2012年11月19日月曜日

平成24年11月19日(月) 発電用原子炉の地震津波に関わる新安全設計基準検討チーム第1回会合 16時00分 ~ 18時30分

原子力規制委員会 / 会議 / 会見 / 配信チャネル
外部有識者会合 > 発電用原子炉の地震津波に関わる新安全設計基準検討チーム

平成24年11月19日(月)
発電用原子炉の地震津波に関わる新安全設計基準検討チーム第1回会合 16時00分 ~ 18時30分

議題
  1. 検討チームの設置について
  2. 新安全設計基準の検討について
  3. その他



■第1回 発電用原子炉の地震津波に関わる新安全設計基準検討チーム第1回会合 10時00分 ~ 12時30分

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【録画】発電用原子炉の地震津波に関わる新安全設計基準検討チーム第1回会合


○議事録 / まとめ

○会議資料

(参考資料)



○議事録(保管)
○島﨑委員
それでは、定刻を少し過ぎております。ただいまから発電用軽水型原子炉施設の地震・津波に関わる新安全設計基準に関する検討チーム第1回会合を開催します。昨年の福島第一原子力発電所における重大事故は、基準地震動を超えるような強い地震の揺れと、不十分なハザード予測に基づいて算定された津波水位をはるかに超えた津波が契機となって発生しました。

過去の地震・津波の設計基準に対する真摯な反省に基づき、昨年のような事故を二度と起こさないとの決意のもと、新しい基準を検討する必要があります。私自身はこれまで原子力関係の経験が浅いので、過去の設計基準については、よくわからない点もございます。

このため、過去の基準設定に関わってこられた方にいきさつなどを教えていただきたいと思っております。一方、新しく加わっていただく方からは、さまざまな面から御意見をいただきたいと思っております。

設計基準以外の点についても御指摘いただければ、それぞれ関連の検討で生かしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。まず、議事に入る前に、検討チームのメンバーを御紹介します。

こちらから、京都大学原子炉実験所附属安全原子力システム研究センター教授の釜江さん。後からいらっしゃいます、東京大学大学院工学系研究科教授の高田さん。ちょっと遅れていらっしゃるというふうに伺っています。

防災科学技術研究所減災実験研究領域兵庫耐震工学研究センターの谷さん。北海道大学理学研究院地震火山研究観測センター教授の谷岡さん。京都大学防災研究所附属流域災害研究センター教授の平石さん。

東京工業大学名誉教授の和田さん。以上の方々です。よろしくお願いいたします。以上の9名は主要構成員でございますけれども、議事に応じまして、さらに専門家に御参画いただくことを考えております。

また、これまでの状況、あるいはストレステスト、事実関係等については、事務局のほうからも御説明をいただくことにしておりますので、よろしくお願いします。規制庁のほうから配付資料の確認をお願いします。

○小林管理官
管理官の小林でございます。それでは、私のほうから配付資料の確認をさせていただきます。まず、一番上に座席表がございます。次に、今御紹介しました構成員の名簿、そして、次に議事次第がございますので、ここに4.として配付資料という項目がございます。

これに基づきまして配付資料を確認させていただきます。まず、震基の1-1でございますけれども、これにつきましては、「発電用軽水型原子炉施設の地震・津波に関わる新安全設計基準に関する検討チーム」についてでございます。

A4の1枚紙でございます。次に、震基の1-2、A3の資料でございますけれども、これは「基準骨子案の検討について」という資料でございます。次に、1-3の資料でございますけれども、これは骨子案そのものでございます。

津波関係でございます。それから、1-4、これは東京工業大学の和田先生からの意見でございまして、A4の1枚紙でございます。それから、次に参考資料でございますけれども、参考資料1-1、これは「地震・津波関係設計基準の策定について」でございます。

それから、次に、同じこのとじ方で3枚目のところに、参考の1-2として第7回の原子力規制委員会の資料、少し青刷りのものでございますけれども、これはシビアアクシデント対策の関係の検討課題についての資料でございます。

それから、参考資料1-3、これが同じとじてある4枚目でございますけれども、これが「地震・津波関係設計基準の策定の進め方について」という、第9回の原子力規制委員会の資料でございます。

それから、参考の2でございますけれども、2については、これは旧原子力安全委員会のときの資料でございまして、「指針類に反映させるべき事項について(とりまとめ)」と、少し分厚い資料でございます。

それから、参考資料3でございますけれども、これはA3判になってございます。これは各事故調の主な指摘事項を取りまとめたものでございます。それから、参考の4でございますけれども、これは新安全基準に関する検討チームの第1回会合資料でございまして、外部事象に対する安全対策の考え方についてでございます。

資料の確認は以上でございます。それから、マイクの使い方でございますけれども、これについては、今お手元の「要求」というところを押していただきますと、マイクのところにオレンジ色がつきますので、そこで発言していただければと思います。

その後、発言が終わりましたら「終了」を押していただきたいというふうに思います。それから、マイクについては非常に感度が限定されてございますので、できるだけ近くに真っすぐ向いてしゃべっていただければと思います。

事務局のほうからは以上でございます。

○島﨑委員
ありがとうございました。資料に不備などがございましたら、規制庁の職員へお申しつけください。それでは、議事に入りたいと思います。まず、この検討チーム発足の趣旨について、私のほうから資料震基1-1で説明をいたします。

まず、「趣旨」とございまして、昨年の東北地方太平洋沖地震とこれにより生じた津波は、我が国の発電用原子炉に対する安全設計基準の見直しが早急に必要であるということを認識させました。

耐震安全性の確認は、これまで旧原子力安全委員会が平成18年9月に改訂した耐震設計審査指針等を用いて行われてきましたが、今回の地震による知見等を踏まえ、約9カ月にわたる公開の場で、旧原子力安全委員会が津波に関わる安全設計方針の明確化をはじめとして、プレート間地震、プレート内地震の震源領域や規模の不確かさの考慮等を規定に追加した内容として、耐震指針等の見直しを本年3月に行っております。

一方、さきの通常国会におきまして「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」が改正されました。このことによって、原子炉施設について、災害防止上支障がないことの確認は原子力規制委員会が判断することとなりました。

これまでの基準として用いられてきた旧原子力安全委員会の指針等に代わって、法令に基づく安全設計基準を原子力規制委員会規則等として新たに策定する必要がございます。

新安全設計基準は、これから示すスケジュールにより策定していくことを予定しております。この基準骨子案を策定するため、担当の原子力規制委員、外部の有識者の皆様、原子力規制庁及び独立行政法人原子力安全基盤機構の職員によって構成する当チームを組織して、この公開の場で今後とも検討を行っていくことになります。

「基準骨子案の検討方針」ですけれども、昨年の地震の知見を踏まえて旧原子力安全委員会が本年3月に取りまとめた改訂案の中での地震及び津波等に関する方針として求められている各要件がございますが、今回新たに策定する基準の中でも重要な構成要素と考えております。

新しい基準骨子案の策定に当たっては、この改訂案にある安全設計方針の各要件を改めて分類・整理するとともに、必要な見直しを行った上で骨子案の構成要素といたします。

加えて、安全審査の高度化を図るために、次の事項について基準の中でさらに明確化を図る観点から検討し、適切に骨子案に反映したいと考えております。例でございますけれども、地震関係では、三次元の地下構造を反映した地震動評価、活断層がサイトの至近距離にある場合の地震動評価、耐震設計上考慮する活断層の認定、サイト敷地内の断層の活動性の評価、施設への影響評価等。

津波では、東北地方太平洋沖地震で得られた知見に基づく基準津波の策定、敷地に津波を浸入させないとする安全設計方針、津波防護設備の性能要件等。また、シビアアクシデント対策設備等に関する要件を考えております。

基準骨子案の具体的なイメージは、後ほど御紹介しますけれども、主に原子力規制委員会規則となる内容と、規則の解釈となる内容として構成されることとなります。本日から検討を開始し、被規制者等からの意見も聴取しますが、随時、委員会に検討状況を報告して、来年の1月に基準骨子案を取りまとめ、委員会に報告したいと思っております。

パブリックコメントを実施し、それを踏まえて1月から2月の間に骨子案を見直して、その結果を委員会に報告する。このようなスケジュールを予定しております。説明は以上でございますけれども、各委員からこれ以外にも様々な課題提起があろうかと思います。

それについても、基準に反映可能なものは適宜取り上げて、議論させていただきたいと考えております。また、シビアアクシデント対策を含めた安全基準全体については、既に別のチームで検討が開始されております。

そこでは自然現象全体に対する設計基準に加え、設計基準を超える部分の対策について検討が進められていますが、自然現象に対する設計基準のうちの地震・津波に関わる部分については、当検討チームで検討するという、このような仕分けになっております。

参考までに、別のチームで検討されている自然現象に対する設計基準等の範囲について、御紹介いたします。事務局から、別のチームの検討状況について、まず説明をお願いいたします。

○江頭管理官補佐
参考資料4でございます。事務局のほうから御説明させていただきます。パワーポイントの資料、一番最後の資料でございます。これは先ほど島﨑委員から御紹介ありましたとおり、発電用軽水型原子炉の新安全基準に関する検討チーム、別のチームでございますけれども、そこが10月25日に行った第1回会合資料でございます。

2枚めくっていただきまして、まず、そちらのチームでは、自然現象の外部事象の抽出・整理ということで、地震及び地震随伴事象、それから斜面崩壊、津波、それに加えて地滑り、火山、洪水、竜巻、落雷、積雪、森林火災等、こういったものをまず抽出するような検討を行っているところでございます。

さらに、外部人為事象として火災、爆発、有毒ガスとか、船舶、電磁的障害、それから航空機の衝突、妨害破壊行為と、こういったことも抽出されているところでございます。

それから、まためくっていただきまして、7ページをご覧ください。これは自然現象に関する設計基準の考え方を示しているページでございますけれども、上のほうに「対象となる自然現象(地震以外)」と書いてございますけれども、これについて、これまでの旧原子力安全委員会の耐震設計審査指針では、これを考慮した設計であることという規定がございました。

また、「安全機能を有する構築物、系統及び機器は、その安全機能の重要度及び地震によって機能の喪失を起こした場合の安全上の影響を考慮して、耐震設計上の区分がなされるとともに、適切と考えられる設計用地震力に十分耐える設計であること」と、こういったことが規定されていたところでございます。

それから、1枚めくっていただきまして、10ページでございます。先ほど申し上げたような抽出した自然現象とか旧原子力安全委員会の規定も参考に、設計基準を超える自然現象に対する安全機能を有する構築物等の安全機能喪失防止対策ということで、設計基準とは別に、設計基準を超える部分についても検討をされてございます。

現状、ここに書いてありますとおり、設計基準を超える自然現象への対策というのは、現行の規制に基づく要求事項とはなってございません。これに対して今後の基本的考え方ですけれども、設計基準を超える自然現象に対して「安全機能を維持できる」範囲を増すよう対策を実施し、それを向上させていく努力が必要と。

それから、考慮すべき自然現象に対し安全機能を有する構築物等の「実力」を評価すると。さらに、イベントツリーによる影響評価、これはいわゆる「ストレステスト一次評価」と同様の評価をイメージしておりますけれども、これや外的事象PRA、PRAというのは確率論的リスク評価でございますけれども、これの結果を活用した重要度解析等によって、強化対象とすべき設備の選定や対策を実施するというようなことを検討いただいているところでございます。

それから、具体的な対策ですけれども、次のページをめくっていただきまして、3の(2)として「安全機能を有する構築物等の安全機能喪失への対処」ということで、大きく二つに分かれております。

四角で囲ってあるところでございますけれども、「様々な事態に、柔軟に対応できる可搬設備等を中心とした対策を取る」と。さらに、「信頼性を高めるため、設計基準を超える外部事象のうち、相対的に頻度が高い事象について、一定程度の想定をした事態に、より確実に対処できる恒設設備を中心とした対策を取る」という考え方が示されているところでございます。

例えばですけれども、1枚まためくっていただいて、14ページ、ここに「可搬設備等を中心とした対策」ということで例示が示されております。四角の枠囲いの中ですけれども、一番下に対策の例というふうにございますけれども、「対策の関連機器について外部事象から適切に防護すること(航空機衝突に対する離隔、津波に対する位置的分散(例えば高台への設置)など)」、それから、「電源及び注水の外部からの接続口は、プラントが大規模に損傷した状況下においても接続が可能なこと」と、こういった対策をしてはどうかということで議論がされております。

それから、また1枚めくっていただいて、16ページでございます。これは先ほどの可搬型に加えてということですけれども、「恒設設備を中心とした対策」ということで、これは「(特定安全施設(仮称))」となってございますけれども、こういった施設については、一番最後のところですけれども、対策例として、代替最終ヒートシンク及び代替電源等、それから格納容器スプレイの代替注水、ペデスタルへの注水、フィルターつきベント、第二中央制御室等と、こういった設備なり、施設を設けてはどうかということで検討されているということでございます。

別のチームでの外部事象に対する検討の範囲、それから、検討の方向性についての説明は以上でございます。

○島﨑委員
ありがとうございます。何か補足等ございましたら、事務局のほうから。よろしいですか。それでは、これ以外に和田委員からも基準の策定について資料をいただいておりますので、和田委員のほうから御紹介をいただければと思います。

震基1-4。お願いします。

○和田名誉教授
時間をとっていただいて、ありがとうございます。私自身は、建築の耐震関係をずっと研究したり、実際の設計に携わったりしてきたんですけれども、そういう目から今回の事件、それから、その数年前の柏崎刈羽の地震災害、それなどを見ていろいろ普段から感じていること、それから、この今回直そうとしている安全設計基準に対して、ちょっとまた読み直しまして、思ったことを列記させてもらいました。

よく原子力関係の方が、何か危ないときは止めて、冷やして、閉じ込めるから安全だというふうに言われるんですけれども、これを受けた土木や建築、それからその周辺をやっているエンジニアは、止めればいいんだ、冷やせばいいんだ、閉じ込めればいいんだと、その数分なんだか数時間だかわかりませんけれども、そういうことではだめで、もう今、既に1年8カ月、冷やし続けなければいけませんし、もちろん止めるのは制御棒が入っていれば止まるんでしょうけれども、閉じ込め続けなければいけない。

もう少しこの覚悟が今まで甘かったのではないかとつくづく思っています。このことを言い出した先生方やアメリカの研究者は、もちろん最初から止め続ける、冷やし続けると思っていらしたんでしょうけれども、この言葉から受けるイメージが、そのときだけ冷やせばいいんだ、今は水が入っているから大丈夫、そういうふうに感じて次の対策をするのが甘くなったのではないかと思います。

それから、次のSとBとCの分類なんですけれども、そういうふうに施設の中にあるいろいろな施設を分類して、Sはどうして、Bはどうして、Cは普通の建物と同じでいいということにしてそれぞれ確認していくわけですけれども、その後、全体のシステムとして、もしCが壊れたらBやSに及ばないか、そういうふうに最後見直すというような言い方になっていなくて、最近、最新版のこの前いただいたのを見ると、その記述は前からあったのかもしれませんが、「上に影響を与えるものは深く考慮すべき」という言葉があるので、既に考えていらっしゃるのかもしれませんが、今回の場合ですと、東北電力から電気を持ってきた送電鉄塔が山の斜面で倒れてしまっているとか、それから、免震重要棟というのが柏崎の後につくられるようになりましたけれども、元々一般建築と同じでいいというスペックで建てられて、それで被災した後、コントロールできなかったという柏崎の経験をもとに、福島ではできていたお陰であれだけ近くで対処できたんだと思うんです。

それから、別の場所に書かれているのかもしれませんが、3番目、機器・配管に対して、例えば、上下動は重力の0.3とか非常に単純に書いてあって、これは床の真ん中に置いてあるものは余計揺れますし、壁のそばなら少しは小さいとか、壁自身も左右前後には揺れるでしょうし、機器そのものも揺れるでしょうし、その辺のことが、もしかしたら別のところに書いてあるかもしれませんが、私が見た限りほとんど書かれていなかった。

それから、4番目は大飯原発で、ここの委員会が一番苦労されているところですけれども、もし原子炉の下に、集集地震のときに台湾でダムがそのまま10mぐらいずれてしまった災害がありましたけれども、ああいうことが起きないということをはっきりさせないと、岩盤とコンクリートの構造物が一緒になって割れてしまったら大変なので、こういうことが起きるか起きないかで、断層なんだか、地滑りなんだかということを今調査されているのかもしれませんが。

それから、多重防御の仕組みはもちろんあって、そのお陰で今までの小さな事故は全部抑えられてきたと思うんですけれども、昨年の3月11日の地震の後、いろいろな先生方と議論をしていると、例えば、津波が予想を超えたら、それは非常用電源があるからとか、何か自分のところが100の性能を持っていなくても次のところがどうにかしてくれるというふうに、何か他力本願になっているような発言が多くて、それぞれ、もしハザードというか、外乱が100なら110の強さのもので多重にしておいて、それがちょっと何かのミスや何かで最初の110が崩れても、次がやっぱり110を持っている、だから大丈夫と、そういうふうな覚悟が見えないんですね。

それぞれ70ぐらいで、たくさんあるからどうにかなるだろうというような発言が私はとても気になりました。それから、6番目は、この前、数日前に伺ったら考えていらっしゃるというんですけれども、まず、揺れで何かが少し損傷していて、そこに後で津波が来るという現象になるんだと思うんですが、地震動の話は地震動、津波の話はバージンの状態で津波が来ると考えていたら、どこか抜け穴が出てしまうかなと思います。

それから、いずれにしても、この原子力発電所の設計は、非常に大きな入力、外乱を考えて、来る確率は非常に小さい、確率分布でいえばすそ野の部分でやられるんだと思うんですけれども、もしそういう確率論的に、例えば、津波の高さが15mと出たら、それで15.1mのものをつくればいいというふうに考えるのではなくて、それにあともう2割大きくするとか、5割大きくするとか、確率論的に求めたものに、あるマージンを与えて、だから大丈夫なんだというぐらいのことをしないと、学問の積み上げのその数字で物をつくるというのはよくないと思うんです。

それから、これは既に考えられているのかもしれませんが、もし防潮堤が足りなかったら、その津波の水は波ではなくて水位がそのまま上がりますから、原子力のサイトは全部水没してしまうわけですけれども、それでも先ほどの「冷やす、止める、閉じ込める」がキープできるかどうか。

私がもしやるとしたら、真水でいいですから、これをもし保証するなら、防潮堤をつくったら、その中を全部水で一遍充満させてみて、それでも大事な施設が起動するかどうかを確認する。

それぐらいのことが要ると思うんです。石油タンクが東京の周りにもいっぱいありますが、あれは、最初、完成したら水を満タンに入れて、油より水のほうが比重が重たいですから、水が漏れないことを確認して、それから空っぽにしてから油を入れるんですけれども、それぐらいの覚悟が要ると思うんです。

図面の上で漏れないはずだと言っていただけではだめだと思うんです。この「不確かさ」とか「ばらつき」という言葉がなかなか理解しにくくて、先ほども言いましたけれども、学問の積み上げで幾らと言っただけではなくて、いつも島﨑先生がおっしゃっていますけれども、はるか昔の地震や何かのことをちゃんと調べたり、あまり海外で起きたとんでもない津波をそのまま日本中に適用する必要はないでしょうけれども、海外で起きた事象なんかも調べて、日本へ適用したらどうなるかというような別の見方が必要ではないかと思います。

それから、ここに今日出ている表題も、「設計基準」という言葉からすると、55基目をつくるときどうしたらいいか、56基目をつくるときどうしたらいいかということに読み取れるんですけれども、多分、もうすぐに次を設計するという場面よりは、今あるものをどういうふうにしたら、いろいろ先生方の基準を満たすかというふうに改善のことになると思いますので、そういう観点でこの「設計指針」という言葉とはちょっと違うのではないかなというふうに思いました。

それから、今日ここにいらっしゃる方は御存じだと思うんですけれども、フランスと日本でITERという核融合炉をどちらにつくるかということで数年前いろいろ議論があって、フランスに建設中ですけれども、それで、免震構造で建てているんですけれども、免震構造というのは、ゴムの上にコンクリートの構造物をつくって地震の波が来ないようにという。

ただ、日本の54基は一つにも使われていないわけです。それから、例えば、では、首相官邸とか三越デパートとか、日銀とか東京駅とかも、一般の、あと病院とか、そういうものにはどんどん使われている技術を、こういう審査会があまりコンサバティブであるためだと思うんですけれども、せっかくある新しい技術が日の目を見ない。

島﨑先生の御紹介にもあったように、これから考える地震動、考えれば考えるほど今までより小さくていいという結論はなかなか出ないわけですけれども、それに対してやはり技術を使っていくというふうにしないと、安全性は確保できないと思うんです。

あと、もちろん使われていると思うんですが、配管は熱の膨張なんかがありますから、かなりフレキシブルに支えていると思うんですけれども、そこにいろいろ制震構造の技術、もう既にいろいろダンパーとかは使われていると思いますが、そういう新しい技術が使われやすいようにということも考えていただいたらいいと思います。

どうもお時間ありがとうございます。

○島﨑委員
どうもありがとうございました。質問等がございましたら、お願いしたいと思います。今すぐ思いつかなくても、後でも結構ですので、発言はお近くのマイクからお願いいたします。

続きまして、先ほどの資料1-1にありました、地震・津波の設計基準の検討を進めていくに当たって、主な検討課題と考えている事項の概要について説明いたします。本日の会議では、津波、地震の検討課題のうち、津波に関わる課題について、まず検討を進めていきたいと思っております。

資料1-2のうち、背景等について、事務局から説明をお願いいたします。

○江頭管理官補佐
資料震基1-2でございます。パワーポイントの左にめくっていただきまして、まず、旧原子力安全委員会が定めておりました耐震設計審査指針、それから、今年の3月に震災を受けて見直したその概要について、簡単に御説明させていただきます。

めくっていただいて、2ページ目、右下にページを振ってございます。2ページ目でございます。まず、平成18年に当時の原子力安全委員会が耐震指針を見直したわけでございますけれども、その18年に見直した耐震指針の概要でございます。

詳細は省きますけれども、例えば、敷地周辺の地形や地質調査というのをしっかりすると。それから、耐震設計において考慮すべき活断層の範囲、これは改訂前は5万年前以降に活動したものというふうにありましたけれども、改訂によって後期更新世以降に拡張されたということでございます。

それから、想定地震から、敷地における地震動を評価する方法として、従来の方法に加えまして、最新の評価法である「断層モデル」を取り入れると。この双方の評価法の長所を活用することによって、個別の敷地の特性に応じた地震動の評価を行うといった規定が加わりました。

それから、直下地震については、改訂前は一律「マグニチュード6.5」という規定がありましたけれども、これを廃止して、地震の発生と活断層の関係が明らかでない過去の地震についての観測データをもとに、最新の技術によって地震動を算出するという方法に置きかわりました。

それから、右のページですけれども、18年の耐震指針の改訂に何年かちょっと遅れまして、安全審査指針と一体的に使われております「安全審査の手引き」というものがございますけれども、これの改訂というのが平成22年に行われてございます。

その主な改訂のポイントですけれども、敷地周辺の地質・地質構造等の調査ということでさらに詳細に書き加えられたということ、それから、(3)でございますけれども、基準地震動を踏まえて入力地震動というものを策定して評価をすると。

それから、建物・構築物の地盤の支持性能の評価を新たにするということ、それから、地震随伴事象について考慮、調査する信頼性というものが新たに規定されたというのが、18年の指針と、それから手引きの改訂の内容でございます。

それから、めくっていただきまして、4ページ目でございます。これは3.11の東北地方太平洋沖地震、主に津波によって福島第一発電所があのような事態に至ったわけですけれども、それを踏まえて23年7月から当時の原子力安全委員会で指針、それから手引きの見直しの検討が開始されてございます。

具体的にこの当時の原子力安全委員会が3月にまとめた報告書というのは、参考資料のほうに、ちょっと一番分厚い資料でございますけれども、参考の2ということで、当時の報告書と、それから指針、それから手引きの改訂案の新旧対照を一括とじでお配りしております。

当時の検討の進め方ですけれども、福島の知見を踏まえまして、福島の津波や地震、それに関わる知見、それから、実際の福島原子力発電所であるとか女川原子力発電所の被害の状況、それから、それまで18年の耐震指針を主に使って行われていた耐震バックチェックで得られた知見、それから、最新の情報については、地震調査研究推進本部、それから中央防災会議、国土交通省等、他機関で行われているような地震や津波の分析や対策、こういったものを適宜聴取して指針、手引きの見直しが行われております。

右のページに主要な改訂のポイントがございまして、当時、耐震設計審査指針、主に地震ということで名前がついておりましたけれども、津波については独立した項目立てということで、名称も地震と津波の審査指針という形に変わっております。

それから、これまで地震については、基準地震動を策定するとか、そういったことは細かく規定されておりましたけれども、津波についても基準津波というものを策定すると。

その基準津波については、津波の発生機構、国内だけではなくて、海外の事例も踏まえて最大規模を検討して波源を想定すると。それから、津波堆積物、古文書等から推定した過去の大津波を上回る規模で設定しなければならないと。

こういったことが規定されてございます。それから、基準津波に対して施設のほうの安全性評価については、「基準津波によって敷地に津波が浸入しないように措置すること」と。

それから、引き波や津波が持ってくる砂の移動でも冷却水の取水ができるようにすること、こういったことを新たに求めているということでございます。それから、めくっていただきまして、地震についてでございますけれども、プレート間地震、今回の福島の事故はプレート間地震によるものですけれども、プレート間地震及び海洋プレート内地震に係る規定をさらに細かく規定したということ、それから、女川の発電所の敷地が1m沈んだという事例も踏まえまして、地殻変動についてもこれまで以上に十分考慮するという規定が新たに設けられてございます。

それから、耐震設計上考慮する活断層の認定に当たって、不確かさを考慮し迅速に判断を行うと。これまでは耐震バックチェックでかなり時間がかけられていたという反省も踏まえまして、不確かさを考慮して敏速に判断を行うということが特に明記されてございます。

それから、今回の巨大な地震で周辺の応力場が変わったということもございますので、近傍で発生した地震等によって応力場が大きく変化する可能性があるということも考慮しなさいと、こういった規定が新たに加わってございます。

以上が18年の指針と、それから、3月に旧原子力安全委員会で見直された指針、手引きの改訂の内容でございます。続きまして、今回、新たに基準の骨子案を検討いただくに当たりまして、当方で考えている津波に関わる検討事項について、幾つか課題を提示させていただいてございます。

めくっていただきまして、8ページに三つ挙げてございます。これだけではございません。適宜いろいろな御意見はあろうと思いますけれども、とりあえずここでは、まず一つ目として、東北地方太平洋沖地震で得られた知見に基づく基準津波の策定ということが一つ目、それから、敷地に津波を浸入させないとする安全設計方針の内容、それから、津波防御施設、これは防潮堤とか防波堤とか水密扉とか、こういったものでございますけれども、こういったものの性能要件、こういったものの規定に関してぜひ御検討をいただきたいなというふうに考えてございます。

めくっていただきまして、早速、最初の課題でございまして、「東北地方太平洋沖地震で得られた知見を考慮した基準津波の策定」に関する事項でございます。まず、背景というものがございまして、背景は、先ほど簡単に旧原子力安全委員会の指針、手引きを御紹介しましたけれども、旧原子力安全委員会が18年に改訂した耐震指針では、津波についてこのように規定されておりました。

「施設の供用期間中に極めてまれではあるが発生する可能性があると想定することが適切な津波」と、こういった津波を想定するという規定はあったんでございますけれども、これは斜面崩壊とともに地震随伴事象の一つとしての取り扱いであったということでございまして、津波に対する安全設計方針という具体的な規定というのは、地震と横並びのような規定というのは設けられていなかったという状況でございます。

それを踏まえて、震災を踏まえた今年の3月の見直しのときには、先ほど御紹介申し上げたように、主に津波に起因して事故が発生したと考えられることから、右のページ、10ページでございますけれども、指針、それから手引きのほうに関係するような規定が新たに追加されたということでございまして、簡単に御紹介します。

10ページでございます。まず、上のほうに、耐震設計審査指針の改訂案という項目がございまして、その下に本文、それから解説、申し遅れましたけれども、指針の中では本文と解説というふうに2段構造になっておりまして、手引きのほうでも本文と解説という2段構造になっておりまして、耐震関係の指針類としては、大きく4段構造になっているのが今までの指針と手引きでございます。

まず、指針のほうですけれども、基本方針として「施設は、その供用期間中に極めてまれではあるが発生する可能性があり、施設に大きな影響を与えるおそれがあると想定することが適切な津波に対して、その安全機能が損なわれることがないように設計されなければならない」という方針を規定してございまして、具体的に基準津波については、津波に対する施設の安全設計において基準とする津波は、同じように、供用期間中に極めてまれではあるが発生する可能性があり、施設に大きな影響を与えるおそれがあると想定することが適切な津波、これは指針の中では「基準津波」と称しておりますけれども、この津波を基準津波として、発生要因及び不確かさを考慮した上で策定しなければならないということでございます。

それから、その解説の中で、基準津波について若干の定義がございまして、基準津波の性格についてということで、「基準津波は、施設の安全性を確保するための津波対策の前提となる津波であり、人工構造物の影響を受けない敷地沿岸域に入射する時刻歴波形とする」と。

「また、その策定に当たっては、個別の安全審査時における最新の知見に照らして、その妥当性が十分確認されなければならない」と、このような規定がございます。それから、その策定されなければならない基準津波の策定方針ですけれども、「他の地域において発生した大規模な津波の沖合での水位変化が観測されている場合には、津波の発生機構やテクトニクス的背景の類似性を考慮した上で、その水位変化を入力することにより得られる津波についても検討する」と。

それから、「基準津波の策定に当たって必要な調査や評価を行う際は、既往の資料等について、それらの精度に対する十分な考慮を行い、参照することとする」と。「なお、既往の評価と異なる結果を得た場合には、その根拠を明示しなければならない」と、こういったことが規定されますけれども、ちょっとここには書き込めなかったので、さらにどういったことが規定されているかというと、例えば、国内のみならず、世界で起きた大規模な津波事例を踏まえ、津波の発生機構やテクトニクス的背景の類似性を考慮した上で検討を行うということがさらに指針の中で明記されているということでございます。

それから次に、下のほうに、手引きのほうでは、では、どういうふうに規定されているのかということでございますけれども、安全設計方針として、基準津波は、発生要因を考慮した波源モデルに基づき、津波の伝播の影響等を踏まえた津波、以下「検討用津波」と称しますけれども、この検討用津波を複数作成して検討した上で、安全側の評価となるよう策定すること。

それから、策定に当たっては、最新の知見に基づき、十分な不確かさを考慮すること。それから、基準津波の策定、これは解説として、基準津波は、水位変動、流速、砂移動等を考えた上で、人工構造物の影響を受けない敷地沿岸域に入射する時刻歴波形として複数選定されるものといったようなことが手引きのほうに書かれているということでございます。

これがとりあえず背景でございます。背景については以上でございます。それから、検討方針については、また後ほど御説明させていただきますが、めくっていただいて、二つ目と、それから三つ目の課題についての背景について、続けて説明させていただきます。

背景でございますけれども、福島第一発電所がシビアアクシデント、主にこれは津波によって全交流電源喪失に陥り、この状態が長時間継続したことによって大規模な炉心損傷に至ったと考えられるということで、先ほどもちょっと御紹介しましたけれども、旧原子力安全委員会の耐震指針、それから手引きの改訂では、敷地に津波を浸入させないということが新たに規定されているということでございます。

その具体的な中身については、四角の中に書かれております。津波に対する設計方針、これは指針のほうでございますけれども、「施設の安全機能が重大な影響を受けるおそれがないこととは、施設設置位置(敷地高さ)や津波に対する防御施設の設置等により敷地に津波を浸入させないことを基本とする」という考え方が示されております。

「また、水位低下や砂移動に対しても必要な取水を確保できなければならないことをいう」という解説があります。それから、手引きのほうでは、さらに具体的に「基準津波によって施設の安全機能が重大な影響を受けるおそれがないことについて、主に以下を確認する」ということで、①、②、③と三つのことが規定されているということでございます。

また、指針と手引きとは別に、当時の旧原子力安全委員会が直接審議してまとめた文章がございまして、それが「発電用軽水型原子力施設におけるシビアアクシデント対策について(想定を超える津波に対する原子炉施設の安全確保の基本的考え方)」という文書がまとめられておりまして、その中では、基準津波以下、設計段階で考慮すべき範囲ですけれども、「基準津波以下の津波に対する原子炉施設の安全確保の基本的考え方」ということで、下に書いてあるようなことが書いてあると。

「機能上、海水の流入を防ぐことが困難な取水、放水施設の開口部等から敷地内への浸水は、施設の安全機能が影響を受けない範囲にとどめるものとする」と、こういったことが規定されているということでございます。

震基1-2のそれぞれの課題に対する背景について、説明は以上でございます。

○島﨑委員
ありがとうございました。各課題の背景は以上のとおりでございます。このような背景を踏まえて、これをどのように基準に反映させていくかについて、これから議論をお願いしたいと思います。

私どもとしては、現時点で考えている基準反映に当たっての方向性をそれぞれの資料の各課題に示させていただいております。それぞれの基準反映の検討方針について、それでは、御説明させていただきます。

○江頭管理官補佐
検討方針でございます。簡単に御紹介させていただきます。まず、最初の課題の検討方針でございます。9ページ目の真ん中から下のところでございますけれども、先ほど御紹介したように、旧原子力安全委員会のほうで指針、手引きが福島の事故を踏まえて改訂されましたけれども、その指針、手引きの改訂の中では、基準津波について、「施設の供用期間中に極めてまれではあるが発生する可能性があると想定することが適切な津波」ということで、まず「基準津波」が定義されているということでございます。

ですけれども、その「基準津波」の波源の想定につきまして、「津波波源のモデル化に当たっては、各種パラメータの不確かさ(ばらつき)及び滑りの不均一性等を考慮する」と。

それから、「特に、地震時の滑り量の大きさは津波波源の規模に大きな影響を与えるため、適切に設定する」と。「また、複数の震源が連動して破壊が広範囲に及ぶことが想定される場合には、震源ごとの破壊開始時間の違い及び継続時間を考慮すること」と、こういった規定がありましたけれども、こういった規定だけで十分かどうかというのが一つ問題意識としてございます。

例えば、基準津波については、先ほど指針とか手引きの改訂案で定義されているような、敷地沿岸域で人工構造物のないところで設定すると、時刻歴波形だという規定しかございませんでしたけれども、例えば、基準津波の位置の水深であるとか、もしかしたらその他にさまざまな基準津波として設定すべきいろいろな諸条件というものがまだあるのではないかといったことで、一応、問題意識としてここに書かせていただいております。

それから、さらには波源特性、不確かさを考慮して策定するというふうに単純に書いてございますけれども、波源特性として、例えば、位置とか長さとか幅とか、そういったことも考慮して基準津波というのを策定するとか、いろいろな条件というのもさらに書き加えることが必要かどうかと、そういった観点から議論が必要ではないかというふうに考えてございます。

また、下から2番目のチェックのところですけれども、耐震指針改訂案では、人工構造物の影響を受けない敷地沿岸域で基準津波を設定するというようなことを要求しているんですけれども、それ以外に、例えば防波堤とか防潮扉とか、いろいろ津波防御施設はありますけれども、そういった津波防御施設の設計に当たりまして、その津波防御施設の影響を考慮した位置での津波、例えば、ここでは基準地震動に対して入力地震動というのがありますので、その名前をもじって仮称で「入力津波」とここでは書いてございますけれども、こういった「入力津波」というのを基準津波とは別に定義して、その「入力津波」については、さまざまな諸元、時刻歴波形というのを設計条件として基準の中に明記すべきではないかと。

そうしないと、津波防御施設の設計というのが基準として判断できないのではないかと。こういった問題意識がございます。こういったことについて、基準津波のいろいろな諸条件であるとか、基準津波とは別に、仮称ですけれども「入力津波」というようなものを別途定義、規定する必要があるのではないかというのが、こちらで御検討いただきたい中身でございます。

それから、めくっていただきまして、次の「敷地に津波を浸入させないとする安全設計方針」、それから「津波防御施設の性能要件」に関係するような検討方針ですけれども、12ページの右側のページに現時点の検討方針を書いてございます。

基準策定に当たって、例えば、下に二つありますけれども、こういった内容について検討チームで十分御議論いただいた上で、必要なものについて、規則の本文、それから、規則の解釈に当たる部分に明確に規定する必要があるのではないかということで、一つ目が、基準津波に対して施設の安全機能が影響を受けないという設計とすることについて、基本設計段階で確実に担保するために必要な基本的要求というのは、今現在、3月に見直した指針、それから、手引きの改訂案に書いてあるようなことで十分かどうかと。

それから、二つ目として、基本的な要求を踏まえて、浸水防止範囲の明確化、さらに浸水防止範囲の多重化というものが必要かどうかということについても御検討いただきたいというふうに考えております。

また、浸水防止範囲を設定した場合に、境界となる防護施設ごとに必要な性能要件というのもやはり基準の中で必要かどうかと。こういったことについても検討いただいた上で、それぞれ指針とか、それから、指針の解釈に適切に反映させていくことが必要ではないかというふうに考えているところでございます。

以上でございます。

○島﨑委員
ただいま御説明いたしました基準津波、あるいは安全設計方針に関する考え方等について、特に御専門が近い平石委員、谷岡委員から、何かお考えなり、ありましたら、お願いしたいと思います。

○平石教授
まず、基準津波の表現なんですが、私はこれで構わないと思っています。それで、先ほど和田先生の御紹介にあった「レベル2津波」というのが、おそらく原子力施設に対しては基準津波に当たると思います。

現在、国土交通省なり各地方自治体で今まで想定していた以上の大きな、起こるかもしれない津波を想定して「レベル2」と言っておりますから、これが基準津波として採用されても構わないのではないかと思います。

あと、事務局のほうから、基準津波を決める水深なりをはっきりさせるべきではないかということなんですが、私もそれは賛成で、例えば、沖合水深200mで基準津波を決めましょうといいますと、決めることは可能です。

地震のほうがわかれば津波は計算できますから、どの水深でも規定ができます。ただ、常識的に考えますと、やはり原子力安全施設の防波堤が維持する地点、ほぼ水深30mぐらいで、防波堤がないものと考えて、やって来る津波を基準津波と考えて構わないのではないかと思います。

それから、ちょっと事務局の説明も非常にわかりにくい点があったんですが、入力津波というのは、多分、基準津波からそれぞれの構造物に対しては別途に定めるべきものでございますので、それは構造物がどこにあるかとか、種類によって、それぞれ基準津波を参考にして決定すればいいかと思います。

あと、和田先生のところで、不確かさですね、不確実性がやはり基準津波にもあると思いますので、やはり基準津波を超えるような津波に対しても考えなければならないんですが、私は基本的に基準津波で防潮壁をつくって浸水を止めますということで構わないと思います。

不確かさらしさが入って、例えば、それを超えるような津波があった場合は、さらに内側の多重防御のほうで考えていくというような形で、少なくとも設計をするためには、基準津波を明確化して、断層、あるいはこれまでの地質の条件等から考え得る最大の津波レベルを設定しておくということは、事務局の考えどおりで構わないというふうに考えております。

以上でございます。

○島﨑委員
ありがとうございました。

○谷岡教授
まず、私も一番気になっているのは、和田先生が最初におっしゃられたことと非常に関連するんですけれども、ここに入る前に、ちょっとだけなんですけれども、やはり今回の地震を受けて一番気になるのは、今回の津波というのは非常に大きくて、とはいえ、明治三陸地震とかに比べてそんなにむちゃくちゃ大きいかというと、そうでもないと。

だけど、想定はされていなかったわけで、そういう地震が起こってこういう津波による被害を及ぼしたということで、やはり幾ら科学がまだまだ非常に未熟な地震学の中で想定を決めて、それで津波が本当におさまるとはあまり思えないので、それを超えたときにちゃんと制御できるのかということがはっきりしていないとやはり難しいと思うので、そういうことはほかのところでやってくれているという御説明でしたので、そこをしっかりしてもらわないと困るということをまず言っておきたいと思います。

それでもやはりちゃんとこれから基準津波、今まで、これまでのところで考えられてきたのを今御説明していただいたわけで、これに対してはこのとおりなんですけれども、今、平石さんがおっしゃられたように、30mのところで入れて大丈夫だという御説明だったんですけれども、一応、このときは人工構造物の影響を受けない敷地沿岸域において設定するということになって、なかなかこれは難しいといえば難しいんですよね。

その基準津波を入れたときに、施設を何かつくりましたと。つくった影響というのはどうしても出るわけで、そうすると、その基準津波でいいのかということになってくるわけで、要は、その施設をつくったことによって基準津波のところに影響が出てくると、ちょっと何かおかしなことになってくるということで、この文言が入っているわけですよね。

なので、非常に近くでいいのかというと、近くにすればするほどその施設をつくったことによる影響が出てくるということで、なかなか難しい面があることは確かなので、ちゃんとそこの深さで施設の影響が出ないということがわかるような深さにしないとだめだということなんですよね。

なので、ちょっと難しくなってきているということだと思います。それで、もう一つ、プレート境界が固着して海溝軸付近で大きな滑りを生じる可能性を踏まえ、いろいろなモデルを考慮しなさいよということなんですが、固着が強いからといって、本当にどれだけ滑るのかというのは、そのすべり欠損分布とかを見れば、どういうところが固着しているのかというのはわかっても、最後、滑り量というのは一体どれぐらいになるのかというのはちょっとわからないという部分があって、それは世界を見るなり、いろいろなところで見た最大を考えて、プレートテクトニクスも考えて、その最大を持ってくるしかないということになるので、そのようにして決めていくという意味でこういう文言になっていると思います。

もう一つ、この入力津波というのがどういう意味を持っているのかというのが私にはちょっとわからなかったんですが、それを説明していただけると助かるんですが。

○島﨑委員
事務局から詳しい説明があるかもしれませんけれども、今、谷岡さんが言われた課題そのものですね。要するに、施設を置くことによって基準自体が変わってくるわけですから、なるべく施設に関係ないようなところに基準津波の設定を置くと言われましたけれども、それも踏まえて地震動で考えたほうがわかりやすいかもしれませんけれども、地震動の場合は、入力地震動とか、とにかくある地盤を考えるわけですけれども、そこに建物を置くと、建物を置いた途端に相互作用が発生するわけで、津波の場合も同じで、防御施設を置いた途端に相互作用が発生するから、もとの、ないものとは変わってきてしまうわけですよね。

だから、そういったものを置いたときにどこまで来るかというのが入力津波だと僕は思っているんですが。要するに、人工構造物を置いた上で、それはどういうものを置くかによって違うわけですけれども、とにかく、これから置こうとしているものを置いたときにどこに津波が来ますかと、そういうものを設定する必要があるのではないか。

それは、今、谷岡さんが言われた疑問点というか、課題というか、まさにそのものをどう扱うかということ、何か言ってください。

○谷岡教授
設計するときに多分問題になっていたのは、設計するときに基準津波というのを決めるんですよね。そうすると、どういうものができるかというのは実はわからないんですよね。

それで決めていくわけですよね。それで変わってきたら困るのではないですかという。

○島﨑委員
だから、変わってきたら困るから、あらかじめどういうものをつくるかを考えておかないと、本当に正しい津波の高さは決まらない。

○谷岡教授
ええ、そうです。

○島﨑委員
それを言いたいわけですよね。

○谷岡教授
はい。

○島﨑委員
だから、そういうことを見越した決め方をしておかないと、結局、実際、構造物をつくったことによって増幅したり、あるいはそうでなかったりするという。まさに同じことを言っているんですが。

○谷岡教授
そういうことです。

○島﨑委員
どういう形で規則というか、基準というか、それに持っていくかという問題。ですが、問題点として、御指摘はまさに同じことですね。

○谷岡教授
そうです。

○島﨑委員
事務局、そこら辺の整理がありましたら、お願いします。

○名倉安全審査官
事務局から少しお話しさせていただきたいと思います。まず、今の入力津波、基準津波の関係の話ですけれども、最初のほうに和田先生のほうから資料1-4のほうで御指摘いただいた、新設、既設という話がありますけれども、どちらに使うものであったとしても、基準津波を作成する段階である程度の施設、津波防護施設が明らかになっている場合、もしくはそれを念頭に申請する場合は、その仕様が既に決まっているという前提で、そういう意味で、人工構造物の影響を考慮した入力津波、その人工構造物の位置における波形ですね、そういったものが算定できる可能性もありますので、むしろそのほうが強いのではないかということもありまして、基準津波から算定される、その当該申請に当たる人工構造物の位置における津波を入力津波ということで、これを提出させることも可能ではないかということで、そういった可能性も含めて私どものこの検討方針というものは書かせていただきましたので、そういったところも含めて、もう既に議論は少しなされておりますけれども、御検討いただけたらというふうに考えてここに記載しております。

以上です。

○和田名誉教授
私自身、津波の専門家ではないんですけれども、今回の3月11日のいろいろなムービーを見ていて、そばに川があれば遡上していくと思うんですね。それが、今日のお話はほとんど海に向かったところの議論が非常に多いんですけれども、その遡上した水が山のほうからサイトに入ってくることもスタディーするようにしておいたほうがいいと思うんです。

それから、津波そのものは、何分間か何時間か、いずれ海がまた元の平常に戻ったときに、防潮堤を超えて入ってしまった水を海に戻したほうがいいわけですけれども、あまり完璧な防潮堤をつくると、ポンプが生きていればポンプでやるのか、どこかゲートをあけて水を戻すのか、そうこうしているうちにまた次の津波が来てしまうかもしれないので、何か一度の津波だけを考えていたのではいけないのではないかなと思います。

それから、今の人工構造物ももちろん大事ですけれども、松島のようなところとか、海岸の下の海底の地形、そういうもので多分津波は変わってくるでしょうし、それから、沖合で上がった津波があるスピードで来たときに、防潮堤でぶつかればまた上がってきますから、サイトに浸入させないという哲学は、そのぶつかった波がはね上がっても浸入させないつもりなのか、沖合の高さよりは防潮堤は高くしておいて、この上に溢れる水ぐらいは許すつもりなのか、それもはっきりしたほうがいいと思うんです。

それから、もっと一般的な市民から見たら、この防潮堤なら大丈夫だと、この3月11日のことを知っている人たちが見たときに安心感のある、もし計算して10.3mだからといって、10.4mの防潮堤でいいですといっても、あまり一般社会を説得することにはならないので、先ほど平石先生がおっしゃったのに対して、学問的に求まった値プラス幾らとか、計算でたとえ5mと出ても、最低12mとか20mとか、何か学問ではないもので、もう一つリミットを決めておいたほうがいいのではないかなと思うんですけれども。

社会が安心しないと動きませんので。学問で全部積み上げて説明できるようなことにはもちろん元々限界があると思いますし、耐震設計のほうでは武藤清先生が3倍強くつくろうと言って、3倍つくるのはもったいないからと、いろいろな研究者が地震の波を計算したりして、3倍、3C0というんですけれども、それを撤廃運動というのがずっとあって、柏崎刈羽の後、そういうことを言う人はいなくなってしまったんですけれども、何かもっとシンプルな方法と重ねてチェックするようにしたほうが私はいいと思うんですけれども。

計算にあと何m足すとか。もともと確率的に非常にまれなところを狙っているわけですから、そういうフラクチュレーションが多いので、あと何m足せばほとんど起きる可能性は皆無というものは設定できるし、もう一つ、経済で動いているわけですから、あと5m高くすることが、今回の何兆円にわたる災害に比べてどれぐらいのものなのか。

防潮堤は非常にシンプルな構造ですから、厳密に求めて、そのとおりつくるより、マージンを設けて安全なものをつくるほうが絶対にいいと思うんです。

○島﨑委員
ありがとうございます。先ほどの100に対して110の余裕をまずはしておこうという、そういう思想ですよね。最低レベルをどうするかというのは、ちょっと私、あまり頭にはないんですけれども、谷岡さん、何かありますか。

○谷岡教授
最低レベル。

○島﨑委員
だから、3mになっても、最低レベルとしては、先ほど10mという言葉が出たかどうかわかりませんけど、そういうものを設定しておくという考え方ですね。どうぞ。

○平石教授
私のほうから考えを言わせていただきますと、ここの基準にも書いてありますように、ほかのサイトで得られた最大津波も参考にするというふうに書いてありますので、そうしますと、最低レベルが、基本的に、今回、福島に来襲した津波になると思うんです。

ですから、あれが最低レベルで、和田先生がおっしゃるように、例えばこのサイトは5mだということがあっても、少なくとも世の中の人は、やはり15mクラスの津波が来るだろうというふうに考えておられますので、それは15mクラスの津波に対して基準津波を設定してやればいいと思います。

そうすると、かなりサイトによっては、ものすごい余裕が出ますし、サイトによっては、ほとんど余裕がないところもあると思うんです。現実的に、15m以上のじゃあ防潮堤をつくるかといいますと、ちょっと今度は技術的にものすごく難しくなって、防潮堤にかかる波力もまた大きくなってきますので、それ以上の防潮堤をつくる必要があるかと思うと、私としては、少し疑問で、やはり今世紀、それからスマトラ島の津波等を見ても、せいぜい20mまでであれば、浸水は防げると思います。

浸水を完全に防げなくても、中で多重防御を、今後、今、皆さん考えていただいておりますので、少なくとも多重防御で原子炉の安全性は守る。あともう一つ考えられるのは、取水口からやはり水が入ってきますから、防潮堤だけでは完全に水は止まりませんので、その辺りにつきましても多重防御で止水をするということが必要かと思います。

あともう一つ強調したいのは、防潮堤は、これは崩れちゃいけないという大前提がありますので、設計につきましては、基準津波を用いて、そこから防潮堤サイトの設計用津波あるいは入力津波をつくりますが、それに対して十分に安全度を持ったもの、あるいは、越流しても、少なくとも絶対倒れないという構造的な信頼度は持つべき構造にしなきゃいけないと思います。

○島﨑委員
ありがとうございます。越流した場合とか、非常に重要な御指摘があったと思います。それから、先ほど排水機能というのがありましたけれども、排水機能をどうするかというのも、多分、考えないといけないことがあるかもしれませんね。

それから、多重防御のお話もありましたので、確かに一つだけ防潮堤をつくって、それで万全ということは確かにあり得ないので、その中に入ってきた場合でも、さらに防ぐことができるような多重性を考えるというのも重要な観点だろうと思います。

基本的には、15mぐらいが必要ではないかというお話もありましたけれども、多分、JNESのほうでストレステスト等で現在の状況をある程度把握されているんではないかと思いますので、もしどなたかありましたら、よろしければ、少しそこら辺の状況について御説明をいただければと思いますが、何か現状についてありませんか。

では、お願いします。

○名倉安全審査官
まず、これまでの保安院時代の取組ということで、ストレステストの中で実際どれぐらいの津波の高さ、これは、実際に溯上解析をしたものではありませんけれども、どれぐらいの津波高さまで原子力発電所の施設が、地震後の緊急安全対策を施した状態で耐性があるかというふうな評価を事業者のほうから提出があって、幾つかの案件につきまして、可能な範囲で評価をしております。

その中で、基本的には、各サイト10mから15mぐらいの津波高さに対して、建屋の周辺まで水が来ている状況、これで安全上、重要な設備を格納する建屋の中になるべく浸水を防ぐという形で、水密扉を設置したり、いろんな浸水対策を実施して、その浸水量等、かなり絞り込んだ評価をしておりまして、現状の事業者の評価の状況等を考慮しても、大体もう水密扉の設置を外郭部にほぼしているという状況でありますので、非常に浸水量が少ないというふうな評価もストレステストの中ではやっておりますので、そういった状況から申しますと、多重化というところの内側の核となる部分、安全上重要な設備を守るというところの建屋外郭部のバリアについては、ある程度構築をされているか、そういった計画があるというふうな状況ではあると思います。

今、多重化というところで、多分、検討をしていただくということでは、その外側になるべく安全上重要な設備から離隔した形で外側のバリアをつくると、そこら辺がまずあって、その内側のところについては、緊急安全対策等を含めた防護バリアがあると、そういうふうな二重化のところ、そういったところで、現実的に、今後、そういったものを要求することになったとしても、現状の技術レベルでどれぐらいの高さまで可能かということでは、10m以上のところは、ストレステストとか、そういったところでもある程度見通しがあるのではないかと考えているところでございます。

○島﨑委員
ありがとうございました。それから、先ほどちょっと気がついたのは、当然、地震動に対しては安全性があるということが基本的な条件になると思いますので、その点についても忘れないように、しっかり書いてあるとは思いますが、お願いしたいと思います。

どうぞ。

○和田名誉教授
今の大事なものはドアを閉めてということなんですけど、これ、常時閉めておいて、開けるときは原子炉が止まっているときか、燃料棒がないときというぐらいのお話なのか、普段から開けっ放しにしておいて、津波が来たから閉めるというセンスなのか、その辺をちょっと。

防水扉、すごく大きな、浜岡でもつくっていますね。あれがどういうふうな条件で閉めたり開けたりしているのか、ちょっと教えてほしいんですけど。

○島﨑委員
運用の状況について、水密扉、何か御存じの方、事務局でいたらお願いします。

○名倉安全審査官
事務局のほうからお答えします。水密扉につきましては、基本的は閉止ロック、閉止をして、かつハンドルを回してロックしている状態、それを通常の運用状態としていて、それを開けるときは、開けるなりの手続、もしくは、常時通行できる扉については、それの管理をある程度できる形、もしくはルール化を社内とかでしているという状況と聞いております。

常時、開としている扉については、これはチェッカー扉、例えば入退の管理をしているところの扉については、避難等の措置の可能性も考慮いたしまして、運用上は開けっ放しにしていると。

ただ、そこにはチェッカー要員がすぐそばにいて、津波警報、もしくはそういった類のこと、そういったものがありましたら、その場合、直ちに閉めるというふうな処理をしていることは、これまでストレステスト等で確認をさせていただいております。

ただ、それだけで十分かどうかということについては、もう少し電子的な対応、電子ロックもしくは電子的に監視するとか注意を促すとか、そういった対応については、こういったところでも御議論いただいて、人が関わるところのエラーをなるべく少なくするための留意事項とか、そういったものがありましたら、御提案いただけるとありがたいというふうに考えております。

以上です。

○和田名誉教授
人の高さの何倍もあるような大きな扉は、開けるときは原子力発電所の中に燃料がないときだけとか、せめて止まっているときとか、ちょっとその辺の規則があったら教えてほしいんですけど。

○名倉安全審査官
そういった大物の扉については、ちょっと私自身、そこのところは把握しておりませんので、また少し調査をした上で、可能であればお答えさせていただきたいと思います。

以上です。

○和田名誉教授
一般の水門でも、水門を閉めにいった消防の方が亡くなったりしていますから、何かあったら閉めるというやり方は、間に合わないんじゃないかなと。人の出入りぐらいは可能だと思うんですけど、よろしくお願いします。

○島﨑委員
ありがとうございました。どうぞ。

○谷研究員
二つコメントをしたいんですけれども、一つは、平石さんがおっしゃった福島での事故を反映させて、ほかのサイトでもその知見を使いましょうという意味は、福島で15mに近い津波が来たから、どこのサイトも15mをという意味ではなくて、やはりそのサイトの自然環境、置かれたサイトの状況、それから海溝やなんかとの位置関係やなんかを考えて決めましょうという意味合いであって、やはりベースは、どこかであるメートルのものが来たから、どこでもそのメートル、そういう意味ではなかったと私は解しています。

それから、もう一点は、ある設計で想定した津波の高さが来たときに、それに対してどれだけ保守的に考慮して実際の構造物をつくるのかということは、こういう規則の中に書くときに非常に注意しなきゃならないと私が思いますのは、防潮堤といってもいろんな形式があって、直立の壁でコンクリートのような物もあり得れば、それから盛り土みたいな構造体もありますし、それから、多重で複数の物で津波の来襲に対して備える形もありますので、なかなか一律に数字で、例えば110%とか、そういう表現はなかなか難しくて、むしろ私は、規則の中に書くならば、やはりかなり手引きやなんかは練られたものであって不確実を考慮してとか不測の事態を考慮して、事業者は可能な限り、実行可能な手だてを打つとか、そういった表現が実際に担保できるような表現で書くという以外は、なかなか難しいんじゃないかと私は思います。

以上です。

○島﨑委員
ありがとうございました。そういう御意見もあるかと思いますけれども、やはりある程度最低といいましょうか、国民の信頼を得られるような高さというものは、ある程度考えないといけないということが一つあると思います。

それから、書き方の御注意がありましたけれども、書き方をどうするかというのは、これから事務局等で詳しい検討があるかと思いますけれども、今、不確かさがあるということをどういう形で書くかということだと思うんです。

不確かさがあるということを単に書いているだけでは、特に実行可能なときの実行可能というのは、原理的に実行可能なのかどうかということがあります。ですから、本当にやってほしいということは、やれと書かないといけないところがあると思いますので、そこら辺はきちんと事務局で整理して、ある計算値が出た場合に、その計算値をどう取り扱うかということは、別に考えていただきたいと思います。

谷岡さん、何か言いたそうなんで、どうぞ。

○谷岡教授
私も谷先生とほとんど一緒のようなことを考えていたんですけど、福島で今回の津波、三陸で40mのところもあれば10mのところもあるわけですよね。たまたま福島が15mだったというだけで、それで最低を決めるということで誰かが納得するかというと、それは非常に難しいと思うんですよ。

それを言うなら40mということになってくると思うんですよ。それもなんか変な話で、それはサイト特性によって40mになっているわけで。だから、やっぱり簡単に今回が14だから最低14というのは、やっぱりちょっとおかしいと思うんですよ。

ちょっとどうすればいいかというのは、私にもよくわからないんですけど。

○島﨑委員
それぐらいのテクトニクスがあって、サイトがあって決まっているものですから、そういったものを十分考慮した上で決めないといけないというのは、まさにそのとおりですね。

○谷岡教授
それと、今おっしゃられた不確かさの部分も、防潮堤の不確かさを考慮して10%上増しするとか、2割上増しするとかというのもなんか変な気がして、例えば滑り量を何%、10%、50%変えたときに、高さがどうなるという、そういうふうなほうが、やっぱり理学とかの見地からするといいんじゃないのですかというふうなことを言いたいんですけどね。

○島﨑委員
これまでのやり方は、そういう形でやられたというのはよく承知しています。そのとおりです。しかし、それでいいのかという疑問が一方ではあるということで、両者をうまく兼ね合わせて決めていくということになるかと思いますが。

○平石教授
不確かさの件なんですけど、現在、内閣府が出している東南海・東海・南海地震のレベル2モデルというのは、不確かさと言いながらも、かなり客観的には固定したモデルだと思うんですよ。

ですから、今、我々、不確かさというのは、そのモデルのどれを使うか、あるいは、同じ断層モデルなんだけれど、若干位置をずらしてサイトで一番悪影響を及ぼす断層位置に持ってくる等を今行っている最中なんです。

それで、高知とか例えば西のほうの国交省がやっているレベル2地震動の大体レベルを見ると、やはり最大でも20m弱になっていますし、谷岡先生がおっしゃった東北の40mというのは、山肌に残った痕跡をとっている痕跡高ですので、浸水高はかなり一様でございまして15からせいぜい17mまでというのが、地震津波の本来の浸水高だと思います。

ですから、それほど大きくマグニチュードが決まれば、津波高がばらつくわけじゃないので、後は谷岡先生がおっしゃるように、若干滑り量を、例えばもうあとワンランク、特性を上げておくとか、そういうことで不確かさは考慮できますが、現状としては、かなり不確かさも検討した上で、ある程度知見が得られているんではないかなと、それを活用すれば、かなり不確かさを縮小、少なくともかなり最小限にしたモデルを我々は提案できるというふうに私は考えています。

○島﨑委員
それは、大変心強い御意見なんですが、例の南海トラフのものについても、滑り領域をどこに置くかということが非常に問題なわけです。幾つかの例をやっていて、それぞれの例で一番最悪の場合ということをやっていますけれども、そういったところのセンシビリティをきっちり見ているわけではないのです。

それから、場所によっては、例えば駿河湾のところは、そういうものを置かないだとか、いろんな設定をしていますので確かに非常に大きな値が地域によっては出ていますけれども、あの考え方で本当に最大のものが全て追われているかというと、必ずしもそうではないです。

だから、モデル地震が少し過大だという御意見もあるのは承知していますけれども、ああいったことは、決して非常に無理な形で出ているわけではなくて、ある程度の妥当な仮定を置いて出ていて、しかも、それが本当に最大かというと、必ずしもそうではなくて、幾つかのえいやあというとちょっと語弊が悪いですけれども、幾つかのえいやあが入ったものが出ているというのが現状ですので、そこら辺はちょっともう一回見直していただいたほうがいいかと思っています。

○釜江教授
私も津波が専門ではないんですけれども、この原安委のほうでの指針の改訂、手引きの改訂、これは谷岡さんもそうですけど、ずっとそれを指摘して、いろんな議論に参加をさせていただいて、これ、今日、あまり全貌が出ていませんけれども、例えば手引きとか指針で津波に関していろんなことが書いてある。

多分、先ほど言いました9ページの「反映に係る検討方針」というところにも基準津波の設定方法みたいなものが細かく書かれているわけですけど、非常にああいうことがあったということで、要するに最大限の津波を想定しようということで、非常に不確かさではないと思うんですけれども、いろんなパラメーターの中で、それが大きくなるようなものを取り込んでいったという、私は経緯があると思うんですけれども、そのときにも少し申し上げたんですけど、今後、多分、津波と地震動の重畳ということが非常に重要になってくるということで、恐らく今回の地震も津波の出どころと強震動、地震動の出どころは違うとかという話もありますけれども、少し今後、重畳を考えた場合に、当然、津波が大きいモデルと、ここにありますけれども、非常に破壊開始時間の違いとか、滑り領域の違いとか、当然、津波が大きくなる、これはサイトごとに違うと思うんですけど、それでケースは出てくると思うんですね。

それと、当然、地震動、強震動のモデルとは違う可能性があるんですけれども、今後、重畳という形でなると、例えばハザードみたいな確率論的な話のときには、そういう、それぞれの確率を考える。

ただ、確定論的な話として、そういうものを考えるときに、どういうことを考えていけばいいのかというのを、島﨑先生じゃないんですけれども、その辺りというのはどういうふうに整理をしていけばいいのかという気がするんですけれども。

○島﨑委員
重畳というのは、まだよくわかっていないんですけど、どういうことを。

○釜江教授
地震動の後に津波が来るということですね。そうすると、当然、揺れの強さによって施設がどうなるか、その後に津波が来るんで、それをトータルとしてAM対策をするということだと思うんですけれども、私の理解ではそうだと思うんですが、そうでないんですか。

そういうことです、私が申し上げたいのは。

○島﨑委員
わかりました。今初めて、ごめんなさい。要するに、両方が起こるということをあらかじめ考えておいて対策をするという、それは、今回わかったことは、地震動を出す波源と津波を出す波源といいましょうか、滑りとは違うというのは、もうこれは明らかですよね。

ですから、当然、想定もそうしないといけないし、ですから、それは、当然だと思うんですけれども、そこに対してどういう課題があるのかが、よくわからないんですが。

○釜江教授
課題がどうかわかりませんけど、この例えば指針、手引き、これはこのまま規則になるとは思いませんけれども、例えば、今書いてあることからいくと、非常に津波に対しては大きなことが出るような手引きになっていると思うんですね、いろんなことを考えなさいと。

その中でも不確かさを考えながら大きくしなさいというようなことが、たしか書かれていると思うんです。それと、例えば基準地震動というところとは、少しギャップができていて、そこは、やはり、こういうものというのは、本当は地震動だけじゃなくて、これは今回の活断層もそうですけれども、活断層があり、そこから出てくる地震動があり、それによって施設がどうなるかがあり、最後、システムとしてどうなのかということだと思うんですけれども、その中で、やはり地震、津波というのはどっちかというとリンクしているわけですから、そういうリンクしている中でもやっぱり温度差があるということは、非常にトータルのバランスとしては私はよろしくないと思うんですけれども、ちょっとそういうことを申し上げたかっただけの話です。

○島﨑委員
少しわかったようが気がしますが、僕はそんなに温度差はないようにつくるべきだと思っておりますので。いろいろほかに、よろしければどうぞ。

○高田教授
今、重畳の話がありましたけれども、重畳ということになると、普通、エンジニアリングで考えるのは、最大をとるとか、そういうようなことではなくて、片方が最大をとったときには、片方はそうじゃないような、そんなに大きな値をとらないというのが、割とエンジニアリングの一つの答えなんです。

そういうようなことも結構エンジニアリングでやっていますので、重畳の場合、津波も最大にとって、それから地震動も最大にとって設計をするというようなことは、多分、そういうオプションはないんではないかなというふうには思いますけれども、これはエンジニアリング的な考え方ですけれども。

○島﨑委員
ありがとうございます。自然は、今回の地震が非常に特殊な地震だということを告げていますので、それは、やはりそのように設定するだけだと思いますので、特に最大だとか何だとか、そういう考慮ではなくて、実際に起きたことがやはり基準になると思っています。

実際に地震動に関しても、モーメントマグニチュードが従来の地震よりも大きかったという点がありますので、それはやはり入れる必要があると私は思っています。特に、最大ということではなくて、やはり実際に起きたことが一つの基準だというふうに私は思っておりますが。

どうぞ。

○和田名誉教授
このハザードを考えるときに、何mだとかいうことをさっきから議論されていますけど、それを受けて立つ構造物もあるマージンをつけてつくることに、そんな莫大な費用がかからないなら、何mかプラスすることが、もちろん原子力の安全を相当高めますし、それから、市民の安心感も高まるので、エンジニアリングと高田先生が言ったけど、まだ足りないのは、そうしたらどれだけ余計にお金がかかるんですか、先ほど、できる、できないとあったんですけど、できますよ、何だって。

だけど、お金がどれだけかかるか、もともと10mぐらいの高台の上に、あと5mつくる、あと10mつくる、どれだけ違うのか、今回の被害の金額から考えたら、ネグリジブルスモールですよ。

その辺は、理学の方にはちょっとわからないと思うんですけれども。幾らかかるかで判断しないと。そんなことならやりましょうというものがいっぱいありますから。

○島﨑委員
ありがとうございます。今回の我々のミッションは、骨子を取りまとめるということにあるんです。それで、今日は議論の素材となるように、なっているかどうかはわからないですけれども、実際、これまでの耐震指針や手引きの改訂案をベースにして、ちょっと直してみたものが資料1-3として用意してありますので、参考としてちょっと見ていただいて、事務局から簡単に説明をしていただきます。

○事務局
震基1-3でございます。表紙のページの注意書きに書いてありますとおり、先ほど島﨑委員もおっしゃいましたとおり、仮に現時点で規定するとした場合の基準のイメージにすぎないものでございます。

今後の議論を踏まえまして、適宜、修正して最終的に骨子として完成させていただければと存じます。目次にございますとおり、本日、津波に関して御議論いただいてございますので、本日の骨子素案でも津波に関係する部分だけ御用意させていただいております。

めくっていただきまして、まずはどういった考え方に基づいてこの骨子の素案を御用意させていただいたかということをまず御説明いたします。この骨子素案は、まずめくっていただきますと四角で囲ってございます、この中に「基本的要求事項」というふうに頭に書いてございます。

それから、この枠の下のところに「要求事項の詳細〈規制委員会内規〉」と書いてございますけれども、基本的には、この四角のところが規制委員会の規則として一番重要なものを規定する部分、それから、その下の要求事項の詳細と、これは規制委員会の内規になるものだと、我々、現時点で考えておりますけれども、この基本的要求事項を補足するようないろんな解説だとか重要な留意事項であるとか、そういったものをここに詳細として書くのだろうというふうに現時点で考えております。

それで、本日の素案ですけれども、基本的要求事項の中は、現在の3月の旧安全委員会が見直した耐震指針、それから手引きの改訂案の中から、基本的な要件、一番重要な要件というものをこの四角の中に書いてございます。

それから、四角の下の要求事項の詳細、ここに今現時点で書いてあるのは、指針の中にある基本的な要求事項以外のところの中で、私どもとして少なくとも基本的要求事項の理解を深める意味で必要な定義であるとか解釈とか、それから、重要な留意事項に相当する部分を抜き出して機械的に並べてあるということでございます。

めくっていただきますと、2.として、今度は基準津波の策定という項目がございます。基準津波については、3月の指針の改訂案、それから手引きの改訂案の中に、特に手引きのほうの本文事項の中に基準津波、指針の中に書いてある基準地震動と同レベルのことがかなり書いてございましたので、津波関係については、手引きのほうからも重要だと考えているものを抜き出して基本的要求事項、それから要求事項の詳細というところに抽出して並べてございます。

最初のページの2ページ目に戻りまして、まず、「地震及び津波に対する設計の基本方針」ということで、ここは、まず最初の大方針でございますけれども、これは、指針の改訂案の基本方針というところにもほぼ同様なことが書いてございます。

そのまま読みますと、「耐震設計上重要な施設は、施設の供用期間中に極めてまれではあるが発生する可能性があり、施設に大きな影響を与えるおそれがあると想定することが妥当と認められる地震動(以下「基準地震動Ss」という)による地震力、地震発生に伴う地殻変動及び施設に大きな影響を与えるおそれがあると想定することが妥当と認められる津波(以下「基準津波」という)に対して、その安全機能が損なわれることがない設計であること。

さらに施設は、地震により発生する可能性のある環境への放射線による影響の観点からなされる耐震設計上の区分ごとに、適切と考えられる設計用地震力に十分耐えられる設計であること」と、これが、基本設計の大方針ということで、基本的要求事項のまず1番目として書かせていただいております。

それから、これを補足するものとして、要求事項の詳細ということで、これは、指針の改訂案の中にも、18年の指針の改訂のときからもありましたけれども、基準地震動の策定に係る「残余のリスク」ということについて、ここに述べさせていただいております。

基準地震動Ssを上回る強さの地震動が発生する可能性は否定できないということから、耐震設計用の地震動の策定において、「残余のリスク」というものが存在することを認識して、可能な限り、この「残余のリスク」に対して実行可能な限り、このリスクを小さくするための努力が払われるべきであるという考え方をここに述べさせてございます。

それから、津波に対しては、「津波に対する安全性について」ということで、これも指針の中の解説部分から持ってきた内容でございますけれども、「著しい放射線被ばくのリスクを与えないようにすることを基本とすべき」と。

「また、自然科学の観点からは、策定された津波を超える津波が施設に来襲する可能性は否定できないということで、周辺の公衆に対し、放射線被ばくによる災害を及ぼすことのリスクを抑えるよう措置されなければならない」といったことを現時点では書いております。

これ以外にも指針、それから手引き、それぞれ本文それから解説がありますけれども、ぜひここに、例えば、これも必要で重要なので書くべきとか、さらには、現在書いてある項については見直すべきと、そういったことも御意見があろうかと思いますので、そういったこれから出る御意見も踏まえまして、ここら辺は適宜追加修正なりをさせていただくということになろうかと思います。

それから、4ページ目の基準津波のところですけれども、ここで基本的要求事項として、現時点では、「施設の安全設計に用いる基準津波は、最新の技術的知見を踏まえ、敷地周辺の海底地形並びに地震活動性等から想定することが適切なものとして策定する」と。

それから、「地震のほか、地すべり、斜面崩壊など地震以外の要因並びにこれらの組合せによるものを複数選定し、不確かさを考慮して数値解析を実施し、策定する」ということを基本的要求事項として、とりあえず、この中では規定させていただいております。

それから、これを補足するものとして要求事項の詳細に、以下、指針の本文であるとか、それから手引きのほうから重要だと考えられるものについて、今ここに書いてあるようなものを並べさせていただいております。

右のページの5ページ目の真ん中から少し上のほうに「検討事項」とありますけれども、これは、先ほど震基1-2で検討方針というようなところにもちょっと書かせていただいておりますとおり、「人工構造物の影響を受けない敷地沿岸域」ということで、今現在、指針改訂の中では基準津波ということを定義しておりますけれども、さらに詳細に規定する必要があるのかどうか。

本日、先ほども御議論をいただきましたけれども、必要があるかどうか、また、例えば入力津波なるものを別途さらに定義して、こういったものを規則本体だとか、それから要求事項の詳細といったところに明記しておくかどうかというところは検討事項ということで、ここにも書かせていただいております。

それから、次をめくっていただいて、今度は「津波に対する設計」ということで、基本的要求事項としては、指針の中にも書いてありますけれども、「基準津波によっても、施設の安全機能が重大な影響を受けるおそれがないよう、基準津波による敷地への浸水を抑制すること。

また、水位低下や砂移動に対して必要な取水を確保できること」ということを基本的な要求事項としまして、その下に要求事項の詳細として、これは手引きのほうから持ってきておりますけれども、手引きのほうでいろいろ述べられておりますいろんな諸条件をここに現時点で並べているところでございます。

また、6ページの下の方にも検討事項として、先ほど震基1-2にありましたとおり、こういったことについては、さらに検討することが必要ではないかということで、7ページ目に、最後のほうにも書いてありますけれども、浸水範囲の明確化、それから多重化が必要かどうかとか、そういったことというのをさらに検討いただいた上で、この部分に適切に明確に反映させる必要があるのではないかという形で、今、素案として御用意させていただいております。

1-3については以上でございます。

○島﨑委員
ありがとうございます。1-3について御説明をいただきました。いろいろ御意見があるかと思います。あるいは、もちろん御質問がありましたら、どうぞ。

○和田名誉教授
2ページ目の枠の中の基本的要求事項、一番大切な7行を書かれていますけど、原子力発電所の設計や施工には大勢の方が関わっていると思うんです、重工会社から建設、いろんな方が。

それで、この区分ごとに適切と考えられるものに耐えなければいけないというふうに仕事を分解して、それぞれ受け持った人は、自分のところだけをちゃんとやればいいという、それが、今回の災害の一番問題だったところだと思うので、どうしてもこう書くならば、もう一度総合的に全体を見て安全性を確認するというような、先ほど1-4の資料で言わせていただいたんですけど、各種の建屋や機器、配管、相互関係を考慮した全体システムとしての安全性確保がなされているかどうかを見る、アナリシスというのは分析、それからシンセシスというのは総合していくわけですけど、設計というのは総合の仕事なので、区分ごとに何かを満たしていれば安全と、このやり方が40年、失敗のもとだと私は思います。

区分ごとに分けて仕事をするということをやめないと、うまくいかないと思います。

○島﨑委員
ありがとうございます。今の区分ごとというのは、例のA、B、Cとか、そういう意味だと思うんですけれども。

○和田名誉教授
S、B、Cにもかかりますし、先ほどの東北電力からの送電鉄塔が山崩れで先に倒れていたということがありますよね。それから、浜岡の原子力発電所では、いざという場合に排気するためのタワーが原子炉本体のそばに建っていて、その排気タワー自身は危ないものじゃないから、1ランク下だったんですね。

だけど、倒れたら原子炉本体を壊してしまうということで、周りに鉄骨の骨組みをつくって、今はホールドしているんですけど、そういうように、物を区別して、ここは私の仕事、ここはあなたの仕事、そういうことをやっていては、今回の災害を教訓として次にというふうにはならないんじゃないかと思います。

○島﨑委員
ありがとうございました。全体として総合的に安全性を確保するということだと思いますが、それはそれで重要なので、加えるということが一つあると思いますけれども、その文章のさらに次の「地震により発生する可能性のある環境への放射線による影響の観点から」とわざわざここでこういうふうに言っているのは、本当はおかしいのであって、やはり全体の安全性といいましょうか、安全機能が損なわれることがないというのが前にありますけれども、その点から全体をもう一回適切に考えるべきで、区分ごとはちょっと別にしても、これまで、S、A、Bというような分け方をしておりましたけれども、それが、単に放射性物質が出ないというような観点だけから区分していたことは問題だという御指摘はそのとおりだと思いますので、この文章自体は変えるなり何なりしないといけない、もっと総合的に見ないといけないというのは、そのとおりだと思います。

○釜江教授
ちょっと関連する質問なんですが。

○島﨑委員
どうぞ、釜江先生。

○釜江教授
今の和田先生の話なんですけれども、恐らくこの規則が、今後、新規かどうかは別として、今後審査が安全審査と工事認可という、ここの工事認可と後続規制のことも書いてあるんですけれども、それが今までどおりやられるのか、少し変わるかによって大分違うと思うんですね。

やっぱり安全審査のとき、我々がわかっているのは、先ほどの基準地震動と入力地震動の違いと同じように、基準津波と入力津波の関係も、その時点でどこまで審査の土俵に上がってくるのかというところで、それを後続規制のほうで、もう少ししっかりトータルとして見るような枠組みなのかというところによっては大分違うと思うんですけれども、多分、今回の事故もやはり安全審査と後続規制との間のギャップが一つの大きな問題だったと思うんです。

やっぱり不確かさにしろ、やはり後続規制のほうの工事認可のところでもう少しちゃんと見ていれば、ひょっとしたら防げたかもしれないという、そこを同じことをやるのか、少しそれをどうするのかによって、この規則の書き方も変わると思うんですけれども、そこがちょっとその辺わからないところなんですけれども。

○島﨑委員
ありがとうございます。それは、議論の一つでもあるんですけれども、できれば、そういったギャップがないような形にあらかじめ規則をつくっていくということが非常に重要なので、これは、ちょっと事務局とも御相談をしないといけないところがあると思いますけれども、本当のことを言うと、多分、現在のやり方では間に合わないかもしれないんですが、立地から絡めて、全部本当は見直さないといけない点があるわけでありまして、そもそも今問題になっているように、活断層のあるところになんで立地するのかというような、そういう点から本当は規制を考え直さないといけないというのはあるんですが、とりあえず、ここの点としては、後続規制をある程度取り入れた形でまずつくってみるというのが一つの案だと思います。

平石先生。

○平石教授
ちょっと基本的要求事項のところで基準地震動Ssと書いてありますが、津波を最大にする地震動と一番構造物に影響のある地震動は違うと思いますので、ここの文章はちょっと変えられて、津波に対して一番影響のある地震動と、あと、これを読んでいると、津波に対して一番影響を及ぼす海洋の地震が、直下型地震よりも影響が大きいというふうに読んでしまいますので、地震については、やはり直下型の断層のずれが一番怖いと思いますから、ここは書き方を少し変えていただいたほうがいいと思います。

○島﨑委員
ありがとうございます。ちょっとごしょごしょしていて、わかりづらい点があるというのは、確かにそのとおりなんで、ちょっと整理しましょう。初めは分かれていたんですけれども、同じことじゃないかと思って一緒にしたら、さらにわかりにくくなったという点がありますので、そこは、ちょっと整理したいと思います。

ありがとうございます。ほかに。

○谷研究員
全体のフォーマットを見せるという意味ではわかるんですが、これ、資料1-1でイメージの説明で、規則と規則の解釈というのは、規則が箱書き部分で、規則の解釈が箱書きの下の部分だと、そういうふうに理解すればよろしいですか、まず。

○名倉安全審査官
そのとおり、そのようにつくってございます。

○谷研究員
わかりました。コードライティング上のテクニックでもありますし、全貌を見ることが、私は非常に大事なことだと思いますので、今後こういうふうにコードの中のパーツの議論をしていく前に、まず、コード全体の目次案と、大枠みたいなものを先に議論したほうがいいのではないかと思います。

というのは、従前は耐震指針と、それから手引きというのが二つありましたし、しかも、指針のほうは歴史的に成長してきたというプロセスがありましたので、非常に入力地震動の設定のところは非常に分厚く書いてあると。

一方、斜面のところとかは、ほんの一、二行、津波もほんの数行しか書いていなかったみたいな、レンガを積み上げるみたいな書き方になっちゃっていたわけですよね。今回、それをがらがらぽんとなるに当たっては、やはりわかりやすさと調和感が非常に重要だと思いますし、今おっしゃられたように、地震についても二つあると。

私は三つあると思っていますけれども、三つ目は、敷地内の傾斜を計算するときに想定するものは、地震動で想定するもの、それから津波を想定するものとは最悪のずれの分布というのは異なりますので、地震については、3種類考えなきゃいけないと私は理解していますので、そういうものもよく枠組みを考えて議論が始まったほうがいいと思います。

以上です。

○島﨑委員
ありがとうございます。3種類ありますということで、ここは、実は3種類が書いてあるんですけれども、その3種類が同じ地震によるというふうに誤解されるとおかしいということなんですね。

実は、3種類書いてあって、それぞれ異なる地震を想定して、その最大を考えないといけないという、それがはっきり書いていないのでわかりづらくなっていますが、3種類というのは、まさに3種類だと、私も認識しております。

全体の枠組みみたいなものは、今回ないんですが、まだ不十分なところもありますので、おいおいそういったものを加えていきたいと思っていますが、今回は、特に、先生、皆さんお忙しいので、なかなか全員が集まることもできませんので、そういうこともあって、特に津波のところから始めさせていただいたと、そんなようなことですので、その点は御了解いただければと思っております。

ほかにも何か御意見があるかと思いますので、どうぞ。

○高田教授
やはり地震のところも一緒に書いていただいたほうが、バランス感覚が出て、地震ではこういうふうに扱っているのに、津波でこういうふうに扱って違うというのは、やっぱりよろしくないかなと思いますので、それはぜひお願いしたいと。

それから1点ですけれども、たしか津波の手引きには書かれていた、3月の資料には書かれていたんじゃないかと思うんですけれども、基準津波を決めるときの超過確率みたいな話が出ていたと思うんですけれども、ここなのか、もっと後のほうなのかちょっと忘れましたけれども、やはり不確定性をどういうふうに見ていくかというところが、極めて重要なところでして、科学的に考えられること、それからエンジニアリング的に付加しなきゃいけない部分、そういうものはいろいろあるように思いますので、その辺りのところは、どこかで、次のところかもしれませんけれども、記述が必要かなというふうに思います。

○島﨑委員
恐らく、安全目標の議論をほかの、いわゆるシビアアクシデント対策のほうで独立にやっていて、もちろんこちらと関係しますので、交流というか、あれが必要で、今日、最初のときにちょっとその御説明をしていただいたんですけれども、そういう形でいずれPSA的な考え方は、当然、考慮しないといけないというふうに考えております。

ただ、これまでのものがよかったかどうかということに関しては、多少の議論があるかと思いますけれども。ほかにどうでしょうか。例えば、津波のところで、今回の津波で非常に我々にとっては衝撃的だったのは、海溝軸付近のいわゆる固着が非常に強かったということであって、ほとんど100%固着の状態であったということなんですね。

この4ページの③のところに、「今回のように地震発生域の深さの下限から、海溝軸まで全体が震源域となる地震を考慮する」と書いてありますが、これは、確かにそのとおりで、このことによって非常に波長の長い大きな津波が来たということなんですけれども、それとともに、非常に高い津波が来た原因は、その海溝軸付近の固着が非常に強かったということですので、それは、ぜひ具体的に書いておく必要があると思います。

先ほど谷岡さんがちょっと言われましたけれども、結局、何年間固着していたかということなんですよね。遠くの場合は、毎年10センチぐらいですか、非常に大きいので、掛ける500なんていうことになると、巨大な量になったというのが今回の津波で、南海トラフをどう考えるか、南海トラフの委員会で検討されていますけれども、やはり一つ、そういう繰り返しの間隔掛ける固着していた量というのは、一つの目安にはなると思っております。

谷岡さん、何か御意見ありますか。

○谷岡教授
そのとおりだと思うんですが、その繰り返しの間隔が、東北地方でも、今回わかったというようなところもあって、例えば日本海側とかにいったときに、本当にちゃんとわかるのかというと、それもなかなか難しいのかなという気はするんです。

○島﨑委員
日本海側はまさにそのとおりで、いわゆる日本海東縁の地震、あれをプレート境界と考えるかどうかについてもちょっと疑問というか、議論があるかと思いますけれども、それにしても非常に繰り返しなんかが長いですよね。

だから、今後、調査されるにつれて、いろんなことがわかってくるかと思いますけれども、日本海側は特に北部に関してはやや調査が始まった感じですか。ですけれども、西部というか、いわゆる西日本のほうに関しては、ほとんど沖合、あるところまでありますけれども、それから先がない状況で、最近の調査によると、陸上の活断層がどこまで延長しているかという調査が幾つかされていますけれども、その結果は陸上よりも長いというような、ちょっと恐ろしい結果なんですよね。

ただ、津波に関しては、今までの調査は大体横ずれなので、直接の影響はないかもしれませんけれども、全部が横ずれであるとも限りませんので、そういうことを考えると、日本海に関しては、かなり今後の調査が必要であって、調査のない段階でどういう設定をするかというのは、やはり考えておかないといけないので、ある意味、えいやあが必要になるということもある。

あるいは、既にあった南西沖だとか、幾つかの例を考慮するというのも一つの手だと思いますけれども、そこら辺のところ、何か御意見がありましたら、谷岡先生、お願いします。

○谷岡教授
だから、今おっしゃられたとおりだと思うんですよね。日本海側で南西沖とか積丹沖とか、日本海中部とかが起こっていますが、それが太平洋側でいう2000年、2003年の十勝沖とか、1952年の十勝沖とかと一緒だと思ってしまうと、それよりは一つ大きいやつというのは、下手したら津波堆積物だってわからないという、繰り返し間隔になる可能性はあるわけで、そうすると、何を調べればわかるのかというような議論になってきて、簡単には最大がわからないんじゃないかというようなことも考えられると思うんですよね。

○島﨑委員
津波堆積物、今わからないと言われたのは、間隔が長いということですか。

○谷岡教授
例えば、津波堆積物、6,000万年前で、もう縄文の海面が上昇していた、それより前を知らない限りは、繰り返しはわからない。本当に巨大なものがあったとした場合には、わからないという可能性があって、そうすると、地形とか、そんなことからでない限りはわからないというような可能性も残っていると思うんですけど。

○島﨑委員
ありがとうございました。太平洋に関しては、今回の3.11が一つの基準になると思ってよろしいでしょうかね。

○谷岡教授
それしかないと思うんですけど。

○和田名誉教授
別のことでよろしいでしょうか。設計に関する6ページなんですけど、浸水を抑制することと、先ほど多重防御に関係しますけど、防潮堤にぶつかってはね上がった水まで抑制するつもりなのか、中に水が入ってくることも、過去、いろいろ話題が出ていましたけど、もし中に水があるレベル入っても、施設の冷やす・止める・閉じ込めるが確保できるようにというのを、もう一言あると、安心感があるんですけど、防潮堤も丈夫につくったって倒れてしまうかもしれませんし。

○島﨑委員
先ほど谷岡さんと私で議論していたんですけれども、どういう書き方になるのかちょっとわかりませんけれども、先ほどの入力津波の考え方で、やはり施設を考えた場合にどうなるかということをうまく書ければ、それが、まず一つですが、それはそれとしても、さらにそれを超えるということを考えないといけないので、当然、多重防御は必要であるということで、それとともに、どうしたって水はほかのところから入ってきますので、それに対してどうするかということも書いておかないといけないと思いますけれども。

ですから、ここは、浸水を抑制すると書いてありますけれども、でも実際、浸水しますので、それに関して書いていないというところはあると思います。

○和田名誉教授
この大きいA3版の12ページに、取水のことが防波堤の内側の海の底から取水して、もともと津波の問題が原子力発電所に危険性があるんじゃないかといういろんな指摘の中に、海の水が引いてしまったときに海の水が取水できなくなってしまうんじゃないかということだったと思うんですけど、浜岡の見学に行ったところ、もっと沖のほうに取水をするためのタワーがあって、それは、たとえ津波が引いたとしても、その途中の配管にたまっている水で足りるとか、それから、結局、水のヘッドが中と外がイコールになるのがサイフォンの原理ですけど、その取水棟の上面が遠くに設定してあって、このように防潮堤にぶつかって、そこの水位が上がった、そのヘッドに対して、中の水が一緒に上がってきちゃうことを防ぐために、沖のほうからとっているんですね。

だから、そういういろんな工夫がありますので、こういう絵だけじゃないことも、これはちゃんとしなさいと言えば、アイデアは幾らでもあるので、この絵だけで判断していると間違えてしまうのかなと思いますけど。

○島﨑委員
ありがとうございます。これは、はい上がっていますけれども、津波地震は長波なので、その部分ではかなり広いところで海面が上昇するんですけれども、それプラス、ここがはい上がりがあるということで、確かにこの絵とはちょっと違うところがあると思います。

○平石教授
細かいことなんですが、やはり先ほどの6ページの設計なんですけど、細かいんですが、(2)の③に「台風等による高潮発生時に津波が来襲する場合を考慮すること」と書いてあるんですが、私、個人的には、重畳はここまではしないだろうと思っておりまして、高潮が発生するピークと津波のピークを足すと、物すごい設計になるんですよね。

高潮は高潮で、現在、地球温暖化等を考慮して、今、大きな台風を設定しておりますので、これを入れてしまうと、入れなきゃいけないのかもしれないんですが、これを入れると、多分、実際の設計上、物すごいものになると思います。

高潮偏差だけで3mから4mになります。ですから、ちょっとここの文章は、できれば、潮位による、例えば書くとしたら地球温暖化による海面上昇等についても十分な考慮をするという程度でいいんではないかなと。

それよりは、和田先生がおっしゃるように、もう根本的に余裕代を防潮堤に持たす。私は、防潮堤は高さよりも幅だと思っていますので、もしお金があるんだったら、幅をぎりぎりまで強くして、絶対倒れないものをつくっておいてやれば、少々浸水しても何とかもつと思います。

防潮堤が壊れてはいけないので、これは、絶対壊れてはいけませんから、もし和田先生のほうでお金の余裕があるんだったらやれというのであれば、高さじゃなくて幅ですね。

高さを上げようと思うと、また薄っぺらいものをつくってしまいますのでリスクが高くなりますから、そこは、防潮堤は、もし書くとしたら、防潮堤等を安全につくって施設の浸水を抑制することというふうな一文を入れていただければと思います。

以上でございます。

○島﨑委員
ありがとうございます。これは、一応、既にできていたものだと思いますので、3、4mぐらいはのりしろにも入ってくるんじゃないかと思いますけれども、幅については、確かに重要だというのは、重要な御指摘で、どういう形でそれをここに入れたらいいのかというのは、ちょっと検討が必要かもしれませんが、ぜひそういった形で地震動に対しても、また津波の波力に対しても耐え得る、絶対に壊れないような防潮堤というのを書くようにしたいと思っています。

ありがとうございました。○高松次長 先ほどの平石先生の高潮と津波の重畳の件なんですが、参考資料4の9ページのほうに、これは、外的事象の安全対策の考え方ですけれども、9ページのほうに、四角の中の矢印の先っちょみたいなのがありますけど、その一番下、3番目のところで、こういう偶発事象については、確率論的に当たるかどうか見ていくという考え方が載っておりまして、いわゆるマイナス7乗で足切りというのですが、ちょっと何というのかあれですけれども、こういう考え方が紹介されております。

だから、こういう高潮につきましても、ある程度統計的に見ていって、当たらなければ、ある程度、設計を落とすという考え方が使えるんじゃないかというふうに考えております。

○島﨑委員
ありがとうございます。9ページというやつですね。これは、10-7という形が出ていますけれども。ほかに何か御意見ありますか。いろいろ御意見をいただいておりまして、まだいろいろあるかと思いますが、最初の会としては、ある程度御意見が出たかなと思いますので、よろしければ、今日はそのぐらいで、まだ時間は多少あるんですけれども。

どうぞ。

○釜江教授
非常に本質的な話なんですけど。一応、基本事項とあって、下に検討事項ということで幾つかそれぞれのところに、特に津波対策、設計のところでは検討事項として、これは原安院のときにいろいろと検討したことが書いてある。

ちょっとその上の箱書きとは少しトーンが違うような気がするんですけれども、これは、規制委員会としては、基本的要求事項、要するに津波に対する設計ということでは、安全機能というのをどう見るかということはあると思うんですけれども、敷地への浸水を抑制するという書き方があって、以前の原安院のときには、浸水をさせないことというようなことが検討事項のほうに書いてあって、少し抑制すると、侵入させないこととはちょっと違うような気もするし、当然、防御施設という言い方がいいのか知りませんけど、水密化とかいろんなことも、当然、それは逆に、そういうものは、この設計の範囲ではなくてAMの話なのかもしれませんけど、少しトーンが違うような、検討ですから、これからまた変えるという話だとは思うんですけど、現状のスタンスとしては、少し違うという認識でよろしいんでしょうか。

言葉だけの単なるあれなんでしょうか。

○名倉安全審査官
事務局のほうから少し説明させていただきますと、資料2-1のほうをちょっとご覧いただきたいんですけれども、11ページのところでございます。旧原子力安全委員会で行われました指針と手引きの改定案を検討する際の記載ぶり、これは、先生がおっしゃるとおり、浸水をさせないというふうな表記でした。

一方で、原子力安全委員会のほうで、この11ページの四角書きの三つ目の丸印のところに記載されておりますように、想定を超える場合のところの検討ではありますけれども、設計レベルに対しての基本的考え方のところ、このなお書きのところを見ますと、実際、これ、機能上、海水の流入を防ぐことができないものというのは実際あり得て、それに対しての規定が、ちょっと指針と手引きの検討と少し違っているところでございまして、こういった旧原子力安全委員会におけます検討を総合的に私どもで考慮しまして、このような記載にさせていただいております。

その意味合いといたしましては、基準津波による敷地への浸水を抑制すると書いておりますけれども、これは、コントローラブル、要は、浸水範囲とか、そういったところもある程度、浸水経路を特定した上で、浸水範囲をこの範囲にとどめますというところをなるべく外側にしようというふうな概念でありますので、これらの記載を踏まえた記載としては、ちょっと厳しさは違ってきますけれども、記載については、それほど大きな差はないんではないかというふうに考えております。

以上です。

○釜江教授
ありがとうございました。別に今の現状がだめだと言っているわけではなく、私もどっちかというと、そっちのほうが賛成な話なので、ちょっと確認させていただいただけです。

○島﨑委員
要するに、今、説明があったように、させないといっても実際には取水口があって、入ってきてしまうということを認めて書いてあるという、そういうふうに思っていただければと思います。

その点、よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。骨子案に関しては、本日いただいた御意見、今後の検討を踏まえて、適宜修正していきたいと思っております。

本日御用意しました議事は全て終了しましたので、最後に規制庁のほうから事務連絡等をお願いしたいと思います。

○小林管理官
本日は長時間にわたり御議論いただきありがとうございました。本日の資料につきましては、当方から郵送させていただきます。机の上に置いたままで結構でございます。

2回の会合でございますけど、本日に引き続き、主に津波に関わる記述について検討をお願いしたいと考えております。詳細なスケジュール等につきましては、別途御連絡いたしますので、よろしくお願いします。

規制庁からは以上でございます。

○島﨑委員
それでは、以上をもちまして閉会といたします。今日はお忙しい中をどうもありがとうございました。

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