メルトダウンはとっくに起きていたし、入れても入れても水が入る状況は地震の揺れにより、原子炉か、原子炉につながる配管が損傷してそこから漏れているであろう事は、専門家でなくても誰の目にも明らかだった。
テレビを見ていて疑問に思わない人は脳が退化しているか、無関心なんだろう。
- 原発事故工程表:小出裕章 氏 2011.4.23
http://www.youtube.com/watch?v=p8z4b2kIaEo&feature=player_embedded
以下は最近の記事だが、津波が来る前に放射能が漏れていた情報はかなり早い段階であった。
- 1号機、津波前に重要設備損傷か 原子炉建屋で高線量蒸気
http://www.47news.jp/CN/201105/CN2011051401000953.html
メルトダウンが確実となった同日、保安院 西山審議官は保安院の会見で、
- 「これにより大幅な計画の見直しが必要になるとは考えていない」
原発の状況 事の顛末 ~5月 15日
事故当初から東電はメルトダウンの可能性について否定し、政府、保安院も東電の主張を指示、メディアもメルトダウンの可能性を指摘した専門家やジャーナリスト(上杉隆氏)を徹底的にバッシングし排除してきた。
東電、政府、保安院は、外部の専門家が指摘する考え得る可能性を否定し、先を予測した対策は一切取ってこなかった。電力会社を擁護したいメディア各社は、メルトダウンを デマ と報じて、原子炉は安定した状態を保っている事ばかりを強調してきた。
東電は 「確認出来ないので分からない。パラメータから推測する以外になく、その上で判断して対応している。」 といった旨の発言を繰り返すだけ。そのくせ、楽観的な予想は目視で確認出来ない状況であってもシャーシャーと発言する矛盾だらけの対応。
いくら水を入れても原子炉に水がたまらない状況は、専門家でなくとも、原子炉、あるいは原子炉につながる複雑な配管が破断して、そこから漏れている事は明らかだったにも係わらずにだ。 「這っても黒豆」 ってこういう態度を指すんだろう。
具体的には、水位は分からないが、圧力、温度からみてこの位置に水位があるという推測。圧力容器を一日で満たすような容量の水が注水されている。
結局、これまで外部の専門家や記者、福島瑞穂議員が再三してきた指摘に基づいた対策が取られる事はなく、そのような状況下で出てきた工程表も、9ヶ月で収束する というあり得ない楽観スケジュール。安全性を犠牲にスケジュールありきの対応にも批判が出たが、工程表の根拠に対して共同会見で明確に回答することはなかった。
「工程は膨大で説明が大変だ。なので、国民に分かり易くした。」という旨の細野補佐官の説明だったが、現状を把握できない現状で、どこまで説明が困難な程、複雑で膨大な工程表が作れるんだと思わざる得なかった。9ヶ月という期間は死守しなければ大変な事になるという事で、無理矢理、まとめた感が否めない。人命軽視の希望的観測というのが実情だった。
建屋内に作業員が入り、状況が明らかになると、工程表はとたんに先の見えないものになってしまい、ここに来て、ようやくメディアはメルトダウンという言葉を使い始めた。これが事故から 2ヶ月経過した 5月 13日の現状。
ふと思ったけど、東電は事故とは言わず、発災といっているような気がする。
このように最悪の事態を指摘されていたにも係わらず否定し続けた結果、アルバ社からの汚染水処理装置の搬入が遅れに遅れ、大量の汚染水を低濃度ばかりを強調し、環境に影響なしとし海洋投棄する事態を招いただけでなく、現在も格納容器から押し出された核燃料を含むと考えられる超高濃度の汚染水が地下にたまり、環境へ漏れ出ている事がほぼ確実の状況となっている。
初期の段階で、メルトダウンを想定して東電、保安院が動いていれば、今の最悪の状況は変わっていた可能性が高い。当事者だけでなくメルトダウンを否定して東電を擁護してきたメディア、テレビ報道のあり方、責任も厳しく問われるべきだ。
5月4日の 共同会見で NHKの石川記者が、あのソビエトでさえ、科学者を先頭に危機予測をして計画行動したのに、日本は科学者、専門家の意見を聞かず、先を予測した行動を取ってこなかったと強く指摘している。
ちなみに NHK ニュース9 お抱えの原子力専門家の東大教授は、メルトダウンにはびっくりですね、と本当に白々しく発言している。NHK といってもかなり、温度差がある。
環境汚染と被爆の実態
同時に環境汚染、被爆は待ったなしに進行中。モニタリング方法も、どうすれば低く測定できるかばかりに頭を使っている。検査機のしきい値を意図的に低くし未検出と報告したり、土壌は一カ所だけを掘り下げて測定していたり、野菜は洗って検査、土壌は表面ではなく地中の値を検査、など、全く信頼できない数値になっている。
気象条件から放射性物質の拡散を予測するシステム SPEEDI の情報は公開しておらず、度重なる会見での開示要求によって、ようやく少しずつ公開されはじめている。
5月 8日の二重扉開放による建屋内の高濃度汚染物質の放出についても、SPEEDI で予測しながら、事前に予測したデータをいっさい公表しなかった。多額の税金を投じて導入したシステム。何のための、誰のための予測システムなのか、まったく理解出来ない。
問題を起した側が私たちが検査しますから、その結果を信じて下さい。と言われ、その上、モニタリングの実態がこのような有様なので、信用以前に不信感だけが増しており、東電、政府に対して疑心暗鬼になっている。
また、政府は WHOやグリーンピースなど利害関係にな第三者機関の介入は一切拒否している。政府(細野)は 「海洋は我が国の国土で国が行うのは当然だ。」という理由を述べており、その上、進まないモニタリング調査の理由について、「人的な資源がある。優先順位をつけてやっているのでご理解頂きたい。」 と同日の会見で矛盾する回答を行っている。
人的資源があるのであれば尚のこと、国際的な機関の協力を仰ぐべきだが、それをしないのは、政府の都合、つまり、「経済活動に合わせた数値を公表できないのは困る」 という理由があるからとしか思えない。
↓脱原発ポスター展
今だって、静岡のお茶があれだけ騒ぎになっているのに、その他、周辺の都道府県の食品に対して全く関心を持つ人がいないように見える。世界的にみて300倍という馬鹿げた国の暫定基準値を信じ、一生懸命、汚染された水を飲んで、農家は自ら土を耕して回復不可能な状態にして、野菜を食べようと、ろくな実態調査を行わないまま、全国に向けて出荷している。
すべてを風評の責任にしてしまい、現状の放射能汚染の実態と、政府の決めた国際的にかけ離れた暫定基準値を信じている哀れな福島県民。チェルノブイリを知る専門家の間では、現状の汚染レベルを考慮すると、福島県を中心に甲状腺癌の増加が2、3年のうちにみられるだろうとしている。
問題がおきたら基準値をひきあげ、「非常事態だから暫定なのだ。このままでいいと言っていない。汚染が下がると基準値は戻す。」 という事を平気で口にする。経済活動の都合で勝手に数値を変えられたら、なんのための安全基準なんだと疑問に思わないのだろうか?
福島県で 100mSv は安全、放射能は安全だ、マスクなど馬鹿げてると安全デマを一生懸命、市民に説明してまわっている稲 恭宏博士。根拠は私の論文を見て勉強してくれと。
- 全然問題ありません!稲博士の緊急提言 (今、これみてどう説明するんだ。推定値。)
- 福島原発事故の医学的科学的真実: 稲 恭宏博士 放射線実測 飯舘村2 まだやってる・・・
5月16日 午前1:13 木野氏のツイートによれば、東京23区で 100mSv を安全と広報しているようだ。ひょっとしたら東京では公表できないほどの汚染が出ているのではないかと、怖くなる。
23区内で「年間100mSv以下では健康に影響が出ることはないと言われています」という安全デマのようなHPは、とりあえず、中央区、新宿区、練馬区、墨田区、千代田区、北区、中野区。他は確認中、全国の自治体はどうなってるんだろう? #genpatsu #fukushima
統合本部共同記者会見(共同会見)だけでも見てほしい
IWJ で配信されている共同会見だけでも見て頂ければ、どのように問題が推移しているか、政府、保安院、文科省、原子力安全委員会、水産省に厚生労働省、どこに問題があるか見えてくる。また、 メディアが会見の内容をどのようにテレビや新聞で報道しているか、というのも見えてくる。
今、最も信頼できるソースは、フリーランスが中心となっている自由報道協会が中心となって提供している一次情報といっても過言ではない。是非、IWJ 岩上さん、フリーライター木野さんを応援して頂きたい。
【電力会社の広告費で収入を得ている会社】 からもらう給料で取材に来ている記者と違って、
彼らは純粋な信念(ジャーナリズム)に基づいて行動しているし、活動や経費はサポーターや活動に共感する人々のカンパによって成り立っている。
彼らの存在とインターネットがなければ、このような情報を得る事は出来ない。共同会見は3~5時間と長丁場なので、時間的に厳しい方は、会見のポイントを的確に説明している木野龍逸さんのブログをみて頂きたい。
- Web:岩上安身 オフィシャルサイト
- Twitter:iwakami_staff (iwakami_staff) on Twitter
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- Web:キノリュウが行く
- Twitter:木野龍逸 (Ryuichi KINO) (kinoryuichi) on Twitter