- 原子力安全に関するIAEA閣僚会議に対する日本国政府の報告書
-東京電力福島原子力発電所の事故について-
気になった点
原子力安全委員会が食品摂取の安瀬基準値を決めた経緯にふれてはいるものの暫定基準値など具体的な数値には触れられていない。事故の経緯や保安院の分析結果、パラメーターについては詳細に述べられてるのに。不安な国民からの問い合わせにも国としてきちんと対応していると書かれているが、具体的のどのような問い合わせがあり、回答しているかについても一切触れられていない。
各国からの協力の申し出があったことについては触れているが、モニタリングに関して日本が国際的な機関の調査受け入れ全て拒否ている事は触れていない。つまり、国内事情については一切触れない。明らかに内政干渉されたくないという意図が感じられる。日本国民が置かれている現状は諸外国には知られたくないように見える。
原発推進が前提の閣僚級、実務者協議には必要ないということか。地震、耐震性について触れられているが数行程度で踏み込んで書かれていない。これに対し、津波による電源消失に関する説明については必要以上に説明している。全体的には 想定外の津波が全ての原因だった と印象づける内容となっている。
一言で言えば、次に原発を作る際の教訓書。先日の IAEA 調査団の来日は、この報告書を作成するための日本政府との確認作業だったと思われる。現在、細野補佐官はこの報告書を持って各国に説明するために出かけている。
概要版を印刷して読むのも大変なので、音声読み上げファイルを作成しました。2ファイルで合計2時間程度あります。iPhone や iPod Touch であれば、Podcast にして2倍速再生で片手間に聞けますので時間の節約にもなります。忙しくて印刷して読んでる暇がないという方はダウンロードして聞いてください。
- 前半 音声読み上げファイル 1~11 ダウンロード(73.7 MB)
- 後半 音声読み上げファイル 12~13 ダウンロード(12.7MB)
概要の構成
- はじめに
- 事故前の我が国の原子力安全規制等の仕組み
- 東北地方太平洋沖地震とそれによる津波の被害
- 福島原子力発電所等の事故の発生と進展
- 原子力災害への対応
- 放射性物質の環境への放出
- 放射線被ばくの状況
- 国際社会との協力
- 事故に関するコミュニケーション
- 今後の事故収束への取組み
- その他の原子力発電所における対応
- 現在までに得られた事故の教訓
- むすび
情報弱者に対しての配慮が今の政府には欠けています。ノーマライゼーションの精神で。日本政府が原発を推進している先進国に対して説明するための文章なので、事故後 約3ヶ月間の「経緯」や「政府の姿勢」を知るには、この報告書を読む事が最も手っ取り早い方法だと思います。