかっていて、これだけ検知されることからも明らかなので。これに関して、経路を把握するというのは非常に難しいであるとは思いますけれども、それから、ダストの放出に関しては、予防のための措置を十分に組むことが大前提ではありますけども。ただ、間違った犯人を犯人にしてしまうと、真犯人を逃がしてしまうことになりますので、これはやはり――ただし、なかなか真犯人が特定できないでいるというところで偉そうなことは言えないわけですけれども、その努力は続けられるべきであろうというふうに思っています。

○渡邊特任教授:
一つだけ、よろしいでしょうか。

○更田委員:
はい。

○渡邊特任教授:
今の御議論の中で、これはもう粒子自身が2.5μmで仮定をしているというところから、SPEEDIの拡散モデルは基本的に使えない状況になっています。幾らいいモデルであっても、粒子が、そのものを仮定しているということが、拡散状態の沈着方向も全然違ってきます。ですから、その点から言うと、SPEEDIが決していいモデルじゃないというふうに思っていませんけど、ただ、今、もっともっと進化した、粒子をちゃんと粒度別に分けて表現できるものは持っています。それから、もう一つは、いろんなところから沈着なり汚染源があるのではないかと、それはおっしゃるとおりだと思います。しかし、8月19日の現象、これは19日だけに特定できるかどうかわかりませんが、少なくとも一定程度合理的に、例えば郡山の濃度ですね、これを説明するとか、あるいは我々が観測していた丸森の60km離れたところでの200倍の濃度を表現するとかというモデルは、既に私たちは持っています。ですから、モデルは少なくともきちっと事実を証明するものだという観点からすれば、必ずしも例えば地上とか森林からの再放出をしなくても、一定程度の大気の状況の中で、今の郡山の濃度とか、あるいはその周辺での濃度の上昇に相当するような拡散モデルで実態全体を説明することは今できています。ですから、今、更田委員がお話しになったように、いっぱい汚染源が、どこから汚染されたかわからないじゃないかというのは、もちろんそれは考えなきゃいけないんですけど、今の東京電力から出された、いわば放出量からすると、決して矛盾がないような形で説明することは今できますので。そういう意味では、だからそれが絶対だったから、じゃあ、8月19日に本当に起こったのかと、起こる可能性がかなり高くですね、そういうモデルは表現できているというのが正確であって、じゃあ、8月19日に特定できるかといったら、物質同定の問題や何かもありますから、おっしゃるとおり、8月19日だけに依存していたかどうかということはわかりません。ただ、それだけの量に飛散するべき、いわばそれを証明するぐらいの量が、やっぱりかなり広範囲に汚染されたということは、今の改良されたモデルの中では説明できているということだけはぜひ、御理解をいただきたいと思います。

○更田委員:
ちょっと、研究者、学会でのやりとりみたいになりそうですけど、表現できるモデルがあるということと、そのモデルが予測している結果が事実であるということには違いがありますので。ですので、表現できるモデルがあるということは、それはその分野の方として当然の主張だと思いますし、それから、こういったモデルに関しては進化もあるし。それから、粒子径に関しては湿性沈着・乾性沈着、それぞれ粒子径によって著しく挙動が異なりますので、それぞれについての知見がまだまだ足りていない部分もあって。ですから、一番これで、この解析でも悩むのは、一体、出ていったものがどのくらいの粒径で行ったのかというのが、残念ながら捕捉できていないので、それの仮定の置き方によって結果は大きく依存するところがあるんだろうと思います。表現できるモデルがあるということと、そのモデルが与えている結果というのに対して、どれだけの信頼度を置くかということに関して、これは決定的な情報が得られていない中では、なかなか信頼の置き方の問題であるというふうに思います。

○渡邊特任教授:
一つだけお願いなんですが、要するに今日の結論であると問題ないんですけど、ただ、事象が起こらなかったという話になってしまうと、これは19日かどうかという議論は私抜きにしてですよ、これがいわば事象が起こっていなかったんだという話になってくると、新聞報道の中でですね、これはやっぱり一つ大きな問題になりますので。一つは、ですからやっぱり今のお話のように、厳密に科学的な状態に基づいて、少なくともこれではこうだったんだという結論をオーバーランしないで御報告いただかないと、何か全体的にSPEEDIが完璧にいわば事象を捉えていて、SPEEDIで表現できなかったから実は汚染がなかったんだというふうに報道でありますので。その辺は別に規制庁さんの意図ではないんだと思うんですが、ぜひ、その辺は御注意いただきたいということが一つです。それから、私どもSPEEDIの中については、粒子径というのは、多分、このSPEEDIの中では、先ほど重力沈着の問題がありましたけど、基本的には多分、このSPEEDIの中では、現場の汚染は説明できないと思います。50mのところでは。要するに、重力沈着でかなり大きい粒子から小さい粒子までまざっていないと、要するにあそこの構内の中で、言ってみれば、被ばくしたという人たちの被ばく線量というのは、多分説明できないんだと思うんです。このSPEEDIのモデルではですね。2.5μmの粒径では。ですから、そういう意味では2.5μm以上の大きい粒子も恐らくあって、しかも、ですから飛散した段階でそれが沈着していったという、そういうプロセスを多分仮定しての表現だというふうに私は思うんですが。そういうことも含めて、やっぱりこれは、それだけ、線量が上がったという事実をやっぱりきちんと証明できるものであってほしいと思いますし、今後も、例えばこういう事象が私はないことを祈りますし、あってはいけないことで、いろんな監視体制を組んでいただいておりますけれども、そういうことも含めて、SPEEDIのバージョンアップ、あるいはSPEEDIの検討というものをぜひされたらいいのではないかというふうに思います。以上です。

○更田委員:
これは資料でも触れておりますけども、放出の事実がなかったとは一言も書いておりませんし、事実があった上での影響度ですので、その点はあるかと思います。

○渡邊特任教授:
はい。

○更田委員:
角山先生、どうぞ。

○角山特任顧問:
実測値に関しては、先ほどの御説明で水盤ということで誤差が大きいと。やっぱり99.何%合うならですね、合わないというのは、なかなか次の議論ができない比較論かなと思うんです。もう一つ、実測値としては県で、モニターで浪江の役場まで、たしか、わずかですけど明らかに空間線量が上がって、30分ぐらいで浪江の役場まで伝達している。やはりそういう測定されたもの全てに関して比較してぜひ出していただきたいと思います。

○更田委員:
これはなかなか規制当局だけで手の届かないところがあるんですけれども、沈下量の測定に関しても、それからダストの測定等についても、これは大分、例えば福島第一原子力発電所のエリア内に関して言うと、ダストモニター、ダストの捕捉に関して、モニタリングを強化してもらっていますので。ですので、こういうことがあってはならないけど、あってはならないということと起きないと仮定するというのは、神話を想定するというのは、また別問題ですので、こういうことがあったときに、今度はダストモニターがあれば、粒径に関する情報全てを捕捉するわけではないけれども、粒径に関する情報も得られるし、そういう意味では、もう少し確度の高い議論ができる素地はあると思います。それから、角山先生御指摘のサイト外について言うと、エリアモニタ、それからダストサンプリング、降下物の測定等々がありますけども、今後、これもやはり自治体の努力、それから事業者の努力もあるでしょうけれども、こういった監視に関しての質を高めていくというのは、引き続き重要であろうというふうに思います。

○渡邊特任教授:
1点だけ、いいですか。

○更田委員:
どうぞ。

○渡邊特任教授:
お願いなんですが、結局、飛散問題を、これも報道でしか私たちは知らされていないんですが、この特定原子力施設監視・評価検討会の中で、例えば飛散防止剤の検討で、いろんな飛散防止を検討されて、これが適切だという形で認可されて使っているというふうに思うんですね。ただ、問題は、今回なんかの問題は、飛散防止剤の使用方法が,これも報道でしかないんですが、10倍に薄められたとか、1回まいてから、2日、3日たってから、また瓦礫処理をしたとかというのが報道で騒がれていますけれども、そういうものの監視体制というか、実施体制というのは、それは事業者の責任であることは確かなんだと思うんですが、そういうものを守るための問題というのは、何か組織的にできないものなのかなと思うんですが、この辺については何かございますでしょうか。

○更田委員:
数回前の特定原子力施設監視・評価検討会で、希釈し過ぎた防止剤について報告を受けて、そこでも議論をいたしましたけれども。確かにこれ、要するに粉じんが舞うのを防止するために防止剤をまく際に、きちんと使用するための手順がきちんと守られているかどうか。これは、そこにどこまで規制当局がコミットできるかとなると、これは恐らく規制庁の職員が全ての作業に一緒についてやらないと、そこまで確認できないで、これは現実的には無理ですので。ただ、手順であるとか、それから実施計画の保安規定に相当する部分において手順等々をきちんと確認していく。それから、これは品質保証体制の問題でもあるので、QMSの確認を通じて行っていく。それから、現地事務所の規制庁さんに負うところは非常に大きいですけれども、作業の節目節目できちんと監視をしていくということになると思います。すみません、ちょっと紋切型の答えになりますけれども。ただ、飛散防止剤だけではありませんし、それから今後違ったフェーズの作業に入ってまいりますので、それぞれの監視のあり方については、これはきちんと考えていきたいと思います。ありがとうございました。よろしいでしょうか。いつものペースで1時間過ぎという感じになっておりますけれども、本日予定した議題で、もう一つ、福島第一原子力発電所に係る事故故障等の報告基準の見直しについて、武山事故対処室長のほうから説明してもらいます。

○武山事故対処室長:
資料5を御覧ください。本件は、実は昨年の10月3日の特定原子力施設監視・評価検討会においても御報告をしたものなんですけれども、その後、当方のほうで検討を重ねた結果、今年の1月28日の原子力規制委員会において、次の方針で見直すということになったということでございます。まず、最初は1.でございますけれども、方針として、まず、福島第一原子力発電所に関しては、原子力災害対策特別措置法に基づいて報告がなされています。これは事故故障等を含む発電所の状況全般についてでございますけれども、そういう状況を踏まえたときに、いわゆる原子炉等規制法に基づく報告を求める対象というものについては、人の健康及び環境に影響を及ぼすおそれのある事象を中心とするということがまず合理的であろうということでございます。2として、そのような方針で、汚染水の漏えいに関してですけれども、それについては、原子炉等規制法による報告の対象について、次のところは外してはどうかということになりました。一番最初、まず、実施計画において構造上漏えい防止機能が求められている機器の損傷による漏えいも含めて、いわゆる管理区域内の漏えいであって、漏えい水が堰の中に留まっているという場合です。また、堰の外又は管理区域の外の漏えいであって、漏えい水に含まれる放射性物質の濃度が実施計画において排水が認められている値以下のもの、こういったものについては、炉規制のほうの報告から外すというものです。それから、3.ですけども、排水施設から放出された放射性廃棄物の放射性物質の濃度等が実施計画において排水が認められている値を超えた場合、これを炉規法の対象とすると。4として、気体状の放射性廃棄物の飛散に関しては、現在、「年間放出管理目標値を超えたとき」とか、あるいは「周辺監視区域外の放射性物質の3カ月間の平均濃度が告示濃度を超えたとき」といったものが報告対象になっているんですけども、これらに加えてですね、これらのほかに、次のいずれかに該当する場合も炉規法の対象とするということで、最初、①番は、これは測定値ですね、敷地境界付近における空気中の放射性物質の濃度測定において、告示濃度限度値を超える値が検出されたときと。それから、②番目としては、実施計画で定める「全面マスク着用省略エリア」内における空気中の放射性物質の濃度測定において、放射線業務従事者の呼吸する空気中の濃度限度値の十分の一を超える値が検出されたときと。③番目として、モニタリングポストにおいて、有意な上昇が検出されたときと。こういったもので追加なりをするということになりました。(参考1)、(参考2)に関しては、現行の法令と基準をつけているということでございますので。これらについて、現在、条文化の作業をしておりまして、また原子力規制委員会において、パブコメ等を図るべく、またかけるというふうな段取りになっております。以上でございます。

○更田委員:
本件、御質問、御意見あれば。これはあくまで法律に基づく報告に関する基準の見直しであって、この前提には、1F室(東京電力福島第一原子力発電所事故対策室)初め、原子力規制庁が日常的に福島第一原子力発電所における作業等について報告を受け、日常的な接点があるということを前提にしています。その上で、法律に基づく基準を今説明のあったように見直したというところのものです。高坂さん、どうぞ。

○高坂専門員:
前回、これを御説明いただいたときに、同じように武山事故対処室長さんに質問させていただきました。、やっぱり気になっているのは、1ページの2の①ですね。①で、更田先生が言われたように、日常は25条関係のいろいろ通報とか連絡があるので、規制庁も県の方も含めて、情報を入手して、監視していることは間違いないんですけども、一応、炉規制法の事故報告としての取り扱いについて、こういう形に見直しされたことについて、どういうことで問題ないとされたかのかを、判断基準を教えていただきたいんですけど。というのは、2の①に構造上漏えい防止機能が求められている機器の損傷による漏えいも含めて管理区域内に漏えいしたものであって、漏えい水が地下への浸透防止措置が施されている堰内に留まっているものについては除くと規定されていますが、構造上漏えい防止機能が求められているというのは、技術基準で、放射性液体廃棄物貯蔵設備については、できるだけ漏えいがし難いい構造であることという規制要求があって、その上に万一の漏えいした場合には堰を設けるということで、堰内にとどまっていたとしても、構造上漏えいしやすいものは許容しないというのが従来の規制要求だったのです。それを緩めたということは、堰の容量は、御承知のとおり、堰内に設置されているものの中で一番大きなタンク一基が全量漏れてもその量を溜められるようになっていますので、大きな漏えいがあっても、堰内にとどまっていれば良いということになり、フランジタンクをやめて、溶接タンクにした経過に矛盾し、屋外にある汚染水をためている貯水タンクは漏えいしても、炉規制法の事故扱いにはならず、許容されてしまって問題はないのかということです。25条で見ているから良いという話にはならないのではと思いますが。それがもう一つと。それから堰は、万一漏えいした場合に、漏えいの拡大を防止するという万一の対策だったものです。それが今回は、堰内に漏えい水が溜まっているということを要件にするのであれば、それがきちんとしたシール機能を持っているかということを担保しなくちゃいけないので、それに対して、検査等で確認する必要があると思います。現場では、東京電力のほうで苦労して堰の工事を進めてきていますが、漏えいしないように堰内からの漏えい防止をやったり、色んなことをやっていると思いますけど、まだ、完全に目地のシールや貫通部の隙間充填等が終わっているいないところとかが見られます。そうした場合に、ここで堰内からの漏えいが無いことを完全に担保するのであれば、検査等でできちんと見ていくとか、そういうことが必要じゃないかと思うんですけど、その辺の御見解はいかがなんでしょうか。

○更田委員:
ちょっと先に、表現上の問題でですけど、「許す」という。これは規制上決して許すわけではなくて、62条に基づく報告を要しないとするのであって、漏えいを許すわけでは全くありませんので、これははっきりさせておかないと、規制当局がそれだけの漏えいを許容するかのように――これは決して許容するわけではなくて、62条に基づく報告を要しないとしているだけであって、全く許容するものでありませんので、ちょっと表現上の訂正をさせていただきます。今の高坂さんの御発言ですけども。

○高坂専門員:
わかりました。

○更田委員:
武山事故対処室長、どうぞ。

○武山事故対処室長:
今回、おっしゃったとおり、この62条の3というのは、別にこれでとらないからといって、それを許しているというわけではないということですね。これはあくまでも1.であるように、人の健康と環境に影響を及ぼすおそれのある事象を中心とするという思想のもとでやっています。前回、実は10月3日のときに御質問があって、その直近で起きた、弁が割れちゃって漏えいしちゃったというやつについて、とるのかとらないのかという話があって、その当時はとるということでやっていたんですけど、やはり先ほど言った1.の方針というものにすべきだということになりまして、2のほうでそのような手当てをしたということでございます。また、堰のシール性の問題ですね、これについては、確かに検査という形では、使用前検査とかという形ではやっていない……。

○金城室長:
寸法は見ている。

○武山事故対処室長:
寸法は見ているということですね。ですけれども、当然ながら、実施計画の審査、あるいは保安検査官がそういったものについての状況を見たりということでしていますので、そういうことで担保はされているというふうに考えています。

○高坂専門員:
わかりました。いずれにしろ、許容するものではないという話が確認できたのでいいんですけども、実際は、やっぱり運用を考えて、福島の実情から見ると、事故報告扱いしないで、こういう扱いにするということで、原子力規制委員会のほうではほぼ決定されたということで、分かりました。その辺は、きちんと現場の検査官が見ていくということであれば、それでいいと思いますけど。

○更田委員:
ほかによろしいでしょうか。失礼。角山先生、先ほど手が挙がっていた。

○角山教育研究特別顧問:
福島側で高坂委員等と議論している中で、今回、事故が続いたので、その中で、今回、炉規法と書いてありますが、一方、労働基準法ですね、要するに放射線に関わると労働基準法になって、今回のように新しいタンクですと労働基準法、もう一方は炉規法という。縦割りで見られると、その間に落ちがないのかなという心配の議論があったんですが、できればサイト内は規制庁が全体を見るとか、そういうことはできないのかなというコメントです。意見です。

○武山事故対処室長:
御存知のとおり、法律でですね、やはりどうしても法律は国会で決まっているものですから、それに従って我々が仕事をしているものですから。また、人の障害という意味からすると、15ページに、我々のほう、実は人の障害に関してとることができるケースがあります。これは施設が原因で、例えば施設が何か爆発したりとかして、人がけがしちゃったとか、こういう場合にはとるんですけれども、今回のような作業に起因するもの、これはむしろ労働基準監督署のほうの強力な法律に基づく権限がありますので、そちらのほうでやっているということでございます。当然、我々のほうは、原災法の25条で報告はいただいておりますけれども、一応、そういう仕切りでやっています。

○更田委員:
山本先生。

○山本教授:
2ページ目の②と③につきまして、これは報告対象とされるというふうに、こういうふうにされる考え方をもう少し補足説明いただけますでしょうか。

○武山事故対処室長:
まず①番は、これはモニタリングポストのところのいわゆる濃度上昇ということを、瞬時な濃度上昇に対して対応できるようにするということなんですけども、①番で捕捉できないようなケースというのがありますので、それを②番とかで、あるいは③というところで補うと、こういう形で考えています。

○山本教授:
例えば②番だと、1/10という値が設定されているんですけれども、こういう値を設定された根拠ですね。あと、③番については、例えば自然現象で有意な上昇が発生することが当然あるんですけれども、そういう場合はどう考えるかという。

○武山事故対処室長:
②番は、これは先ほどの議題の中にも、実は同じ1/10という数字が出ました。これは基本的には東京電力の管理というものを考えたときに、これを超えたときには、やはり異常だということで、それを準用した形になっていると。それから、③番は、当然、自然に上昇するということもあり得るので、この有意な上昇をどの程度で考えるかなんですけども、今のところ、これは10月3日の委員会でもちょっと御紹介したんですけど、今のところ、我々は、2μSv/hぐらいの上がりであれば、これは自然に上がることはまずないでしょうということで、そこら辺、辺りを考えているということでございます。

○更田委員:
ちょっと補足をしますと、まず、先ほどの空気中の濃度限度値の1/10という話、保守的ならそれでいいというわけではないというのは――なんですけれども、その是非は別として、今、この1/10というのは実施計画で書かれている値で、東京電力から申請のあった実施計画の中で、この1/10という値がとられています。私たちが事故報告の基準を設けるのに、これよりも上にするというのは、つじつまが合いませんので。実施計画の変更がなされて、例えばこれを1/5にしますとか、1/2にしますというのがあれば、その時点でまたこちらのほうも合わせて変更というのがあり得るとは思いますけれども、実施計画の値をとったということが根拠になります。それから、モニタリングポストにとって有意な、これは2μ程度ということであれば、これはそうであればということと、ここはやはり空間線量率に関しては、しばらく、当面ですね、かなり感度を上げておいていいのではないかと。その影響の大きさですとか――影響の大きさというのは、実質的な本来の影響だけではなくて、福島第一原子力発電所に注がれている関心の高さ、懸念も含めて考えれば、こういう有意な上昇を捉えて報告を受けるというのは、ふさわしいのではないかというふうに考えます。

○金城室長:
ちょっと補足をさせていただきたいと思いますけど。今、更田のほうから説明のありましたこの基準の件なんですけれども、ここは実施計画で定めるという部分は、当然、補足があったら説明いただきたいんですけど、一応、全面マスク着用省略エリア内における濃度の測定の手段について規定はありますけれども、この限度値については、その下のマニュアルで定められているというふうにこちらは認識しております。それでよろしいですか。

○白木(東電):
金城室長の御理解のとおりでございます。実施計画には具体的な数字はなくて、測定するという記載ぶりだけでございます。

○更田委員:
今の金城さんの質問は、実施計画の記載か、その下位文書かという質問ですよね。

○金城室長:
はい。

○更田委員:
どっちでもいいんですけども。以上で予定した五つの議題、その他が特になければということですけど。資料1~5、議題に沿って議論を進めてきました。参考資料の中で、参考2とされているのは、福島第一原子力発電所だけではなくて、福島第二、柏崎刈羽で発生した人身災害について説明されている資料ですけれども、この特定原子力施設監視・評価検討会のちょっと範囲を超えるところもあって。ただ、参考資料として配付をしましたので、御参照いただければと思います。それでは、次回の特定原子力施設監視・評価検討会ですけども、海側の配管トレンチの閉塞に関して言うと、3号機に関しては水平部の作業がもう既に進んでいると。2号機に関して言うと、AとDの立坑の閉塞を進めてもらって、その上でB、Cの、先ほど申し上げたことの繰り返しですけど、B、Cの監視を続けて、AとDの立坑閉塞状況の進捗と、それからB、Cの監視状態をあわせて報告をしてもらうということが、恐らく次回の海側トレンチに関しては議題になるだろうと思います。その上で、今日、またもう一回やりましょうと言った議題もありますし、それから、先ほどの冒頭にやったリスクの低減目標マップに関しては、その精緻化や、よりきちんとしメッセージを伝えるための工夫というのがあろうと思いますので、これは適宜、作業の進捗、検討の進捗に合わせて、次回議題に取り上げるかどうかは決めたいと思います。作業から考えて、概ね3週間から1カ月ぐらいが目途ではないかとは思いますけども。ですので、ちょっと皆さんの予定も確認の上で、大体3週間ぐらい先になるんじゃないかと思いますけれども、次回の予定を立てたいと思いますので、また改めて、日程については確認の上、連絡をさせていただきたいと思います。それでは、以上で第31回の特定原子力施設監視・評価検討会を終了いたします。どうもありがとうございました。

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