2014年8月18日月曜日

(テキスト整形)特定原子力施設監視・評価検討会第25回会合議事録


特定原子力施設監視・評価検討会第25回会合議事録
日時:平成26年7月23日(水)10:00~12:37
場所:原子力規制委員会13階会議室A

出席者

担当委員
  • 更田豊志 原子力規制委員会委員

外部専門家(五十音順)
  • 阿部弘亨 東北大学金属材料研究所 教授
  • 橘高義典 首都大学東京大学院都市環境科学研究科 教授
  • 高木郁二 京都大学大学院工学研究科 教授
  • 角山茂 章会津大学教育研究特別顧問
  • 林康裕 京都大学大学院工学研究科 教授
  • 山本章夫 名古屋大学大学院工学研究科 教授
  • 渡邊明 福島大学大学院共生システム理工学研究科 特任教授

原子力規制庁
  • 平野雅司 技術総括審議官
  • 山本哲也 審議官
  • 佐藤暁 東京電力福島第一原子力発電所事故対策統括調整官
  • 金城慎司 東京電力福島第一原子力発電所事故対策室長
  • 小坂淳彦 地域原子力規制総括調整官(福島担当)
  • 持丸康和 安全管理調査官(汚染水担当)
  • 熊谷直樹 東京電力福島第一原子力発電所事故対策室管理官補佐
  • 大慈弥麻里亜 監視情報課課長補佐
  • 松下一徳 東京電力福島第一原子力発電所事故対策室係長
  • 谷村嘉彦 東京電力福島第一原子力発電所事故対策室安全審査官





○更田委員
それでは、定刻になりましたので、特定原子力施設監視・評価検討会の第25回会合を開催いたします。本日、有識者の方では、井口先生、大津留先生、東先生から御欠席という御連絡をいただいています。議事次第を御覧ください。本日の議題は、まずは前回から続いている2、3号機前の海水配管トレンチの止水工事の進捗、計画について。前回、凍らないという話でしたけども、これに対して対策が考えられて、計画されているかどうか。それから、その他となっていますけども、二つ目の議題として、1号機建屋のカバーの解体・ガレキ撤去時にダストが飛んだ、その抑制対策と、それを監視している状態、それから今後の作業に関するダストの19どういうふうに関連していますか。流速変動していますけども、どういうふうに立坑の中がなっているのかということをまずちょっとお答えいただけませんでしょうか。


○松本(東電)
5ページで、三つのケースで、場所が違うものも含めて、流向・流速を一つのグラフにするというむちゃな描き方をしておりまして、大変申し訳ございません。例えば赤いものを見ていただきますと、建屋の水位が下降時ということになってございます。これは建屋にたまってくる水をポンプで抜いて、セシウムの処理、除去装置のほうへ送り込むということを間欠的にやっております。それをやっている間は建屋の水位が下がってまいります。建屋の水位が下がってくるときには、建屋とこの海水配管トレンチがある程度連動していると我々は見ておりますけれども。


○渡邊教授
わかりました。連動しているということで。


○松本(東電)
はい。


○渡邊教授
わかりました。その答えで結構です。そうすると、例えばこの熱量計算のときのこの計算というのは、そういういわば建屋の冷却水の効果みたいなものはきちんと入っているのでしょうか。ちょっとその冷却する、これから投入するという氷の問題とか、それからドライアイスの問題も含めて、その量の計算、凍るまで入れればいいのだというふうに、非常に雑に言えば、そういう結果になるのかもしれませんけれども、やはりちゃんとどの程度のものを準備して、どの程度やるのか。それから、一度凍らせればいいという問題ではなくて、やっぱりそれを継続的に凍らせておかなきゃいけないわけですね。そういう問題を考えたときに、やっぱりあの計算というのは重要で、きちっとやっぱりある程度、その見通しを立てるという意味では、その辺のところも含めてきちんと計算しておく必要があるのではないかというふうに思っていますので。問題がなければいいのですが、その辺はいかがですか。


○味沢(東電)
お答えいたします。おっしゃるとおりで、まず建屋のほうから立坑のほうに水がコンスタントに流れてくるという状況でございますので、こちらの氷を、流れてくる15°Cの水をできる限り下げるという意味では、例えば0°Cまで下げるということを考えますと、1日約5.4tの氷を投入し続けなければいけないというような結果になります。それと、加えて、もともと立坑の中にある水、大体どこから立坑と考えるかによりますけれども、そちらについても15°Cから0°Cに下げるということで、初期については、例えば5日間で、例えば計算上ですけども、0°Cに下げるということであれば、1日当たり10tぐら20い、5日間ぐらい集中投入をしておりまして、6日後以降は流れてくる水を冷やすための5.4tを追加していくと。そのようなことで、何とかその水温を下げていくというようなことを今のところ計画しております。


○渡邊教授
ありがとうございました。もう1点だけ、ちょっと質問させてほしいのですが。そうすると、例えば流速の問題でこの計算をすると、全部0.1cm/minという形の流速が観測されているわけですけども、その意味では、今回計算した値から比べるとかなり小さくて、凍結する可能性が十分あるというふうに、このデータからは見られるのですが。問題は、例えば10ページにあるような、凍結管を今度は狭めたり、凍結をしたときにこの流速が速くなるという可能性はかなり出てくるのではないかと思うのですね。この辺の見積もりはできているのでしょうか。


○味沢(東電)
御指摘のとおり、ちょっと10ページのモデルで行きますと、まさに狭まっていけば流速が上がってしまいますので、凍りにくくなってくるという現象でございます。そちらについて、なかなか定量的に御説明さしあげるのは難しいのですけども、文献等の考え方では、基本的に流速が上がっていきますと流路が狭まりますので、流路の抵抗が増しまして、速度としては狭まった分だけ流速が上がるということじゃなくて、流速もある程度一定に落ちついてくると。そうすると、凍結管から投入される除熱量に対して、あまり抵抗によって上がっていかない流速とのバランスによって、最終的には凍るだろうということを考えております。


○渡邊教授
凍るか、凍らないかは、やってみなきゃわからないという問題があるかもしれませんが、その辺の想定を十分考えた上でいろんな実験をやっていただければというふうに思います。特に凍結管が増やせない部分についてどうするかという問題。一旦凍らせればそれで済むという問題ではありませんし、特に建屋との関係からすると、冷却水が含んでいるということになると、すぐ溶け出して穴があくという、こういう現象が起こりますので、その辺も含めて十分な対応をお願いしたいということです。以上です。


○更田委員
今の渡邊先生の関連で言うと、グラウチングというか、間詰め材を最後は入れるわけだけども、凍結で止水ができるようになってから間詰め材になるのか、それとも、かなり氷の壁で、間隙は残っているけれども、かなり詰まってきたのでというところで詰め物を投入するのか、その辺りは今の時点で判断はできていますか。


○伊藤(大)(東電)
お答えします。福島第一からやって来ました伊藤と申します。21完全に凍結ができなくても、間詰め材を入れることによって、そこに流れ込ませて、鋭意固めるということはあり得ると思っております。完全に凍結ができなくても、そういうことは既に試験等もしておりますので、可能というふうに思っております。以上です。


○更田委員
今、計算にこだわるわけではないのですけども、間隙が狭くなってくると、同じヘッドがかかっていれば流速が上がってしまうけれども、流動抵抗もその分大きくなるしという話だけども。そこで完全な凍結を、それを目指すよりも、ある程度間隙が小さいというふうに見られたら、そこで間詰め材を投入してしまって、それと相まって一旦止めることができれば、間詰め材を入れれば、今度は凍結する側だってスタグネントになって、凍りやすくなるだろうということもあるので。ある段階でこの間詰め材の投入という判断をしなきゃならないのだろうけども、そのときの指標を何をとるのかというのが、そのときにまた少し悩ましいのかなというふうに思いますけれども。


○伊藤(大)(東電)
お答えします。22ページの工程表を御覧ください。この工程表で、凍結管の交換をし、ドライアイス・氷の投入の試験をし、本格的な投入が始まるのが7月の終わり、28日ぐらいをイメージしておりますが、そのころから全面的な氷・ドライアイスの投入と、測温管を凍結管に変えたことの効果を連続して出してまいります。ここから概ね2週間程度で、8月の中ぐらいで見通しを立てて、追加パッカーと間詰め材が必要になってくるかどうかの判断をしてまいりたいと思います。以上です。


○更田委員
あまり計算にこだわらずにと言っていて、ちょっと矛盾するのですけど、10ページのこれ、流速がある状態での計算をしているし、かなり――これは何が聞きたいかというと、温度境界層の厚さってどのぐらいになっているのですか。


○渡邉(東電)
直接この評価ではないのですけれども、凍結管、単管について、CFDで評価しておりまして、温度境界層はせいぜい10mm以下、数mmという計算結果を得ております。


○更田委員
もし流速にそう変化がないのだったらば、氷の間隔が数mmのところまで近づいてきてくれれば凍りそうだと、ごくざっくりした議論ですけれども。成長していって、それでもなお温度境界層の厚さが数mmだったら、そこら辺まで近づいてきてくれれば行きそうだということだと思うのですけども、どのくらい冷やせるかという、流速との兼ね合いで言ったら、その温度境界層の厚さが非常に指標としてはいいのではないかと思います。42渡邊先生、どうぞ。


○渡邊教授
まず、ちょっと御質問をしたいのですが、今日、御報告をいただいた3ページ~4ページに関わって、8月12日、19日の作業が書かれています。それで、その理由として、5ページにガレキ撤去の手順が書いてありますけれども、その12日、19日で、特別実は何かたくさん出るという、そのガレキ撤去って、1回、ずっと行われているわけですけれども、18、19でこういう出たという、ここのその作業は一体何なのかということを、ちょっともう一度、御説明いただけませんでしょうか。


○中村(東電)
お答えいたします。こちらのまず12日でございますけれども、5ページの左側の図にございますように、グレーの部分が天井クレーンのガーダでございます。これの切断と撤去というのを7月30日以降行っておりまして、8月12日には、ちょうどこの③、それから⑤というものを切断して撤去するという作業を行ってございました。それで、もともとその3号機が震災後から上がつうつうの状態でしたので、風雨にさらされていたりとか、それから飛散防止剤をまいていたりということもありまして、周辺のところは、それによって固着したり飛んだりしていたのかと思っているんですけれども、ちょうどこのクレーンガーダの下に隠れていた部分については、このクレーンガーダを撤去することによって露出したと考えてございまして、その下に何か高濃度のものがあったのではないかというふうに推定してございます。


○渡邊教授
すみません、中身までよくわからなかったのですけども、ただ、私、2点。一つは、今回問題になっている飛散というのは、敷地境界ではかれるようなものではないのではないか。これは粒径の問題と、それから排出温度の問題で、実は、少なくとも今日、東電さんが出してくれた敷地境界で出した線量よりも、福島県なんかではかっているデータのほうが高線量率になっているという。こういう現実を踏まえると、敷地境界だけでやる、そのF1以外の環境汚染の実態を見るというのは無理だというのが、8月19日の実態ではないかというふうに私は思います。その点から言うと、前にも実はこれ、お話をしたのですが、ガレキ撤去の際には、作業でいろいろ検討するときに、今日の作業がどちらの風向で、どのくらいの風速が吹いているのかということを検討した上で作業というのはできないのでしょうかという話はいたしましたけれども、それがもしできないということで、始まったらもうどんどんやらなきゃいけないのだということであれば、確かに、いわば今回、飛散防止剤をやるというのは効果的なのかもしれませんけれども、飛散防止剤をやっても、例えばかなり高温の状態ある43いは非常に微細な粒子の場合には、かなり上空に舞います。今回、私ども、観測している丸森では6×10-10Bq/m3ぐらいが出ますので、今日、御報告いただいた敷地境界での値、これ、見ますと、一番濃度が高くて19日のところで、Cs-137ですけど、5.8×10-4Bq/m3ですから580Bq/m3ぐらい出たと。拡散実験をすると、大体大きいときで10-4~10-6ぐらいになりますから、ほぼ1桁、2桁ぐらい、ちょっと少なく出ているという、こういう結果になっています。ですから、その問題も含めて,もちろん拡散って、御承知のとおり日本の大気状態で2桁や3桁多くなったり小さくなったりすることはあるのですけども、この日だけ、実は丸森の観測では、2012年の末から観測が始まって、一番濃度の高い状態が出ているという異常さを持っています。その辺をやっぱり今回のガレキ撤去、もし原因がガレキ撤去にあるのであれば、ガレキ撤去のその作業のやり方ということをかなり相当検討していただきたいというふうに思いますし。それからモニタリングについても、モニタリングのあり方というのは、本当にその敷地境界だけでいいのかという問題ですね。これは規制庁のほうにもお願いをしたいのですが、規制庁が環境省に入ったということで、環境省の管轄であれば、まさにプロがいっぱいいるような気がするのですね、汚染、排出については。ですから、そういう意味で、これは特定施設なので、敷地境界にかかわらず、環境をちゃんと見るという意味で、周辺でのいわば大気の計測というものを展開してほしいというふうに思います。2点です。


○更田委員
後で渡邊先生がお尋ねになった点について、この監視・評価検討会はプラントでの作業に対する規制に関して御議論いただいていますけども、敷地外でのモニタリングについて、ちょっと山本審議官のほうから説明をします。


○山本審議官
御報告いたしますが、本件に関しましては、既に報道等がありましたように、福島県の南相馬の辺りで米の濃度が基準を少し、100Bqを超えるというような事象が見つかった。これは農林水産省のほうの調査の結果でございます。それで、そういう状況を踏まえて、福島県のほうで、モニタリングに対する強化といったことをいろいろ御検討中でございます。それで、私ども規制庁のほうでは、こういうモニタリングに関します交付金というのを持ってございます。これは県に対する、自治体に対する交付金でございますけども。この交付金を活用いたしまして、恐らく県内の発電所の近くではないかと思われますが、ダストサンプリングを新たに設置すると、こういったことの御検討をされておりますので、44それに対して財政面、こういう交付金によりまして支援をさせていただいて、今、渡邊先生がおっしゃいましたような監視体制の強化といったことについても、私どもも支援をしていきたいなというふうに考えているところでございます。


○更田委員
渡邊先生の質問、この点だけではないので、東京電力のほうから回答があれば、どうぞ。


○中村(東電)
1点目の前段の質問につきまして、御指摘のとおりだと思ってございまして、昨年、こういった事象が発生したという事実も踏まえまして、強化、特に入念にやっていきたいと思ってございます。それも、先ほど申し上げましたようなハードの対策だけではなくて、当社の職員、それから実際に工事する工事会社の方々、その辺りまで含めて問題意識を持ってやっていくように、その辺の仕組みづくりも今検討しているところでございます。


○渡邊教授
敷地境界の中でダストエリアをちゃんと設けるというのは大変いいことですし、作業員の被ばくをちゃんと監視をするという意味でも、大変重要なことだというふうに思います。ただ、先ほど申し上げましたように、例えば周辺に飛散をするという現状を考えてみると、今のダストサンプリングとか、あるいは、今、移動しながらはかるという地上付近での計測だけではなくて、もうちょっと敷地境界の周辺で高いところで実ははかるということをちょっと考えていただけないだろうかと。要するに、ここから割と比較的、いつも線量評価で使っている拡散式で、着地濃度が敷地境界付近だという場合には、これで済むのですけども、今回の事象というのはそれで済まないということを示している現象ですので、ちょっとその辺のところ。これ、作業が遅れるとか、どんどんいわば廃炉作業に影響するということを申し上げているわけではないのですが、やっぱり周辺環境という意味からすると、そういうことを敷地境界の高いところで測定をするということをやっていただくと、ある程度、こういう事象に対して、事業者として説明がつくようなことができるのではないかというふうに思いますので、御検討いただきたいというふうに思います。


○白木(東電)
廃炉推進カンパニーの放射線・環境の白木と申します。従前より、渡邊先生にはそのような御指導をいただいております。今回は、先ほど御説明したように、ダストサンプリングを強化するということを考えておりますので、今、先生からいただいた御意見を踏まえて、どこで、どういうようなサンプリングをしたらいい48ガレキを作業で壊してしまうような場合、もしくは、先ほどもクレーンガーダを取り除いたときに下から出てくるような場合とか、そういうときも、できるだけちょっとこういう固着するような飛散防止剤の散布は要所要所で、これの計画とは関係なく、実施していただければなというふうに思います。


○中村(東電)
御指摘ありがとうございます。今いただいた御意見を踏まえて、施工計画なども綿密に立てていきたいと考えております。


○山本審議官
ほかはいかがでしょうか。


○高木教授
ちょっと直接は関係ない話になるのですが、敷地境界で年間1mSvという縛りがかかることになります。これは積算でという意味だと思いますので、瞬間ではありませんから、1年間のトータルが1mSv/年になるという、そういう規制なわけですね。そうすると、水であるとか、あるいは外部線量であるとかと同様に、こういう空気中の濃度というのも、当然その計算、評価に入ってくるはずなのです。そのときに、全部厳しいところの値をとってしまうのか、それとも、きめ細やかに空気中の濃度だったらモニタリングして、適切な値を拾っていくのかというようなことをどうするかということを、多分、規制委員会のほうが先にこういう評価でということを示しておかないと、東電のほうもちょっとやりにくいのではないかと思うのですが、いかがでしょう。


○山本審議官
基本は年間の評価はするわけでありますけれども、その時々の状況、つまり、ベストエスティメイトを評価していって、それを積み上げて、トータルで評価をするというのが基本的な考え方です。ですから、その瞬間値がずっと続くというのではなくて、瞬間が起きたときには、その起きたときの被ばく線量の積算値を考慮して、それ以外のところは、当然発生しなければ小さい値になりますから、それを合算して評価をしていくという格好になるかと思います。


○高木教授
ということは、その空気中濃度にしても、その場所によって当然変わってくると。その場所での評価をして、その場所で超えていないことを確認するというような形になるわけですね。


○山本審議官
はい。現在、東京電力でやってもらっているのは、毎月ごとに一つの区切りを設けて評価をしてもらっています。これは、今おっしゃったような気体系のもの、液体系のもの、固体系からのもの、こういうものを全て合算しております。それは一つの全体の数値を積算して、平均化して計算をするという形をとってございますので、御指摘のような形になっているかと思っております。49


○高木教授
そうすると、先ほど更田委員がおっしゃったような、2,800億Bq/時、全部で1Tですか、こういうのがベストエスティメイトであるかどうかというのは、今のお話ではちょっとよくわからなかったのですが、こういう場合はどう評価されるのですか。この1Tというのを規制庁としては、もう1Tとして受け止めて、それで評価した結果を認めるのかということになるのですが。


○山本審議官
この2,800億Bq/時の妥当性は、個々にまた判断する必要があると思います。ただ、こういう作業時、一時的に起きたものについても、もちろんベストエスティメイトの中で評価はしていきますから、トータルとしてどうかという中での妥当性の基準値に対してどうかということでの評価、判断をしていくことになるかと思いますので。こういうある意味で、事故とは言いませんけど、そういう一時的なものの取り扱いをトータルとしては見るわけですが、その考え方は、やはり個別にもちょっとよく考えていかなくちゃいけないかなというふうには思っております。


○更田委員
先ほどの数値がベストエスティメイトか、保守的な値かという話と、それから、敷地境界線上における1mSv/年、これに関しては明らかに、それこそ一定の保守的な値をもとにやっている。ただし、例えば液体廃棄物や気体廃棄物について、ピーク値をそのまま365日とってというような扱いをしているわけではなくて、当然今の280億という話があれば、それは4時間ということであれば、それは織り込んでいくけれども、それは保守的な値として評価されたものであるということを受け止めて、その中で1mSv/年の敷地境界線上の・・・というのは、これ、ほかにもこの1mSv/年という規制の中にも、大きな保守性が入っていて、これは2Lの水をそのまま飲むというような仮定が入っていますので、保守性に保守性を重ねているところではあるけれども、その1mSv/年の規制の中で考える上であれば、今回のような事象は、先ほどの280億Bq/時×4時間というような値を織り込んでということになると思います。ただ、これ、もっと普遍的な言い方をすると、通常時の規制と事故時の規制をどう考えるかという話で、これはその都度、委員会のほうとして決めの問題ではあろうと思っています。1mSv/年の規制というのは、いわゆる通常の状態に対する規制ということですので、これは一般論としての考え方の適用はできるだろうと思っています。角山先生、どうぞ。


〇角山特別顧問
先ほどの飛散の問題なのですが、たしか今年の初めごろに県と議論したときに、1Fとして避難計画をどういうふうに考えるかという議論は少しして、多分規制庁50に何か質問等をしたかとは思うのですが、今、先ほど、やはり避難計画の議論がありますが、1Fの避難計画というのはほかと同じようでいいのかどうかについて、御意見をぜひお聞きしたいと思います。


○山本審議官
福島第一は、御案内のとおり、事故が発生したものでございますので、通常の発電所と同じような感覚での避難計画をつくるというのは、あまり合理的ではないと思っております。それで、私どもの規制委員会では、防災に関しては対策指針というのをつくっております。これは通常のプラントにおいて、どういう防災計画をつくるべきかと、その科学的、技術的な観点から指針という形でまとめております。福島第一にも記載はあるのですけども、ただ、福島第一は、先ほど申しましたように、ほかとは異なる状況でありますので、その状況に応じたものとして考えていくという形になっておりまして、まだちょっと具体的なものは指針として決まっているわけじゃございません。これはもちろん早く考え方を整理して、指針として示していかなければいけないと、こういう必要性は当然あるのだというふうに思っております。ただ、そういう意味では、まだちょっと検討中ということでございます。今、県のほうでは、暫定的に以前の避難された市町村を対象に、結局、今、暫定的におつくりいただいておりますので、その状態が常にいいというわけでは当然ありませんですから、今の福島の抱えているリスクをきちっと評価した上で、技術的な観点から指針というものを見直しいただきたいというふうに考えております。


〇角山特別顧問
こういう飛散ということですと、頻度が、ほかよりその発生頻度が高目になると思うので、現実的な避難計画を準備しておく必要があるのかな、即、大規模というのではなくて、現実に対応できる形での実施可能性の高い避難計画とか、そういうものがあれば、住民は納得しやすいと思うので、ぜひ御検討のほどよろしくお願いします。


○更田委員
少し山本審議官の説明に補足をしますけれども、プラントの置かれている状態は、発電所と、それから事故後の福島第一原子力発電所では著しく異なりますけども、防災対策の目的としては、その人を守るという観点からしては全く同じであって、福島であるからこうであるというような考え方をとるのではなくて、一般の施設と同じように、人が守れるような防災計画というのは必要であろうと。ただ、今の災害対策指針では、プラントの状態であるとか、それから周辺の線量率等々に応じて、防護策についての判断をすることになっていますけれども、プラントの状態の捉え方が、福島第一原子力発電所では著しく異なると。ですから、EALというトリガーを置51いていますけども、これは基本的にはPAZに対する即時の対応等々に対する指標になるものですけど、これに関しては、やはり今の1Fの状況を捉えて、改めてきめ細かなレベルの設定が必要でしょうし、OILについても、もう空間線量率がある程度高くなってしまっているところに対して、その増分として捉えるのか、あるいは絶対値として捉えるべきか、これは意思決定の問題ですけれども、十分な検討が必要であろうと思っています。防災に関わる実施計画は県のほうでお考えになりますけども、規制委員会、規制庁としては、特にこの福島第一原子力発電所に関しては、きちんと関与をして、適切な災害対策がとられることができるように。これは少しフライングですけども、その上では、今、プラントのデコミの作業に伴う危険性について、ずっと議論をしていますけども、今後、再び地震に襲われたとき、再び津波に襲われたときのリスクの把握についても、これは具体的には来月ぐらいから検討を始めますけども、これも年内にきちんと方向が出せるようにというふうに考えておりますので、大変重要な御指摘をいただいたと思いますので、私たちも、これについてはきちんと取り組みたいと考えております。少し時間を過ぎてしまいましたが、このダストに関しては、作業に関してきちんと対策を考えた上で進めてもらいたいと思います。それから、資料3-1、3-2が、これは東京電力のほうで準備をされていますけれども、説明は1F室の金城室長のほうから手短に行います。


○金城室長
それでは、既に申請をもらっている案件ですが、こちらのほうで審査の状況も含めながら御説明させていただきます。まず、資料3-1ですけれども、今、取り出した使用済燃料を一旦持っている共用プールの中のラックの取替について申請が来ております。概要につきましては、この資料の3ページ目がございますので、見ていただければと思います。通常、使用済燃料を貯蔵するラック、この中に図がありますが、燃料集合体をそのまま入れるといったものでございますけども、今、申請が来ているラックは、収納量がちょっと減りますが、念頭に置いているのは、破損した燃料を収納缶に入れて、安全に貯蔵するためのラックということでございます。こちらのほうは、もう既に我々のほう、面談を3回ぐらいやっておりますので、そう遠くない時期に結論を出したいというふうに準備を進めております。続きまして、資料3-2ですけれども、3号機使用済燃料プールからの燃料取り出しに関してでございます。4号機の燃料取り出しは、今クレーンの点検中で止まっていますけれども、着々と進んでおり、その状況の1ページ目、2ページ目ございまして、4号機とは形は異なり52ますけれども、同様にカバーをかけて、取扱設備をつけてということでございます。この取り出しカバーにつきましては、既に実施計画の認可は出ていますけれども、その中で用いる具体的な機器等についての申請が出てきております。1ページ目を御覧いただけますでしょうか。ここに燃料の大体の取り出しの工程が書いてありますけれども、今回申請が来ているのは、①のところにありますような、燃料を取り扱う燃料取扱機で、あと、その横にあります黄色いこのクレーン、あとは、当然この燃料を入れる移送容器というものがございますけれども、こういったものの申請が出てきております。あと、全体、これにカバーをかけて、先ほどの飛散防止等が、ある意味、防ぐための抜本策にもなるかと思いますけども、カバーをかけてやりますけれども、そのカバーをかけた中のエリアの放射性物質の監視などのためのエリアモニタの設置などについて申請が来ております。こちらのほうも、申請以降、二度ほど面談を行っておりまして、審査を進めておりますので、こちらのほうも、特に燃料輸送容器などは早急の工事に入ることが必要かと思いますので、早急に結論を出すよう、今、審査を進めているところでございます。以上でございます。


○更田委員
これは資料を後ほど御覧いただいて、特に御指摘があれば、また規制庁のほうへお伝えいただければと思いますけれども、特に御質問、御意見があれば。高坂さん。


○高坂専門員
3号機の燃料取り出しの審査を進めていただいているのですけど、4号機の取り出しのときにも議論になったのですけど、この構内用輸送容器については、今回は3号機用に建屋の制約とか、取扱機の容量の問題から、入る燃料体数が少ない新たな輸送容器を、新しく設計とか調達する様ですけども、これの落下時の強度の評価とか、落下試験とか、従来だといろいろそういうことをやった上で採用していましたけど、その辺のところはどんなふうに審査では取り扱ったのでしょうか。


○金城室長
4号機のところで、やはりその落下等は議論になりました。そういったところはしっかりと確認していきたいというふうに考えております。あとは、4号機と違いますのは、やはり線量が高くて、作業員が入ってというよりは、遠隔操作でやることになっていますので、そういった意味でも、そこは慎重に確認をしていきたいというふうに考えております。


○高坂専門員
すみません、それで、そのときに高所からの落下時の評価については、従53来ですと、実験とか、実証試験とかとの兼ね合いも含めて検討していましたけど、新しい輸送容器については、その辺はどういう取り扱いになっているのですか。


○山本審議官
その点については、既存の容器の実績、もちろん今回は収容体数が7体しかありませんので、大分小型化されるという格好になりますので、そういう設計上の違いを考慮して、既に行われている実証試験との兼ね合いといいますか、その連続性、関係性を審査の中で見ていきたいというふうに考えています。


○高坂専門員
その辺は解析とかで、従来の実証された範囲で十分安全性が確認できるかというやり方をしているということで、特に新たにどこかで先に製作して、実際に落としてみて、大丈夫だというような評価はしないということでしょうか。


○山本審議官
御指摘のとおりでありまして、既存のものの実証データから評価をしていくと、そういうやり方であろうかと思います。


○高坂専門員
その辺の内容は、実施計画書の中には十分な記載されているということですか。


○金城室長
そういったところも含めて、実施計画の記述の十分性などについては、今、確認中でございますので、それは結論が出ましたら、しっかりとまた説明をしたいというふうに考えております。


○高坂専門員
わかりました。


○更田委員
よろしいでしょうか。それでは、本日、用意をした議論は以上なのですが、全体にわたって、特に御質問、御意見があれば。次回のこの監視・評価検討会ですが、今のところ、伺っている御都合等々を考えると、8月20日、水曜日の午後が第1候補で。ただし、これは東京電力の作業の進捗もありますので、ちょうどその頃、凍る、凍らないの境目ですということであれば、少し遅らせて、8月25日、月曜日の午後、これが第2候補ですけれども。場合によっては、お盆の真最中というのも、かえって集まりがいいようではありますので、また改めて御連絡をいたしますので、その際は御協力をいただきたいと思います。それでは、本日の特定原子力施設監視・評価検討会を終了いたします。ありがとうございました。

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