2014年8月18日月曜日

(テキスト整形)特定原子力施設監視・評価検討会第24回会合議事録

特定原子力施設監視・評価検討会第24回会合議事録
日時:平成26年7月7日(月)15:30~18:45
場所:原子力規制委員会庁舎 13階 会議室A


出席者

担当委員
  • 更田豊志 原子力規制委員会委員

外部専門家(五十音順)
  • 阿部弘亨 東北大学金属材料研究所 教授
  • 大津留晶 福島県立医科大学 教授
  • 橘高義典 首都大学東京大学院都市環境科学研究科 教授
  • 高木郁二 京都大学大学院工学研究科 教授
  • 角山茂章 会津大学 教育研究特別顧問
  • 山本章夫 名古屋大学大学院工学研究科 教授
  • 渡邊 明 福島大学大学院共生システム理工学研究科 特任教授

原子力規制庁
  • 安井正也 緊急事態対策監
  • 山本哲也 審議官
  • 佐藤 暁 東京電力福島第一原子力発電所事故対策統括調整官
  • 金城慎司 東京電力福島第一原子力発電所事故対策室長
  • 熊谷直樹 東京電力福島第一原子力発電所事故対策室 管理官補
  • 佐平山英夫 技術参与鈴木征四郎 技術参与
  • 須々田和博 安全規制管理官(発電炉施設検査)付 主席原子力施設検査官
  • 小坂淳彦 地域原子力規制総括調整官(福島担当)

(独)日本原子力研究開発機構
  • 有井祥夫 福島研究開発部門福島廃炉技術安全研究所 副所長
  • 長尾美春 福島廃炉技術安全研究所 研究計画部研究計画課 課長

オブザーバー 

福島県
  • 高坂 潔 福島県原子力専門員オブザーバー 


資源エネルギー庁
  • 新川達也 原子力発電所事故収束対応室長
  • 菅野洸史 原子力発電所事故収束対応室 課長補佐
  • 中井康裕 原子力発電所事故収束対応室 課長補佐


東京電力(株)
  • 姉川尚史 原子力・立地本部長
  • 松本 純 福島第一廃炉推進カンパニー プロジェクト計画部長
  • 石川博之 福島第一廃炉推進カンパニー プロジェクト計画部 部長
  • 伊藤大輔 福島第一廃炉推進カンパニー 福島第一原子力発電所 ユニット所長
  • 浅野恭一 福島第一廃炉推進カンパニー 電気・機械設備グループ 課長
  • 山口 献 福島第一廃炉推進カンパニー 電気・機械設備グループ 課長
  • 柴崎尚史 福島第一廃炉推進カンパニー 土木・建築設備グループ 課長
  • 石川真澄 福島第一廃炉推進カンパニー 廃棄物対策グループマネジャー
  • 白木洋也 福島第一廃炉推進カンパニー 放射線・環境グループマネジャー

鹿島建設(株)
  • 木田博光 技師長議事





〇更田委員
それでは、定刻になりましたので、特定原子力施設監視・評価検討会の第24回会合を開催いたします。お手元、座席の配置図と、それから議事次第がありますが、座席配置図では、規制庁側ですけれども、平野技術総括審議官が都合により欠席をしております。それから、先生方のほうでは、井口先生、林先生、東先生が、御都合により御欠席ですが、そのほかの先生方には御出席をいただいています。議事次第を御覧ください。本日、その他以外の議題として上げているものが三つ、一つが海側の配管トレンチのタービン建屋との、いわゆる縁切りと呼んできましたけども、止3水工事の進捗について、それから、二つ目が凍土方式の遮水壁。これは、こちらのほうから放射線防護対策作業環境に関わるものですけども、提案等も含めての御紹介をいたします。それから、三つ目は、これはまだ実施計画等々に話が上がっているわけではありませんが、放射性物質分析・研究施設の整備について、資源エネルギー庁、東京電力から説明を受けます。それから、議題に上げておりませんが、この特定原子力施設に対する検査の状況について、規制庁から簡単に御紹介いたします。四つの議題とも、今日、ここで結論を出すとか、方向を出すというものではなくて、どちらかというと、現状の確認といったものになります。(1)のこの海水配管トレンチは、この監視・評価検討会をスタートさせたたときから最大の関心事として、リスク源として注目をしてきたところですので、これの進捗について。それから、前回まで活発に議論をいただいた凍土方式遮水壁についてということになります。一番大きな議題は、最初のものになります。お手元の資料等に不備があれば、御連絡をいただきたいと思います。よろしければ議題の(1)2、3号機海水配管トレンチの建屋接続部止水工事の進捗について、まず東京電力から説明をお願いします。


〇石川(博)(東電)
 それでは、後ろから失礼します。福島第一廃炉推進カンパニー プロジェクト計画部の石川のほうから御説明させていただきます。まず、資料1の資料で御説明させていただきます。それでは、めくっていただきまして、1ページでございます。まず目次ということで、本資料の構成をちょっと書いてございます。まず、ちょっと時間もあきましたことから、海水配管トレンチ汚染水対策の概要、それから、今までやってきた止水の実証実験、それから、今現在やっている進捗状況、それから、その進捗に加えて、カメラによる状況確認をしましたので、この御報告、この中では、後で動画も御用意していますので、見ていただければと思います。それから、温度計、それから、カメラによる止水状況のまとめ、それから、新たに流向・流速の結果が出てきましたので、これの御報告、それから、今後の対策、全体工程というようなことで、御説明さしあげたいと思います。じゃあ、2ページを御覧ください。これはいつもの図面でございます。平面図でございます。左側が2号機タービン、右側が3号機タービンになります。緑色が海水配管トレンチでございます。青い部分の2号機の2カ所、それから3号機の2カ所を凍結して、ここで縁を切るというような概要でございます。3ページ目でございます。海水配管トレンチ汚染水対策の概要ということで、これまでの4経緯ということで、ちょっと御説明させていただきます。海水配管トレンチ内に滞留する汚染水を除去し、同トレンチの閉塞を計画しています。タービン建屋と海水トレンチの接続部は壁によって仕切られているものの、配管等が貫通しており、タービン建屋と海水配管トレンチで滞留水の行き来があるものと推定してございます。それから、汚染水を除去するに当たり、タービン建屋と海水配管トレンチの接続部を分離するという方法として、凍結による止水を検討してございます。下の断面図でございます。これ、2号機の例なんですけども、左側、グレーで塗った部分がタービン建屋でございます。右側の緑色で塗ってある部分が海水配管トレンチ、将来的にはここを充填しますということで、緑色の色を着色してございます。今回、縁を切るための凍結止水をやっているところが、タービン建屋と、この海水配管トレンチの接続部に紫の棒が描いてあると思うのですけど、ここの部分でボーリングをしてございます。右側に箱がございますが、上側が配管のダクト、それから下にケーブルのダクトと、その間の約1.5mの隙間のところから約5.5m下のトレンチに穴を開けて、ボーリングで凍結管を挿し込むというような工事でございます。3ページ、右側ですが、順序としまして、凍結をする、それから汚染水を移送する、それからトレンチの充填をすると、こういうような流れで、この計画を実施しております。4ページを御覧ください。海水配管トレンチの概要で、止水の概要ということでございます。先ほど申し上げましたが、地上部からトレンチに開けた穴に凍結管とパッカー、これはナイロン製の袋ですが、これを挿入する。その中に、パッカーの中にセメントとベントナイトの混合物をスラリー状にしまして、それを充填して拡張させる。これによって、凍結時の発生する水の対流を抑制して、凍結の向上を図ろうというようなアイデアでございます。凍結管内に冷媒を循環させ、パッカー内の間隙水を凍結させるとともに、周囲の水も凍結させて、氷の止水壁を構築するということでございます。4ページ目の下が、先ほど御説明したポンチ絵になってございます。左側が建屋、それから右側にトレンチ、その部分の地上から削孔して凍結管を差し込んで、パッカーを膨らませて、ピンク色の部分がパッカーが膨らんだ形になります。これの試験をやった結果のパッカーの写真を右側に載せてございます。5ページ目を御覧ください。これが実証実験を去年の夏から秋にかけてやったものでございます。まず、2m×2mぐらいの大きさの入れ物に、長さ6.5mのこの中に配管、それからケーブルトレイというようなものを設置しまして、海水配管ダクトの支障物を模擬するとい5うことで実施しております。支障物が数多く存在して凍結に困難性が予想されるということで、このような模擬をして、左下にありますとおり、凍結管の配管内に水が入っているとか、それから凍結管の本数だとか、こういうものを実験しまして、要素実験を完了しているものでございます。6ページを御覧ください。6ページのものが実験の結果でございます。配管の支障となるケーブルトレイ、それから周辺の凍結は確認してございます。それから温度差による対流の影響ということで、パッカーがない場所については、若干凍りにくかったところは凍結管を追加しまして、止水壁の造成を確認してございます。左上の真ん中が実験の断面図でございます。青い部分がタンクで、青く塗ってあるところがパッカーの絵でございます。左側にはケーブルトレイを模擬したオレンジ色が4段、それから、右側には鋼管500Aを模擬したものが設置してあるということでございます。ここにパッカーを入れて、水を張って凍結させたということでございます。左下の写真でございます。これが凍結をさせたときに水を半分抜いて、写真を撮っているところでございます。ここについては凍結をしているということで、右側の拡大図を御覧ください。このパッカーとケーブルトレイで、若干タンクとの隙間がある部分にも氷が張っているというような状況を確認できました。ここにつきましては、先ほどちょっと御説明させていただきましたが、左側の上の部分の追加凍結管というところで、ここの部分が一番凍りにくかったので、ここにつきましては、パッカーがない、追加の凍結管を直接挿して、後から凍らすというようなことをトライしまして、この部分は凍ったというような実験をした次第でございます。7ページを御覧ください。ここからが現在の工事の進捗状況になります。下の表を御覧ください。2号機のほうは、立坑のAという左側の部分、それから、開削ダクトという下の部分で凍結運転中でございます。3号機につきましては、立坑Aと立坑Dにつきまして削孔の作業中でございます。8ページを御覧ください。8ページが、2号機立坑Aの状況でございます。左側が平面図、右側が断面図ということで、ここの部分に青色のパッカー、それから凍結管、それから温度をはかる測温管、緑色のものを配置して、今現在、17本、それから測温管から凍結管に2本、6月4日に変更している部分もありますので、現在、19本で凍結を運転してございます。9ページを御覧ください。この立坑Aの温度測定の結果でございます。左下のモザイク状の温度測定の時系列を御覧ください。左側にありますのが4月29日の開始直後ということで、68℃以上の温度がかなり全面に広がっているということでございます。1カ月後の5月29日になりますと、ややその青い部分が増えてきているということで、S5、S6と言われているトレンチの断面の上側に書いてある温度計の記号ですが、その部分の下のほうではかなり低い温度になっていると。それから、縦方向で見ますと、S4、S5、S6というところで、4月29日に比べて温度の変化が見られているということが言えます。一方、ケーブルトレイの上部、左右なんですが、これ、A-A断面で見ていただきますと、左上、それから右上のほうに白い部分に箱が四つございます。この部分がケーブルトレイということで、貫通している部分でございます。それから、その下の配管と書いてある丸い部分、ここが建屋とトレンチが貫通しているので、ここから建物と、それからトレンチの水抜きがあるということでございます。ここのケーブルトレイの部分が、やはり1カ月たっても13℃のまま変わらないというようなことで、ちょっと考えたところでございます。ここの部分につきましては、下の箱ということで、この部分につきましては、凍結が進んでいないケーブルトレイの位置にある測温管2本を6月4日に凍結管に変えました。平面図で御覧いただくと、S1と書いてある緑の部分の下流側に変更と書いてある部分、それから、S2と書いてある下流側にオレンジ色で着色していますが、当時、測温管だったものを、この部分を少しでも強力に促進させたいということで、測温管から凍結管に変更したということでございます。この部分につきましては、実証試験においても、ケーブルトレイの下ということがなかなか凍らなかったことから、この部分については、その途中で変更できるように、測温管を前後2列の配置を計画したものでございます。10ページを御覧ください。10ページにつきましては、その測温管から凍結管に変更した部分の今度は変化でございます。左下のモザイクの部分で見ていただきますと、5月29日の1カ月後から6月4日に変更し、6月29日、それから最新の7月4日というところでございます。S1という測温管、S2という測温管の部分を見ていただきますと、やや6月29日、S2のところについてはグレーだったのが、青から水色になっていることがございますが、7月4日になりますと、また緑色に戻っているというようなことが挙げられます。この部分は、やはりタービン建屋のほうから、このケーブルトレイを通じて、やや温かい水が流れ込んできているのかなというようなふうに、我々は、今、推定してございます。実証実験と本試験の比較をして、以下のような条件が考えられます。建屋の水位の変動により、トレンチ内の水位の変動が生じているのではないか。それから、現地の施工精度ということでございます。2ページ目でも先ほど御紹介しましたとおり、工事場所につきま7しては線量もあります。それから狭隘な場所で約5m、地上から掘っているというところもありまして、現地施工の施工精度ということで、パッカー同士の密着が十分でなかったことなどが挙げられるというふうに推定してございます。次に、11ページでございます。2号機開削ダクトの状況でございます。2号機の開削ダクトにつきましては、右上の平面図でB部というところで実施してございます。この部分につきましては、削孔を終えて、今現在、凍結運転中でございます。6月13日から運転を開始してございます。12ページでございます。この2号機開削ダクトの温度の状況でございます。全断面におきましてパッカーを設置し、徐々に温度が下がっていると思います。2週間程度、左下のモザイクのところで行きますと、13日~6月29日ということで、約2週間後には、真ん中の右の下辺りから温度が徐々に下がっているということで、この部分については、凍結しているのではないかと推定してございます。しかしながら、実証実験と比較して、一部に温度の低下の遅れが見られているところもございますので、立坑Aと同様、追加の対策の必要性も含めて、今後、検討を行っていきたいというふうに、注視していきたいと思ってございます。13ページでございます。これはまだ凍結運転していない部分で、まだ削孔しているということで、3号機の立坑Aの状況でございます。まだボーリングをやっているところでございます。それから、14ページでございます。これは同じく、3号機の立坑Dというところで、ここにつきましては、やや進捗があるということで、保護管の部分については7/7、青い部分については3/24ということで、若干進んでいるという進捗でございます。次に、15ページでございます。先ほどの測温管のデータに伴って、それを裏づけるために、カメラをこの中に挿入して目視をしようということで、6月末から、この配管周り、それからパッカーのない部分を中心にビデオスコープで撮影をしてございます。後で動画がございますので、ちょっと見ていただければと思ってございます。右上にございます、地上と書いてある部分につきましては、これはφ350の孔からファイバースコープを入れると。この真ん中にある配管が凍結管でございます。この隙間からカメラをずっとおろしていくということになります。15ページの下の段につきましては、トレンチの内側から撮った写真でございます。これが1本つながっていまして、この白矢印で描いてあるところにカメラが出てくると。ここから水の中に入って撮影ということになり8ます。16ページ以下が、T1と呼ばれる部分で、北側の側面を撮った写真で、パッカーであるとか、それから側面であるとかが写っていますが、この辺はちょっと見づらいので、また動画を見ていただければ、氷のあるところがあるかと思います。17ページも、同じくT2の貫通部というところのパッカーとパッカーの密着しているところを撮ってございます。18ページが、今度は南側のほうに行きましたT8というところの孔からのぞいた部分で、凍結管と立坑の南側の壁をのぞいた部分でございます。この部分につきましては、凍結管の部分には氷は認められるものの、南側の側壁と密着していないと、そういうようなものでございます。19ページの部分でございます。同じく南側のT15というところで撮ったカメラでございます。ここにつきまして動画がございますので、ちょっと見ていただければと思います。よろしくお願いします。ちょっと見づらいいのですが、これはトレンチの底が映っているようなことです。これが氷の部分でございます。氷が反射して、下の底版が映っているような形になります。かなりゆっくり凍ったようで、空気も入ってなく、きれいな氷になっているかなというふうに思っています。この動画は、立坑の中から凍結管の方向を見ているような形でございます。ですから、凍結管の周りにこの氷ができていて、それが反射して、下の底版のコンクリートが向こう側に映っているような形になるかと思います。よろしいでしょうか。このような動画でキャプチャーしたものが、先ほどからちょっと御説明さしあげましたが、プリンター等映りが悪く、なかなか御理解がちょっと難しいかなと思って、その動画を映させていただきました。20ページにつきましては、同じく15のところから写したもので、凍結管の近くに氷がついているというような写真でございます。21ページでございます。ここが状況のまとめでございます。温度のデータ、それから、パッカーの未設置、それから、配管ケーブルトレイの周囲の温度が高い傾向があると。それから、配管周り、パッカーの未設置箇所につきまして、先ほどの部分でカメラによる確認を実施しました。左下にA-A断面とありますけども、この部分が、ちょっとプリンターの関係で、オレンジ色と、それから青が混じって、ちょっとグレーになってしまっている部9分がございます。申し訳ございません。この部分につきましては、そのオレンジ色の部分につきましては、パッカーがかなり冷えている。それから青とグレーになってしまったんですが、これは一色で、この塗り潰している部分については凍っているであろうと推定してございます。左下に配管類ということで、丸がついてありますけど、ここの配管の部分につきましては、その水抜きがあって、ここが凍りにくい場所である。それから、その上のケーブルトレイ、この部分についても、やはり水抜きがあって、凍っていないいのじゃないかというふうに推定してございます。右側のパッカー未設置ということで、ケーブルトレイの下が白くなってございますが、ここの部分については、パッカーがちょっと設置できなかったというところで、この部分については、やはり凍っていないいのじゃないかと。ただし、壁面の脇にある凍結管自体は凍っているんですが、その凍結管とダクトが密着していないというようなことがわかってございます。まとめますと、①の部分でございます。T1のパッカーが北面に密着していること。それから、底部の水が凍っていることも確認してございます。それから、②T2とT10のパッカーが密着していると。それから、T8のパッカーの未設置部分については、凍結管周辺は凍っているものの、立坑南側の側面とは接着していないということを確認してございます。それから、④でございます。T15、パッカーの未設置部につきましては、凍結管周辺の水が凍っていることが確認されております。全体的にパッカーの周辺に、水中なので霜状ということの表現がいいか、ちょっとあれですが、シャーベット、霜状のものが見えているので、パッカー自体は凍っているものと推定してございます。次に、22ページでございます。凍っていない原因としまして、流れがあるんじゃないかということで、流向・流速の測定を一度させていただきました。22ページ、右上のところに2号機立坑A平面図でございます。この部分のS2、緑色の上の変更というところの左側に黒い四角がございます。この流向・流速測定位置と。ここはカメラの入れる孔がありまして、ここの部分から流向・流速計を入れてございます。この部分の結果が左下にございます。なかなか10mの上から流向・流速計をおろしていきますので、cm/minというようなかなり小さい数字をとるので、若干計器によるばらつきと、それから、1回、2回というところで、データがとれたもの、とれていないものというものもございますが、方向、それから流れが発生しているのではないかということで、我々は推定してございます。実証実験では、温度の対流については想定しましたが、実器では凍10結の障害となるような水流が発生しているということで推定してございます。23ページを御覧ください。同じく、流向・流速の棒グラフであるとか、そういうものをちょっと描いた図面でございます。23ページ、先ほど、黒い平面図で落とした部分の50cmピッチで、ここで測定しましたというのがA-A断面図の黒い点でございます。この部分で、右側の棒グラフ、1回おろしたものと、2回目に引き上げたもので、1回目と2回目の測定をしているということでございます。ここにつきましては、1回目にやって、2回目にないとか、そういうようなデータの取得精度等もございますので、この辺が今後の調査に生かしていかなきゃいけないなと思ってございます。流向・流速の結果、2段目でございます。流向が主に南西側に向かっているということで、A-A断面の赤矢印、南西方向の矢印が描いてありますけども、ここが、パッカーが設置がしていなくて、建屋側に向かっているということで、今回この測定をしたときには、滞留水の移送をしておりまして、建屋の水位が下がっているということで、水の流れとすると、建屋側のほうに流れているということで、南西側の方向に流向はこのような向きになっているというふうに思います。三つ目のセンテンスでございます。流向・流速計の結果、流れが生じていることから、建屋側の水位変動に伴い、建屋とトレンチ間の貫通部を通じて滞留水が流出入し、パッカーのない箇所・配管・ケーブルトレイ周辺に水流が発生していることが、今現在の凍結の支障となっていると考えてございます。次に、24ページでございます。今後の対策ということで、引き続き、止水壁の造成状況を詳細把握するとともに、水流を抑制し、凍結止水壁を造成できるように対策を、今、検討中でございます。一つ目としまして、ケーブルトレイの下に保護管などを設置して、その中にパッカーを挿入するというようなことで、ケーブルトレイの下にパッカーを設置できないか。それから、2番目として、グラウトによる間詰めというような考え方。それから、三つ目としまして、この中にある滞留水そのものを何とか冷やせないかというようなアイデア。それから、四つ目として、そのポンプとかもろもろをあわせまして、水位の変動を抑制して、その建物との水位の変動の抑制を実施するというようなことを、今現在、検討をしてございます。25ページでございます。海水配管トレンチの全体計画ということで、2号機、3号機ともに、平成26年度の汚染水の除去及び充填の完了を目標としてございます。水移送及び内部充填の考慮をして、追加対策を実施するということで、下に工程を記載させていただいて11います。長くなりましたが、以上でございます。


〇更田委員
この海側トレンチの凍結止水ですけれども、思ったような効果が得られていないと、まとめることができると思います。幾つかの箇所について、順に議論をしていくことになりますが、まず、とにかく一番早く、4月28日から凍結運転に入っている2号機の立坑Aのところの状況です。今日は、温度分布について、ブロック図の水位という形で温度の変化を示されていますが、規制庁が東京電力からヒアリングした際の資料がありますので、それをちょっと映してもらおうと思います。ちょっと準備に時間がかかっているみたいですけども、その際には、グラフの形で示されていますけども、ブロック図でも注意深く見ていただければですが、一旦温度が下がったものが、また戻ってきてしまっている部分というのが随分あるということで、一旦凍結したから、それでという、静観していられるという状況ではないと。温度がなかなか下がっていかないとともに、凍結したものすら、また融解して戻っているものがある。ですから、十分な凍結の効果が得られていないということで、対策も今の報告では検討中ということでしたけども。じゃあ、まずこの点、この凍結止水、立坑Aのところを例にとっていただければと思いますけど、御質問、御意見があればお願いします。阿部先生、どうぞ。


〇阿部教授
その温度分布を1カ月後あるいはもう少し後も含めて何点か示していただいていますがすが、この温度の傾向が、いずれ全体が凍結する方向に向かっていっているのか、それとも、全然そうではないのかというところが、この御説明いただいた資料ではりわからりませんでした。また、更田委員の御説明ですと、温度は変動していて、全然凍結の方向に向かっていないというふうな印象を持ちましたが、それで正しいいのでしょうか。


〇石川(博)(東電)
 今の御質問について、お答えしたいと思います。10ページを御覧ください。まず凍結を開始してから1カ月たってということで、そのパッカーが密着しているような部分について、下部であるとかというところで、6月29日のS5、S6であるとか、S4の上部であるとかという部分につきましては、凍結しているものと思われますが、先ほど申し上げましたとおり、右上、それから左上のケーブルトレイの部分につきましては、どうも凍結をしておるんですが、建屋側からの温かい水が流れ込んでくるというところ。そ12れから、同じく左下にある配管類、この部分についてちょっと今現在、その凍結については、何らかの手だては立てないといけないかなというふうに思っている次第でございます。


〇阿部教授
相場観がよくわからないので、その辺のところをきちんと教えていただきたいいのですが。水の流れがあれば凍結しないだろうと。じゃあ、その水の流れがどのぐらいあるのかというのがよくわからないいのですね。つまり、投入している電力に対して、それを超えるだけの熱が奪われて、熱が水のほうに流れていってしまう、液相のほうに流れていってしまうのであれば、それは凍らないですけれども。では、じゃあ、もう少し冷却性能を上げるという措置がとれるのかとか、あるいは、後半のほうの資料にもありましたけども、外側のほうを冷やして、冷却が少しでも凍りつくようにいくようにできないかとか、定性的には御説明いただいたところでわかるのですがわかるのが、定量的によくわからないので、教えていただきたいのです。つまり、今のままだと、全く凍りそうにないのか、あるいは、今のままであれば6カ月後には凍るのか、あるいは、全く凍らないから、追加で冷やす装置を加えなければいけないのか、どの程度の性能のものが必要であるのかというのを教えていただきたいと思います。


〇石川(博)(東電)
 まず、冷凍機等は、この2号機と3号機の4カ所で同時に水を凍らすというような容量の計算をした冷凍機を用いて、ブラインについてもマイナス40℃の仕様のものを今現在使っております。今現在は2号機の立坑Aと開削ダクトの二つの部分で200馬力のものを使っておりまして、容量的には十分冷えているというふうに思ってございます。ただし、今、御指摘のありました部分で、じゃあ、いつになったら凍るのかというようなところにつきましては、やはりその流れの部分がまだちょっと解決しておりませんので、この部分をもう少し詳細に、どこにどういうような流れがあるのかと。今現在も流向・流速を御説明したのは1カ所なんですけども、他にはかれるような場所があるかないか、それから、カメラでこういうところに隙間がありそうだとか、そういうところを探して、対策を立てていければというふうに思ってございます。


〇阿部教授
もう一つだけ質問させていただきたいいのですけども、冷凍がうまくいかなくて完了しない。それが水の流れがあるからだということで、流速あるいは流れの向きに関しては、先ほどのデータのところで、多分トレンチの中で温められた水が対流の効果で、建屋のほうに流れていっているのであろうということですが、それは確かですか。つまり、流れがあるというのは、建屋のほうからトレンチのほうに流れて、トレンチからリークし13ているというようなことはないですか。そこを確認させてください。


〇石川(博)(東電)
 22ページのちょっと私の御説明がよくなかったかもわかりません。流向・流速につきましては、建物のほうでポンプアップをしていまして、その水が建物から引かれているようなことになります。ということで、トレンチのほうから建屋のほうに水がポンプアップに伴って水が動いているということが、この流向・流速のほうで南西側に向いているというようなことで、今現在、ポンプの動きと、その流向が調和しているということがわかってございます。


〇更田委員
先ほど申し上げた、ヒアリング時に東京電力から提出のあった資料がこれですけども、この場合は、縦方向の温度分布の形で示されていて、ちょっと見づらいですが、三角が4月29日、四角がその1カ月後、グリーンのひし形がさらに1カ月後で、その数日先が7月1日ですけれども、三日後ですか。例えばこの例、S6というこの位置で言うと、一旦凍って、5月29日では一旦凍っているけれども、6月29日で言うと、もう10℃ぐらいに戻っている。始めたときよりも温度が高くなっていて、一旦凍って、戻っている様子がわかります。この例のように、こちらのように凍って、そのままの温度を保っている例もあれば、全く凍っていない部分もあるわけですが、この温度分布を見る限りにおいては、このままの状態で続けていて凍るとはちょっと考えにくいという状況が、温度分布のほうを見ていただくと、よりはっきりわかると思います。山本先生、どうぞ。


〇山本教授
3点教えてください。まず1点目、先ほど阿部先生からも御指摘がありましたがしたが、結局のところ、除熱と入熱のバランスがどうなっているかという話だと思います。現在の除熱であれば、対流がどれぐらいまでだったら完全凍結できるのか、そういう計算をされているかどうか。もしもされていたら教えてください。2番目は、計算上のその除熱量というのは、機器のスペックからわかると思うのですが、例えば実際の凍結管の入り口と出口の温度差を測って、除熱量が計算どおりに出ているか、そういうことを確認されたことがありますか。3番目が、例えば10ページの断面図を見ますと、配管が通っているところが、やはりちょっと凍りにくくなっています。この配管の中が空洞だったのか、水で満たされているのかというのは、前にちょっと1回、伺ったような気がしますけれども、例えばこれが何かヒートパイプのような役目を果たして、プラスアルファの入熱源になっていることはありませ14んか。ここの3点についてお願いします。


〇石川(博)(東電)
 熱のバランスについては、申し訳ございません、計算はしてございません。それから、ブラインの温度につきましては、行きが-40℃で、返ってくるのが-38℃ということで、2℃のエネルギーが除去されているというような、そういうことになります。三つ目の御質問ですが、この配管につきましては、ちょっと現場のほうに行けませんので、この中に水が入っているか、入っていないかという確認はできない状況でございます。それで、先ほどの模擬試験のときに、水が入ったものと、それから空のものということで、ケースを分けて、入っていて、入っていないものということで、実験をさせていただきました。 以上です。


〇松本(東電)
少し補足をさせていただいてよろしいですか。


〇更田委員
どうぞ。


〇松本(東電)
今、先生から、対流の関係で、少し計算的に追いかけられないかというような御質問だったかと思いますが、一つの要素は、断熱状態になっているところで対流が起こってというよりは、このタービン建屋とトレンチの間で、少し温かい別の水がある量、行き来をしているということになりまして、その熱の伝達だけではなくて、そもそも少し温度の違う水が入ってきているという部分があるかなというふうに思っておりまして、量だとか、そういったものがわからないと、少し計算に乗りにくいかなというところで、少し計算のやり方に悩んでいるというような状況でございます。


〇角山特別顧問
5ページで、実証試験をおやりになって、CASE1~CASE4までありますが、この実験の中で、今まで議論があったように、かなり実際は不確定の要因があるので、この中の組み合わせで、当然一番厳しいというか、凍結しやすい仕組みで、私はやるのが筋だと思うのですが、そこら辺、どういうふうなこの実験結果を踏まえて、今のパッカーの並び方を選んだのか。それから、もう1点は、流速が、22ページに載っておりますが、10m×10mの凍土壁でも、一応地下水の温度で流速がある状況で、もっと大きな流速だったと思うのですが、凍結の実験をやっていると思いますが、両方、今までの結果を踏まえて、どのようにこの実際の結果があると思っておられるか、教えていただきたいと思います。


〇石川(博)(東電)
 まず5ページの試験のときには、先ほど申し上げました大きさが2m×2mの断面の長さ6mというような、ここにつきましても、ケーブルトレイ、配管、支障物を模15擬しておりました。この部分につきましては、凍結管を800ピッチ、実際にやる工事に使う大きさで配置してございました。ケーブルトレイの部分につきましては、パッカーがここに行き渡りませんので、この部分につきましてはどうするかということで、先ほど6ページのところで御説明させていただきましたが、直接凍結管を挿すというようなやり方をさせていただきました。しかしながら、このケーブルトレイから下までの、底までの距離が、実際は3m近くありますけど、ここの部分につきましては、この模型ということで40cmしかなかったというところで、かなり冷えた水がこの中にできていて、実験とすると、実機に比べて凍りやすいような状況であったことは確かだと思います。それから、この中で、水流を模擬できなかったかというところにつきましては、今現在は、我々とすると、パッカー、要するに、自分の凍結するところの対流、この部分で阻害するのかということに関しては、パッカーを設置したことによって対流が抑えられて凍結したということで、外部からの別の流れによる対流を模擬していなかったということにつきましては、反省をするところでございます。それから、流速のところにつきましては、水を凍らすというようなところにつきましては、その限界的な流速というものがなかなかできないと思いますが、確実な数字というものは持ってございません。


〇角山特別顧問
補足というか、その5ページで、CASE_3とCASE_4は、たしか凍り方は早かったように思うのですが、それは間違っていますか、CASE_1と2と比べてです。


〇石川(博)(東電)
 一番凍りにくかったのがCASE_3でございます。CASE_3につきましては、5ページの下の表で、凍結管の列の数が2列しかなかったというところで、ここの部分については、CASE_3が一番凍りにくかったのが実験の結果でございます。


〇角山特別顧問
そうすると、その外側の冷却というのは、あまり支配的ではない可能性もあると思ったほうがいいいのですか。


〇石川(博)(東電)
 この実験したときには、5ページの部分で、断面図、それから平面図、A-A断面と書いてある部分につきましては、タンクのところから張り出した緑の部分がございます。これをコンクリートの壁というのを模擬して凍結管を挿しているものでございます。この部分につきましては、やはり周りも冷やしたほうが、やはりエネルギーということで言うと、とどまるということで、放熱がないということで、外側の凍結については、そこそこ効果があるのではないかと、この実験のときには我々は想定してございます。16


〇更田委員
角山先生、よろしいですか。


〇角山特別顧問
あまりすっきりしないいのですけど、とりあえずは。


〇更田委員
非常にすっきりしないです。高坂さん、どうぞ。


〇高坂専門員
いずれにしろ、非常にリスクの大きいものなので、早く凍っていただきたいと思うのですが今の10ページで御説明いただいているように、パッカーがないところですか、トレイのところは凍らないというお話があるので、ここは冷凍する能力を上げるか、それから、流速の影響を受けなくするというようなことをやらないといけないと思うのですけども。ここの冷却管のところと、ほかのところとの、流量バランスを変えて、特に凍りにくいところを余分に冷媒の循環速度を上げるとか、あるいは流量を増やすとか、先ほど200馬力で十分だとおっしゃったけど、この状態では足りなさそうなので、それを増やすことを検討していただく必要があるんじゃないかと思うのですけども。それから、もう一つ、先ほど角山先生からお話がありましたけど、凍土壁の方で、かなりの流速があっても凍るということを実験でやっていると。それで、今のお答お答では、水単体では凍らないいのだという話をされていましたけど、それならば、凍土壁と同じ状態をつくるというようなことからすれば良いのでは。先ほど、パッカーを下に入れるという話もありましたけども、コンクリートとか何かを入れて、できるだけ凍土壁と同じ状態をつくると、それによって、多分、流速の影響もなくなるし、それから凍りやすくなるので、そういうちょっと工夫を十分やっていただく必要があるのではないかと思うのですけど、その辺、について御説明いただきたい。それから、もう一つ、気になっているのは、この凍結による止水を実施したときに、片側で水を抜いたときに、水圧で倒れ込むのでははないかという話がありました。そのときは壁とか床に十分凍結したものが固着するので、それで十分摩擦で倒れ込みはありませんという話があったんですけど。凍結が不安定な状態で、先ほどの南側のほうでは壁側と十分にくっついていないとか。それから、先ほどのビデオがありましたけど、が底面に対して十分な固着力を持っているようには固まっていないように見えているので、見通しはどうなんでしょうか。十分に凍結・固着しないと、つくった後、倒れ込んでしまうという一番最初に懸念したことが、また問題になってしまうので、それについてお答えをお願いいたします。17


〇石川(博)(東電)
 凍結管の設置ということにつきましては、検討をする余地はあるかと思います。ただし、先ほど、3ページであるとかで御説明さしあげましたが、10m盤から約5m下のところに、今、ボーリングで孔を開けております。これ以上、孔を開けていきますと、この部分につきましては、頂版が荷重を支え切れなくなるようなおそれもありますので、この部分につきましては、孔を開けずに、観測している測温管を凍結管に変えるだとか、そういうようなものでの冷凍の能力のアップ、これは考えられると思います。それから、このパッカーがない部分につきましては、やはり御指摘のとおり、この部分につきましては、水の流れがやはりあるということで、この部分につきましては、今現在、ケーブルトレイが支障となって、そのパッカーがうまく開かないというようなところから、この部分については断念したんですが、パッカーを傘のように丸めて、その部分を保護管でケーブルトレイの下まで挿して、それを保護管として、その下にそのパッカーを膨らませるような、今、作戦をとって、それに充てようというふうにしてございます。それから、摩擦の部分につきましては、やはり時間もかかって、それからというところもありますので、一番最後に申し上げたいろんな検討をして、その凍結を確実にして、その摩擦によって水圧を確保というようなことを、今後、検討していくというようなことで考えてございます。


〇更田委員
よろしいですか。高木先生、どうぞ。


〇高木教授
やはり皆さんと同じような質問になりますが、別途配布された面談資料の10ページ、上のほうの温度分布について、ちょっと伺います。例えば、S6の上から2番目の点というのは、かなり日によって値がばらついていまして、例えば5月29日に-20℃だったものが、6月29日には+10℃まで、30℃も温度が上がっています。一旦凍結したものが、これだけ温度が上がるということが、あるのかどうか。もしかして、その温度計の測温の精度に問題がないのか、そのことについて伺いたいと思います。


〇石川(博)(東電)
 まず、この温度をはかってございますのは、測温管と言われるものでございまして、鋼管の中に温度素子を入れて、水の中に入れているということで、その周りの温度をはかっているというようなことでございまして、氷なり水なりの直接の温度をはかっているわけではありません。S6の部分につきましては、我々とすると、パッカーの密着がなくて、その部分に流れが生じて、流速が速くなって、こういうような動きがあるかなというふうに思っています。18ただし、時間的なスパンでいきますと、-20℃から例えば0℃になるというのを何日間で起こっているかというようなところがやはり問題になって、突然溶けたわけではなく、数時間かけて、一日、二日かけてなっているというのが、こういうような状況になってございます。


〇高木教授
確認ですが、そうすると、この温度測定自体は正しくて、一旦-20℃まで凍ったものが+10℃まで溶けて、温度が上がることはあり得るというふうにお考えなわけですね。


〇石川(博)(東電)
 はい。その測温管の周りの温度、水なりの温度をはかっているということで、そういうことがあり得るというふうに思ってございます。


〇高木教授
もう少し伺いたのですが、そうすると、これ、氷点下になっているからといって、水は凍っている、ここの水は凍っているとは限らないというふうに考えてよろしいわけですか。


〇石川(博)(東電)
 一旦凍っていると思います。その後に何らかの水が入ってきて、そこで流速があって溶けていったんじゃないかというふうに判断してございます。


〇更田委員
橘高先生、お願いします。


〇橘高教授
この凍結に関しては、3月のときに、こういうシステムで、果たしてうまく凍るかということに関して、シミュレーションなり、場合によっては、この模型を小さいものをつくって、実際に凍るかということを検討する必要があるかと私、指摘したと思うのですが、やっぱり対流が起きるということが最初に考えられるので、これはトレンチの水ですが。今後のことを考えますと、やはり何らかのモデルなり模型なりで、同じような条件で、果たして凍るかというようなこと、とプラス、最終的な目的はこのトレンチを充填するわけですよね。高流動コンクリートになるかと思うのですが。あるところで、これはいつまでたっても凍らないということになってしまうようなことが想定できるとしたら、高流動コンクリートの充填、あるいは、水中不分離コンクリートというのがありますから、そういったものを、模型を使うなりしてある程度、どの辺まで効果が出るかということも、あわせてやってもいいかなと。また、対流が原因だとすると、このトレンチの水はある程度断熱するなり、これを場合によっては、除去した場合のほうが何かうまくいくかなと。除去しながら、うまく高流動コンクリートの周りを詰めていくとか、わかりませんけど。それと、当然トレンチの水を全部凍らせるのが一番いいと思うのですけど、比重の関係で上からどんどん凍っていくと思うのですけど、この4mぐらいの部分のトレンチを全部凍19らせるというのは難しいかもしれないですけど。そういったことをやって、熱の対流が起きないようなことを、モデルを使いながら、何か検討していくということもあるといいのかなというふうに思いました。


〇松本(東電)
御指摘ありがとうございます。今、先生おっしゃられたコンクリートといいますか、グラウトといいますか、そういったものも、24ページのほうで、四つ、表の中で示しておりまして、私どもの今考えている追加の対策というものの一つの柱になってございます。こういったものが、どれが有効に作用するのかと。先ほど高坂さんからも、何らかの方法で少し水流が抑えられないかということも、先ほどから石川が申しております追加のパッカーというのが、ここの表の中の1番でございますし、この2番目のものが可塑性グラウトといいますか、水中不分離コンクリートといいますか、そういったものということで、そういったものをどう組み合わせたら、最も確実に閉塞できるのかということを今後検討して、対策を詰めてまいりたいというふうに考えてございます。


〇橘高教授
私が申し上げたのは、このトレンチ全体を最終目標として充填するということを考えてもいいかなと、そういう話です。


〇松本(東電)
はい。先生御指摘のとおりで、それもあわせて考えております。うまく水を抜きながら、全体を充填させるということができないものかということも、あわせて検討してまいりたいというふうに考えております。


〇更田委員
すみません、お待たせしました。渡邊先生。


〇渡邊教授
ちょっと意見を述べる前に確認をしたいいのですが、この流速計をどうやってはかっているのかということを、ちょっと1点、教えてください。それから、もう1点は、これ、4ページの立坑に凍結管を入れる鉛直方向の掘削をするわけですが、これ、3ページの立坑で見ると、この掘削のところで、立坑の汚染水が上部に漏れるような感じになりますが、この対策はどうなっているのかという、2点。教えていただけませんか。


〇石川(博)(東電)
 流向・流速計につきましては、地下水の流向・流速をはかる、熱を利用した流向・流速計を今回用いてございます。それから、先ほどのトレンチの部分で、満水になったときに、掘ったときに出てしまうんじゃないかというところには、この絵にちょっと描いていなくて、申し訳ないのですけども、その部分につきましては、地盤の改良をして、その後に外管を打って、それから孔を開けているということで、汚染水が外に漏れないような対策をしてございます。20


〇渡邊教授
わかりました。まずは、その流速計の問題ですが、先ほど御説明いただいた流速計のデータ、22ページのデータを見ますと、これ、1回目と2回目で、多分これは止水高度が変わってきているんだというふうに思うのですけども、上部のほうは南西方向になっていて、下のほうは全体が北東方向になっているという、二分化していますよね。これ、対流、対流と言っていますけども、これ対流じゃなくて、基本的に、例えば地下の水位が上がって、地下の水位で運動量輸送されて、北東方向に全部が一様化されているという可能性はないのでしょうか。要するに、何かというと、漏れているのではないのでしょうか。この辺の確認をきちっとしないと、まず、その立坑の中だけで閉鎖されているのかどうかということも含めて、これ、きちんと対応しないと、凍結できないいのじゃないかというふうに思います。それから、何人かの先生からお話がありましたけれども、一番やっぱり重要なのは熱量計算だと思うのです。それは単純に試行錯誤的にのやるのではなくて、やはりはり一定程度、目標を持った上で、きちんと計算をして、最低限こうなっている、ということをやらないと、例えば流量計算をしましても、今度は流量が測定されるわけですから、それに伴って、実はその熱量をきちっと計算をして、どの程度のいわば熱源を入れてあげたら凍結するのかという、その辺をしっかり出さないと。よく東電さんのほうでシミュレーションをいろいろ出しますが、流速や流量の計算とか熱量の計算を出すのは、我々の説明のためではなくて、やはり工事をちゃんと診断的にするという意味で、そのシミュレーションを使っていただきたいというふうに思います。ですから、その意味では、流速がせっかくありますので、どういう状態なのかということをちゃんとやっていただかないと、多分これ、今、立坑だからまだいいですが外の凍土壁になってきますと、流速が相当出てくるところが出てきますので。そうすると、それはもう凍土壁つくれないという問題になってきますので、そこをきちっと次の工事も含めた上で、やっぱりシミュレーションなり、流量計算なり、熱量計算をやって、きちっと対応していただきたいというふうに思います。


〇松本(東電)
御指摘のとおりだと思います。現状まで、まず最初の施工で、なかなか凍らないというところで、追加の測温管を凍結管に変えて、さらに追加でやってみたと。それで、それでもなかなか凍りづらいというところで、流速の測定を始めましたが、現段階ではかれているのがまだ1点というところでございます。これは全体をもう少しきちっと流れを見るためには、もう少し流速を各所ではかるとい21うようなことをして、その上で熱量計算をして、先生がおっしゃられるように、見通しを持って、追加の対策を打ってまいりたいというふうに思います。


〇渡邊教授
これ、漏れていないですか。大丈夫ですか。


〇松本(東電)
このデータから、漏れている、漏れていないということは、なかなか今、まだ申し上げられる状況ではないと。


〇渡邊教授
むしろ北東方向に流れが高くなっており、水位が盛り上がったようにこのデータからは見えますがいかがですか。要するに、0のところで-0.5のところまで、北側にずっと流速が、これ、精度の問題で、先ほど流速計は何で測っていますかと、熱量計ではかっているという話があったので、どの程度、精度があるのかはわかりませんが、このデータを単純に見ると、+0.5ぐらいのところまで水位が上がって、下のその流速が上がってきたというふうに見える見方もできるのです。ですから、その点からすると、何か漏れていないと、こういう方向は出ないのではないかという気がしますが、大丈夫ですか。


〇石川(博)(東電)
 今現在、我々の見解とすると、まだカメラ等を入れて確認したわけではないいのですが、先ほどの動画でもお示ししたとおり、この部分、底の部分については、もしかしたら、氷がこの部分についていて、流向・流速の若干の変化に伴っているのではないかというふうにも思ってございますので、今後、この部分についてもカメラ等を入れて、確認をしていきたいと思っていますが。


〇松本(東電)
先生の御指摘の点は、これから少し調べてまいる必要があると思います。今、これ、測定時刻が書いてございますけれども、それぞれ、だんだんおろしていきながら、流速をはかるということをやっていて、各ポイントで1分程度とか、それぐらいの時間で、この0.01cmというようなレベルで……。


〇渡邊教授
0.1mmですね。


〇松本(東電)
0.1mm程度のものをはかっております。これは地表から長い筒状の、棒状のものをおろしていって、その先端で流速をはかっているということでございまして、そういう意味では、精度にかなり限界があって、そこの精度の議論をあまりせずに、生の値をここで載せておりますけれども、そういう意味でも限界がある数字でございますので、もう少しほかのところも調べて、きっちりやってまいりたいと思います。


〇渡邊教授
ただ、管のあるところが、13℃とか、15℃とかいう値になっていますよね。


〇松本(東電)
はい。


〇渡邊教授
現在の地中温度で、例えば地下5mぐらいだと、普通、こんな温度にならない22のでははないかという気がします。ですから、そういうことも含めて、その配管の熱源が何かも、きちっとこれ、せっかく観測しているわけですので、観測値を用いて熱量計算ができると思いますので、そんなに難しい計算ではないと私は思います。この配管の中に実際にどういうものがあるのか。これ、必ずしも外側の空気の影響だけではなくて、やはり相当温かいものが入ってきているという可能性が十分考えられますので、そこも含めた上で。現場ではそういう、このパイプは一体何に使われているかという確認はされているのでしょうか。


〇松本(東電)
この用途はわかっております。


〇渡邊教授
そうですか。そこは別に熱が入ってくるところではない。


〇松本(東電)
はい。それはございません。


〇渡邊教授
そうですか、わかりました。ぜひ、ちょっとそこを、できること、できないこと、初めての作業ですので、いろんな困難はあると思いますが、リスク低減という意味では、ぜひ何とか成功させてほしいと、地元としては思っていますけれども。やはりやはりちょっとやり方が、土木工事ではなくて、やはりこういう初めての工事なので、診断的にきちっとやり、手順を踏んでやっていただきたいというふうに思います。


〇松本(東電)
はい、かしこまりました。ありがとうございます。


〇更田委員
よろしいでしょうか。高坂さん。


〇高坂専門員
凍結箇所の流速を減らすために、タービンタービン建屋から排水止めるとか、そういうことになると思うのですけど、汚染水の処理で、建屋内の排水するかというのは大事なので、早目にこの凍らないところの止水というか、流動を減らすための対策を打っていただかないと、今度はタービン建屋の水位を下げるために抜く作業ができず、運用上、困らないかどうかが心配なんですけども、その辺はいかがなんでしょうか。


〇松本(東電)
今、高坂さんの御指摘の部分が、まさに、今、私ども検討しているところです。かなりのスピードで、今、タービン建屋の水を四日間ぐらいかけて数十cm下げると、もう一度、移送を止めて、流入分が入ってくるので、水位が上昇してくると。これをそういった四日とか、一週間とかいうレベルのサイクルで、のこぎり状に水位をある幅の中でコントロールをしているというどころでございまして。これを何とかもう少しゆっくりとしたサイクルに持っていくことで、水が行ったり来たりというようなところを何とか23抑制していきたいというふうには思っております。もちろん、移送する量というのにも、処理の量あるいはタンクの量というようなところにも連動している問題でございますので、総合的にできる限りのことをしてまいりたいというふうに思っております。ありがとうございます。


〇高坂専門員
わかりました。内水トレンチ内水の浄化系は、今、止めているわけですよね。


〇石川(博)(東電)
 2号は止まってございます。


〇高坂専門員
そうですか。浄化系を運転して凍結止水をしているところで、タービン建屋側と、外側のトレンチ内の水位調整をうまくやるとか、そういうことも検討ではできるのじゃないかと思うのですけども。そういう意味で、水位調整は重要なので、タービンタービン建屋のくみ上げタイミングとか、ゆっくりくみ上げるという話もありますが、検討していただければと思います。


〇更田委員
ちょっと私のほうからも。まず山本先生からの質問にもありましたけども、最も簡単な冷却量の計算が示されていない。最も簡単なというのは、冷媒の入り口温度と出口温度の温度差。温度差に流量を掛けて、比熱容量を掛ければ除熱量ですね。ですから、冷凍機が一体どれだけの除熱ができているのか、冷却ができているのかというデータがきちんと示されていないのが非常に不思議です。-40℃で入っていったものが-38℃で戻ってくると。2℃の温度差に比熱容量を掛けて、流量を掛ければ、冷凍機がどれだけ除熱できているか、これが予備試験のときと現在とでどう違うのかかと。それから、-2℃という温度差をどう考えているのか。冷却機、流量を上げてやるというのは一つの手ですが、流量を上げたところで、この温度差が維持できるのか、逆に言うと、冷たいまま戻ってくるということで、結果的に冷却量は変わらないかもしれないけれども。例えば、凍結管の周りを取り巻いているパッカーが、これが温度伝導率というか、熱拡散率というか、それが非常に小さくて、いわゆる断熱材のようになり、温度勾配が非常に緩やかになっているということもあるだろうと思います。凍結管表面とパッカー表面の温度などがわかっていればいいですが、とにかくちゃんと冷やすことができているのか。今、それを流れじゃないかと見て、何とか流れを止めると言っていますが、流れをといっても、これだけゆっくりしている流れを止めるというのは容易なことじゃないですね。じゃぶじゃぶ流れているものをゆっくりさせるというなら何とかなりますが、これだけゆっくり流れているものをさらに安定させられると考えるのが、あまり現実的とは思われな24いと。流れを止めようとする努力をされるのは結構ですが、同時並行で、ちょっとやそっと流れがあっても、がちんがちんに固められるように、冷却能力を上げるというふうに考えるのが、まずごく普通の考え方です。立坑のほうであっても3列にして、真ん中の列に凍結を期待する、ないしは、これ、もう既に3月に角山先生が指摘されていますけれども、トレンチの外側にも入れて、ヒートロスを減らす必要があるのでははないかというような指摘もされていますし、1月に開催したのワーキンググループでは、流れがあったらうまく凍らないのではないかという指摘をしています。これは速記録を確認していただければと思います。さらに、埋めていったとすると、水位差で流れが起きているのであれば、流路が狭くなれば、流速は速くなりますよね。本当にちゃんと止められるのなならともかく、ここは流れを止めることができたら凍りますと言っている場合ではなくて、もっとがっちんがっちんに凍らせることを考えるべきです。ちょっと今日の資料で検討中となっていることが、私としては、はっきり申し上げて不満です。流れどうこうではなくて、もう多少無駄だろうがなんだろうが、いっぱい入れて、がちんがちんにするんだという勢いを示していただきたかったと思います。いかがでしょうか。


〇松本(東電)
検討が不十分だったところはあると思います。至急加速して、その部分、先生から御指摘を受けた部分については検討して、徹底的な対策を講じてまいりたいと思います。申し訳ございません。


〇安井対策監
ちょっと今まで出た議論と少し違うことになりますが、原因は本当に流速なのでしょうか。この表にあるように、わずか1分間に1mmですね。1時間に6cmの水の動きですら固まらないというのは、しかも、これ、先ほどからのお話だと、タービン建屋の水を抜いているときは、確かに流れは生じるでしょうけれども、あれは四六時中やっているわけじゃありません。非常にゆっくりとした流れで、かつ、これは3ページの図を出してもらえますか。このタービン建屋との間には、タービン建屋の隔壁があって、そこから配管などが出ているところから水が流れているわけですよね。だから、そこからの流量で、いわば水が流れていると、非常に大きな流れがあるようなイメージを持っちゃいますが、さっき見せられた数字、それはもちろん誤差があるかもしれないけれど、そうしたものも含めて考えると、そもそも山本先生がおっしゃっていたように、この配管自身が中にタービン建屋とつながってい25る水の流れになっていて、そういうところから温められているのじゃないのかと。これは非常に実は深刻な問題で、単にパッカーと接しているところが凍るだけじゃだめで、配管の中まで凍らせないと、あるいは、多分ケーブルのところが流路になっているはずですから、ケーブルの間隙まで完全に固まらないと、閉塞が完成しないいのじゃないかという思いを持ちます。したがって、水がたくさん流れているところのあの流速で凍らないのだとすると、今申し上げたようなところまで凍らせるためには、やはり相当思い切った冷却能力の強化をやるか、何かもっと別のことをやらないと、待っていればできるという考え方では全くないと思うのです。次元が違うんじゃないかという気がしています。しかも、この程度の流量で、もし固まる、固まらないという議論が存在するなら、ちょっと話は飛びますが、凍土壁もあれだけの面積のところでやることは、事実上、成り立たないと思われます。ちょっとそういうふうに私は思うのですけれども。したがって、その流れがあるということ自身のあるなし論ではなくて、工学的見地から考えれば、この程度の、あの程度、1分間1mmとかという流量は、もうほとんどなきに等しいと思うので、ちょっと考え方の基本が少し違うんじゃないかという気がしますが、いかがでしょうか。


〇松本(東電)
先ほどから繰り返しになりますけれども、今回の検討がまだデータが出てきたところで、甘かった点が多々あるというふうには思っておりますので、その部分、しっかり立て直して徹底してまいりたいと思います。


〇安井対策監
もちろん、データの蓄積の大事なところはわかりますが、つまり、精度を上げていけば詰まっていくアプローチのコースと、もともとちょっとそういうコースじゃないいのじゃないかという議論と、二つあるわけですね。今般、本当にその流速で説明がつくのかという問題を僕は投げかけているつもりなんですけれども。


〇松本(東電)
その部分は、御指摘の側面から、もう一度検討させていただきたいと思います。


〇更田委員
先ほど流れ場の把握に当たっては、測温管を使っているという言い方を、測温管の誤差も考えられるし、非常に流量が小さいので、測温管ではかれる、測温管といいますか、熱式のこれは熱線風速計というと気体のやり方だけども、そういったようなものを扱っているののだろうと思いますけども、誤差もあるし、流れ場の特定も非常に簡単ではないし。26さらに言うと、先ほど申し上げたように、そういった精度の向上に使っている時間がもったいなくて、今、そこにあるリスク、危険性を相手にしているののだから、精度なんか、はっきり言っていいから、とにかくもうちょっとやそっと何があっても、がちんがちんになるように冷凍能力を倍にします、3倍にしますだと思うのですよ。ここ、測度場の正確な把握とか、除熱量の云々じゃないいのです。もうそこを凍らせるのに倍の能力をもって当たりますというふうに、それでいいいのだと思うのです。それで凍ればいいいのであって、効率の問題ではないと思いますので。これはもうとにかく早急に、冷却能力の向上を検討するのではなくて、冷却能力を上げてもらわないと困ります。角山先生、どうぞ。


〇角山特別顧問
先ほど安井さんがおっしゃったように、私はあの程度の流速で凍らないということ自体が大きな問題で、凍土壁の今後のことを考えても、この程度の流速で凍らないということになると、非常にもっと大きなシステムとして大きな問題を抱えているのではないかと思わざるを得ない。これは老婆心で、多分問題ないと思うのですが、-40℃で行って、-38℃で返ってくるということは、届いてもらいたいところに冷媒が届いていないとか、そういう単相流だから、大体均等に冷媒が届いているとは思うのですが、流速が冷却を送るほうで不均一になっていないかどうかということも、一つ、心配です。それから、やはり先ほど、実験でやったときに、配管の中が、空が一番厳しかったというのであれば、パッカーを3列のときは空でやるべきだったかなと。要するに、一番厳しい条件で常にやっていないと、こういうときに対症療法が見出せない。それから、解析は、いろいろ条件があるから、なかなかしづらいということですが、それは当然最悪の条件で解析をやって、それでも、先ほど来の議論のように、凍るような戦略を立てていないといけない。そういうふうに思うので、いろいろ反省すべき材料は非常に多い。先ほど、すぐ解凍されるということでしたが、凍土壁のほうの議論では、現象が多少違うにしても、一度凍らせれば、数カ月は電気がなくなっても持つという議論があったんですが、本当にそれが大丈夫なのかということにもきいてくるので、凍土壁の信用性にも大きく関わってくるので、ぜひ今までの御議論のように、根本的な現象をもう一度見直していただきたいと思います。


〇松本(東電)
繰り返しになりますけれども、御指摘の点を踏まえて、早急に抜本的な対策をとりたいと思います。ありがとうございます。27


〇更田委員
これはあまり時間をおけるものではないので、いつ計画を示すことができますか。


〇石川(博)(東電)
 今、更田委員のほうからありましたが、その冷凍能力とか、その辺の部分をもう本当に早急に検討します。早急というところにつきましては、なかなか数字が、日にちが出せないですが、とにかく本当に大至急、検討させていただきます。


〇更田委員
それでは、この件は、東京電力のほうから計画が示せるようになった段階で、速やかに改めて議論をしたいと思います。これは少なくとも今月中にやろうと思いますので。ほかによろしいですか。高木先生、どうぞ。


〇高木教授
先ほど更田委員がおっしゃったように、もし断熱されているのであれば、冷凍能力の問題ではなくて、多分接触の表面積の問題だと思いますので、そちらのほうも御検討いただく必要があるのではないかと思います。


〇更田委員
おっしゃるとおりで、非常に懸念されるのは、パッカーの中で温度勾配が立っていないので、パッカーが断熱材になっていないか。むしろパッカーの中をもっと熱伝導率、一様ではないから、熱伝導率という言い方はあれですけど、温度伝導率の立ったものを入れておくべきだったと。かえって、その周りが断熱材になっていないかという懸念は非常にあります。ただ、今からパッカー内を変えるということは難しいでしょうが、そういう意味では、もう少し熱伝導率のいいもの、温度勾配が立つ状態で、周りを少しカバーするとか、何かやり方があるだろうと思います。


〇高木教授
すみません、それと、そういうことでしたら、3号機は、今、まだ途中ですが、これの計画も少し場合によったら見直すことも考えたほうがいいのではないかと思います。つくってから、また凍らなかったということでは時間が浪費してしまいます。かえって、今、ちょっと立ち止まったほうが、効率としては良くなるんじゃないかと思います。


〇更田委員
全くおっしゃるとおりだと思います。まず、この2号機の立坑Aがうまくいくという、勝算を得てからほかに取りかかるべきで、ほかを進めるというのは、まずとにかく今は二の次であって、まずこの2号機の、今、着目しているところで、はっきりした技術といいますか、確立されてからだと思います。松本さん、よろしいですか。28それでは、これはもう本当に早い検討をということですけれども、二つ目は、前回まで御議論をいただいた凍土方式遮水壁、これの作業環境ですけども、これは田中委員長のほうからも言及がありましたがしたが、この凍土方式遮水壁に係る工事に関しては、その作業環境、非常に困難な作業環境が予想をされるので、その放射線管理に関する検討課題、これは規制庁の技術参与ががまとめたものがありますので、それを紹介してもらいます。


〇平山技術参与
私たち3名の技術参与は、2013年の8月に汚染水タンクからの漏えいが発生して以降、規制側のメンバーとして現地に入って、汚染範囲の評価方法の改善とか、あるいは被ばく低減策について、関連する放射線管理について、その都度意見交換を行ってきました。お手元に配付してあります資料というのは、現在検討中の課題を中心にまとめたものです。ただいま座長のほうから内容をかいつまんで説明するようにと要請されましたので、これから御報告させていただきます。現在、対応が迫られているいろんな放射線・放射能に関する諸課題というのは、多分これまで経験したことのないような課題だと思います。そういう意味で、現象を理解して、あるいは評価をする、評価の検証という点からも、あまり予断を持たずに、実際に現場で、従来の枠にとらわれない対応が必要だと思います。個々について、その辺りは項目のところでも御紹介させていただきます。まず最初に、今、座長からもありました凍土壁設置現場で作業に係る作業者の被ばく低減の問題です。かなり印象ですけども、やはり今、現場全体が高い放射線レベルにあるということもあって、それが当たり前というふうに捉えている傾向を感じます。先行事例でありました4号機のオペレーションフロアでの燃料取り出し作業における作業者の被ばく低減については、委員長のほうからかなり強い指示があって、低減が必要だということがあって、我々も調査に入りました。東電のほうも線量の測定等がありましたけども、事前に我々が聞かされていたのは、これは3号機からの放射線であるというふうに言われていまして、我々もそうかと思いながら、実際に線量測定とかやってみると、どう見てもそう考えられないという事象がありまして、一体どんな核種が寄与しているかということも含めて、調査をしました。その結果、セシウムだけではなくて、特に燃料取り出しの作業のところではコバルト6029がかなり中心核種であるということがわかりましたし、場所的にも、多分ここが線源ではないかということを確定しまして、そういった資料を、推定資料も含めて、東電のほうに提示いたしました。そういった提示内容を一部含んだ対応が行われまして、作業現場は当初から比べると数分の1になって、多分、現在は50μSv/h程度になっているのではないかなというふうに思います。このような同様の作業ということで、今回、凍土壁に関連する作業現場について、6月12日に現場を視察、測定をしました。その前に、一応、東京電力と工事会社の鹿島のほうから、基本的な被ばく管理の考え方についての説明を受けました。作業者個人の作業期間は約3ケ月ということで、1日3時間の作業を前提にして、この期間全体の個人の被ばく線量を、年線量限度の8割ということで、40mSvにしていると。それを担保するために、作業環境は0.2mSv/h以下にするということ。それから、作業期間は6ケ月程度になるので、2回、人を入れ替えて対応をするというような説明を受けました。実際に作業をしている現場に行って測定しましたけども、場所によってかなり線量率が変動するという、かなり高いところをはかったんですけども、そういうことから考えますと、まだかなり特定できる線源がどうもありそうだと。それから、ちょうど法面のところにもかなり事故の当時飛散したものも見られました。いずれこの辺りも撤去しないといけないことを考えると、まだまだ低減化の余地があるんじゃないかというふうに思います。それから、基本的にかなり長期間にわたるこういう作業のことを考えますと、やはり4号機のオペレーションフロアよりも高いレベルで作業をするということは問題があると思います。やはり放射線防護の基本というのは、ICRPが言っていますALARAの精神にのっとって考えていくわけですけども、現在、この作業現場の原因になっているいろんな線源というのは、これは、いずれは撤去しないといけないものですから、ALARAを出すまでもなく、いつそれをやるかという問題を考えると、今そういう作業が必要なときに、やはり可能なことをやるべきではないかと思います。それ以外に、やるべきことをやって、なおかつ、必要であれば局所遮へいとか、そういったことも考えられるのではないかなと思います。我々が非常に懸念するのは、このままこの作業が続行されると、これが基準になって、今後の高レベルの作業はこの基準で行くということになるのではないかということを懸念しています。現在の一つの考え方としては、例えば4号機のオペレーションフロアの現在の30レベル程度を一つの目安にして考えて、最大線量の目安に設定して考えるということも必要なんじゃないかと思います。ぜひ、高レベル環境下における作業に対しては、放射線被ばくの抑制という観点から、東京電力のほうで、計画、実施、評価の各段階における検討と承認の手順を組み入れた作業指針といったものを作成して対応をしていただきたいというふうに思っています。それから、2番目が、汚染の程度の表現方法の見直しの問題です。汚染水の漏えいが起きた当初、確かにBq単位で表示することが難しいということはよくわかるんですけども、汚染の度合いが70μm線量当量で測定したmSv/h単位で報道されるということがありました。残念ながら、シーベルトという言葉が、幾つかも異なった線量概念に同じような単位が適用されているために、これは非常に誤解を生みやすい表現です。委員長のほうからも、汚染というのはやはりこういった線量ではなくてBq表示でちゃんとやるべきだということがありました。こうなるのはわかっていましたので、我々のほうもいろんな測定方法を考えて提示をしてきました。例えば、コリメータをつけたGMサーベイメータであるとか、あるいは、現場でよく使われていますシャロー型の電離箱に同じようにコリメータをつけて、ストロンチウム、あるいはイットリウムの汚染の箇所、程度を評価する方法というのを提起してきました。ポンチ絵があるのを見ていただければわかると思いますけども、こういう狭い場所等については、こういうコリメータをつけたものが有効であるというふうに考えています。それから、溜まり水のところであれば、同じようにシャロー型の電離箱を使って評価するという方法も提起をしました。既に、土壌の汚染状況の測定等には、我々が提起したほうも適用されていますので、今後はどのように活用していくかということを含めて、測定方法を現場で活用するためのマニュアル等が整備されることが必要であるというふうに考えています。次に、「HICのポリエチレン健全性の検討」と、それから「ALPSで使用されていたテフロンガスケットの放射線損傷」についての見解です。これも、多分これだけ大量のβ線に関する問題というのは過去経験したことがないことだと思います。同時に、原子力関係は、従来から、ほとんどが格子だけ計算して、電子のことを全く計算しない。計算しないというのは、電子は光子でもって評価するというやり方が行われてきたので、ある面でやむを得ない側面もありますけども、やはりこういった大量の高濃度のβ線があるところでの被ばくの評価、損傷の評価というときには、β線を31ちゃんと評価することが必須です。それがない検討というのは非常に不十分ではないかと思います。評価するために必要なデータが十分まだ提供されていないので、あくまでこれは私たちのほうで得た情報からの予備的な推測なんですけども、HICの問題については若干過小評価、吸収線量の過小評価の問題があります。β線を考えるときには、β線の飛程をちょっと考えていただければわかると思いますけども、容器の全体での一様な吸収線量の評価というのは意味がありません。表面から急激に変化しますので、非均質な評価をちゃんとしないと意味がないし、健全性のもしテストをする場合も、同じような状況が生まれる課題でやらないことには評価にならないと思います。それから、一方のテフロンガスケットのほうの問題ですけども、こちらは過大評価をしているんじゃないかという感じがします。この二つは典型的なんですけども、将来の健全性を考えるときには、過大評価していても大丈夫だという考え方が必要ですけども、現実に起きた場合に、その原因を特定するときには、過大評価ではなくて、できるだけ現実に即した評価で、本当にそうなのかということを見ないと、結論を間違う可能性があります。本当は違う原因なのに、そこに原因を持っていって対策を立てると、対策が異なります。この辺りの、同じ損傷という現象ですけども、違う二つのことに関して、どういうふうに対応しているかということもぜひ考えていただきたいというふうに思います。次の課題です。次は、敷地境界線量の評価の問題です。これは、ここの検討会でも、過去何回か検討されていることだと思います。我々が聞いているのも、27年3月までに、敷地境界線量の評価値を1mSv/年未満を目指すということで検討をされています。そもそもこの発端となったRO濃縮水タンクからの制動エックス線の問題というのは、これも多分、今まで誰も経験したことがないような放射線源だと思います。ですから、当然この評価方法というのは、どこかにちゃんと決まったものがあって、その手順にのっとれば結果が出るようなものではないと思います。そういう意味からもちゃんと検証が必要なんですけども、我々も実際に現場ではかって、いろんなことをやっていると、どうも理解できないことがありました。一つは、本来、同じ系統のタンクであれば、そこの中のストロンチウム、イットリウム濃度というのは同じであるというふうに聞かされていたんですけども、実際に同じ系統のタンクの表面をはかると、線量率が異なる。これをどう考えるかということで、当初は、我々は、ひょっとすると同じ系列よりもタンクごとに濃度が違うんじゃないかと考えてい32たんですけども、どうも先人がいろいろ経験したことを調べていくと、イットリウムというのは非常に、ストロンチウムと違って、金属とか、そういったところにくっつきやすいと。多分、今我々が考えているのは、同じタンクであっても、イットリウムの吸着状況が違って、タンク内のストロンチウムの濃度だけでは評価できなのじゃないかと。そういうことを考えると、一律にタンク内のストロンチウム濃度から評価したやつで果たして評価ができるのかという問題が出てきます。むしろ、それよりは、表面の線量率をはかって、いろんな区画をするなりなんなりで考えていくようなことも必要なんで。やはり、そういったことも含めて、初めてやる計算というのは、いろんな計算方法、ほかの計算方法と比較するとか、いろんなことをしないと。それでなおかつ、現場で本当にそれが対応できるのか。それも線量だけではなくて、実際に波高分布がどうだとか、そういったことも含めてチェックしないと結果がちゃんと出ないと思います。そういう出ないものに基づいて、今ある線源だけからわかっているものだけ評価するというのが果たしてどうなのかという問題を、我々は感じています。本来であれば、やはり敷地境界の線量というのは、敷地内全てからの寄与をきちんと評価して、せっかくモニタリングポストがあるわけですから、そのモニタリングポストのデータを生かして、それをいかに実測値として1mSv/年まで近づけるかというようなことを、やはりきちんと考えていく必要があるのではないかというふうに思っています。それから、そういったことにも関連することで、次の区域管理の問題です。管理区域内の作業というのは、基本的には、放射線・放射能のレベルによって区域管理をし、どの区域であればこれだけの防護をしていけば十分であるということを、作業される方自身が自覚、わかるような形で区画することが必要です。事故当初、かなり大変な状況で、なかなかそういったこともできない状況で推移してきたと思いますけども、もう既に3年以上経過しておりますし、大体のことは、今把握できる状況になってきていると思います。やはり被ばくの点もそうですし、それから実際の使用する防具・器具等の関連も含めて、施設の中を放射線、あるいは放射能のレベルに応じて区画をし、異なった出入の方法とか、そういったこともとっていくことが必要なんじゃないかと思います。具体的にはどういうふうにするかというのは、今後ぜひ検討を期待したいと思っています。そういうことによって、敷地内の作業者の被ばくも低減できますし、それから、多分いろんな面でも今、ある面で無駄になっているようなことも対応できるのじゃないかと思いますので、この点もぜひ御検討をいただきたいと思います。33最後に、これもいろいろ議論をされてきた、ストロンチウム、イットリウムの濃度測定の問題です。ROの濃縮水とか、タンクの漏えい水、あるいは溜まり水とか、いろんな非常に広範囲の、レベル的にも非常に範囲の広いストロンチウム、イットリウムの測定をしないといけないということになっています。もちろん、事故前の定常状態のときにもストロンチウムの濃度測定というのはありましたけども、基本的には、環境の測定をどうするかということでしたし、全βというのがその辺りでとられてきたんですけど、やはりこの辺りはきちんと測定をする必要があるということで。確かに、いろいろ聞いてみると、現在用いられている方法というのは、結果が出るまでに時間がかかるとか、化学分離の操作が必要だとか、非常に複雑な操作をするために専門的な知識が必要だというふうな問題があります。そういうことがありましたので、我々のほうはできるだけ迅速、簡便な測定方法ができないかということで検討をしてきました。東電さんのほうも関心を持っていただいて、御協力いただいて、現在、特別な遮へいがなくても、十数Bq/cm3から6乗Bq/cm3ぐらいまで測定できる方法がほぼ目処がついています。最終的に値づけなんかも考えていますけども、そういったことが終わりましたら、これは論文として出すようにしていますので、ぜひ実際に活用していただきたいというふうに思っています。こういったことも含めて、最後になりますけども、現状の放射線分析を行っている箇所というのは、やはり作業環境としては劣悪な状況であるということは言わざるを得ないと思います。これだけ放射能濃度とか、そういった測定値が社会的に関心を持たれているときに、そこから出るデータをきちんとするためにも、やはり普通の放射能を扱う環境と同じように、できるだけ近づけるようにするためにも、作業環境の早急な改善が必要ではないかというふうに思っております。以上です。


〇更田委員
ちょっとこのコメントをいただく前に、この資料の位置づけについて御説明しておく必要があろうかと思います。この資料は、原子力規制委員会、原子力規制庁のポジションを示しているものではありません。これは、原子力規制庁に属している技術参与がそれぞれ個人の専門的知識や経験を踏まえて、改善点等について指摘を行っているもので、この機会に御紹介したものではありますが、資料の中には、方策を示さずに合理的には達成できないことを求めているよ34うな箇所もあります。例えば3ページ目の末尾で、「結果的に周辺監視区域境界部分への敷地内からの寄与分の実測値が、全線源の合計で年1mSv未満となることを目指すことが必要と思います」、これは現在70、80というレベルにあるもので、これが合理的に達成できるというのは、これはちょっとない物ねだりと言うべきだろうと思いますし、また、これを優先させることが、この特定原子力施設のリスクを下げるということに最も重要とは考えにくいところがあって。ですから、この資料は、ほかにも幾つかありますけれども、規制委員会・規制庁としてのポジションを示しているものではありませんけれども、一方で、専門家の検討結果として、幾つも今後考えていくべきような視点や見解を含んでいますので、東京電力において資料を参考に、作業員の環境等も含めて、今後とも改善されるような検討を進めていただければと思います。すみません、ちょっと前置きが長くなりましたけども、御質問、御指摘があればお願いします。山本先生。


〇山本教授
御説明ありがとうございました。いろんな課題を大変よく、かつ広く、かつ深く洞察しておられて、非常によい資料になっているというふうに思います。一番最後のストロンチウムの測定について、少しだけコメントをさせていただきますと、御存じかもしれませんけど、このストロンチウム濃度の測定を迅速にやるというのは、現在、並行で幾つか技術開発が進んでいる状態でありまして、測定に要求される精度にもよると思いますが、ここで御提案いただいた方法と幾つかの方法をクロス、組み合わせて使うことも考えられると思いますので、御検討をいただければと思います。


〇更田委員
渡邊先生、どうぞ。


〇渡邊教授
すみません、御質問ですが、作業環境を改善するというのは非常に重要なことだと思いますし、長く続くという意味では非常にやらなきゃならないことだと思うのですけども、今お話があった中で、実際にいろんな観測をされていて、例えばタンクごとに濃度が異なっているという話がありましたけれども、例えばどの程度異なっているのかということをつかんでいらっしゃったら教えていただきたいというのが1点です。それから、2点目ですが、今日お話があった核種については、ストロンチウムとイットリウムのお話だけがございましたけれども、その他の核種についての検討というのはどの程35度されているのか。その2点をちょっとお教えいただけませんでしょうか。


〇平山技術参与
タンクごとは、ちょっと今手元にはないですけども、10%、20%程度ではなくて、1.5倍とか、2倍とか、そういう1.5倍ぐらいは十分ばらついています。もちろん、評価のやり方がいろいろあると思うんで、やり方によって違いますけども、私が自分で計算して比較した単位では、合わない。表面でこれだけの線量になるはずだという値から比べると多かったりするので、当初は濃度をかなり疑っていたんですけども、多分どうもそうじゃないことを、イットリウムが、壁の濃度、中の濃度よりも壁の近くでかなりたくさんくっついている可能性があると。そうすると、水の中に比べて、要するにβ線を出す核種が鉄のすぐ近くにあるわけですから、同じ濃度があっても、そっちのほうが制動輻射が増えますよね。そういったことが多分考えられるんじゃないかなと。もう一つは何でしたか。


〇渡邊教授
もう一つは、核種。


〇平山技術参与
もちろん、いろんな、今やっている測定方法から考えると、ほかの核種もいろいろあると思うのですけども、現在、問題になっているところというのは、多分ほとんどがストロンチウム、β核種としてはストロンチウムだと思います。ただ、これから、もっと炉心に近いところ、いろんなことで、行ったときには多分ほかの核種が当然出てきますから、そのときには、やはり別なことをいろいろ考えていく必要があるんじゃないかというふうに思います。


〇渡邊教授
ありがとうございました。


〇更田委員
角山先生。


〇角山特別顧問
教えていただきたのですが、テフロンのガスケットをもう一度その原因をよく見直すべきだと。どの程度、そのガスケットに関しての、放射線劣化だけではないというか、余裕度をどのようにお考えになっているかを教えていただきたい。なぜかといいますと、やはり現在の方向ですと、ALPSに頼って、かなり敷地境界の放射線を下げていくという方向でやっていると思うのので、ALPSの信頼性が今後まだまだ問題であるということだと、やはりその方法も考えていただかないといけないと思うので、ぜひ教えていただきたいと思います。


〇平山技術参与
正直なところ、具体的なデータがいただければ、いろんな評価のしよう36がありますけども、まだそこまで至ってないいので言えないいのですけども、大ざっぱに推定したところは、どうも私の印象では過大評価している感じがします。ですから、ぜひ具体的にどういう形状で、どれだけの濃度のものがあったために、言われているような吸収線量になったのかというのを出していただいて、そういう評価そのものは、私は協力するのはやぶさかではありませんので、それさえあれば、出して、それから東電さんのほうはどういうやり方で、どういうふうに評価して、そういう今出されているような吸収線量になったかということを、ぜひ言っていただきたい。今、おっしゃられたように、非常に重要な、この対策を間違うと、原因が間違った、原因がもし違っているとしたら、対策も違うことになりますから、信頼性の点でも重要な点なので、やはりきちんと評価すべきであると思います。


〇角山特別顧問
おっしゃるとおりだと思うのです。今後の高性能云々のALPSでも、同様な共通の問題になり得るので、先ほど申しましたように、広い意味でのALPS全体が、サイト全体の放射線を、最終的には下げるというふうに今のところは動いているはずなので、それが狂うと大変な問題だと思いますが、ぜひ協力して評価して、正しい方策を見つけていただければありがたいと思います。


〇更田委員
この点はHICにも影響がありますし、ALPSのガスケット、これ、東京電力は見解ありますか。


〇山口(東電)
CFFの吸収線量の求め方は、HICと違いまして、実際の放射能が入ってくる入り口濃度の実際に入ってくるものと、あと、クロスフローフィルタのところで実際どれぐらい濃縮度があるというので、実機の実際の放射能量が合うように計算しています。一方のHICのほうは、実施計画が、ストロンチウムが一番出てくる第2ステージのところのHICのところで計算して、一番保守的になるように計算しています。おっしゃいますように、それが実機とどの程度合っているかというのは、ちょっとまた細かい値を御説明したいと思っています。


〇更田委員
もう一回説明してもらえませんか、今の点。


〇山口(東電)
CFFのほうは実機と本当に合っていますかというところで、吸収線量を求めるときは、CFFにどの程度の濃度の放射能が入ってきますかというのが一つのパラメータです。もう一つは、CFFというのは沈殿物で濃縮されますので、その放射能がどれぐらい濃縮されて沈殿物をつくるかという二つのパラメータからなっていますので、それを実機の、放射能というのはどれぐらい入ってくるか評価していますので、それで計算しています。37出てきた放射能量を、計算コードMCNPを使って、β線がどれぐらい吸収線量があるかというのを評価しています。HICのほうは、実施計画でCFFがどれぐらい濃縮されるかというのは、ある意味、保守的な評価をしないと今後長期保管ができませんので、実際、我々が考えているよりもちょっと安全裕度をつくって計算しています。結果、CFFとHICで吸収線量は、HICのほうは、CFFの3倍ぐらいの吸収線量がHICの中に入るという評価で計算しております。


〇更田委員
要するに、どちらでもβ線の吸収線量は考慮しているということですか。


〇山口(東電)
はい、おっしゃるとおりです。


〇更田委員
確認をしたいので、ここで指摘をしていますので、評価の前提となる濃度等のデータと、それから、その評価方法、これを規制庁とコミュニケートをとって、評価方法の確認を進めてほしいと思います。


〇山口(東電)
はい、わかりました。次回面談でそういう詳細なことを示してくださいということを言われていますので、今準備しておるところでございます。


〇更田委員
大津留先生、どうぞ。


〇大津留教授 基本的な、ここに書いてある考え方は、私も非常に参考になりますけれども、例えば、本当に事故初期のときに比べて線量的に下がったとはいえ、放射線防護という観点で、まだまだ普通の環境と違うことがたくさんあるので注意しないといけないことがたくさんあるというのは総論的に賛成なんですけれども。一つ、こういった防護のことを考えるときに、やっぱり結構大きな災害のときと、それから、ある程度小さな事故のときと、それから、日常の環境で防護をどうするかという問題があると思うのですけれども、一応ここで挙げられているのは、小さな事故があったときと、それから日常の環境という問題だといます思います。例えばβ線の問題で、私のほうは、測定のほうは専門じゃないのでわからないいのですけれども、タイベックが破れるような事故があったときとか、あるいはマスクが外れるようなことがあったときに、そのときでも、そう大して人体に問題ないようなレベルの環境にするという観点で、β線に関する測定をどの程度するかというような観点なのかどうかですね。もちろん、γ線に関しては結構、もう既にそういう観点でやられていると思うのですが、それのほうでも、確かに、もうちょっと除染をやらないと環境がよくないというところは38たくさんあるとは思うのですけれども、今問題になっているβ線に関して、その辺りの、そういった日常の問題と、あるいはもうちょっと大きな、小さな事故があったときに、どこかでリークがあって、誰かが予想外の線量があるとかというようなときと、その両方の観点で、どういうふうにしていったらいいかということに関してはいかがか、ちょっと御質問しました。


〇平山技術参与
β線の問題というのは、ある面で非常にわかりやすいというか、非常に局所的です。ですから、確かに大量の汚染水が漏れて、その近くに行けばβ線の被ばくは問題になりますけども、じゃあγ線みたいに非常に広いところまで影響があるかというと、それはないと思います。ですから、タンクの中に入っている限りは、β線の問題というのは考えなくていいのだけど、だから、考えないといけないのは、そういう外部に出るということが一番で。ですから、いろんな管理するときも、その辺りのことは多分十分に考えないといけないと思いますし、そういう意味では、区画も、その辺りはちゃんと対応さえつければ、割かし防御はしやすいものだと思います。イットリウムであっても、1gあれば通ってきませんので、わかっていれば対応はやりやすい。だから、それをどうやって見つける、管理するか、起きた場合にどう対応するかということは、ちゃんと考えればいいと思うのので、それは考え方はできると思います。


〇更田委員
高木先生、どうぞ。


〇高木教授
2番の被ばく量の低減についてですけども、これは規制庁に伺いたいことがあります。この資料を読むまでは、以前、東京電力では4号のオペフロでの線量が下がったという報告がありましたが、これが、こういうアドバイスに基づいてということは知りませんでした。ということは、こういうことをやれば被ばく量の低減ができるということを示されているわけで、非常に有効であるというふうに思います。ただ、これ以外に東京電力が被ばくの低減について具体的に何をしたという報告がありませんので、実際にどのくらいあとできるのかということがわかりません。この線量を見ていますと、年線量限度線量限度の8割。50mSv、年線量ですね。5年間で100mSvという制限が確かあったと思いますから、これ、もし50mSv被ばくされると、2年で100mSv。そうすると、残り3年は作業できない。ということは、そういう作業者の方をどんどん入れ替えなければならない。それよりも、そんな法令の限度いっぱいまで作業をする39ことそのものが、やっぱり環境として劣悪ということになります。ですから、その被ばく量の低減というのは、非常に今後長い期間作業をしていく上で重要になると思いますので、先ほどの更田委員のお話では、東電にお任せするみたいなことをおっしゃったように聞こえたんですが、もう少し積極的に関与して、こうしなさいとか、具体的なシーベルトに、みたいな、そういう目標を設けて、これ以下にしなさいとか、あるいは、そういうような指導というか、強く何か改善を求めていくということは可能でしょうか。あるいは、そういうことをするお考えはありますでしょうか。


〇更田委員
まず、言及がありましたので、私のほうからお答えしますけども。私が指摘したのはこの部分ではなくて、敷地境界線量、これを絶対値として1mSvを求めるというのは、これは、現在70、80あるから、不可能だからできないというよりも、この方策を示さずにこれを達成しろというのは、あまりに不合理であろうというふうに思っています。さらに、これが最も優先すべきことであるかどうかも議論するべきことであって。例えばですが、冒頭に議論をしたような、海側配管トレンチにまだ汚染水がいるということ自体、で、タービン建屋との間の流通を止められないということ自体のほうが、はるかに脅威としては重要であると考えていますす。これはここにも表現として書かれていますが、将来的にはということで、これは当然誰しもが願うことではあるけれども、これを規制側が要求として掲げているわけではないので、この紙全体が、規制委員会、規制庁のポジションであるというわけではないというふうに申し上げました。それから、規制委員会のポジションというのは、委員5人で議論をして、そこで得たものがポジションとなりますけども、そういうプロセスを経たものではありません。決してここに書いてあることがけしからんと言っているわけではないけれども、ただし、この辺りになると、規制当局として、要求として、東京電力に対して言うべきことと、それから、望ましいという推奨であって。当然これは、繰り返し申し上げているように、通常の原子力施設と異なって、これは状況の改善が私たちにとっても目標であるので、当然、通常の原子力施設に比べて、規制当局として言うことは多少の範囲が広がりますけれども、そうではあっても、ある程度これは要求であるということと、推奨であるということは明確にしておくべきというのと、それから規制委員会・規制庁の中で検討を経てこういった形で出しているものと。それから、これは当然、私は、規制庁の職員であっても、それから技術参与であっても、個人の立場として意見を言う機会というのはあっていいと思います。というか、むしろ望40ましいと考えていますので、今回、専門家である技術参与がこういった形の検討をしてくれたので、それは機会としてこういった形に上げるのは望ましいと思っています。それから、高木先生が質問された直のところですけれども、この100mSv、5年間で100mSvというのは、これは要求です。その中で、当然のことながら、望ましいというのは、より作業環境が改善されることが望ましいし、当然、被ばくは少ないにこしたことはない。一方で、作業環境を、作業員の被ばくを抑え込むあまりに、いつまでたっても東京電力、この特定原子力施設の危険が回避されないというのも困る。ですから、これは非常に難しいけれども、あくまでバランスの問題です。やむを得ず、東京電力が作業員の入れ替えで対処せざるを得ないということであれば、これは、その対処の有効性との兼ね合いになります。例えば、もう本当に危機が迫っているときに、それを回避しなければならないというのであれば、人の入れ替えで対処するというのもやむを得ないと思っています。じゃあ一方、凍土壁にその対処を適用するのが果たしてどうかというのは、私は、今日の議論も踏まえて言いますと、まず配管トレンチを凍らせるのを見せてもらってから、もう一回凍土壁について考えましょうと言ってもいいぐらいの状況になっていると思いますので、これは、今の時点で個人の見解を申し上げるのも少し早いように思いますけども、このやり方というのは随分に議論があるところだろうと思っています。


〇高木教授
おっしゃることはよくわかります。そのとおりだと思います。そういうバランスを見るというのは、やっぱり規制庁、規制委員会しかできませんので、東電はもちろん、しなければならない主体ですけれども、それを見ることは、多分、規制庁、規制委員会のほうだと思いますので。私が申し上げたいのは、例えば周辺の線量が1mSv/年というのを、具体的な目標を掲げて、それを達成できるかどうかというのを見ているわけですね。しかし、作業者の被ばくに関しては、現状はどうであるか。目標を、それが可能であるかどうかは別にして、どういうふうにすべきであるかということが、多分一切ない。現状の追認になっているというふうに思われます。それがもし少しの――少しかどうかわかりませんけど、ある程度の測定と、それから対応によって減ることができるなら、それは非常に有効なので、そういうことを求めてもいのではないかというつもりで申し上げました。


〇更田委員
よろしいでしょうか。もう一つ議題があります。正確には、もう二つ議題がありますけれども、次に移らせて41ください。次が、いわゆる分析・研究施設ですけども、これについて、資源エネルギー庁、JAEA、東京電力、それぞれが資料を用意していますので、3件を続けて、それぞれ手短に説明をしていただきたいと思います。まず、資源エネルギー庁のほうからお願いします。


〇新川室長
資源エネルギー庁の原子力発電所事故収束対応室長をしております新川でございます。資料3-1を用いて御説明させていただきます。廃炉関係の研究開発拠点施設の整備についてという資料でございます。1枚おめくりいただきます。廃炉関係の研究開発拠点施設の整備についてとございますが、廃炉に関する技術基盤を確立するために、平成24年度の補正予算におきまして、遠隔操作機器・装置の開発実証施設、モックアップ試験施設と呼んでおります。それと、放射性物質分析・研究施設を整備するということで、独立行政法人日本原子力研究開発機構、JAEAへ850億円の支出を行っております。放射性物質の分析・研究施設というのはどういうものかという概念でございますけれども、福島第一原発からの燃料デブリや放射性廃棄物等を遮へい機能の高い部屋に搬入し、被ばくを避けるため、グローブボックスやマニピュレータ等を用いて分析・研究するものでございます。平成25年11月の廃炉対策推進会議において、立地候補地の技術的要件等をJAEAに提示しまして、6月に立地候補地について、報告を受けております。引き続き、平成29年度中の運用開始を目指しているものでございます。なお、下に、参考までに、モックアップ施設についても書いてございます。格納容器下部の実寸大模型を設置し、漏えい箇所を調査・補修するロボットの実証試験や運転員の訓練等を実施するものでございます。25年5月、楢葉町(楢葉南工業団地)に立地することを決定済み、というものでございまして、現在、JAEAが建設に向けて準備中となっておりまして、27年度の運用開始を目指しております。1枚めくっていただきまして、2ページでございますが、分析・研究施設の基本的考え方及び立地場所に関する技術的要件ということで、25年11月14日の廃炉対策推進会議にお示しをさせていただいたものでございます。1.基本的な考え方でございます。中長期ロードマップに従い、放射性物質の分析・研究42に関する技術基盤を確立するとともに、福島第一原発の廃炉に向けた研究開発を着実に実施するため、放射性物質の分析・研究施設を整備する。この施設では、燃料デブリや放射性廃棄物などに含まれる難測定核種分析手法等の開発や、燃料デブリや汚染水処理後の二次廃棄物等の性状把握、処理・処分技術等の開発等を行うと。なお、環境放射線量等の立地環境に鑑みて、施設の一部について、より低線量かつ主要な施設からのアクセスが良好な、他の場所に整備することも同時に検討する、としております。技術要件としましては、福島第一原発の廃止措置を加速するために、燃料デブリや事故に由来する様々な放射性廃棄物等について迅速かつ精度の高い分析データの提供が重要であると。このため、立地場所に関する技術要件を示す、ということで、A)、B)、C)、D)、四つの条件を示しております。試料の搬入及び搬入した試料の返送等を容易かつ安全に行うために、当該原発の構内又は隣接地であること。それから、技術者の被ばく低減のため、また本施設での精緻な分析を可能とするため、立地場所の環境放射線が支障のない程度に低いものであること。C)電気、水等のインフラインフラが整備されているか、あるいは容易に整備可能であること。また、立地場所への進入路の拡幅等の措置がほとんど必要ない場所であるということ。それから、D)大規模な造成工事等を必要としないことといったことをお示しをしております。独立行政法人日本原子力研究開発機構へ、基本的考え方と技術的要件に基づいて候補地を評価して、結果を報告してください、ということを指示をしております。6月27日の廃炉・汚染水対策チーム事務局会議で、その報告を受けたところでございます。3ページについては、参考として、分析・研究施設設置に係る運営主体の検討ということをさせていただいております。この施設につきましては、最先端の放射性物質の研究を行うことを目指しまして、福島第一原発から発生した通常より高い線量を持ちます測定難易度の高い物質を扱うことができる研究拠点とするということを想定しておりまして、他の放射性物質研究施設よりも分析機能を強化するとともに、遮蔽効果等をより高く設計することが必要であると考えております。このため、このような放射性物質の分析・研究施設整備の実施主体については、燃・材料の照射後試験技術開発、バックエンド技術開発等の、原子力に関する総合的な研究開発活動を実施し、国の行政機関の一部であり、独立行政法人として国内でも高い知見を有しているJAEAが適切である、というふうに考えております。43以上でございます。


〇有井(JAEA)
 原子力機構の有井でございます。続けて、資料3-2と3-3を説明させていただきます。大変恐縮ですけど、先に3-3で放射性物質の分析・研究施設の概要を御説明させていただいた後、3-2の立地場所に関する候補地の評価結果について、御説明をさせていただきたいと思います。それで、まず3-3の資料でございます。表紙をめくっていただきますと、私どもがこれから整備してまいります放射性物質の分析・研究施設の役割ということで、大きく2点、役割を考えてございます。1点目は、福島第一原子力発電所の中にございます、ガレキ、汚染水処理後の二次廃棄物、燃料デブリ、それから最終的には設備の解体廃棄物、こういった多種多様な放射性廃棄物がございますけれども、これらを適切に管理・処理・処分していくため、その必要な処分、適切な処分方法等を確立していくために、この施設が使われるというふうに考えてございます。それから、2点目は、同じこの福島第一原子力発電所内にございます大量の分析対象物、これをできるだけ迅速に分析をしていくということによりまして、その取扱い処理にかかる時間、これをなるべく短時間にすることによりまして、放射性廃棄物の処理・処分の見通しをつける。特に廃止措置をなるべく早く、私どもの施設ができることによって、廃止措置が早くできるようにしてまいりたいというふうに考えてございます。ページをめくっていただきまして、2ページ目でございますけれども、私どもの整備してまいります「放射性物質の分析・研究施設」で取り扱う分析対象物、重複しますけど、簡単に御紹介させていただきますと、大きく三つあると思ってございます。一つ目はガレキ、伐採木であるとか土壌とかを含めて、ガレキ類がございます。比較的低線量のもので、現在、発電所の構内に置かれているもので、非常に大量に物があるということで、早急にこれらの分析ができることが必要であるというふうに考えてございます。それから、その次の段階には、汚染水の二次廃棄物であるとか、燃料デブリ、こういった線量の高いものを扱っていくことが必要になるというふうに考えてございます。汚染水二次廃棄物としては、スラッジ、吸着材、淡水化処理材、こういったもの。それから、燃料デブリにつきましては、先ほども申しました燃料デブリそのもの、炉構造材、それから、最終的には原子炉施設の解体に伴いまして、その解体廃棄物が出てくるというふうに考え44てございますので、ここに表に書いてございますのが、一どきに同時に出てくるというよりは、段階的にいろいろ取り扱うものが変わってくるというふうに考えてございます。次は、3ページ目でございますけれども、これが分析・研究施設の設備の例として挙げてございますけれども、セルの一例として、これは燃料デブリ、あるいは解体廃棄物といった線量の高いものを扱うところは、このようなコンクリートコンクリート、重コンクリートで遮へいをした施設が必要になってくると考えてございます。それから、ガレキ類の分析等につきましては、フード、あるいはグローブボックス、こういったものを使ってできるということで、施設は、扱うものによって多少内容が変わってくるというふうに考えてございます。それが、次の4ページ目に整理してございますけれども、施設の整備は、第1期と第2期、2段階に分けて整備していくことを考えてございます。第1期としましては、「第1分析・研究棟」という名前を、仮称でつけてございますが、ここで扱うものは、低線量のガレキ、あるいは汚染水二次廃棄物等、線量の低いもので、フード、グローブボックス、それから一部鉄セルで扱えるようなものを考えてございます。それから、あわせて、この施設で作業をする作業員の居室等をつくる計画でございまして、「施設管理棟」というのをこの第1期で整備していくことを考えてございます。第2期としましては、高線量のもの、燃料デブリ、あるいは汚染水二次廃棄物等を扱うもので、これは先ほど見ていただきました、重コンクリートで遮へいをしたホットセル、こういったものから構成される建物を考えてございます。それで、最後のページ、5ページ目でございますけれども、当面の整備のスケジュールを示してございます。今年度、仕様の検討を行いまして、これから仕様を固めた後、契約手続きに入ってまいります。詳細設計については、今年度から、第1期につきましては約1年半かけて、第2期につきましては2年程度かけてやってまいる所存でございます。第1期分につきましては、フード、グローブボックス等の施設でございますので、これにつきましては、平成27年度末ぐらいから契約手続きに入って、平成28年度の早期に建設工事に着手できるのではないかというふうに考えてございます。早く整備したいと考えてございます。それから、この後御説明させていただきます立地候補地につきましては、先ほどエネ庁の新川室長からお話がありましたように、6月27日に、立地候補地につきましては、評価の結果を、廃炉・汚染水対策チームの事務局会合のほうに御報告させていただきましたけど、45これを受けまして、今後、測量、ボーリング、敷地の造成、こういった作業に入っていくことを考えてございます。それで、3-2の資料のほうに戻っていただきますけれども、これが先ほどございました6月27日になりますけれども、放射性物質の分析・研究施設の立地場所に関する候補地の評価を行いました結果を、茂木大臣に御報告した書類でございます。ページめくっていただきまして、概要のところでございますけれども、重複いたしますけれども、昨年の11月14日の廃炉対策推進会議で示されました技術的要件に基づきまして、私どもが調査・評価を行ってございます。立地場所の技術的要件につきましては、これも先ほど御紹介がございましたけど、簡単に4点ほど、もう一回、重複してお話をさせていただきますと、要件のA)は、試料の搬出入が比較的容易なところであるということで、福島第一原発の構内又は隣接地であるという条件がございます。それから、要件のB)でございますけれども、これは建設工事を行う作業者、それから、この施設で分析した作業を行う技術者、こういった人たちの被ばくをなるべく低減できるように、環境放射線の影響が低い場所を選ぶということが、技術要件のB)になってございます。それから、技術要件のC)、D)、これにつきましては、作業を、建設工事をなるべく短期間に終わらせるためにも、電気、水等のインフラインフラが整備をされている、あるいは道路が整備されている。それから、さらには大規模な造成工事は必要ないという、こういったものを要件として挙げてございます。それで、3.の立地候補地の選定及び評価でございますけれども、まず、立地候補地の選定に当たりましては、環境省が、福島第一原発の周囲に中間貯蔵施設のための区域というのをまとめておられますので、この場所を除外したところで、技術的要件のA)にございますような福島第一原発の構内、あるいは、その隣接地から候補地を選びまして、その評価を行ってございます。それで、図1、5ページ目でございます。これを御覧いただきたいのですが、福島第一原発の構内、あるいは、その福島第一原発に隣接するところということで、ここの5ページ目の図に描いてございますように、構内にⅠ、それから、隣接するところとして、なおかつ、その中間貯蔵施設の敷地を除いたところで、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳという四つの候補地を選択いたしました。これにつきまして、なおかつ、技術要件のDとして、「比較的平坦で新たに大規模46な造成工事を必要としない」ということで、この福島第一原発の構内、あるいはその隣接する場所の中で、起伏が比較的少ない平坦なところということで選んだものが、このⅠ~Ⅳでございます。それからまた、この施設につきましては、概念検討を行ってございまして、建物としては6万m2ぐらい必要にりなり、それからまた、試料の運搬等で車両を入れることになりますので、そのスペースとして1万m2ぐらいということで、合わせて7万m2ぐらいの土地がまとまって使えるということが、この条件になるというふうに考えてございます。そういった観点で、このⅠ~Ⅳの候補地を見ていただきますと、Ⅱ地区と、それからⅢ地区につきましては、敷地が、くしの歯のようにというののでしょうか、一部深く切り込んだところがございまして、土地の形としては非常に使いにくいということがございます。それから、Ⅲ地区とⅣ地区につきましては、送電線が走ってございますので、高い建物はつくれないという、こういったような制限条件があるということがわかりました。それで、評価の結果を、2ページの(1)以降にまとめてございますけれども、まず、建設に必要な敷地面積の確保、それから大規模な造成工事が必要であるかどうかについて評価した結果をここに整理してございます。Ⅰにつきましては、平坦地、それから起伏のある場所、いろいろございますけれども、基本的には福島第一原発の廃止措置を進めていく上でのいろいろな諸設備がこの中にはつくられてございます。また、今使われていなくても、今後つくられていくことがございますので、今使われていない起伏のある場所となると、非常に造成工事が大規模になることが考えられるということで、非常に工事には時間がかかるというふうに見てございまして、立地候補地の評価から除外させていただくこととしました。それから、Ⅱ地区につきましては、必要な敷地が確保でき、かつ平坦なところでございますので、大規模な造成工事もなく、工事がしやすいところであろうというふうに考えてございます。それから、Ⅲ地区、Ⅳ地区につきましては、大規模な造成工事は必要なく、平坦だというふうには考えてございますけども、Ⅲ地区につきましては、先ほど申し上げましたような、敷地が溝のようにえぐれた形で、非常に使いにくい形状をしているということで、先ほども申し上げました7万m2の土地を確保しにくいだろうということ。それから、Ⅳ地区につきましては、現在、福島第一原発の廃止措置のための必要な入退域管理施設等、いろいろな施設ができてございますので、ここもあれから除外いたしました。47ということで、Ⅱ地区が、この技術的要件のDを満たすというふうに考えてございます。それから、(2)と(3)に、立地場所のインフラインフラ整備の状況、それから、環境放射線の状況についてまとめてございますけれども、今、技術的要件AとDを満たしているⅡ地区につきまして、ここに評価した結果を書いてございます。かいつまんで申し上げますと、Ⅱ地区につきましては、道路、インフラインフラ整備がされているということ。それから、立地場所の環境放射線につきましても、6月18日現在で4.3μSv/hということで、建設工事には十分低い被ばくの低減を図ることが可能な場所だというふうに考えてございます。以上のことから、私どもの整備する分析・研究施設につきましては、Ⅱ地区が、この技術的要件を満たす唯一の場所だろうというふうに考えてございまして、今後、敷地の確保につきましては、東京電力さんといろいろ御相談していきたいというふうに考えております。あと、その他につきましては省略させていただきます。以上でございます。


〇石川(真)(東電)
それでは、最後の3-4の資料につきましては、東京電力から御説明いたします。私、廃炉推進カンパニー、プロジェクト計画部の石川でございます。先ほどの石川とは別人でございまして、廃棄物担当の石川でございます。それでは、1ページめくっていただきますと、先ほどから、この分析施設のニーズについては廃棄物対策にあるということを御説明してきておりますけれども、福島第一の事故廃棄物の特徴として、少し御説明したいと思います。一番上の黄色い四角が、全体共通の特徴はこんなところであろうというところです。汚染の起源ですけれども、事故によって飛散・拡散いたしました炉内装荷燃料に起因いたします核分裂生成物、もしくは、燃料物そのものがある程度付着していると、こういう形態になってございます。主に表面汚染の形態をとっているだろうということです。それから、核種組成に関するデータが非常に限定的であるので、これを分析しようとしても、やはり組成が不明なものに対して分析をかけるのは非常に難しいという観点がございます。この廃棄物を大きく三つに分けますと、下のとおりに、おおよそ汚染の形態で3区分されるということで、一番左が、飛散・拡散によって飛んだ、主には放射性、核分裂生成物等によって汚染されました土壌、伐採木、ガレキ等がございます。主には1号、3号等の水素48爆発によって発生したものでありまして、これは非常に大量に出ておるといったところです。先月までの集計ですと、ガレキ、これは金属やコンクリート等でございますけれども、約10万m3超ございます。伐採木、これは敷地を、松林を伐採いたしまして、タンク等の設置場所を確保しておりますけれども、伐採木についても7万6,000m3ほど出ているといったところです。非常に物量が多くて広範囲に分布している、こんな特徴がございます。一方、右端のほうは、汚染水処理に対応いたしまして、汚染水を通じていろんな放射性物質が付着したものであります。主には、水の処理に伴いまして生じます二次廃棄物です。これがかなりの量、発生してございます。例えばですが、キュリオン社のセシウム除去装置の廃ハイベッセル、これが500以上出ている。あるいは、サリーと申します第二セシウム吸着塔、これが100本以上出ています。それから、ALPS、現在運転をしておりますけれども、ALPSによるHICも300個以上出ているといったところです。真ん中の部分は、まだ原子炉建屋内に残存しているものです。燃料デブリ、あるいは炉内構造物等があります。特に格納容器の中ということになりますと、中性子による放射化と燃料の汚染と非常に複雑な組み合わせになると、こういった状況にあります。次のページをお願いいたします。それで、こういったものを将来の処理・処分におきましては、やはり多種多様な廃棄物の性状把握が必要であろうということです。ということで、ガレキ類ですとか、汚染水の二次廃棄物、それら将来の解体廃棄物、あるいは燃料デブリ等を対象にいたしまして、含有されます放射性核種、核種ごとの濃度、これをしっかり把握いたしまして、まずはインベントリをしっかり把握すると、こういうことが必要であろうかと思います。それから、将来、処理をかけるということで、例えば溶質バリアをする際にどんな化学形態になっているかと、こういった把握も必要かと考えております。それから、これから少し長期になりますので、保管とか、処理・処分におきましては、技術開発といたしましては、固化性能でありますとか、このところもこの施設で見ていきたいと思っています。それから、若干、施設は2期になりますけれども、燃料デブリについても同様の検討が必要であろうかと思っています。この表の一番上に、環境試料とございまして、星印がついてございます。一部、現場のオペレーションで発生します水の関係ですとか、あるいは土壌、環境試料といったものを、我々は実施主体として責任を持ってこれは分析しなきゃならないものだと思っておりますので、ただ、はかりやすいγ、セシウム137とか、全β、ストロンチウム、トリチウム等は、49私どもの施設を増強いたしまして、今、対処をしているところなんですが、若干、なかなか分析数がはけない等の苦労がありますので、例えば将来、対応、あるいは大量な迅速な分析の技術ができるということであれば、この部分もこの施設にお願いするのではないかということを、今、社内で検討中でございます。一番最後のページは、福島第一の廃炉の中長期ロードマップと、この施設の関係を示してございます。私どものロードマップでは、2017年ぐらいまでには、廃棄物全体の今後の処理・処分に関する基本的な考え方をまとめていきたいと思っています。日本では、低レベル、深さ方向に3区分、それから地層処分というふうな処分の考え方がありますけれども、福島第一全体を見て、どんな区分を当てはめるかと。あるいは、どんな処理をかけるかといった基本構想はこのぐらいでつくっていきたい。さらに、2021年ぐらいにかけましては、安全性の見通しを得るという意味で、将来、区分の法律、あるいは、将来、固化するに当たりましても、技術基準が必要になると思いますので、こういった案をつくっていく、こういったことが2021年の初頭にやっていきたいと思っていまして。こういった検討の中で、この施設を考えますと、第1期施設は、燃料デブリを除きまして、ガレキや二次廃棄物等の性状把握はここでメーンにやっていきたいと思っています。と申しますのも、現在、これらの分析は、東電1Fではできませんので、JAEAさんの東海の研究施設に運んで分析をしてございます。ただし、外部運搬になりますので、諸手続を考えますと、年間3回か4回の輸送に限られるということで、大体今年間50サンプルぐらいはけて、データを積み上げている状況です。ちょうど2年たちましたので、今100サンプルぐらいということです。ただし、この目標を考えますと、かなり分析点数はもう少し上げないと、なかなか全体像が組めないのではないかということを考えております。将来のデブリの取り出しに対しましては、第2施設を活用いたしまして、性状把握等をやっていきたいと、こういうことでございます。安全性の見通しが得られますと、今度はいろんな制度的な対応ということで、安全規制、あるいは事業の規制なんかをつくっていきまして、将来、廃棄体をつくったり、処分場に出すと、こういったことに役に立つのではないかと考えてございます。説明は以上でございます。


〇更田委員
この議題は、規制委員会、規制庁のほうから求めて議題に上げたものです。というのは、これはもう既にこの、いわゆる分析・研究施設については、幾つかの機会で言及がされていると。これは、凍土方式遮水壁のときに経験したことですけども、あちこ50ちでもう盛んに検討をした結果、こうなっていますといって、ここへ持ってこられて、許可しろと言われるのはもうごめんなので。これは副大臣の諮問ですとか、これは資源エネルギー庁のホームページを見ていただければわかりますけども、資源エネルギー庁の資料に参考としても上がっているように、幾つものところでもう言及されているのですが、既成事実化されてから、さあ、これについて、安全性なりと言われるのでは困るので。というのは、どちらも困ります。時間もかかりますし。ということで、もう外で言及されているのであれば、ここで紹介をしていただきたいというふうに求めたものです。ちょっと、こちらが求めたもので、最初にちょっとお尋ねをしたいいのですが、これは一体誰が申請者になるのかということをはっきりさせていただきたい。東電の土地にJAEAが建てて、JAEAが申請者となるのか。そうであれば、これは、特定原子力施設の一部ではなくて、別施設として許認可の作業を行うことになります。特定原子力施設の一部であるというのであれば、これは、JAEAがが実施主体と書いてありますが、特定原子力施設の一部であれば、これは安全管理の責任や権限は、一義的にというか全て東京電力にあります。そこで、誰が申請者になるのかというのは、もうはっきりさせていただきたい。それから、実施主体をJAEAとしているけれども、東京電力とJAEAの関係を明確化してもらわなければ困る。そして、この分析・研究施設のスコープも、これだけ言及するのであれば、明確になっていかなければいけない。例えば、デブリとありますけれども、こういったものについて、果たして東電の敷地の中にこういった施設を建てるのが有効な方針なのかどうか。これは、今、5号機、6号機との間で非常に困難な環境で分析の施設等々がありますので、それを代替する、さらに能力を増すものとして、こういった敷地のそばに分析施設を持つことには価値のあることだと思いますけれども、今後、デブリの取り出しであるとか、保管等に向けて、どのような施設がというのは、これは、仮に特定原子力施設の一部ということであれば、全体に関わる問題ですので、この場でも早くから議論の俎上にのせたいというふうに考えています。東京電力は今――むしろ、東京電力かJAEAか、どちらへ尋ねたらいいいのですか。今の時点でどこが申請者になるつもりでいますか、これは。


〇姉川(東電)
申請者については、既に規制庁さんと何度か実務のほうが御相談をさせていただいています。これについても、一定のスピードが求められる審査内容だと思って51おりますので、我々東京電力が申請者になる以外にほかの方法はなさそうに私には思えました。ただ、今、更田先生がまさに御質問したとおり、実際にはJAEAさんの技術が欲しいから、我々にはないので、それが欲しいので、JAEAさんに白羽の矢が立っているのでありまして、責任を逃れるつもりは全然ありませんし、我々、挙げて、この管理の責任はとるつもりではありますけれど、前提となっているのはJAEAさんの技術的な貢献、バックアップがあることを前提としてこの施設は成立するものですので、その前提の上に我々はやっていきますということだと思っております。


〇更田委員
そうすると、特定原子力施設の一部としてこの施設を、ということでよろしいですか。


〇姉川(東電)
ええ。この場ですから、もう一度、ではこちらのほうからも御質問したいところがありますが、JAEAさんが我々の敷地の中を借りて、間借りをして、JAEAさんとして申請する場合は、これは審査のやり方が根本的に違うということだったと思っているんですが、その場合は、かなり時間もかかるし、そもそも、それが成立するのかどうかということも、規制庁さんと議論をしたときには、成立するかということについても懸念が表明されたと私は受け取っております。ですから、どちらもとれるので、どっちにするのですか、東京電力さん、JAEAさん、というものではなくて、この環境で、あそこの設備・施設の中で運営するとなると、我々が管理責任をとって、JAEAさんの技術をおかりするという以外に方法はないように見えました。


〇更田委員
これは、基本的に、どちらからとなされてない申請に対して確定的なことを言うのは必ずしもふさわしくないかもしれないけれども、ただ、これはやはり可能性について一番いいやり方――何にとっていいかというと、例えば安全管理という観点からすれば、特定原子力施設は、やはり東京電力が、先ほど言ったように、主体的に行える体制ができるのが好ましいので、これはやはり、一番シンプルなのは東京電力が東京電力の施設として、この特定原子力施設の一部として申請してくるというケースが考えられます。その場合、何も不思議ではないのは、例えば凍土方式遮水壁で鹿島建設がやっているのと同じように、これは国費が投入されているとはいえ、JAEAの位置づけは、ある意味それが請負契約であるか、それか、どうかというような経理上のことは別として、JAEAの技術をかりて東京電力が東京電力の施設を敷地内に建てるということは十分あることだろうと52思います。


〇姉川(東電)
今、当社のスタンスというか、考え方も、おっしゃられたとおり受け取っておりまして、凍土壁もそうですし、ALPSも、東芝さんや日立さんの技術で成り立っているわけで、我々が一からつくっているわけではありません。ただ、トラブルがあっても、そこで、それがないようにするための管理責任も我々が受けておりますので、そういうことかと思っております。


〇更田委員
わかりました。多少の違和感があるのは、今の姉川さんの説明だと、JAEAの位置づけは、日立、東芝であるとか、鹿島建設と同じ立場だという説明でしたけど、それでよろしいですか。ちょっと独法がそういう位置づけというのに少し違和感がありますけれども。


〇姉川(東電)
いえいえ。正しくは、若干違うと思うのですね。ALPSにしても、凍土壁にしても、つくっていただくのはメーカーさん、ゼネコンさんにつくっていただきますけど、我々の設備にして、我々が運用していくということになっております。今回の設備については、長くJAEAさんは中に人も派遣していただいて、運営もお願いすることになると思います。ただ、それについてお任せしっ放しで、我々は知りませんよという立場はとりませんで、管理責任、安全の責任は我々がとるつもりでおります。


〇更田委員
おおよそわかりましたので、ただ、仕組みの明確化については今後議論の余地があるように思っています。例えば、運営をJAEAにと言いますけれども、やはり申請者が東京電力である以上、安全管理に関して、例えば何らかの理由に関して、施設の資産的な価値に影響を及ぼさなきゃならないときに、どこに帰属しているんだ云々というようなことをしている場合はありませんから、それは東京電力が一義的に判断できるような体制をつくっておく必要があると思います。今日はそこまで詰めなきゃいけないとは思いませんが、まずおおよその意図として確認をしたかったのは、特定原子力施設の一部として、東京電力の施設としてを今考えている。ただ、今後とも、運用も含めて、JAEAの技術がそこに関与するということだろうと思います。すみません、ちょっと先に、長くなりましたけども。御質問、御意見があれば。まず、高坂さん、どうぞ。


〇高坂専門員
すみません。特定施設の一部としてというお話があったのでたのすけど、、ホットラボの延長の施設かかというと中を見せていただくと随分違います。、現状の特定施53設は、基本的には従前の原子力施設、発電施設の延長で、廃炉という状況を考慮しして関係法令、規制基準を整備して規制していますけが、規制していますけがこの施設は、中身見ると、どちらかというと核・放射性物質を扱う、使用施設(研究施設)の規制に近いので、それをこの特定施設の中で扱うとなると、規制基準の見直しとかが必要になると思うのですけども。その辺はどういうお考えなのでしょうか。本来ならば、規模は小さいですけども、旧原研さんの施設の様に使用施設として、設置許可とか、環境への影響評価、工事認可等全部やって設置してその上で使用許可を得てから、、その中に試料を持ち込んで研究を実施するのですけど。するの。そういうことを、今の特定施設の延長線で本当に扱えるのかどうか、非常に気になりますけども、お考えを教えていただきたいいのですけど。


〇更田委員
まず、こちらの考え方でいえば、これは扱っていいかどうかには議論があると思います。扱えるかどうかであれば、これは基本的に、設置許可、工事計画認可、それから保安規定の認可に関して、一体的に実施計画で見ている。もしこれを特定原子力施設として扱うのであれば使用施設、加工施設ということはないと思うけど、使用施設の基準等を準用して、それが当てはまるかどうかというようなやり方で、規制技術という言い方は変ですけども、規制が可能かといえば、そういうやり方が可能だと思います。ただし、これに関しては、そういうやり方をしていいかどうか、やっていいかどうかというのは、まずしっかり議論をするべきだろうと思います。その点については、申請がなされる、ないしは、申請が近づいた時点で、きちんと、この場だけでなく、委員会としての議論もして、どういう適用をしたらいいのかというのを考えていく必要もありますし、また、当然のことながら、福島県をはじめ、近隣の御意見も伺う必要があると思っています。東京電力、何かありますか。


〇姉川(東電)
現段階では、先ほど申し上げたところが我々の考えの整理でございまして、もう少し御相談して、最終的な形を決めなければいけないなとは思っています。


〇更田委員
高木先生、どうぞ。


〇高木教授
この資料を拝見すると、規模がよくわからなかったののですが、この施設で、今書いてある研究を全て行う予定なのでしょうか。それとも、例えば原研の東海と連携をとって並行的に進めるということもお考えなのでしょうか。


〇有井(JAEA)
 先ほどお話にありましたように、今現在のガレキや何かは、私どもの東54海の研究所のほうに運んで分析をやってございますけれども、この施設ができましたら、基本的にはこの施設のほうで全てが対応できるような、そういうことを考えてございます。


〇高木教授
ガレキだけでなくて、ほかのこともそうなんですけれども。


〇有井(JAEA)
 燃料デブリも含めまして、この施設で、要するに、この施設をあの場所につくるというのは、その試料の搬出入が非常に容易ということでございますので、そういった意味で、ここで全て対応できるようなものにしてまいりたいと考えております。


〇更田委員
すみません。今の点に関して言うと、これは、同じ問いになってしまうかもしれないですが、JAEA東海のRFEFは、これはTMIのデブリの分析をやっていた経験があるわけですね。国内で最大のホットラボです。RFEFが東海にあって、それから大洗にはAGF、FMF、MMFと、これは高速炉対象ではあるけれども、非常に大規模な施設がある。それから、大洗には敷地隣接してNFDがある。そういう意味では、輸送の問題こそあるものの、デブリの一部を持っていって分析をするとか、それからバックグラウンドをある程度気にしないで測定ができるという点では、これはやはり今度新設する施設と、それから東海、大洗地区にある、そういった分析・研究施設との間の連携を、全体を捉えて計画を示していただくべきだといます思います。今の有井さんのお答えだと、東海、大洗にはまず期待しないで、ここで全部やるんですというお話だったけども、それはあまり合理的ではないと思うのですが、それはやはり本当に全てをここでやるという考えでいるののですか。


〇有井(JAEA)
 今お話にありました、例えば大洗のAGFなどでも、照射後試験のいろいろな試料を扱ってございますけれども、デブリを扱うことになって、難溶解性の物質を扱うための、例えば塩酸であるとか、そういったものを扱うためには、設備の補強等が必要になってくるかと思います。そういう意味で、経験があるという意味で、原子力科学研究所にあるホットラボぐらいか、今すぐということでは、そういうことになるかと思います。ですから、今後私どもの既存の施設との連携というのを考える必要があるとは思いますけれども、そういう意味で、設備能力の補強が必要になってくるという観点では、ある程度の量を分析をしていくという意味では、私どもの施設がやはり中心に、私どもの施設というか、今度、これからつくっていく施設が中心になっていくというふうに考えています。


〇更田委員
例えば、これからつくっていく施設というのは、原子力科学研究所のRFEFよりもさらに大きなものになるののかRFEFより大きなホットラボが建つというのが、この予算から考えても、ちょっとあまり想像がつかないですし、大洗は、確かにAGF、FMF、MMF55はともかくとして、隣接しているNFDは、軽水炉の燃料に対する分析に関して、これは民間技術ではあるけども、非常に高い実績を持っているし、やはりこれ――それから、さらにアクチノイドの分析等々、細かいことをやるんだったら、これは分析施設一つをとってしても、圧倒的に東海、大洗地区に、それから東北大の金研だってあるわけですね。そういう意味では、全てをここで賄うというスコープを示されると、ちょっと――すみません、今日はちょっと突っ込み過ぎかもしれませんけども、ちょっと何か現実感のある計画とは思えないいのですが。高木先生、どうぞ。


〇高木教授
今、更田委員がおっしゃってくれたので、同じようなことになるののですが、研究の、効率という言い方はあまり好きじゃなのですけども、できるだけ広く、確実に研究を進めるためには、複数の機関で研究をするということが大事なのではないかと思います。ウランを扱えない施設であっても、ウランが入っていない試料であれば、ほかの大学でも、あるいは国立の研究機関でも、分析・研究というのはできると思いますので。そういう連携して試料提供をして研究を進めていくということを考えたほうがいいのではないかと思うのですけど、そういう御検討はいただけませんでしょうか。


〇有井(JAEA)
 わかりましたというか、今、私どもの施設は、先ほど申し上げましたように、使用許可の問題であるとか、設備の能力とか、そういったものは、私どもは検討はしてございますので、今後、施設を整備する中で、そういった観点からも並行して検討を進めてまいりたいと思いますけれども、、基本はやはり輸送の問題が一番大きいと考えてございますので、そういった意味で、東海とか大洗へ運ぶということが、年にどれだけ運べるか。それから予算的に、それから物理的にもあると思いますので、そういった意味では、中心になるのはやっぱりこれから整備する私どもの施設だろうと思っていますけど。


〇更田委員
阿部先生、どうぞ。


〇高木教授
すみません、いいですか。


〇更田委員
はい。


〇高木教授
主要な施設であるということは、もちろんそうであるべきであって、そのことに対して申し上げているものではありません。今まで、サイトの中で発生したものというのは、なかなかほかのところでは、JAEA以外のところでは、あるいは日本分析センターに委託する場合はありますけども、そういう以外の研究機関には回ってこなかったのではないかと思うのですね。そういう試料というのは、できるだけ広く供して、できるだけみ56んなで考えて研究を進めるということが必要だと思いますので、姿勢としてそういうことを考えていただきたいということで、もちろん主体は東電、JAEAであって構わないと思っています。要は、この研究全体をどう考えるかということなんですね。今のお話では、JAEAと東電がもう全部進めていくというふうにしか聞こえなかったので、こういうふうに申し上げました。


〇有井(JAEA)
 ロードマップにも書いてございますけれども、私どもの施設、必ずしも東電さんと私どもだけでということではなくて、広く研究者の方々にも施設施設供用制度を使って利用していただけるようなことも考えるようにということは書かれてございますので、私どもは、そういう意味では、広く国内外の研究者の方々に研究いただけるような、そういった体制も整えてまいりたいと思っています。


〇高木教授
それは施設の供用であって、要は、この施設に研究者が集って研究するというプランだと思うのですね。私が申し上げているのはそうではなくて、試料を供するというものです。要は、人を呼んでくるののではなくて、場合によったら試料を委託するということも、要はサポート体制というのを考えてもいいいのではないかということです。主体はあくまで東電、原研で構わないと思いますけれども。


〇更田委員
これは前例がありまして、スリーマイルアイランド、TMIのときに、これは米国が全額出資でサービスとしてやりましたけども、今のような要望が非常に強くて、1カ所での分析というのではなくてということで、これはOECDが音頭取りをやりましたけども、TMI-VIP計画という、Vessel Investigation Projectいうのがあって、デブリも、実際に、旧日本原子力研究所にスリーマイルアイランドのデブリが返ってきて、RFEFにまだ保管されていますけれども、TMIで溶けた溶融炉心の分析の実績はあると。それから、さらに高木先生のおっしゃっているのは、一つの施設にいろんな組織から集ってきてではなくて、それぞれの組織が独立して行えるようにということで、これはそれぞれの、もちろん受け入れる側のものもありますけども、基本的には、強く東京電力には勧めたいのは、やはり東北大の金研であるとか、いろんなところで分析が進められることが望ましいし、これは大分先のことになりますけども。それから、東海地区にはRFEFがあって、BECKYもあって、WASTEFはちょっともう――ただ、もともと、でも廃棄物を扱うところではあったんですけども。といった施設。それから、民間技術であれば、NFDもそうであるし、NDCがどうなるかはともかくとして、57それぞれやはり実績のあるところですので、そういったことを、ぜひ全体像を考えて、その中で、新設する施設の役割というのを押さえてほしいと思います。阿部先生。


〇阿部教授
私は、高木先生、それから更田委員が言われたことと、基本的な考え方は同じですけれども、ただ、こういう非常に特殊な施設ですので、インフラをシェアすることを前提にして建設するする施設の性能を下げるようなことはしていただきたくないです。作るものはちゃんと作り作り、その上で、それを運用するのに当たって、あるいは研究を共同研究として進めていくに当たって、試料をラウンドロビンする、あるいは研究者に来てもらう、あるいは違う施設のほうにまた別途分析を依頼する。のそのような運用というのをお願いしたい。ぜひ私たちもさせていただきたいと思っており、施設の性能を下げるようなことだけはなさらないでくださいというお願いです。そういう意味で、870億円のお金を投入したというふうにおっしゃっていましたけど、これで十分なのかなというのが少しありまして、きちんとしたものをつくっていただきたい。そのためには資源エネルギー庁さんにも頑張っていただきたいというふうに思います。それからあと、コメントですけども、先ほど来いろいろと話が出てきておりますけども、やはりJAEAさん、あるいは東電さんには、共同研究のプログラムというものをきちんとつくっていただいて、オールジャパン、あるいは、国際的なネットワークも含めて、皆でこういう問題を解決していくんだというふうな、そういうふうな姿勢をぜひ見せていただきたいと思います。この検討会の内容からは外れますけども、よろしくお願いいたします。


〇更田委員
はい。角山先生。


〇角山特別顧問
手短に。更田さんがTMIのお話をしたんですが、TMIでの分析というのは必ずしも、スリーマイルを掘るための結果にフィードバックをそれほどされてないと私は聞いているんですね。要するに、研究をやるのはいいいのですけども、福島の廃炉に役に立つのかという視点がないと、地元は非常に、場合によっては、極端な言い方をしたら、裏切られたということも起こり得るので。そういう意味では、先ほど来の議論は、最終的には賛成で、全体戦略を見て、東海をどうやってやってもらうか、それから新しいところはどうやってやっていただくか、それで廃炉にどうやって結びつけるか。やはり全体像はぜひ、今のデータでは、情報では不十分なので、ぜひもっと詳しい御議論をしていただきたいと思います。58


〇更田委員
大変重要なコメントをいただいたと思っています。特定原子力施設の一部としてつくられる以上は、廃炉作業に直接的に役に立つことがなされることがもう原則であって、「研究」という言葉は必ずしもというか、ほとんどふさわしくないですね。廃炉技術に密接に直接的に。で、研究は、それこそほかの施設へごく少量のサンプルを持っていってやればいいので、角山先生が御指摘してくださったように、TMIの分析も、基本的には、よく皆さんが御覧になる、TMIがどういう状態になっているかという、モルテンプールができていたとか、そういったシビアアクシデント研究に関しては、あの分析は非常に役に立ったけど、TMIのデブリの取り出しは、結局、あのボーリングみたいなやつでぐりぐりっとやって取り出すやり方をしましたので。確かにここで、角山先生のおっしゃるとおりで、はっきりくぎを刺しておきたいのは、やはり特定原子力施設の一部として建てられる施設で行われることは、いわゆる研究ではなくて、廃炉技術に密接に、直接役に立つアクティビティがなされる場所と、活動がなされる場所という定義は、揺るぎないところだと思いますし、そうでなければ、特定原子力施設の一部とすることは許されないと思います。はい。


〇新川室長
ありがとうございます。原子力規制委員会の場でこういった議論をすることがどうかというのは難しい点はあるかと思いますが、皆様からいただいた意見は、極めて真っ当な御意見ばかりであるというふうに考えております。まず、いただいた、まず更田先生の御指摘で、特定原子力施設として立地する以上、福島第一の廃炉に必要のないものはすべきじゃないという意見は全くそのとおりというふうに考えております。名称として、日本原子力研究開発機構でございますので、「研究」という言葉が入っているということではございますけれども、内容について、いわゆる純粋な原子力技術の向上を目指すような研究が入るということでは一切ございませんで、福島第一原発の廃炉に向けてどういうことができるのかということをひたすらに考えていく施設であるというふうに考えております。それから、阿部先生の御指摘も、誠にありがとうございます。皆様からいただいている御指摘のように、ここで独占をして、ほかに出さないというつもりを言っているのでは全然なくて、主としてここでやりつつも、皆様の御知見をどうかりるかということはまた、今日ここで全部の回答ができるわけではございませんが、きちんと考えていきたいという59ふうに思います。したがいまして、この850億について、この施設とモックアップ施設を充実させるのに使いつつも、あとどういうことができるのかということを考えていくということだと思っておりますし、日本全体でいろんな資源が限られている中で、それを総合的にうまく使っていかないということはあり得ないというふうに思っております。それから、あと、先ほど一つの拠点の中でいろんな研究者に集っていただいてという発想も当然ございます。それは別にほかの施設を使わないということではございませんで、この施設が魅力あるものとして、世界各地の研究者に評価されるものとなったときには、そうやって集っていただいて研究していただくこともあり得ると。また、そうなるように努力していくということを申し上げただけであって、ほかの者を排除するというつもりではございません。何とぞ御理解のほどをよろしくお願いいたします。以上でございます。


〇更田委員
既にちょっと時間を過ぎておりますが、もう1件だけ。福島第一原子力発電所特定原子力施設の施設定期検査について、これは高坂さんからも御指摘をいただいていますけども、これも継続的にこの検討会の場で御報告をしていくことになりますけども、今日はまずとにかく概要について、キックオフとして、概要について説明をさしあげたいと思います。お願いします。


〇須々田首席原子力施設検査官
原子力施設検査官、須々田です。資料の4に基づきまして、福島第一原子力発電所の施設定期検査の概要について、説明いたします。めくっていただいて、2ページですけども、福島第一原子力発電所の施設定期検査を実施するに当たり、検査を実施する手順について御説明します。①として、施設定期検査の検査申請書を東京電力より平成26年4月17日に受理しています。施設定期検査の実施対象を選定するに当たり、②実施計画に記載されている設備の中から供用期間中に確認すべき機能を担う主要機器を抽出しております。さらに、③実施計画に述べられている「要求される機能」及び「供用期間中に確認される項目」に基づき設備毎に確認すべき性能を整理しました。その後、おのおのの施設定期検査の要領書を策定します。⑤平成26年6月24日から施設定期検査を開始し、今年、同年の9月下旬まで、施設定期検査の実施を予定しております。めくっていただきまして、3ページです。施設定期検査項目の検討例を図示しています。これは実施計画中の2.1章、原子炉圧力容器・格納容器注水設備の例ですけども、図中の左60の箱枠の中は、実施計画において定められた「要求される機能」と「供用期間中に確認する項目」を示しています。この箱の中の左側には「要求される機能」を示しており、(1)、この例で言えば、原子炉圧力容器・格納容器内での崩壊熱を適切に除去できること。(2)原子炉圧力容器底部温度を概ね100℃未満に維持できること。(3)原子炉注水系は多重性または多様性及び独立性を備えること。(4)異常時にも適切に対応できる機能を有すること。(5)常設の原子炉注水系が冷却機能を喪失した際は代替冷却機能を有すること。ということが書いてあります。この中の灰色で着色されている(3)につきましては、実施計画の審査段階で基本の設計として確認されている項目です。それから、この中の右側の薄い黄色で囲った枠の中ですが、これは「供用期間中に確認される項目」として、(1)崩壊熱相当注水量以上で原子炉へ注水できること。(2)原子炉圧力容器底部温度が100℃未満であること。ということが実施計画に記載されています。この図の右側、緑の枠で囲まれた部分が、施設定期検査の実施に関わる部分となります。実施計画に記載されました項目に基づきまして、性能確認の対象となる設備、確認する項目を整備します。この例でいけば、常用原子炉注水系ポンプの運転性能検査として、主な確認項目は、ポンプの流量、冷却状態、系統漏えい、それから、非常用の原子炉注水系ポンプの運転性能検査としましては、ポンプの流量、系統漏えいに加えまして、発電機の運転状態等を確認する項目とします。その整理ができましたら、検査要領書を策定の上、検査を実施するということになります。続きまして、4ページをお願いいたします。この表は施設定期検査の項目の例です。上段の左から、実施計画の章立て、それから、設備名、性能を確認する項目を表しています。これは2.1の原子炉圧力容器・格納容器注水設備から、次のページの2.33.2の5・6号機の仮設設備までの各設備が施設定期検査の検証対象となることになります。以上の項目を含めて、今現在の施設定期検査の状況ですけども、6ページ目に書いてある予定で、6月24日の検査、注水系の検査を開始しまして、9月まで、順次検査を実施していく予定です。簡単ですが、以上です。


〇更田委員
高坂さん、どうぞ。


〇高坂専門員
ありがとうございました。実施計画書が認可されて約1年以内の定期検査ということですが、、きちんと計画して、そのとおりやって、健全性を確認していくというのは非常に重要なことと思います。61二つ質問させていただきたいいのですけど。検査項目ですけど、従来ですと、ISIとか構造検査とか漏えい試験等の構造等の検査があって、そのほかに機能検査もあったんですけど、今回の構造等については検査しないのでしょうか。、系統運転圧力での漏えい確認で見ていけば、構造健全性は確認さされるという整理をされたんでしょうか。 それからもう一つ、5ページの最後に、「5・6号機」と書いてありますけど具体的な検査項目の記載がありません。、5・6号機側は、冷温停止を維持するための設備について、震災後も健全な状態で残っているので、1号~4号とは違うと思うのですけど、5,5号機は従来の延長線で必要な設備について定期検査で見ていくということでよろしいのでしょうか。


〇須々田首席原子力施設検査官
まず一つ目なんですけども、この実施計画上は、まず性能を確認することが要求されていますので、そこを主体にします。構造強度に関しましては、その事前に使用前検査等で確認するということになります。それから、5・6号機に関しましては、ここに記載されている2件は、新たにこの事故後に加えられたような設備ですけども、それ以外に、冷却系統を維持するということで、今、東電側とは変更申請、これ、追加するような変更申請を求めるようにしています。その上で、設備の維持管理、冷却機能維持の維持管理についても、施設定検の中で見ていく予定です。


〇高坂専門員
わかりました。ありがとうございました。


〇阿部教授
すみません、ちょっと質問させていただきたいいのですが、この4ページ、5ページの項目の例を見ていて気がついた点について、教えてください。一つは、処理済みの汚染水の保管設備については、施設定期検査の対象となっているのですかということです。それから、トレンチも含めて、滞留水がある設備、滞留水を貯留している建屋というのがありますけども、この中にはトレンチが含まれているのかどうか、わからないなと思ったので、質問です。それから、あと、非常に被ばく量の高い作業現場であるということもあって、その被ばくを管理している設備というものについては、定期検査というのは必要ないのでしょうかという、この三つ、質問をさせてください。


〇須々田首席原子力施設検査官
汚染水タンクに関しましては、汚染水タンク以外も含めて、処理設備を含めて、2.5章の中の汚染水処理設備の中で施設定検の対象としています。それから、トレンチ等に対しては、現状、施設定検としては、ちょっとまだ対象として62考えていません。というのは、設備として確認できるような状況ではないと思っています、今。水がそこにたまっている状態はあるのでしょあるのでしょうけども、そこへ行って、実際に例えば何かを確認するとかというような状況ではないと思うので、今、そこの辺は、まだ施設定期検査の対象の中では考えていません。三つ目、すみません。


〇阿部教授
被ばく管理。


〇須々田首席原子力施設検査官
被ばく管理に関しては、放射線管理の監視機能等について実施する予定です。


〇阿部教授
トレンチのリスクが大きいということは、盛んにこの検討会の中でも指摘があって、更田委員も御発言なさっているところですけれども、そこについて検査をしなくてよいという、ちょっとロジックがよくわからないのですが。


〇須々田首席原子力施設検査官
すみません、施設定期検査として、今、対象に入っていないということで、検査として、例えば保安検査側で見てもらうとかそういうことを。


〇阿部教授
保安検査側で見るののですか。


〇須々田首席原子力施設検査官
はい。そちらのほうで、今のところ、フォローしてもらうということになります。


〇阿部教授
わかりました。


〇更田委員
山本先生。


〇山本教授
この特定原子力施設、やはりいろんな装置の劣化が、多分通常のプラントより大分早いと思いますので、通常のプラントで10年ぐらいかかって起こる劣化が、1年ぐらいで起こってもおかしくない状況にありますよね。そういうふうに考えますと、通常のプラントでやっている定期検査の項目にプラスアルファして、例えばPSRで見ている項目であるとか、あと、この検討会で、以前リスク分析を大分やりましたけれども、あそこで出てきたリスクファクターに寄与している設備を重点的に見るとか、そういうところもプラスアルファしてやられるとよいかなというふうに思います。


〇須々田首席原子力施設検査官
現状、今、施設定期検査は、実施計画に基づいてやるということに、そういうふうに位置づけられていますので、その辺は実施計画側の検討も含めて、金城室長とも御相談しながらやっていきたいと思います。


〇更田委員
大津留先生。


〇大津留教授 すみません、ちょっと的外れな質問かもしれないいのですけれども、例え63ば、これ、物理的なものの検査なんですが、当然人の健康管理、被ばく線量の管理以外も含めてというところは、もちろん普通の事業所であれば、当然一般の規定でやられているとは思うのですが、こういう作業をしていく上では、ちょっとそれで足りないところもあるのではないかなと思うのですが、その点に関してはどういうふうな、保安検査のほうでされているんでしょうか。


〇更田委員
これは改めて、必要があれば御紹介をしますけども、保安検査の枠の中で見ていくことになります。ほかによろしいでしょうか。すみません、ちょっと30分以上、時間を過ぎてしまっていますけども、全体にわたって、改めて御意見、御質問があれば、いかがでしょうか。新旧対照表の何か修正があるようですので、これは東京電力のほうから。


〇柴崎(東電) それでは、資料の参考1になります。第22回の検討会、こちらは凍土方式遮水壁の地盤沈下の検討を行ったものですが、この中のデータにつきまして、若干修正がございます。資料は4ページ目を、すみません、右上に旧資料というふうにございます。こちらの検討会のほうに出させていただいた資料でございまして、敷地内の水位につきましては、震災後、地盤が70cm沈下しております。それの補正を行いまして、旧標高に戻して、水位データの整理をさせていただいておりました。本資料、O.P.+4m盤になりますが、C-1、C-2というブルーのラインラインのと紫色のラインラインの下部透水層ですね。こちらのデータに70cmの補正を行わず、データのほうを記載してしまいました。あわせまして、横軸で行きますと、平成25年6月1日~7月1日の間、これが紫色のラいいの、それから、25年7月~9月まで、ブルーのラいいの、こちらが直線補間されておりますが、こちらの期間は、近隣で4m盤の地盤改良を実施しておりました。この間、水位データが若干欠測になりますので、この間を直線補間してしまったということ。この2点につきまして修正をかけましたのが、1ページ前の新資料というふうに打っております資料です。ブルーのラいいのと紫色のラいいのにつきましては、70cmの補正を行いまして、上に上げております。欠測期間につきましては、データを除きまして処理してございます。ページを2ページ、その前に戻っていただけますか。すみません。四角の表の中にございますのが、今、説明した内容になります。なお書きで最後にまとめてございます。今回補正いたしましたデータにつきましては、地盤沈下の計算結果、こちらのほうのデータには64使用しておりませんので、地盤結果の沈下等結果報告に影響を与えるものではございません。なお、データのチェックが足りなかったところ、誠に申し訳ございませんでした。今後とも、データの取り扱いについては十分注意してまいりたいと思います。以上です。


〇更田委員
今の点はよろしいでしょうか。それでは、次回の会合については、既に先生方の御都合は大体伺っていますけれども、改めて調整の上、お知らせします。渡邊先生、どうぞ。


〇渡邊教授
すみません、一つだけ、ちょっとお願いをしておきたいいのですが、今日、直接の関係ではないいのですが、地下水流動の話が、今日、出てまいりましたけれども、今、12機で上げている地下水の評価というのが、なかなかちょっと見えていないという、そういう報道がなされていますが、少なくとも、その地下水のくみ上げについて、どういうふうな形で地下水の流動が変わっているかという、そういうデータをぜひこの委員会に出していただきたいというふうに思います。それは、効果がどうかという問題も一つありますし、効果を評価してほしいというのが一つあります。それから、もう一つは、1・2号のその例の汚染水漏えいの問題と関わって、逆に、その地下水くみ上げが、例えば地上に漏えいした汚染質を早く、いわば拡散をしている可能性が逆にあるのではないかという、ちょっと懸念される部分があるものですから、その問題も含めて、できれば、地下水くみ上げ、あれだけいろんな課題を据えながら、地元の協力で、今、地下水をくみ上げて放出しているわけですけど、その効果が本当にいいのかどうかという効果をきちっと見極めたい。やっぱり見極めるためには、やっぱりちゃんとシミュレーション結果と、それから、その流速の測定結果というのを出していただく必要があるんじゃないかというふうに思いますので、その辺のところ、ぜひ御検討いただきたいというふうに思います。


〇更田委員
御指摘の点については次回以降、答えてもらおうと思います。必ずしも次回とはちょっと、申し上げないのは、その点に拘束されてというのは、今、最初の議題でもそうでしたけども、海側トレンチの対策等々は、できるだけ早く示してもらう必要がありますので、東京電力が答える準備ができたものから、この検討会に上げていきたいと思いますので、次回、そう遅くならない時点でお答えできるようにしたいと思います。65


〇渡邊教授
ただ、今、更田さんのほうからお話がありましたように、例えば海側が遮水するのがいいかどうかという問題も含めて、今回の遮水壁の問題、トレンチの遮水の状況を見ると、かなり問題点があるなという感じがちょっとしておりまして、やっぱりきちんとした評価を得た上で、効果を見た上で、やっぱり作業のスケジュールや、作業の方法とか、作業の手順というものを決めておく必要があるのではないかと思うのです。それで、とりわけ、私、ちょっと水上のほうからやっぱり遮水するのならすべきだというような感じもちょっと持っていたりしているものですから。逆に言うと、海側からやれば、今度、ダムアップしてしまうという問題があって、汚染が拡散すると。そういうことも含めて、今回、何かあれだけ地元からの要請をやって、放水したんだけど、その結果がどの程度の効果が出ているのかということについては、全く未知なような感じがしておりますし。それから、地元だけの意見を申し上げますと、逆に汚染されたものが、例えばトリチウムだというふうに、高濃度のトリチウムだという形で、薄めればいいという形で放出しているわけですけれども、逆に言うと、それじゃあ、ALPSの汚染水というのは薄めて放出していいのかという、環境影響評価も何もしていないうちに、現実的には薄めて放出されているという、こういう実態がありますと、やっぱりトリチウムの汚染水の問題と関わって、やっぱりきちんと考えておく必要があるだろうというふうに思ったものですから、ぜひきちんと出してほしいというふうに思います。


〇更田委員
今の渡邊先生の御指摘については、事実関係について、ちょっと松本さんから。


〇松本(東電)
地下水バイパスのその効果の確認ということについては、しっかりお示ししてまいりたいというふうに思います。ただ、お話の中で、ALPSの水について、薄めて放出をしているというのは……。


〇渡邊教授
いえ、違います。放出する前例になるというお話です。要するに、これはしているわけではなくて、結局、この委員会の中でも何度も、ALPSで処理したものはトリチウムだけは取りにくいという問題があって、これについては、放出をしないということを前提で話をしてきて、東電さんのほうからも、それは確保するということになっていると思うのですね。しかし、今回、そのやっている、トレンチが結構濃度が高くて、12号のポンプのところで高いという、それは全体で薄めれば、環境基準、放出の約束基準に守られているから、放出をするということになれば、その前例になるののではないかということ66を懸念しているということです。すみません。


〇更田委員
規制委員会の立場としては、告示濃度制限が守られる限り、放出なりを妨げるものではないというのが基本的な規制の立場でありますが、現実的な運用からすると、ALPS処理済み水については、まだ十分議論ができていないというふうに考えております。それから、今の渡邊先生の指摘に関しては、基本的に東京電力が行っている評価やデータに対する御質問ですので、これは監視・評価検討会の場に限らず、積極的に東京電力のほうから発信をされるのも、さらに好ましいと思いますので、それはなるべく指摘に応えられるに努めてほしいと思います。


〇松本(東電)
できるだけ速やかにデータを公表していきつつ、こちらの検討会でも評価をいただきたいというふうに思います。


〇更田委員
ほかに。渡邊先生、どうぞ。


〇渡邊教授
結構です。わかりました。


〇更田委員
よろしいでしょうか。それでは、45分延びてしまいましたけども、ありがとうございました。次回については、改めて御連絡をいたします。以上で、本日特定原子力施設監視・評価検討会を終了いたします。ありがとうございました。

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