2011年4月26日火曜日

脱原発に動かない理由

日本が原発導入した理由

・原発導入のシナリオ ~ 冷戦下の対日原子力戦略
 http://video.google.com/videoplay?docid=-584388328765617134#
 なぜ、日本は原発を導入したのか、このビデオを見ればよくわかる。ここを読む前に、NHKが作成した資料番組を見てほしい。

・文科省 放射能を正しく理解するために
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/04/1305174.htm
ご丁寧に子供向けにも通達文章(PDF)を作成している。 

安全基準値 20mSv/年へ引き上げた理由。
国際放射線防護委員会(ICRP)のPublication109(緊急時被ばくの状況における公衆の防護のための助言)によれば、事故継続等の緊急時の 状況における基準である20~100mSv/年を適用する地域と、事故収束後の基準である1~20mSv/年を適用する地域の併存を認めている。また、 ICRPは、2007年勧告を踏まえ、本年3月21日に改めて「今回のような非常事態が収束した後の一般公衆における参考レベル(※1)として、 1~20mSv/年の範囲で考えることも可能」とする内容の声明を出している。
 ICRP(国際放射線防護委員会) は、上記番組にあるように日本に原発を導入に深く関わった機関。要するに現在の空間放射線量から逆算して、避難区域を広げないために、安全基準値を20倍に引き上げている。 20mSv/年 という値は、癌、白血病になった場合、労災と認められるレベル。

この非人道的な値は、国内のみならず世界中、特にチェルノブイリを経験したヨーロッパの人たち、専門家が驚いている。

http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/04/21/1305089_2.pdf

毎時3.8マイクロシーベルト未満の区域
– 普通に生活して支障はありません。

毎時2.2マイクロシーベルト以上 3.8マイクロシーベルト未満の区域
(一日平均8時間程度の屋外活動であれば、1年間の積算で20ミリシーベルト(=20,000マイクロシーベルト )以下となりま

毎時2.2マイクロシーベルト未満の区域
(一日24時間屋外で過ごしたとしても、1年間の積算で20ミリシーベルト(=20,000マイクロシーベルト )以下となります。これまで通り、普通に生活しても支障はありません。 )
ICRP の勧告はチェルノブイリの健康被害は放射能との因果関係はないとして内部被爆は一切考慮されておらず、示された安全基準値は 50mSv/年と非常に高い値であったため、ECCR放射線リスク欧州委員会)は、チェルノブイリの健康被害から算定した 5mSv/年 を避難指示区域、 2mSv/年 を安全基準値とした。そして、日本は更に高い安全基準を世界にアピールするため、 1mSv/年 を安全基準値とした経緯がある。

ところが、こと問題が起きてみると 20倍の 20mSv/年 に引き上げる。都合に合わせて基準値を上げたら何のための基準値なのか。しかも、公式な会議は一切開かず、議事録も一切なく、2時間あまりで 20mSv/年 を決定している。しかも、メディアはNHKも含め、この決定について一切報道していない。

これ以上、避難区域が広がれば国の原子力政策は立ちゆかなくなる、世界経済にも影響が及ぶという理由から、ICRP も政府も福島県民を見殺しにする事にし、将来的な健康被害は、因果関係を証明できないとする事は目に見えている。

一部の人間の既得権益を守るために人命を犠牲にするという政府判断は本当に理解出来ない。

原発のコスト
今の原発のコストは、製造と運用にかかるコストしか計算しておらず、建設にしても安全性に対するコストで 昔よりも大幅に製造コストが増えている。また、耐用年数と解体にかかる費用、50年に1度の割合で起こる地震で壊れる可能性10%という高リスクと莫大な 補償額、トータル コストを一切計算していない。

メディアぐるみの隠蔽工作
水をポンプで外部から注入する報道をずっと見ていたが、一体、原子炉の中はどうなっているんだろう?ドラえもんの4次元ポケットに繋がっているのか?と誰もが思ったはず。既に原子炉、或いは原子炉につながる配管が破損してそこから放射能物質が漏れ続けているのは誰の目にも明らか。

しかし、東電、原子力安全委員会、政府は、地震による破損はしておらず、津波による電源消失が招いたの一点張り。

一方、メディアでは、 原発推進が前提の番組ばかりを特集。なかでもひどかったのが震災最初の朝生 (2011年3月26日放送) という点ばかりを強調していた。そのメンツがこれ。

勝間和代 , 堀江貴文 , 大塚耕平 , 宋文洲 , 島田保之 , 松本義久 , 池田信夫 , 片山さつき , 猪瀬直樹 , 荻原博子 , 藤城俊夫 , 高橋洋一

特に印象に残っている言葉。言葉尻は違うけど、このような事を発言していた。
  •  「津波さえ来なければこんな事にならなかった。逆に地震で原子炉はビクともしなかった。むしろ、日本の技術力の高さが証明された。誇るべきだ。」
  • 「ほうれん草はおひたしにすれば問題ない。チェルノブイリで証明されている。」
  • 「細胞は遺伝子は傷ついて修復不可能なら自ら死滅する(アポトーシス)。それを司る遺伝子の一部が傷ついた結果、がん細胞化する。(科学好きなら知ってると思う) 2万以上ある遺伝子の特定の箇所が傷つく可能性は低く、放射能を気にする方がおかしい。」
  • 「自動車や自転車だってリスクゼロはないんだから、原発だってなくて当然。」

といった耳を疑うような事をテレビを通じで情報を流していた。

内容は原発擁護のために放送されたデマ番組だった。しかもネットはデマだから信用するなとも言う。NHK をはじめ、各テレビ局は、順調に注水作業が進んでおり安定して原子炉が冷やせていると安心を強調する報道ばかりだった。
 中でも熱心だったのは値を小さく見せかけることだった。年間の積算値を引き合いに、1時間あたりの空間線量値を比較して、マイクロの単位はミリの1/1000 という説明を何度も何度も繰り返し、値が大した値ではないと錯覚するように、どこのメディアも報じていた。

例えば、3.8マイクロSv/時間 の地域であれば、3.8 × 24 で 1日あたりの積算線量は、91.2マイクロSv となり、年間では 91.2 × 365 = 33,228 マイクロSv となる。

マイクロをミリに直すと約 33.3ミリSv/年 となり、チェルノブイリ避難区域の基準を大幅に超えてしまう事になる。

そして、公表されている観測結果の値も、地上から20m地点であったり、観測ではなく予測に基づくものであったり、全く信用できないものとなっている。ほうれん草などの葉物野菜にしても、洗ってから計るように政府が通達しており、土壌検査にしても、地面を掘って底の値を計測し、値を少なく見積もることばかりを考えている。

海洋投棄についても。あれだけの量を注入し続ければ、どこかから漏れ出ているのは誰の目にも明らかであり、実際には放射能物質に触れた高濃度汚染水がたまっていた。その事実はもちろん、東電も政府も認識していない訳がない。

IAEA が土壌からチェルノブイリで避難区域となる放射能が検出されたと警告を出したのに対し、政府、東電は、我々の測定は空気中の線量を計測しているので自分たちの測定結果、基準が正しいと反論している。
 そして大量の汚染水(1万1500トン)を海洋投棄。後に驚いたのは周辺諸国に通達しないで強行した事。避難に対し、「国際的に報告するような値ではないので避難に値しない。」と反発したこと。同じ日本人として情けない。実際は放出3時間前に記者会見での発表のみだった。

この理由について、政府は想定外の問題が続き、海に捨てる以外に方法がなく緊急手段として仕方がなかったと弁明。いや、海水注入し続けていることで、原子炉内部の汚染水が外部に漏れている事は明らかで、以前から国民誰もが分かっている。

(日本人は自分の頭で考えないからわからんだろ、と思っているのは政府、安全委員会、東電、メディアの当事者だけ)

また、汚染水がたまり続けるこの間、アメリカ政府からの支援要請も断っていたらしい。全て自分たちで対応出来るという東電の説明を政府が丸呑みしたのかどうかは知らないが、隠蔽した結果、招いたのではないかという疑惑もある。

その水がどこに行くのかは気になっていたが、記者の質問に対しても冷却システムが破損して漏れ出ている事を否定していた。不測の事態の緊急手段ではなくて、こうなることはわかっていたのに隠蔽といわずしてなんというのか。

情報を隠蔽しているのは連日の辻褄の合わない報道から、誰の目にも明らか。その次元の低さは「這っても黒豆」を字でいく呆れたレベル。とにかく、津波だけが問題で、電源のバックアップがあれば、このような事態は防げたことを印象付けることに躍起になっている。

関西電力でも電源車は確保した、堤防も作る。国から指示された安全対策は完了したとニュースでも大々的に流れていた。

どこかの震災報道番組で、国内最大級を誇る15mの防潮堤が津波により完全に破壊された映像が流れていたが、以来、見かけない。押し寄せるあの津波の映像を見たら、誰だって人間が作った構造物で防ぐことは出来ないことは明らかだ。

海中に沈む堤防は、地上の建造物よりも老朽化が進むということは、専門家でなくても想像に難くないが、電力会社は堤防を作り、電源車を確保することで安全性が確保できるとしている。その根拠は、地震の揺れにより原子炉、配管が壊れなかったという虚偽事実に基づいている。
  • 堤防を作る
  • 電源車を用意する
今回の地震は長周期振動、つまり、遠くでプレート(海底)が動いたことによる大きな横揺れタイプの地震。高層ビルが弱いとされる地震で、大きな津波が発生する特徴がある。

これに対し、阪神淡路は大都市直下型の地震。当時、大阪北部に住んでおり経験したが、先ず、どーんという下から突き上げるような大きな縦ゆれが発生し、横揺れは小刻みに激しく揺れる。低い鉄筋コンクリートの頑丈な建物でさえ破壊するという特徴がある。

神戸に住む連絡の取れない知人を探しさまよい歩いた。先日訪れたばかりの、あの近代的な鉄筋コンクリートの駅が見るも無惨にがれきの山となっていた。

震災以降、これまでの常識では考えられない震度5、6クラスの余震が続いており、プレートが動いたことにより、内陸に局所的に歪が生じているのが原因ではないかと考えられている。

しかも、これまで地震がおきていなかった地域で余震が多発している。原発の立地条件の一つに過去に大きな地震が発生した痕跡がない地域を選んでいるということを聞いたことがある。現在はその常識すら通用しなくなっているという事実に目を背けてはいけない。

もし、阪神淡路クラスの直下型の地震が原発真下で起これば、今回の超周期振動でさえダメージを受けた原子炉、配管(政府は認めていないが)の場合、炉心を安全に停止できるか極めて疑問だ。今回と同様かそれ以上の被害が発生する事になる。

誤解しないで頂きたいのは、電源の確保、防波堤の建造は最低限の安全性を確保するために必要な事に変わりはないという点。そんなもの作るなら、原発を直ちに停止しろという事を言いたいのではないと言うことだ。

事実から目を背け、事故を過小評価する事にばかり頭を使い、自らは変わろうとせず、負担は国民に押し付け、それでも尚、将来的に廃炉、脱原発に向けて動き出さないというのは、既得権益にしがみつく、独占企業と国、メディアの癒着構図にある事については疑いの余地はない。

東電は解体して電力事業の自由化を勧め、再生可能な自然エネルギーへの転換、様々な業種で使用電力の見直しについて真剣に考える時にきている。原発が日本に来た当時と違って今はインターネットという風通しの良いメディアが存在している。この機を逃してはならない。

原発を推進した国、電力会社、政治家、天下り、メディアに対して責任の追及をゆるめてはならない。特にこのような既得権益にしがみつく構造を作ってきた自民党政権の責任は極めて重大、国策として安全を偽り推進してきた責任がある。その既得権益に群がる現政党、政治家も同様に。

あなたが見ているバラエティ番組に出ている芸能人も間接的に関わっている。批判すればテレビ局から仕事がこなくなる事を恐れている人は多い筈。

私も電力会社→広告代理店→デザイン事務所の流れで、プルとくんのような、今となっては洗脳としか言いようがない一方的な情報をCDROMを制作したこともあった。関西電力に幼稚園児がバスにのって見学に来る。

デザイン事務所に就職した一介のサラリーマン。建物に入るまで園児をボディーガードをする、という仕事が、社会人最初の仕事だった。知らないと言うことがどれほどの罪なのだと、今更ながら痛烈に思う。 電力会社との距離が近づくほど、生活がかかってくるので行動が起こせないというのはわからないではないが、勇気をもってこの巨悪に立ち向かわなくてはいけない。

東電サイトを検索

政府・東電 統合会見議事録から検索

規制庁・経産省・文科省から検索