2015年3月11日水曜日

原子力規制委員会 田中委員長記者会見 平成 27年 3月11日(水)17:30~

原子力規制委員会記者会見録

● 日時:平成 27年 3月 11日(水)17:30~
● 場所:原子力規制委員会庁舎 記者会見室
● 対応:田中委員長 他<質疑応答>

● 原文:http://www.nsr.go.jp/data/000099955.pdf
● 録画:https://www.youtube.com/watch?v=YpEl_mJPLNs



○司会
定刻になりましたので、ただ今から原子力規制委員会の定例会見を始めたいと思います。早速ですが、皆様からの質問をお受けしたいと思います。いつものとおり所属と御名前をおっしゃってから質問の方をよろしくお願いいたします。それでは、質問のある方、手を挙げてください。よろしいですか。では、マサノさん、どうぞ。

○記者
フリーのマサノです。よろしくお願いします。ちょっと唐突な質問かも知れないのですけれども、福島第一原発で汚水が相変わらず漏れてきていることを踏まえますと、やはり再稼働の条件として、コアキャッチャーが必要だったのではないかと最近とみに思っているのですが、委員長はどのようにお考えでしょうか。

○田中委員長
難しい質問で、雨水とコアキャッチャーとどういうふうに結び付けられたのだかよく分からないのですけれども。

○記者
つまり炉心溶融してしまった場合、福島第一原発は取り返しのつかないことになっていますね。海岸にあるということで、潮の満ち引きの影響も受けるし、山から来る水、地下水、それから雨水、あらゆるものが炉心を洗う形になって、海洋を汚染するという状況が続いている。そうした場合、日本の全原発が海岸に建っているわけですので、もし事故が起きた場合、今、あらゆる対策を取ってはいますけれども、肝心のメルトダウンした炉心がどこに行ってしまうかというと、やはり下に落ちていくとすれば、今、例えば真っ先に審査をしている川内原発もそうですが、炉心が何か起きた場合、その下部に向かって可搬型のポンプで、人力で冷やすということしかないわけで、そうするとやはりどんどん地面に落ちていくということになると思うのですね。そういう意味で質問させていただきました。

○田中委員長
まず、コアキャッチャーを付ける目的は、燃料が溶けるということですから、メルトダウンした場合しか意味がないわけです。ですから、今、おっしゃったのは明らかに理解が違いますね。コアキャッチャーの目的は、要するに、燃料が溶けてきたときの機能ですから、そのことですね。

○記者
そうです。

○田中委員長
それで、溶けた燃料を冷やしている水、福島第一でいうとRO水なのですが、そのことと、雨水が汚れているというのは、結局水素爆発によってね。

○記者
すみません。フォールアウトによる雨水のことは、すみません、質問から取り除きます。

○田中委員長
だから、フォールアウトでとにかく出た放射能が、雨とか何かで一緒に今、話題のK排水路に流れているということ。

○記者
すみません。この質問からは、K排水路と雨水については、すみません。雨水と私が言いましたが、雨水とK排水路のことは取り除きます。潮の満ち引きに影響を受けることと、地下水。

○田中委員長
だからそれは、潮の満ち引きについての心配は前からあって、海側のタービン建屋の水とつながっているところが、トレンチがあったわけですね。これは今回のような排水路の水と比べると、5桁ぐらい高いのですよ。それをまずとにかく回収するということが最も、汚染水の中では一番最優先の課題として私たちは東電に要求してきた。それは何とかかんとか今、コンクリートを。最初は凍結して、切り離して回収するということはやっていたけれども、うまくいかないということで、結局コンクリートを入れて回収するようになって、一応大分そのリスクはほぼなくなりつつあるというふうに見て、まだ完全に終わっていませんが、一部は残っていますが、大体見えてきたということですね。

○記者
ですので、質問は、福島第一について聞いているのではなくて、再稼働の条件として、そのようなことが起きないようにするための1つの方策として、コアキャッチャーというものが必要だったのではないでしょうか。

○田中委員長
コアキャッチャーというのは、別にコアキャッチャーに相当するような性能があればいいわけです。コアキャッチャーというのは、燃料が溶けた場合にある程度分散させて、冷却ができるようにというところが多分目的だと思うのですが、ひょっとしたらコアキャッチャーだって冷やさなかったら、溶けて逆に水素を発生するのですよ。ですから、溶けた燃料、コアキャッチャーに、仮にあったとしても、そこの溶けた燃料はやはりどんどん水で冷やさないとだめなのです。そういうことを御理解なさって質問されているのか、ちょっと私には質問の趣旨が分からないのです。

○記者
質問の趣旨は、事故がもし。

○田中委員長
そういうときに、外に出ない、放射能を外に出さないために、仮に、万が一そういうシビアアクシデントが起こったとしても、格納容器の機能は守るようにということで、今回も新しい規制ではいろいろな要求をしているわけです。

○記者
長くなりますので、別の質問にします。すみません。

○司会
他にいらっしゃると思いますので、とりあえず1つにしてください。

○記者
分かりました。後にします。

○司会
ホンダさん、どうぞ。

○記者
すみません。日本経済新聞のホンダです。今日、お昼の委員長の訓示でもありましたけれども、今日で東日本大震災と、福島第一原発の発生から4年になりますが、その受け止めをお聞かせいただければ。あともう一点、規制委員会が発足して大体2年半が経過して、委員長の5年間の任期は大体、かなり折り返し地点に近づいてきていると思うのですけれども、これまでの2年半を振り返っての御自身の評価と、今後の課題みたいなものも併せてお聞かせいただければ。よろしくお願いします。

○田中委員長
丸4年たったということで、今日、訓示をさせていただきましたので、あそこに私の思いは全て集約していると受け取っていただければいいと思います。相当それなりに、私なりに考えてまとめましたので。皆さんの手元にはいっているのでしょう。それから、5年の折り返しというのは余り意識しないというか、長いなというのが実感ですね。この2年半本当に、御承知のように全く新しいフェーズの中での規制ということで、私だけではなくて他の委員もそうですし、規制庁の職員の皆さんも、全く従来の意識から抜け出して、新しい規制基準の指針の策定からいろいろなことを審査までやってきたというところで、走りに走っているという状況ではないでしょうかね。私がそれについて、これは全体というか、1人の取組ではありませんので、私は委員長としては全体がきちっと動くように、機能するように、目的を達成するようにということで心を配っているということですけれども、いろいろな評価はそれぞれあると思いますが、私なりに信念を持ってやっているということです。これは、今日も申し上げましたけれども、基本的には変わらない。

○司会
はい、他に。ハナダさん、どうぞ。

○記者
NHKのハナダと申します。2点伺わせていただきたいのですが、今日の委員長の訓示で、事故から4年が経って、一部で事故の教訓を忘れつつある風潮があるというお話があったと思うのですが、これは今の原子力を巡るどのような動きからこのような風潮を感じられたのか、伺わせてください。あともう一点が、今日、国民も立ち止まって、改めて原子力のリスクについて思いをはせる日でもあると思うのですが、委員長として、今日、3月11日に、国民にどのようなことをこの再稼働に向けた手続が進む中、考えてほしいと思っているか、所感を伺わせてください。

○田中委員長
風潮があるというか、時とともに全体、どういうものでもだんだん色あせていくというところはあるのですけれども、それをはっきりと明確に主張する人たちも少なくはないです。いろいろな立場でね。誰とは言いませんし、私はそこまでは余り特定しないほうがいいと思いますけれども、そういう世論もあります。だけれども、そういう世論には決してくじけてはいけないというのが、今日の訓示の大きな趣旨ですね。要するに、やはり福島第一の事故が我々の発足の契機になっていますし、そのことに学ばないということであれば、はっきり申し上げますけれども、原子力はやめたほうがいいと思います。ですから、そういう視点で私は取り組んできているし、みんなもそのつもりでもう一度再確認していただきたいというのが今日の話です。それから、3.11で全国民にというのは、今日の中でもちょっと申し上げましたが、要するに、原発是非と福島の県民の復興の問題とは、私はずっとここに来る前から申し上げていたのだけれども、切り離さなければいけない。そのためにするような言い分が、言い方が多いです。だけれども、現実に私、今でもいろいろな知り合いから、福島の地元から、今日も菅野村長からの手紙も頂きましたので、ちょっと紹介したのだけれども、やはり皆さん何とかしようと思っているところに、足を引っ張るようなね。合理的で正当性があるならいいのですが、科学的に正当性もないのに、ないと言うとまた語弊があるのだけれども、そういうことを十分に考えないで、一見福島県民のためみたいなことで言うことはやめてほしいというのは、私の正直なところです。きちっと、やはり放射線の影響とか何かというのを自分なりにそしゃくして、きちっと分かった上でおっしゃるならいいですけれども、ただただそういうことだけでは。実は私だけではなくて、実際の福島県で避難している人たちが、もうそろそろそういう話には耳を塞ぎつつあるということをよく認識すべきだと思いますね。これはメディアの人にも言えるかも知れません。

○司会
他、いかがでしょうか。クボタさん、どうぞ。

○記者
テレビ東京のクボタと申します。せっかく今日、3月11日ということで、改めて福島第一原発のこれからについてお伺いしたいのですが、汚染水の問題ですとか、これから燃料棒を溶けているものを取り出さなければいけないとか、廃炉に向けて様々な課題がまだまだ待ち受けていると思います。委員長から御覧になって、今、福島第一原発、これからの課題を2つ、3つ上げるとしたら、どういうことがあるのでしょうか。国民に対して分かりやすく説明というか、おっしゃっていただければと思うのです。

○田中委員長
最後に付けた条件は難しいのですけれども、福島第一は、以前から申し上げているし今日も申し上げましたが、たくさんリスクを抱えています。少しずつそれをこなしてきているとは思いますけれども、まだまだ大きなリスクがいっぱいある。廃止措置の過程ではいろいろなことが起こるということなのです。汚染水の問題が非常にクローズアップされていますが、これは前から申し上げているとおり、廃止措置を進める上ではたくさんの汚染水が出てきます。それをきちっと処理していくというような持続性のあるシステムを作っていかないと、多分廃止措置は間もなく行き詰まってくると思います。そういうことで、もっときちっと合理的に、安全を守りつつやるということが大事だと思うのですね。規制基準というのはそういうものです。ついでだから申し上げておきますけれども、告示濃度というのは、あの濃度で0歳から70歳まで毎日、例えば海水だと2ℓ摂取したときに、1mSv生涯線量はある。そういうふうなところから逆算していった濃度なのです。だから、告示濃度を超えたら直ちに不安全になるかとか危険だとかいう、そういうものではないのですね。それくらい相当コンサバティブなレベルに抑えているということも、よく理解していただきたいと思うのです。そうでないと、一つ一つのことで非常にとがった反応をすることになりますので、そこは少し落ち着いて、きちっとステディに進めていく必要があるのだろうということなのです。1Fのこれからについて、分かりやすくと言われてもなかなか難しいのですが、実際に何人かの方は行っていると思いますけれども、1Fの状況、水1つとってみても、あのタンクもスペースがありませんし、廃棄物も最近言われていますが、廃棄物の問題ももっと計画的にちゃんとやってほしいということは私も前から申し上げているし、一昨年廣瀬社長に会ったときも申し上げています。労働環境についても、非常に悪質だから、ここも直してくださいということで随分申し上げていまして、それなりに努力はしています。例えば、今回ビルを作って、休息室を作るとか。給食とか休憩室とか、シャワーを浴びられるような仕組みを作るとかね。実は、プレハブみたいなコンテナハウスみたいなところにずっと今までいたわけですけれども、あれだけ過酷な労働をしながらそういう条件にいたのでは、なかなかやはり人間、リフレッシュできませんから、せめてそういうことができるようにしてもらいたいということも含めて、そういう努力はされていると思うのです。だけれども、多分この闘いはずっと続くのだと思います。それをやはり私どもの立場から言うと、きちっと努力を継続してもらうということが必要だと思っています。だから、なかなか終わりのないような取組という、かなりしんどい取組をお互いにやっていかないといけないということかと思います。

○司会
はい。では、ミヤジマさん、どうぞ。

○記者
FACTAのミヤジマです。今日の訓示の中で、菅野さんの、全て紹介したいというふうに書いておられて、もう少しどんなことを書かれていたのか、可能だったらお話いただきたい。それから、一方で教訓が風化して、風評被害が増幅するという悪循環というお話だと思うのですが、昨日の総理の会見でも、1Fの問題については、現場の対応として規制委員会に、確か積極的関与といような言葉を総理が使っておられましたね。それは正に風評被害というのは、所掌の中でどこへ位置付けられるか分かりませんが、やはり規制委員会に期待されるところが大きいのではないかと思うのですが、その辺のお考えを、先ほどあえてそうおっしゃっているわけなので、風評被害に対して当委員会は5年目、どういうふうに取り組まれるのか、お話を伺いたいのです。

○田中委員長
菅野村長の話は、見ていませんけれども、飯舘村のホームページに出ているかも知れませんね。だけれども、私の方から余りそれ以上は、個人的に頂いたものをちょっと拝借したところがあるので、ああいう声があるのですよということです。それから、安倍総理が積極的に関与していくということは、非常にいい姿勢を示していただいたと思います。今、おっしゃった風評の問題は、どちらかというと規制の問題ではないのですね。だから、前から申し上げていますけれども、いろいろなそういう、典型的なのはまた汚染水ですが、ああいうのが水に、ある程度処理した水でも捨てれば、お魚とか風評被害は出る。それから、福島県全域で見れば、全く関係ないような会津の方まで、すごい風評被害があるわけですね。それをどういうふうに克服していくか、手当てしていくのかというところは、やはり政府全体の仕事だと思いますので、安倍首相がそうおっしゃっていただいたのはいいことだと思います。我々の立場からは、風評被害対策まではちょっとできないと思います。やれるとしたら、リスクはどれぐらいだ、顕在化しないようにきちっと抑えていくという規制の立場からのあれですが、それを信用してもらえるかどうかが、多分風評被害が出るか出ないかの大きな分かれ道になると思いますので、そこかなと思います。

○記者
もう一点だけ伺いますが、今日の訓示で、いわゆる法律の附則にある3年目の見直しですね。これについても枠組みの問題について言及されていますけれども、振り返って、今の規制当局の人・物・金あるいは権限も含めて、やはり何かこれは足りないのではないかというのですか、強化が必要だという言い方なのかどうか分かりませんが、現状が十分と思っておられるのかどうかですね。率直なお考えを、あえてそう書いておられるので伺いたいのです。

○田中委員長
あそこで言う3年目の見直しは、この規制委員会、規制庁を作るときの設置の中で書かれている国会の考え方なので、そういうことが議論される可能性はありますということですが、私自身は、やはりやっと形ができて審査とかいろいろなことも進んできていますので、これを強化する方向での議論は是非やっていただきたいと思いますけれども、ひっくり返すような議論になるのは一番困ると思います。決して今、私たちが抱えている課題から見たら、十分な陣容とかそういうサポート体制があるかというと、そこはいろいろまだまだ課題はあります。実際に具体的に言えば、規制庁の審査部隊とかいろいろな人たちが、毎日何時間残業しているのか分かりませんが、そういう状況が延々と続くというようなことでは本当は困るのだけれども、今は審査1つとってみても物すごい量ですね。ですから、そういう意味では是非いろいろな意味で強化していただきたいと思いますが、ただ、では、人を増やせるかというと、なかなかそういう能力を持った人を確保するのも一方では難しいのです。だから、少しそういうのは長い目できちっと見ていただけるようにしていただければ、この議論は非常に建設的に進むのではないかということを期待しています。実際やるのは国会ですから、私ではないので。

○司会
よろしいですか。御参考までに、飯舘村のホームページに村長の年頭訓示は載っているそうですので、そちらを御覧ください。他に。では、モトキさん、どうぞ。

○記者
NHKのモトキです。事故から4年目ということで、原発の安全性ということについて、改めて質問させてください。政府は、これまで原子力規制委員会が安全を確認した原発については再稼働を進めるという方針を繰り返し説明していますけれども、この方針について、直近のNHKの世論調査で賛否を聞きました。結果、賛成が23%、反対が41%、どちらとも言えないが30%でした。つまり、審査をクリアしたことをもって直ちに再稼働に賛成だという人は少ないという結果だと思うのですけれども、なぜ国民はこのような受け止め方をしていると委員長は御想像されますでしょうか。

○田中委員長
私の個人的なあれですか。福島第一の原子力発電所のあの事故を目の当たりにすれば、当然そういった結果が出るのはごく常識的なのではないかと思います。再稼働については、前から言っているとおり、これは繰り返しになりますけれども、我々が審査をしているのは、これを運転してもああいった事故が起こらない程度の適合性は満たしているということで審査を、合格サインを出しているわけです。そのことについて、国民がどういうふうに判断して再稼働を認めるかどうかということなのですが、多分一般的にいうと、よく国会でもそうなのですが、やはりどうしても福島第一の事故が、頭の中に、体の中にすり込まれていますので、そういうものが起こるのだと思ってしまうところ、思われているところがあると思うのです。それで、私は前々から国会でも申し上げていますけれども、福島第一のような事故が起こるのだったら、原子力の利用はやめたほうがいいということを申し上げていますので、逆に言えば、今回の適合性審査に合格しているということは、ああいうようなことはほぼ起こらない程度のレベルの安全確保はできているというふうに見ていただいたらいいと思います。ただ、それは、国民にそこまで分かるかというと、なかなか分からないと思いますよ。これは信用というか、先ほどミヤジマさんからあった風評みたいなものですから、そこを科学的に説明してもなかなか分からないと思いますけれども、我々がどういう考えでどういうふうに審査をしたか、その結果についてはきちっと最大限御説明はしますということは申し上げていますので、我々が審査したことについてできるだけ信用してもらえるのが我々にとっても望ましいことですから、そういうふうにはしたいと思っていますが、無理無理世論調査の結果をひっくり返すというか、変えるようなことは、なかなか容易ではないなという気はします。

○記者
その意味で、審査をクリアしたことをもって直ちに再稼働に賛成とは言えないという今の国民のそういう考え方を踏まえながら、改めて、今後どのような姿勢で原子力規制に当たっていかれるお考えでしょうか。

○田中委員長
国民の、いろいろな世論があると思うのですが、そのことに規制委員会の審査は左右されない。あくまでも科学的に、中立的な立場でやるということで、淡々とやるということになると思います。その結果をどういうふうに国民なり、いろいろな立場の人がどう判断するかは、私たちは余りしんしゃくすべきではないと思っています。

○司会
よろしいですか。では、後ろから2番目の方。

○記者
テレビ朝日のハマダと申します。今の適合性の審査についてなのですけれども、去年9月に川内原発が適性検査に合格した。しかしながら、やはり識者の中には、耐震性に絡む基準地震動ですね。それについて非常に不十分ではないかと、審査そのものが不十分ではないかという指摘があります。具体的には、石橋克彦先生という神戸大学の名誉教授なのですけれども、今年1月に、規制委員会の方もその方を非公開でお呼びして、お話聞いたと思うのですが、その方が言っているのは、いわゆる基準地震動を策定の際に、なぜ活断層による内陸地殻内地震だけを採用するのか、いわゆる検討用地震に採用するのか。それ以外にも、プレート間地震、海洋プレート内地震という地震をなぜはしょってしまうのかというか、ある種必要ないと、検討する必要ないというふうな選定をしたのか、それについてちょっとお聞きしたいと思います。

○田中委員長
私の方からお聞きしたいのですけれども、川内原発の、基準地震動とか津波とか、その辺の審査会合は全部御覧になりましたか。

○記者
九電のものですか。

○田中委員長
川内原発で、島﨑さんが中心になってやってきたもの。

○記者
いや、全部は。

○田中委員長
そしたら、そんな今みたいな質問は出ないと思います。プレート間地震も、沖縄の方のトラフとかその辺まで含めて全部考慮して、川内原発について見ると、基準地震動で一番大きいのは、いわゆる震源を特定しないところのあれが一番大きい値になったということであって、そちらを考慮してないということは私はないと思いますよ。

○記者
もうちょっと、最後に。九電としては、考慮する必要がないということで、それをいわば規制委員会として、ある種そのまま九州電力の言い分を認めただけのようにも捉えられるのですけれども、そうではなくて、やはり規制委員会として独自にそれらプレート間地震、海洋プレート内地震は必要ないという判断をしたということでよろしいでしょうか。それで、結果的に九電と同じ考えになったという。

○田中委員長
九電と同じというのではなくて、九電が最初に言ってきたことについて、いろいろなこちらサイドからの要求があって、結果、最終的にはこちらの指導というか、意見に従ってもらったということで、何をもって九電が言っていたとおりになっているとか言うのですか。

○記者
いや、その。

○田中委員長
そういう意味で、だからYouTubeを全部見返してくださいということは、議論の過程が全部そこにあるから。

○司会
はい、次の方、いらっしゃいますか。カミデさん、どうぞ。

○記者
フリーランス記者のカミデです。既に同じような質問が出ているのですが、1つだけ質問させてください。昨日、安倍首相が、国が全面に出てやはり福島の問題をやるのだと。それで、前回の会見でも委員長が大変、今日もおっしゃっていましたけれども、そんな生易しいものではないということをおっしゃっていました。今、委員長のお立場から国に一番望むこと、それでは何だろうというの。これも国民に分かりやすくという枕言葉を付けてしまったらあれかも知れませんが、優先順位を付けるのは難しいかも知れませんが、どんなことを実際に具体的にきちんとやっていただきたいというか、そういう望まれているものは何かという辺りを、ちょっともう一度御教示いただければと思うのです。

○田中委員長
私が望むというよりは、もし望むとしたら、やはり福島県の方とかが、いろいろな方がいますね。漁業者だけではなくて、農業をやっている人もたくさんいるし、いろいろな方がたくさんいますので、そういったことにきちんと応えていくということが大事で、それはただやみくもに応えればいいということではないのだと思います。そこをどのようにくみ上げていくか。今後の復興とかにどうつなげていくのか。そういう点ではやはりとことんよく話し合ってやっていく必要があると思います。そういう取組は、ある程度枠組みはできているのだけれども、十分に機能しているかというと、そういう点ではまだ十分ではないなという印象はあります。皆さんは国が、国がと言うけれども、私は県民がもっとしっかりせいとよく言うのです。自分のことなのだから自分でよく考えないと、何をどうしてほしいのかということをきちんと明確にすべきだと。そろそろそういう時期ではないかということは何人かの人に申し上げています。それはよく分かっている方たちもかなりいます。かなりいますというか、相当そう思っていると思いますが、どうしていいか分からないという一面はあるのだろうと思います。そういうもやもやしたところを、いろいろなレベルであると思いますけれども、きちんと行政の責任でやっていくと。安倍首相がおっしゃるように、最終的には国がきちんとそこに向き合っていくということが大事なのだと思います。

○記者
ちょっと補足させてください。もちろん委員長のおっしゃることは分かるのですが、規制委の立場から見てやらなければならないことはたくさんあると思うのです。その順番と言ったら変なのですが、実際に国がこういうことからまず手を付けて、これをきちんとしっかりやるのが望ましいと、委員長の立場から思われていることというと何でしょうか。

○田中委員長
規制の立場から見て他に何かというのではなくて、規制の立場として、福島の人たちが不安に思っているのを、今日も申し上げましたけれども、やはり1Fがきちんと安全であってほしい、いろいろな心配事をなくしてほしいというのが本音だと思います。そうは言いつつも、客観的に見れば少しずつそういう大きなリスクは減っていると思うのですけれども、まだまだあるのだと。それは非常に残念なのだけれども、そこはしようがないので、そういうことが顕在化しないように、大きなリスクにならないように、東京電力を含めてきちんと要求して、指導していくということが我々の仕事としてあるということだと思います。

○司会
次の方。ニイさん、どうぞ。

○記者
共同通信のニイです。先ほど出た質問と絡むのですが、例の3年見直しの関係で、一部政治家の中には規制委を環境省から外して内閣府に移すべきだという議論があるようですけれども、これまで2年半ばかり委員長を務めてこられて、今、環境省の外郭としてやっていく中で不都合を感じている面はありますでしょうか。

○田中委員長
不都合は全く感じていないし、逆に環境省本体からも優秀な人たちが今日もここへ皆さん来ていただいているし、非常に助かっています。私は原子力委員会にいて、内閣府にいたことも3年ほどあるのだけれども、内閣府は各省庁の寄せ集めですから、そういった人材供給ができるようなところではないのですよね。そういう意味では、私は今のままでいいと思いますし、環境大臣もそこのところはきちんと見ていてくれて、独立性というのに対して何か言うようなことはなくて、サポート・支援するという立場を貫いてきていただいていますから、私は今でも特に不都合は全くないし、先ほども言いましたけれども、やっとそういう形で動き出しているのだから、余りがたがた崩されると困るなというのはあります。

○記者
先ほどの発言の確認になってしまうのですが、ようやくできた形をひっくり返す議論が一番困るというのは、仮の話ですが、例えば内閣府に移ってしまうとそういうことになるという認識でいいのでしょうか。

○田中委員長
御存じのように、今ここにいて、いろいろな各省、それこそ長官だって警視庁からも来ていただいているし、そういう形でとにかくそこをうまくチームワークでやっていて、皆さんからサポートされているのですよね。内閣府は、皆さんも御存じかも知れないですが、思っているよりは非常に寄せ集め的だし、皆さん、言い方は適切かどうか分かりませんけれども、各省から来ている人もやや腰かけ的な感じです。そういうことでは、実務をきちんとやっていかなければいけない規制委員会、規制庁はなかなかうまくいかないのではないかというのが私の懸念です。でも、これは国会が議論することですから、私が決めることではないです。

○記者
分かりました。あと1点だけ。先ほどの質問と御回答の中で、審査に合格するということについて先ほど解説がありましたが、合格するということは1Fみたいな事故がほぼ起こらないレベルの安全性という御発言があって、個人的にはその発言の趣旨は理解するのですが、やはり国民からいうと、ほぼ安全という「ほぼ」というのはどうなのだというのがどうしても分かりにくいと思うのですけれども、この国民とのギャップを埋めるには委員長はどうすればいいとお考えでしょうか。

○田中委員長
一朝一夕に埋まらないし、適合性審査の中身を、この前、高浜からは要求があってビデオを作ってもらったのですが、「ほぼ」という意味は、安全目標というのが、必ずしもそれだってなかなか分からないかも知れないけれども、一応、最悪でもセシウム100TBqというのは福島事故の100分の1以下で、実際に川内の場合は5.6、高浜が4.2TBqぐらいというレベルまで、非常に最悪のケースを考えてその程度まで抑え込めるようにいろいろな要求をして、それに適合しているということなのです。そういう意味では「ほぼ」なのですけれども、その意味をきちんと理解していただくというのはなかなか難しいと思います。簡単に言えば、事故が起きたら放射能が少しでも出るのは嫌だという議論には多分対応できていませんので、そういうところだと思います。

○記者
最後にしますが、以前、この会見の中で立地地域の話で、立地地域は安全神話から卒業すべきだという御発言がありましたけれども、では、今の御説明等から判断しますと、ある意味、国民全体がそういった絶対安全、安全神話から卒業する必要があるとお考えにはならないでしょうか。

○田中委員長
おっしゃるとおりです。科学技術全て、別に原子力だけではありません。安全神話が原子力だけかというと、そんなことはなくて、長い経験とかいろいろな中で、安全神話というところではなくて、交通事故とか飛行機の落下事故とか、いろいろなことをみんな受け入れているわけです。化学プラントもそうですし。気持ちは受け入れているわけではないのだけれども、神話というようなことではないのです。だから、そこはやはりよく国民全体がもっと議論をして、科学技術を享受するというのはどういうことなのだというのを議論していく必要はあるのだろうと思いますけれども、私はそのことを今の立場で何か言う立場ではありません。

○記者
ありがとうございます。

○司会
他はいかがでしょうか。1人目の方、マツイさん、どうぞ。

○記者
テレビ朝日のマツイと申します。先ほどの委員長の発言のメモを取っていたのですけれども、排水基準のところで委員長がおっしゃったのは、0~70歳まで2ℓずつした場合にと、その辺りをもう一度言っていただけますか。

○田中委員長
毎日2ℓだと思った。1ℓではないよね。

○記者
2ℓ以上でいいと思うのですが。

○田中委員長
告示濃度というのがありますよね。例えばその告示濃度の水を毎日2ℓずつ飲んでいったときに、生涯線量として1mSvになると。だから、逆算してどれぐらいのレベルかということです。

○記者
それで結構です。同じ発言をしていただいたのですが、今、委員長がおっしゃった「しょうがい線量」の「しょうがい」というのはどういう字を書く「しょうがい」ですか。「障害が起きる」の「障害」ですか、「一生涯」の「生涯」ですか。

○田中委員長
「一生涯」ですね、0~70歳ですから。

○記者
そうすると、委員長に御意見をするのも口幅ったいのですが、私の認識では、生涯線量が1mSvというのは年間1mSvだと認識していたのですが、今の委員長のお話ですと、1人が70歳まで飲み続けて70年間で1mSvが生涯線量、告示濃度と聞こえたのですが。

○田中委員長
預託線量だと思いますから、生涯だと思います。

○記者
そうですか。では、70年間で1mSvという認識でよろしいということですね。私の勘違いということでよろしいですね。

○司会
いずれにしても、事務的にきちんと確認して、また改めてお届けしますので、それでよろしいですか。

○記者
ただ、そんなに大きなものではないのですよという委員長の発言ですので、もしかして勘違いだったら今この場で直した方がいいですし、私の勘違いでしたら私の勘違いですので。

○司会
今、確認させますので。

○記者
分かりました。

○司会
他はいかがでしょうか。1回目の方はもうよろしいですか。では、どうぞ。

○記者
東京新聞のアライですが、誤解していたら恐縮なのですけれども、先ほどから世論調査の話とかを踏まえて議論を聞いていて、委員長発言を聞いていると、国民の理解が余りよくないから審査適合されても再稼働に嫌悪を持っているのだというように聞こえてしまうのですが、つまり国民の理解が悪いから再稼働がなかなか進まないのだという趣旨なのでしょうか。

○田中委員長
再稼働については、私は何もコミットしていないのです。どういう意味か分からないけれども、東京新聞一流の理解の仕方だと思うのですが。

○記者
そういうわけではないのですが、何となく聞いていて、適合性の審査についての国民の理解が余り進まないから、そういった世論調査の結果が出てしまうのではないかというような。

○田中委員長
いや、違いますよ。先ほどNHKのモトキさんからあったパーセントというのは、私から見たらそんな悪くない。普通、あの事故を目の当たりにしてまだ4年しかたっていないし、いまだに避難者がいるような、避難を余儀なくされている方がいるような状況の中では、当然、国全体。でも、世論調査といってもどういうサンプリングをしているのかよく分からないから、逆に言うと、立地市町村の方がかえって賛成の人が多いのですよね、一般的に言うと。東京なんかでやると反対が多いのです。だから、それをどのように理解すべきなのかというところも掘り下げるべきだと思うのですが、いろいろなことをおっしゃる方は思いますけれども、だから、私はそういう意味で申し上げているので、適合性審査の理解は別に再稼働のためにではなくて、適合性審査というのはどういうことをやっているか、どういうレベルのものを求めているかということを理解していただくということが大事だということで、説明はしますと言っているのです。だけれども、一方では、やはり福島のレベルをイメージする人が多いのではないかということを感想として申し上げただけです。

○司会
よろしいですか。

○記者
はい。

○司会
それでは、1回目はもうよろしいですね。では、最後、ツカハラさん、どうぞ。

○記者
電気新聞のツカハラと申します。1点だけなのですけれども、先ほど例えば福島県民の方がもう耳を塞ぎ始めているというような議論もあると。1F事故の後、リスクコミュニケーションが非常に大事だとみんな言うのですけれども、それがいまいち深まっていないとお考えなのか、深めるためには何が必要なのか御認識をお聞かせください。

○田中委員長
「リスクコミュニケーション」と一言で言いますが、いろいろな思いが実際の住民にはありまして、安全・安心の検討会で報告を出させていただいて、あれをベースに相談員制度とかというのも作らせていただいて、それも予算措置していただいたのだけれども、そういったものをもっと機能させる必要があると思っています。あの相談員は別に放射線だけの相談員ではなくて、生活相談から、子供の教育の問題から、何でもいいですよということになった。だから、その辺をきちんとうまく活用していくということが必要だと思うのです。どちらかというと、まだコミュニケーションというのが、相当努力はいろいろやっているのだけれども、なかなか定着していかないというところがありますので、相談員制度の予算枠をうまく使えば、50人に1人かそのぐらいはいろいろな形で手当てできる。もっとできるかも知れないというようなところまで制度的な対応はしているのですけれども、ただ、相談員になっていただける方とか、そういうところは非常に難しいと思いますが、何とか実現していただきたいと思うし、私もそれなりに努力したいと思っています。

○記者
規制委員会、規制庁の制度的な対応というのは分かりました。これは日本全体だと思うのですけれども、やはりリスクへの考え方というのがゼロか100かみたいになってしまっていて、その辺りのコミュニケーションというのはどう進めていったらいいとお考えですか。

○田中委員長
それは受け取る本人の心の問題ですから、他人から言われてそうですかという、不安に対しては非常に受け入れやすいのだけれども、安心につながるようなことというのはやはり自分で納得しないとそこに到達しませんので、その辺りが非常にコミュニケーションの難しさだと思います。意外と子供は素直にその辺が理解できているところがありますので、そこは一概にどうすべきだとか、どうかということは言えないので、私としてはやはりいろいろな不安に応えていくということだと思います。今、被ばくの不安だけで福島の人たちがなかなか戻らないと言っているだけではないということだけです。

○司会
他はいかがですか。では、マサノさんとミヤジマさんで今日の質問は終わりにしたいと思います。

○記者
2問ありますので端的に御見解を頂ければありがたいのですが、子供の甲状腺がんについてですが、国立がん研究センターの責任者の方が、昨年11月に、子供の甲状腺がんがスクリーニング効果で説明するには困難であるほどに多発しているということを言われています。それについてお考えをお聞かせください。なぜかというと、潜伏期間が4~5年だと、それがようやく終わりつつあって、今年度ようやく本格調査というのが始まってきているところです。そのタイミングでそのような見解が出てきたということで、御見解をお願いします。

○田中委員長
私はそちらの専門家ではないから、私が見解を述べるようなことはできないし、すべきではないと思っています。今、子供の甲状腺がんについては、事故が起こった当初から山下先生などが中心になって、18歳以下の人たちについては長期のフォローをしていこうということでみんな取り組んでおられるし、いろいろな議論をされているのは承知していますけれども、個人的な見解に対して私が何か述べるような、それだけの専門性は持っていませんので、答えようがありませんと言った方がいいと思います。

○記者
最後、もう一問の質問です。規制庁が再稼働に当たって審査するに当たって、基準地震動及び耐震設計方針にかかわる審査ガイドというのを使っています。これについては観測された記録ということが中心になっていて、原子力安全委員会が作ったものがベースとなったガイドラインですけれども、この中で丹念に見ましてもマグニチュード9というものを対象地震例としては挙げていません。7未満、6.いくつ未満しか載っていないのですけれども、東日本大震災はマグニチュード9でした。これはどのようにお考えでしょうか。

○田中委員長
地球の裏側でマグニチュード9が起こっても別に余り影響はないのですよね。チリ沖地震みたいに津波は来るかも知れない。ですから、そういうことではなくて、今ここの敷地に対して最大限の地震動を起こすようなものを全部拾って、それを検討した上で基準地震動を決めているということで、マグニチュードいくつだからどうだということにはならないのです。例えばこの活断層については、どのぐらいの大きさを仮定しなければいけないとか、距離とか、いろいろなところも含めてかなりコンサバティブに要求してきていると思いますが。

○記者
ですから、ガイドラインでは、おっしゃったように、原発に影響があり得る範囲で見ていくということで、震源を特定して策定する地震動と、震源を特定せずに見る地震動の水平と垂直と両方見るということになっているわけですが、その中で事例を挙げていまして、13でしたか10数個の地震を挙げていて、それは全部6.いくつのモーメントマグニチュードなのですよね。ですけれども、実際に福島第一原発に影響を与えたものというのは、マグニチュード9による津波によるものだったわけですよね。

○田中委員長
それはあなたの誤解なのですよ。

○記者
どこがでしょうか。

○田中委員長
震源を特定しない地震というのは、実際には活断層とか何かが特定されていないですね。

○記者
はい。そうです。

○田中委員長
そういったところでも我が国ではそういった地震があると。大きい方をずっと拾い集めると大体6以上ぐらいですけれども、それが16でしたか、ちょっと数は忘れたけれども。

○記者
はい。13か16かどちらかだったと思います。

○田中委員長
それを全部特定しない地震動にちゃんと評価してくださいということで、それ以上の大きなM8とかM9なんていうのは、ある程度特定できる地震動の方に入っていると理解していただいたらいいと思います。

○記者
先ほどちょっと名前が出ていた石橋先生がかつておっしゃっていたのは、どこにでもマグニチュード7以上のものが起こり得ると。震源を特定する側にも見落としがあったのだと、あるのだと。そちらが特定できないのであるから、震源を特定しないものについても、両方についてマグニチュードの最大のものを、つまり観測記録にないものまでを想定すべきではないかということを主張されていて、それがガイドラインに反映されていないのですよね。

○田中委員長
いや、石橋先生はそういう御主張でしょうけれども、当方は島﨑委員が中心になっていろいろな方の知見も得ながらやっているわけですから。科学者の中にはいろいろな意見がありますよ。でも、我々の立場から言うと、一種の不可知論みたいな議論にはなかなか乗れないところがあるので、やはり分からないところは分からない。

○記者
それはどうしてでしょう。

○田中委員長
だから、分からないかも知れないということで、震源を特定しない地震動というのが起こり得るとして、過去の我が国の地震動の中から大きいものを拾っているわけです。そういうのは一つの科学的なアプローチですから、いろいろなことを言う人はいますよ。被ばく線量についてもそうだし。だから、それを一々私が答えることもできないし、そういう御意見の方はいっぱいいるでしょう。

○記者
事実、想定外の地震が起きたわけですが、それでもそこは考慮しなくてよいと。

○司会
すみません。ここは意見交換の場ではないので、もうそろそろおしまいにしていただけますか。

○記者
いや、質問なので。

○田中委員長
想定外の地震というのは何をおっしゃっているのですか。

○記者
例えば川内原発で九州電力が想定している地震動というのは、審査ガイドに沿ったものになっています。それ以上のものが起きないという可能性はないわけですよねという意味です。これが最後です。マイクを置きます。

○田中委員長
私も神ではないから100%ないとは言いませんけれども、いろいろな観点から検討して、まずないという判断をしたということです。

○司会
最後、では、ミヤジマさん、どうぞ。

○記者
3.11なので、もう一つだけ。ミヤジマです。先生の訓示の中で、規制の責任を担う者は絶対に福島の教訓を風化させてはなりませんと。私は、これは非常に先生のお気持ちそのままだと思うのですが、しかし、これはやはり何か教育システムにビルトインするとか、私なんかは正直言って、この役所で毎年1人は福島の人を採用するとか、組織というのは国をどう具体化するかなのですけれども、落ち着いたのだから是非そういうことを考えていただくと。やはり一番大事なところは制度的に組織にビルトインすると。その辺のお考えを伺いたいのですが。

○田中委員長
確かに制度的にその辺をビルトインするというのは、非常に傾聴に値するという言い方をするとあれかも知れませんが、是非そういう方向で今後検討していきたいと思います。実際には、今日も小坂さんに話をしてもらいましたが、あの当時ああいう実体験した人たちは、相当やはり体の中から原子力事故がどういうものだ、シビアアクシデントを起こすと何が起こるのかということを学んでいると思うのですが、それをずっと一人一人の気持ちの中に風化させないようにするというのはちょっと工夫が要るかも知れませんので、今日は訓示の中で申し上げましたけれども、教育プログラムの中にはある程度そういうことは入れているのですが、今後、具体的にもう少し努力する必要があるのかも知れません。よく聞いておきます。

○司会
よろしいでしょうか。

○司会
少々お待ちください。

○田中委員長
マツイさんのさっきのあれは私がちょっと誤解していたみたいです。毎日この濃度で飲み続けていたときに年間1mSvになるということです。だから、70年飲み続けると70mSvになるということだと思います。

○司会
よろしいですか。では、マツイさん。

○記者
今のは分かりました。すみません。その直前の委員長のお話で、今日、私も小坂さんの話は大変感動したといいますか、中身のある話が突然出てきたので驚いたのですが、逆に我々がこれまで旧保安院のそういう現場を経験した方に取材を依頼しても、全くお答えいただいていない状況がずっと続いているのです。今、委員長が自ら小坂さんを指名して、誰にとっても中身のある話が今日出てきたのですが、もう4年の節目ですから、今後こういった形を何かいい意味の突破口として、そういったことは東電側からもなかなか出てこないものあるのですが、旧保安院の方々からの当時のことを何らかの形で、何をすればいいのかは分からないのですけれども、我々の取材に対しても、例えば小坂さんに改めてちゃんと取材をさせていただいて答えてもらえないかというようなことは今まで保安院時代は全く通っていないのです。この辺は御検討を委員長からもしていただけないでしょうか。これは要望です。

○田中委員長
私がここの人のどういう判断をするかということもありますし、組織としてどう判断するかは、やはり広報でよく相談してみてください。政府事故調とか国会事故調でのヒアリングのデータがもろに出てしまって、個人的に非常に迷惑をしている人たちもいますので、そこの辺はそれなりの配慮が要ると思いますけれども、いい意味で、取材は自由ですから大いにやっていただいて結構だと思いますが、うまく答えられるかどうかはちょっと分かりません。私が指導するようなことでもないような気がしますけれどもね。

○記者
言わずもがなの確認ですが、今日の小坂さんのお話は、委員長としても大変よい話だったという認識でよろしいわけですよね。

○田中委員長
そうですね。彼は彼なりに随分問題点を整理してお話しいただいたのだと思います。

○記者
分かりました。結構です。

○司会
シズメさん、では、簡潔にお願いいたします。

○記者
すみません、何回か出た震源を特定せず策定する地震動の関係で少し確認したいのですが、私も同じような話を石橋先生から聞いていて、こういう話だと思うのです。つまり例示として集めた10いくつかの地震というのが、これまで事前に震源を特定できずに起きた大きな地震であると。それが本当に例示として十分なのかどうかというサンプルの問題があって、もっと新しい、事前に分からなくても大きな地震動が起こる可能性があるのではないかという議論だったと思うのです。そうなると、つまり今のガイドだと川内原発の基準地震動はあれでいくしかないのかも知れないけれども、将来的にはそれが変わるかも知れないという、それを変えていかなければいけないということを一つには言っているのだと思うのですが。

○田中委員長
変えないとは言っていない。震源を特定しない地震というのはそんなにたびたび起こるわけではないけれども、結構起こりますよね。一番新しいのだと留萌の地震かな。そういう新しいデータがきちんと出てきて整理できれば、それを考慮の対象に入れていくという考え方はとっていますので、ただやみくもに、いくら起きるか分からないからそれも考慮すべきだということになったら何もできないと思います。

○記者
やみくもにと言っているわけではないと思うのですが、もう一つの問題が、例示された全ての地震の解析が終わっているわけではなくて、今使われているのは一部の地震にすぎないということがあるので、そこら辺の努力が必要だということだとも思うのですけれども、そういう認識でよろしいですか。

○田中委員長
解析が終わっていないというのはどういう意味かな。留萌について見ると、少し追加でいろいろな調査をやったりして、どういう状況だったかというところを反映するのにどうしようかということはかなりやってきたと思います。地震が起こって、それがうまく捉えられているデータがあるところと、ないところとありますので、それによって追加の調査をして、それを解明して、それをうまく取り入れるというプロセスになるのだと思います。

○記者
分かりました。

○司会
それでは、本日の会見はこれで終わりにしたいと思います。御苦労さまでした。

-了-

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