外部有識者会合 > 発電用軽水型原子炉の新安全基準に関する検討チーム
平成24年10月24日(水)
第一回発電用軽水型原子炉の新安全基準に関する検討チーム会合 13時30分 ~ 16時30分
○議題
- 外部事象への対応について
- その他
■第一回 発電用軽水型原子炉の新安全基準に関する検討チーム会合 13時30分 ~
○議事録 / まとめ
○会議資料
- 議事次第【PDF:43KB】
- 名簿【PDF:60MB】
- 「発電用軽水型原子炉の新安全基準に関する検討チーム」について(案)【PDF:534KB】
- 外部事象に対する安全対策の考え方について(案)【PDF:112B】
- (参考資料1)新たな安全基準(シビアアクシデント対策規制を含む)の策定の進め方(平成24年10月19日原子力規制委員会資料に加筆)【PDF:276KB】
- (参考資料2)シビアアクシデント対策規制を含む基準等の策定について(発電用軽水型原子炉に関する基準等)(平成24年10月10日原子力規制委員会資料)【PDF:51KB】
- (参考資料3)外部事象に関する議論における用語の定義(暫定版)【PDF:255KB】
- (参考資料4)福島第一原子力発電所事故を踏まえた各事故調等の主な指摘事項(自然現象(地震及び地震随伴事象を除く)及び外部人為事象関係)【PDF:287KB】
- (参考資料5)新安全基準骨子のフォーマット(たたき台)(外部事象に関する設計基準及び設計基準を超える事象、これらへの対応)【PDF:5.7MB】
- (参考資料6)福島第一原子力発電所事故を踏まえた国内外での教訓【PDF:43KB】
00:58 ~ 意訳
阿部教授:
テロの話しがあったがなぜ戦争は入らないのか?外部事象で最も深刻なのは戦争。テロをいれて戦争をいれないのがよくわからない。
更田委員:
うーん。そうですな。
保安院:
戦争には国民保護法がある。
更田委員:
他の法律があるからという意見には納得出来ない。
保安院:
言い方が悪かった。
渡邊憲夫:(日本原子力研究開発機構)
ミサイル、絨毯爆撃、ファントム突っ込んでくる。戦争が入ってないというのはナンセンスだ!ここでは現象を捉えるのが基本的なスタンスだ!対処がしようのないもの考えてどうすんだ!
# 地震学者については過去に関わった学者禁止するのに、こちらの検討チームはこれまでどおりの御用学者招いて保安院意見聴取会延長の原発安全前提議論。原子力安全寄生庁。
議事録保管
○更田委員
それでは、時間になりましたので、発電用軽水型原子炉の新安全基準に関する検討チーム、第1回の会合を開催いたします。本日は、第1回の会合ですので、検討チームのメンバーそれぞれに自己紹介をお願いしますけれども、とりあえず、まず最初に、資料の確認をさせてください。
お手元にある資料、最初に、第1回会合と書かれている議事次第、そこに配付資料のリストもついておりますけれども、資料1が「発電用軽水型原子炉の新安全基準に関する検討チーム」について(案)、資料2が外部事象に関する安全対策の考え方について(案)、そして、参考資料が6件ありまして、新たな安全基準の策定の進め方、参考資料2がシビアアクシデント対策規制を含む基準等の策定について、参考資料3が外部事象に関する議論における用語の定義、参考資料4、福島第一原子力発電所事故を踏まえた各事故調等の主な指摘事項、そして、参考資料の5が新安全基準骨子のフォーマット(たたき台)、そして、参考資料6が福島第一原子力発電所事故を踏まえた国内外での教訓です。
資料に過不足ございましたら。よろしいでしょうか。それでは、改めて、第1回会合ですので、自己紹介をさせていただきます。座席表と、それから、参考資料1の策定の進め方にもメンバーが載っておりますので、それを参照していただきながらと思います。
まず、私は、原子力規制委員会におきまして、この新安全基準に関する検討チームの担当をいたします、規制委員の更田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、そちらからすると左手、私からすると右手ですけれども、外部からおいでいただいた専門家として、お一人、お名前を申し上げますので、一言いただければと思います。
まず、勝田忠広先生です。
○勝田准教授
勝田です。よろしくお願いします。本当に大変な課題を突きつけられて、本当に自分で何ができるかと思いつつ、今、来ています。ただ、やはり国民の目、あるいは、日本だけではなく世界中から今注目されているこのテーマに対し、本当に一生懸命頑張りたいと思っています。
よろしくお願いします。
○更田委員
次に、杉山智之さん。
○杉山研究主幹
日本原子力研究開発機構安全研究センター、燃料安全研究グループの杉山と申します。私は今まで軽水炉燃料の安全性に関わる研究をやってまいりまして、それに関わる基準類の検討などにも関わったことがありますけれども、今回のような責任のある場に呼ばれたことに対しては、正直ちょっと戸惑っておりますが、呼ばれたからにはお役に立てるべく精一杯務めさせていただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○更田委員
よろしくお願いします。それから、山口彰先生は、少し御都合で遅れて御出席されます。そして、山本章夫先生。
○山本教授
名古屋大学の山本と申します。よろしくお願いいたします。この安全基準が世界最高のものになるように頑張っていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
○更田委員
ありがとうございました。そして、右方、こちらで最後になりますけれども、渡邉憲夫さん。
○渡邉研究主席
日本原子力研究開発機構の渡邉憲夫と申します。よろしくお願いいたします。新しい基準を作るということでこの会合が始まったということで、今までの意見聴取会とか委員会という形式ではなくて、もっとフランクに話ができるというふうに伺っておりますので、ぜひ言いたいことを言いたいなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
○更田委員
どうぞよろしくお願いいたします。そして、座席に沿って、そちらからすると右手になりますけれども、山形重大事故対策基準統括調整官。
○保安院 山形統括調整官
山形でございます。皆様の議論が円滑に進むように、しっかりとサポートさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○更田委員
それから、櫻田審議官。
○櫻田審議官
櫻田でございます。審議官は何人かおりますけれども、この新安全基準、そのうちシビアアクシデントに対する対応をしろということで特命を仰せつかってございます。この議論がプロダクティブなものになるように、しっかりと対応させていただければと思っております。
よろしくお願いいたします。
○更田委員
そして、安井緊急事態対策監です。
○安井対策監
安井でございます。よろしくお願いいたします。緊急事態対策の観点を中心に、議論を色々サポートさせていただければと思っております。
○更田委員
山田技術基盤課長です。
○保安院 山田課長
山田でございます。規制庁で基準関係を担当する課の課長でございます。よろしくお願いいたします。
○更田委員
そして、山本審議官です。
○保安院 山本審議官
山本でございます。私どもは設計基準の方の担当でございますので、よろしくお願いいたします。
○更田委員
そして、原子力規制委員会、原子力規制庁を技術的に支援する機関として、JNES、原子力安全基盤機構から4名の方においでいただいています。まず、阿部技術参与です。
○阿部技術参与
阿部でございます。私、昔、安全委員会の基準部会とか、それから、保安院での基準担当とかをずっとやってきまして、こういうふうに事故が起きたことに関しては、随分至らなかったことがあったのではないかと思っております。
これから、そういう反省も込めて参加させていただきたいと思っております。
○更田委員
続いて、梶本原子力システム安全部次長です。
○梶本次長
JNESの梶本です。よろしくお願いします。これまでシビアアクシデントと確率論的安全評価の業務に従事してまいりましたが、この検討会でその経験を生かして十分な議論を尽くしたいと思います。
よろしくお願いします。
○更田委員
次に、平野総括参事。
○平野総括参事
平野でございます。積極的に議論に参加させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○更田委員
最後に、舟山放射線・水化学グループリーダー。
○舟山グループリーダー
JNESの舟山でございます。こういった場は初めてなのですが、参加させて、検討させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○更田委員
どうもありがとうございました。参考資料の1にもありますけれども、この検討チーム、必要に応じて適宜メンバーを加えて、また、本日は都合により御欠席ですけれども、筑波大学の阿部豊先生がメンバーになっておられます。
それでは、議事次第に沿って議題に入っていきたいと思います。本日は、まず第1回目なのですが、本日は、この検討チームが何をやっていくのか、どういったものをつくっていくのかということについて、資料1に基づきまして、私の方から簡単に説明をさせていただきます。
資料1を御用意ください。趣旨ですけれども、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、今般改正されました「炉規法」、原子炉等規制法に基づいて、福島第一原子力発電所事故の教訓や最新の技術的知見、それから、国際機関等々での安全基準や議論を踏まえて、新たな規制を導入すると。
その新たな規制の導入に当たって重要になりますのは、これまで民間の自主行為とされていた、いわゆるシビアアクシデントへの対策を規制の対象として位置づけて、これに対する基準をつくっていくということにあります。
さらに、これまで原子炉設置許可の審査の際に用いられていた、旧原子力安全委員会が策定した安全設計審査指針、また、その他の部会報告等についても、その内容を見直して、この新たに加えるシビアアクシデントに対する基準と同じく、あわせて原子力規制委員会が基準を定めていくと。
この基準を定めていくに当たっての骨子案というものを作るのが、この検討チームの役割であります。このために、今日集まっておりますように、私、それから外部からおいでいただいた専門家、そして規制庁、JNESの職員からこの検討チームを組織しまして、公開の席で議論をしていきたいと考えております。
検討に当たっての基本方針も、これは申し上げるまでもないことですが、事故の教訓を反映すること、さまざまな事故調の報告書等でも指摘をされていますけれども、津波に対する設計上の想定に最新の知見が反映されていなかったこと、設計基準を上回る津波が来襲してしまったこと、同一建屋の同一階に設置されていた機器が津波による被水・水没という共通要因によって同時に機能を喪失したことなどを踏まえて、以下に記した基本認識のもとに検討を進めてまいります。
一つは、地震・津波に関する設計基準の見直しと。これは、この検討チームとは検討対象の分野が著しく異なるために、別途検討チーム、これは昨日の定例会議でも御報告しましたけれども、原子力規制委員会のもとに、この検討チームと同様の「地震・津波設計基準(設計基準地震・津波)」に関する検討チームを立ち上げて、そちらの方で検討をしていただくことになります。
ただし、その結果は、いずれこのチームの検討内容と合流をしていって、新たな基準に反映されることになります。二つ目は、設計基準を超える自然現象が発生することを想定した対策、これを考えた基準を作ると。
本日の議題は、ちょっとこれに深く関わるものになります。そして、多重故障、共通要因故障による設計基準事故を超える事故の発生を考慮した対策、その中には大規模自然災害のほか、テロリズム、火災等に起因する共通要因故障を考慮していくということになります。
おめくりいただいて、重大事故。この重大事故というのは、改正「炉規法」の中でこう呼んでおりますけれども、いわゆるシビアアクシデント、シビアアクシデントの発生防止、拡大防止を考慮した基準をつくっていくと。
そして、海外の規制動向、国際機関IAEAやWENRA、そして主要国の安全基準、各種報告書を参照して、その比較を実施していくということになります。この基本骨子案のイメージですが、基本骨子案には、委員会規則に定めるべき事項、その内容の詳細を規定する内規に記載すべき事項、そして、審査ガイドに記載すべき基本事項を含むものとしています。
対象とする基準の範囲ですが、設計基準事象に対応するための対策に係る基準、これは旧原子力安全委員会が定めていた安全設計審査指針に対応するものですが、設備設計に関する基準、それから、安全評価指針のうち、安全設計評価に相当する部分を決めていきます。
さらに、先ほど来申し上げているように、シビアアクシデントを含めた設計基準を超える事象に対応するための対策に係る基準を決めていきます。この中には、設備設計に関する基準、そして、安全評価に関する基準が含まれます。
主な検討項目、多分に繰り返しになりますが、外部事象に対する安全対策、何を、どのような外部事象に対処するべきか、考慮すべき外部事象はどこまでか、設計基準の考え方、そして、設計基準を超えた場合の対応について、検討をしてまいります。
さらに、設計基準事象への対応、これは旧来の設計指針、そして、評価指針の一部になりますけれども、それの見直しをして規則化していくことになります。さらに、設計基準を超える事故として考慮すべきもので、その中で、確率論的リスク評価などの知見に基づいて考慮すべき事故を抽出してまいります。
その中には、著しい炉心損傷に至る事故シナリオ、そして、格納容器の破損モードが含まれます。シビアアクシデント対策の基本方針としては、設計基準を超えた外部事象に対する頑健性、恒設設備と可搬設備による対応、シビアアクシデント対策設備の信頼性、耐環境性、そして対策の実現可能性について、検討も進めます。
さらに、シビアアクシデント対策の安全評価としては、その前提条件、評価方法、判断基準、そして個別設備の配慮事項等について、骨子案に盛り込んでいくことになります。
そして、スケジュールですが、これは定例会で5年かけてもというようなことを口走ってしまったのですが、非常に多くの内容を、極めて限られた時間で検討を進めていくことになります。
本日が第1回の会合ですが、ここで検討を開始しまして、途中で随時、委員会に検討状況を報告していきますけれども、25年、来年の1月には基準骨子案を取りまとめて、その後、パブリックコメントを受けて、さらに、その他の専門家のヒアリングやパブリックコメントを踏まえて、基準骨子案を見直して規則になっていきます。
ちょっとこの部分を補足的に御説明しますと、参考資料の1を御覧いただきたいと思います。参考資料の1の左側に「検討のステップ」とありますが、検討ステップの一番上の左側に「委員会での有識者ヒアリング」とあります。
この部分は、これも昨日の定例会で委員長から提案があって、進めることに決めましたけれども、この基準を含めて、あるいは審査制度であるとか今後の規制のあり方に関して、いわば大所高所に立った広い意味での御議論を、主に各地の事故調の策定に関わった方などを初めとする有識者の方々から、これは委員会の方でそのヒアリングを承ります。
そこでいただいた意見は、このチームでの検討に随時反映していくことになります。このチームは、会合を重ねて基準骨子案を取りまとめまして、その基準骨子案の形で、いわゆるこれは法令に基づくものではありませんけれども、比較的期間としては短いものになると思いますが、パブリックコメントにかけることになります。
さらに、そのパブリックコメントと並行して、本日御参加いただいている方以外も含めて専門家の方々、そして、被規制者からの意見聴取を進めます。こうしてこの骨子案を固めていきまして、これを規則条文の形にして、さらにそれをパブリックコメントにかけて、7月の公布に向けて作業を進めていくことになります。
この最後の7月という部分は、改正「炉規法」のもとで定められているものですので、締め切りは決まっている形になりますので、これから遡る形でこのスケジュールを定めているわけですが、この検討チームでの検討は、先にも申し上げましたように、来年1月を目処に基準の骨子案を取りまとめていく形になります。
基準の骨子案というのは、では、いかなる形をとるかということで、ここでまたちょっと飛んで申し訳ないのですが、参考資料の5番です。「ドラフト」と書いてありますけれども、何しろスケルトンというか、形にしたものがないとイメージが結びにくいということなものですから、あくまで粗々のたたき台として示しておりますけれども、まだまだ抜けていて空白になっているところがありますが、これを仕上げていくのがこの検討チームの役割だというふうに御理解をいただきたいと思います。
骨子案は、この参考資料の5を埋めた形で整えて、それを来年の1月までに仕上げることを目的としております。これを仕上げるためには、先ほど来申し上げたさまざまなポイントについて、検討を進めていくことになりますけれども、本日は、その中で外部事象に対する考え方を議論していただこうという考えでおります。
ここまでのところで何か御質問、御意見ございましたら、承りたいと思います。山本先生。
○山本教授
3点確認させてください。まず、1点目なのですけれども、今回、新しい安全基準を作るということで、見直しを行うわけなのですけれども、その見直しに当たっての境界条件ですね、どこまでを変えて、どこまでを変えないかという、そういう境界条件があるかどうか。
あれば、どういうものかということを教えてください。それが1点目です。2点目なのですが、先ほど「設計基準事象」という言葉が出てまいりましたが、これは旧来から使っていた設計基準事象そのものであって、これの変更を考えるかどうか。
それが2点目。3点目については、資料1の2ページ目を拝見しますと、今回作る基準には、安全評価に関するものが一部を取り込むという形で書いてありますけれども、だとすると、従来の安全評価指針を今後どう考えていくのか。
その3点について、お願いいたします。
○更田委員
これから先は、原子力規制委員会の見解というよりは、この場でお答えしますので、私の今の考えを申し上げますけれども、まず最初の境界条件、これはフレキシブルに考えていただいてよいと思います。
特段ここまでという境界条件を定めているわけではありませんけれども、ただ、従来の考え方からすると、この国が定めていく基準類というのは、性能要求、機能要求の段階であって、あまり、要するに、仕様規定に関わるような詳細なところまでというのは考えていません。
ですから、イメージとしては、従来から安全基準に対して、いわゆる階層構造がありますけれども、要認可能な実施方法であるとか、詳細規定等々についてまで、ここで議論をするという考えはありません。
むしろ、基本設計に対する審査を行うための基準というようなイメージを私は持っております。それから、2番目の御質問ですが、DBA、「設計基準事象」という言葉は、今、私が使った御説明の中では、あくまで従来の設計基準事象のイメージです。
そうでないと、ちょっと御説明する際の仕分けができないので、ここでは従来の設計基準事象という意味で用語を使っていますが、ただ、それは必ずしも設計基準を今までどおりに固定するという意味ではなくて、議論としては、従来の設計基準を超える事象に対する対処として、設計基準そのものを拡大するという考え方もあるでしょうし、あくまでそれは設計基準外事象としてマネジメントと相まって対処するという考え方もあると思いますので、現時点でここが設計基準だというふうに縛るつもりはありませんけれども、先ほど御説明した範囲においては、従来の設計基準事象という意味で用語を用いました。
それから、安全評価ですけれども、旧来の安全設計指針、安全評価指針と二つの体系にはなっていたわけですが、旧原子力安全委員会の定めていた安全評価指針の中には、評価指針と言いながらも設計を規定している部分があったと。
そういった内容については、こちらへ取り込むべきだと考えています。そうは言っても、それでは評価をどう進めるのだとなったときに、従来の安全評価指針にリンクを貼ると言ってはおかしいですけれども、それをそのまま参照するという形の運用だってあり得るとは思っています、評価に関しては。
ただ、設計を規定していたような内容というのは、可能な限り、今回つくっていく新基準の中に盛り込んでいくべきだと考えております。これは私の考えですけれども、異論、反論があれば。
○渡邉研究主席
関連で。
○更田委員
渡邉さん。
○渡邉研究主席
今の安全評価の話なのですけれども、従来の安全評価は、基本的にはDBE、DBAの世界でしかなくて、今度、シビアアクシデントを規制の対象に入れていくと。そうした場合に、その安全評価という一括りでできるのかというのが非常に懸念しているところで、どこかで切り分けをしないといけなくて、恐らくその切り分けをするためには、その評価の方法がどういうものがあるかというのをきちっとレビューした上で整理をしないといけないと。
それから、前提条件として、DBAのような、今までやってきたようなかなり保守的な部分をどう取り扱うのか。それを排除したときの不確実さをどうするのかという、色々な問題が多分残っていて、安全評価一括りでけりがつくような話ではないと思います。
だから、そこのところは、初めから安全評価1と2というように切り分けた考え方をとるのか、それとも全部まとめて「安全評価」という一括りの中でやるのかという方針を決めた方が、話というか、議論が進みやすいのではないかなという気がするのですけれども、その辺の見解というか、お考えというのをまず教えていただきたい。
もう一つ、すみません、ついでなので。資料5をちょっとちらちらと眺めてみたのですが、この中を見ると「基本的要求事項」という言葉が色々なところに、トップのところに書いてあって、その横に「設計許可基準」というのが書いてあったり、「安全性向上」というのが書いてあったりして、では、この指針は何に使うのだと。
設計許可の基準なのか、それとも後段規制の部分なのか、それとも安全評価の部分なのか、というのを、全部ひっくるめた一つの指針にするのかというのが、ちょっと今のところよく見えないなと。
これも今の安全評価の話と同じで、従来あったものと、それから今後付加するものを一緒くたにしてやるのか、ある程度階段状というか、ビルディングみたいに重ねていくのか、その辺の考え方をきちっと整理した上で議論を進めていただきたいなというのが私の希望です。
○更田委員
またこれも個人的見解でお答えしますけれども、一つ目に関してはおっしゃるとおりで、ここではあくまで従来の設計基準という意味で言いますけれども、従来の設計基準事象に対する安全評価と、それから、設計基準を超える対象に対する安全評価とは、おのずと違ったものにならざるを得ないと。
端的に言えば、EMでやっていた、EMというのはエバレーション・メソッドですけれども、保守的評価ですか、保守的評価で行っていたDBAに対する安全評価と、それから、設計基準を超えるいわゆるシビアアクシデントに対する安全評価は、どうしてもベストエスティメートにならざるを得ないと。
不確かさが非常に大きいので最適評価での評価しか、そもそも最適評価しか適用できない世界だと思いますけれども、ですから、手法も大きく異なるので、そこは議論を進めていく上で切り分ける必要はあると思っています。
ですから、「安全評価」という言葉に関して言うときには、そのDBAの範囲内における安全評価、それから、シビアアクシデント対策に対する安全評価というふうなカテゴリーで、もうこれからその用語でもめることは大いに予想しているのですけれども、言葉を定義していかなければいけない。
二つ目の御質問も大いにこの用語の定義と関わってくるのですけれども、非常に的を射た御指摘で悩ましいところではあるのですが、ただ、来年7月から審査をしていくという意味においては、設計に関わる部分と評価、そして、後段規制に関わるもの、全てに対して基準が必要なので、求められているのは全てなのだと思っています。
ただし、同時にごっちゃに議論はできないというのはもっともで、議論を進める上で、これは要するに、設計に対するリクワイアメントを決めていくもの、それから評価のために定めていくもの、後段規制を行うためのものというのは、整理をしていかなければいけないとは思っています。
ただ、それを今の時点でどう切り分けて進めていこうかというと、これは議論の進め方のための議論というのは、あるところで必要なのかもしれませんけれども、できるだけ明確に切り分けて議論をしていきたいと思っています。
何か補足はありますか、櫻田審議官。
○櫻田審議官
今、最後に更田委員が御説明された、渡邉さんの御質問の2点目のところに関する一つの補足の説明でございますけれども、参考資料の2というのがございまして、これは第4回の原子力規制委員会で、こういうチームをつくって検討を進めていくということを御議論いただいて決定いただいた、そのときの資料なのですが、この参考資料2の1ページ目の2.の「検討の進め方」というところにちょっと関わるのですけれども、その一番下の丸のところですね、「設置許可に係る基準の作成を優先し、順次、後続規制(工事計画認可、保安規定認可等)に係る基準を作成する。
」と、こういう進め方をこのときは念頭に置いておりました。したがいまして、今日、御提示しているこの資料の作成に当たっても、まずは設置許可の基準ということを念頭に置いた作り込みをしているということでございまして、ただ、この議論を進めていくに当たって、どうしても後段の規制のことも頭に入れて議論をしなければいけないというところも入ってくるのではないかというふうに思っております。
この後、御説明があると思いますけれども、今日の資料の中にも、そういったような話も若干中に含まれていることは事実でございますので、まずはその設置許可の審査基準のようなものを頭に置いた議論を進めていって、その範囲において必要なところを、後段規制も少し視野に入れた議論をする。
そこが固まった後で、もうちょっとその先のことももう少し議論を深めていくと、こういう検討の進め方なのかなというふうに、今、思っているわけでございます。ただ、このチーム会合は、別に何かあらかじめアプリオリに、こういう進め方をしなければいけないということが決まった形という形ではないような気もしますので、このチームの中で、むしろ、こういう進め方でやった方がいいということがあれば、臨機応変に対応していくのも一案ではないかというふうに思います。
○渡邉研究主席
すみません。質問の趣旨がちょっと間違えているのかもしれないので。私がちょっと確認したかったのは、基準の最終的な体系をどうするかという点でして、従来の基準に上乗せをしていくのか、それとも、従来の基準もこれから作る基準も一つの基準の中に押し込んでいくのか、そういうものをきちっと整理をしてほしいというのが私の言いたかったことです。
もう一つ、その二つの意見が混同してしまったので、今の櫻田審議官のような御返答になったと思うのですが、二つ目は、後段規制を意識しながら、この許可基準をつくっていかないといけないと。
というのは、保安規定なり、今後、運転が始まって運転管理にする段階でこれらをつけた機器をどうやって扱っていくかという、そのグレード分けをしなければいけないと。
そのときに、今までのDBAの中の考え方でできている考え方をそのまま踏襲して、シビアアクシデントの方に持っていけるのか、それとも新たにそれとは違う考え方を導入して、全部を考えた上での管理の仕方を見ていかなければいけないのか、そういうことに絡んでくるので、そこの基準体系の作り方と後段規制のやり方というのが大きくリンクしてくる。
だから、そこを意識しながら基準の体系をつくっていかなければいけないというのが、私の言いたかったことです。
○更田委員
それはおっしゃるとおりだと思います。最初に、その二つ、既にあるものに積んでいくのか、押し込んでいくのかという議論、私の思っているイメージは、どちらかというと、押し込んでいって、そうならないと、なかなか今おっしゃったような後段規制をよく踏まえた上での体系というものが作りにくいのではないかと思いますけれども、ちょっとこれは議論のあるところだと思います。
阿部さん、どうぞ。
○阿部技術参与
これまでの基準、あるいは指針の体系で欠落があったから、こういう事故が起きたと、こういうふうに認識しているものですから、だから、今までのものを変えなくてはいけないということ自体は、それは当たり前だと思っているわけです。
ただ、福島の事故があったからといって、例えば、基本的な考え方とか、その色々なところを全面的に見直すというのではなくて、一体どの部分に脆弱なところがあったかと。
その中では、多分皆さん一致しているのは、外的事象に対して適切な規制がかかっていなかったということと、それから、シビアアクシデントに対してうまく規制をしていなかったというようなことが2本の柱だと思うわけですね。
ですから、そういうものについて見ていくのだということ自体はいいとして、そもそも今の基準の体系がどうなっているかというと、設計基準なりのその事故に対しては設計指針と評価指針があるわけですね、設計の妥当性を見るために。
これは安全条約の国別報告書に記載をしてある内容ですが、その設計指針は、プラントを構成するあらゆる機器について、十分な信頼性、あるいはキャパシティーがあるということを確認するためのもの、それから、評価指針の方は、そうやってできたプラントが全体として十分な安全性能を持っているかどうかを確認するためのもの、こういう役割分担になっているわけですね。
そういう役割分担そのものがまずいだろうというような意見があってもちっともおかしくありませんが、基本的にはそういう役割分担を意識したときに、それに外的事象、シビアアクシデントを組み込んでいったらどうなっていくのだろうかと、こういうふうに考えるのではないかと思うのです。
ただ、そうやって考えていったときに、これはどうしても入らないねというようなことになれば、それはその段階で違うものを目指していけばいい。最初は現行の設計指針、評価指針というものを念頭に、その中にそれらのシビアアクシデント、あるいは外的事象を入れたらどうなるかというふうに考えていけばいいのではないかと思うのです。
○梶本次長
これまでの設計基準、それからそれを超えるシビアアクシデント、これは必ずどこかでリンクするのは間違いないわけですが、ただ、これまでに行われた深層防護4、これが欠落してと、シビアアクシデント対策ができていなかったと。
これを完全に踏まえて、まずはDBAとシビアアクシデントは切り離す。そして、パラレルに議論をする。そして、どういう結合の仕方がいいかどうかは、やはりこの検討会で議論をするべきだと思います。
初めからこれを分けてやるとかやらないとかという問題ではなくて、それも検討の項目にすべきだというふうには思います。
○更田委員
平野さん、どうぞ。
○平野総括参事
先ほど委員の方から言葉の定義の問題とかいうお話もありましたけれども、例えば、設計基準事故という言葉一つをとっても、それぞれの方々が想定する意味も違うというふうに感じます。
今、渡邉さんが言われましたように、でき上がる姿としての体系をどういうイメージを持つのかというのは、とても重要なことだと思います。今、述べた二つの点も私にはあるイメージがあって、それは結局、今後の我が国の規制というのは、国際的な基準を踏まえたものでなければならないと。
これはもう法令要求になっているわけですので、やはり既に国際的なプラクティスとしてこういうDBAがあり、その上に設計拡張状態があるというような、国際的な考え方とも対応を意識しながら構成を作ると。
だから、我々が使っていく言葉も国際的に定義された言葉に近いようなものにしていって、国際的なコミュニケーションがとれるようにしていくということが非常に重要ではないかなというふうに考えています。
そういう観点から、これからの議論に対して意見を述べさせていただきたいと考えています。
○更田委員
ありがとうございました。イメージは強く持っておられる方、何となく持っておられる方、それと持てないでおられる方、いると思うのですけれども、それで、今の時点でその仕上がりの姿を議論するというのは多分混乱するので、検討を進めていったどこかの段階で、その仕上がりの姿のイメージの共有というための議論の時間をとる必要はあると思いますし、例えば、これは規制庁、JNESになるのか、それか委員の先生方になるのか、どなたかに体系に関して提案をしていただいて、それについて議論をするというようなやり方もあるかもしれません。
ただ、今の時点では何もちょっと確定的なことは申し上げられないのですが。このままこの議論を続けていって、何かイメージを結ぶというものではないので、その検討がこういう進め方でうまく進むかどうかというのを見る意味においても、まず、ちょっと最初のお題に、中身に入らせていただきたいと思いますけれども、よろしいですか。
ほかに特に御発言がなければ、次の資料2を御用意ください。外部事象に対する安全対策の考え方について。これは申し上げるまでもなく、福島第一原子力発電所事故は考えてもいなかったような外部事象、端的に言えば津波ですけれども、津波がやって来て、あのような事態になってしまった。
今回の新基準を考えるに当たっては、この外部事象にどう備えるかということが、ほとんど第一のポイントといってもいいので、まず最初の会合でこれに対する考え方を、これは規制庁のメンバーと私とで整えてきて、中心となって整えた山形調整官からこの資料について説明をしていただきたいと思います。
説明がちょっと長くなりそうなので、三つに割って、途中で私が切りますので、そこで御質問や御意見をいただければと思います。山形調整官、お願いします。
○保安院 山形統括調整官
それでは、資料2に従いまして説明させていただきたいと思います。それと、この説明に際して用語が混乱するといけませんので、参考資料3という1枚紙を御用意しております。
「外部事象に関する議論における用語の定義(暫定版)」というのがございますので、一つ「外部事象」という言葉の使い方でも色々ございますので、混乱を来さないように1枚紙を用意しておりますので、その二つを並べながら、お聞きいただければと思います。
まず、目次は飛ばしまして、2ページでございます。「0.本日の検討」、今日の全体のスコープをまず御説明させていただきますと、1.原子炉施設の安全性、その観点から、まず「安全機能を有する構築物等の設計」及び「事故時マネジメント策」において、どういうものを考慮すべきかという外部事象を抽出するというのがまず最初の議論でございます。
これは、参考資料3を見ていただきますと、今までFの1、設計基準としていた外部事象、それに対する対策としてのDの1というのがございますけれども、こういうもの、さらに、今回、この設計基準を超えるものを考えるということですが、それについて設計及びさまざまなマネジメント、可搬設備ですとか事故時の手順書、そういう事故時のマネジメントも含めてどういうものを考慮すべきかというものを「考慮すべき外部事象」というふうに定義しております。
そういうものをきっちり抽出しなければならないということでございます。次、2番目が、では、その「考慮すべき外部事象」の中から設計基準とすべき条件というのを検討していかなければいけない。
参考資料3でいいますと、縦の列の1に相当するところでございますけれども、設計基準とすべき条件、これは当然、最新の科学的知見を反映するということと、それと、発生頻度の考え方が適用できる外部事象について、どういう発生頻度であれば設計基準とすべきか。
これは別途、規制委員会の方で議論予定の安全目標、性能目標の議論とも関連いたしますけれども、そういうものも検討していこうというのが2.。そして、3番目に議論しますのが、では、その設計基準を超える外部事象、用語の定義でいいますと列の2の部分になりますけれども、そういうものについて、まず、安全機能を有する構築物等のできるだけ安全機能喪失を防止しないといけない、そういう検討。
そして、やはりそう対策をとったとしても、いずれ安全機能を喪失いたしますので、そういう喪失した事態への対処を検討するということ。その中には可搬型設備のものもございますし、恒設型の設備もございます。
そういうところを今日は御議論いただければと思っております。そして、このさまざまな設備に対する信頼性ですとか、各設備、もう少し細かい配慮事項、実現可能性、基準施行時の対応というのは、これは後日また別に機会を設けさせていただければということでございます。
そして、具体的中身ですが、今の1.のところを御説明いたします。3ページをお開きください。設計及びマネジメント策において考慮すべき外部事象の抽出をしなければならない。
今、現状、旧原子力安全委員会の指針類にはこういうものが幾つか列記されてございます。これは4ページ、5ページのところに書いてございますけれども、表の中にあるように幾つか列記をされております。
それが現状でございまして、基本的考え方としましては、やはりこういうものを、当然、安全評価をするためには、考慮すべき外部事象を明確にする必要がございますし、参考のところに書いてございますように、IAEAの設計に関する要件の中にも同様の趣旨のことが書いてございます。
したがいまして、海外の安全基準、そして海外の色々な報告書、IAEAですとかアメリカ機械学会などの報告書を参考に、自然現象、また外部事象について、安全機能を有する構築物の設計とマネジメントにおいて、考慮すべき外部事象の候補をまず整理をいたしました。
箱の中でございますけれども、敷地ですとかその周辺の環境をもとに、以下の、この下に書いてあります色々な事象がございますけれども、その中から安全性を確保するために、設計上またはマネジメント上、考慮すべき外部事象を抽出するということでございます。
そして、自然現象が色々書いてございますし、外部事象も色々書いてございますが、下線が引いてあるのが幾つかございます。下線が引いてあるものは、これまでの旧原子力安全委員会の指針に記載がないもの、ここはもう加えて、まず候補としなければならないのではないかという趣旨で下線を引いてございます。
分類としましては、自然現象の中には地震関連とその他というのがございますし、外部の人為事象については、偶発的なものも事故的なものもあれば、意図的な行為もあるということでございます。
では、なぜこういう下線を引いたものを加えた方が、候補とすべきではないかという結論が出たかというのは、4ページを御覧ください。まず、付表の1、「考慮すべき自然現象」というふうに書いてございますけれども、一番左は旧原子力安全委員会の安全設計審査指針等で、ここには地震、地滑り、津波、洪水、風、積雪、凍結というふうに書いてございまして、実際の審査の中では、斜面の崩壊ですとか、台風、雷というものが考慮されてございます。
まず、候補として挙げられていると。それに対しまして、IAEAの、これはNSというのはニュークリア・セーフティーです。それで、Gというのはガイドという意味でございますけれども、そういうIAEAの安全基準の中では、地震、洪水、そういうものに加えまして、下の方にございますが、生物学的事象、または火山の影響というものが書いてあると。
浮遊物の衝突というのも書いてございますけれども、大きなものについては、生物学的事象というのは、これは色々な海藻ですとか魚、そういうものの影響、また、さまざまな枯葉、昆虫などの換気系への影響というのがございますけれども、そういうもの。
また、火山の影響というのもあるということで、IAEAにはそういうものが入っていると。WENRAといいますのは、これはヨーロッパの規制機関の集まりの国際機関でありますけれども、そういうもの。
それと、イギリスの安全基準、ここにもやはり生物学的事象というのが書いてあると。フィンランドのものがございます。それと、アメリカのNRCのもの、そして、アメリカ機械学会、これはPRA標準というふうに書いてございますけれども、これは確率論的リスク評価をするためのマニュアルみたいなものでございまして、これは非常に広く色々な自然現象を網羅しておりますので、そういうのも見てみますと、色々あると。
そういうことで、まず候補として拾うべきものとして、火山の影響、竜巻、生物学的事象、森林火災というものを入れるべきではないかということでございます。また、5ページに参りますと、これは外部人為事象の方でございますけれども、日本の指針類には飛行機の落下、爆発、ダムの崩壊、第三者の不法な接近というふうなことが明記されてございますけれども、海外のものも見てみますと、この有毒ガスといいますのは、有毒ガスを運んでいるようなトラックですとか電車ということになりますけれども、そういうものですとか、周辺の火災、船舶が衝突してくると、流れてくる。
また、電磁的障害というものは、最近ですと携帯電話の電波ですとか、そういうものもあるということでございます。そうしますと、日本のものと見てみますと、偶発的な事象としては火災、有毒ガス、船舶の衝突、電磁的障害、意図的な行為としましては、航空機の衝突、妨害・破壊行為、テロリズムというものを加えておくべきではないかということでございます。
そして、3ページの箱の中でございますけれども、ただし、当然、立地地点固有のものもあると思いますので、そういうものは適切に考慮するということ。それと、この発生頻度の評価が可能なものについては考慮すべきか否かの判断に当たって、その発生頻度を参照する。
例えばでございますけれども、年当たり10-7を超えるような発生頻度のもの、これは暫定値で、先ほども申しましたように、安全目標、性能目標の議論等を踏まえて検討する必要がございますけれども、こういうものについては、その影響度も勘案した上で考慮するか否かというものを決めると。
もう一度御説明いたしますと、この箱の中に書いてある色々な事象がありますけれども、これを全て、例えば、設計上、アクシデントマネジメント上、考慮するという意味ではなくて、これが候補でございまして、この候補の中のものを検討して、外部事象として抽出すべきではないかということでございます。
説明は以上です。
○更田委員
ここまでのところで、いかがでしょうか。まず、前半部分で用語の定義等々もありましたので、ここについても、できれば早いうちに共通認識に立っておきたいと思いますので、参考資料3も含めて何か御意見、御質問があれば、いただきたいと思います。
○杉山研究主幹
今の御説明では、ここに挙げられたこの事象、まずは設計基準事象といいますか、設計で対処するものと、あとAMで対処するもの、両方混在しているというような御説明だったかと思うのですけれども、これがどうしても、ちょっと私、最初、この従来の設計指針で言うところの指針2と3の補足のような感じで捉えていると、どうしても設計基準を大幅に超えるものが最初からリストに、具体的にはテロ行為ですけれども、これが入っていて、要は、切り分けて話をいずれするわけなのですけれども、これ、網羅的にばーんと出して、この後どういうふうに展開していくのか、ちょっと教えていただきたいというか。
私は、最初は、この前の議論にちょっと戻ってしまいますけれども、従来の基準の中にこういう考えを盛り込んでいくようにしていくのか、あるいはつけ足していくのかということに対しては、参考資料5の形が出てきたということは、外につけ足すのかと思っていたのですね、本体にフィードバックするのではなくて。
申し上げていること、おわかりですかね。ですけれども、ここで参考資料5のような形で事象をわーっと出したということは、これは本体を新しくしていくときに、これを参照するような形で使うのですか、それともこれ自体が従来の指針2、3の置きかわりになるということなのでしょうか。
○更田委員
これも私の理解になるのですけれども、この参考資料5でイメージしている骨子案というものは、これを今度、条文化して、文章に直して、しかも縦書きの文章に直して、それで、それが規則化されていくというイメージなので、その規則化していく上でのベースになるものなので、ですから、それを足していくというのではなくて、ここに審査に必要なものが入っていないといけないわけですね。
イメージ、湧きますか。
○杉山研究主幹
それは、ほかの指針類もそういう形になるということなのですか。ほかのというのは、例えば、従来の設計指針で言うところの4以降といいますか、個々の指針類は、今回、環境省あるいは、何ていうのですか、今回、新たに定める……。
○更田委員
原子力規制委員会規則。
○杉山研究主幹
規則ですか。その規則というのは、そういう今おっしゃられた縦書き文章なわけですか、基本的には。
○更田委員
はい。
○杉山研究主幹
では、従来の指針が全てそういう形に変わっていく。従来の指針2、3というのが、この今回の参考資料5に置きかわるというような……。
○更田委員
少なくとも私はそういう理解ですけれども。補足はありますか、山田課長。
○保安院 山田課長
今回の法律の改正におきまして、従来はいわゆる省令とかというのに適合していれば設置許可をおろすという、従来はそういう形になっておりませんで、今回の法律改正で設置許可の基準を規制委員会規則として定めて、それに適合しているものについて許可をおろすという形になっております。
したがいまして、従来ありました原子力安全委員会の指針といったような、ある意味、法律に根拠を持たないものではなくて、今回つくろうとしておりますのは、法律の条文に基づいて作る規則という形になります。
○杉山研究主幹
でき上がりの姿に関しては理解いたしました。この今見た中に、先ほど申し上げたようにテロ行為もリストアップされていまして、実際、従来のDBAのレベルまでの意味での設計で対処するというのはあり得るのかという疑問がありまして。
○保安院 山形統括調整官
すみません。1点補足させていただきますと、この議論の進め方が、まず、世の中にどんな外部事象があるでしょうかというのをざっと並べて、その中で、原子力発電施設の安全性に関して考慮しないといけないもの、これは設計上考慮しないといけないもの、設計プラスアクシデントマネジメント、ビヨンドデザインベースとして考慮しないといけないもの、とにかく一番大きなところで拾って、その次に、設計またはアクシデントマネジメントで考慮すべきものはこれが候補になりますと。
そして、2の方に行きますけれども、さらにその中でデザインベースとして考慮すべきものはどれかというのを、次の2のところで議論させていただこうと思っておりますので、この2のところは、参考資料3をちょっと見ていただきますと、参考資料3の横軸は頻度と思っていただければと思いますが、αとβ、頻度が書いていますけれども、当然、αの方が頻度が大きくてβの方が小さいと。
ここは一般的なイメージですと、海外なんかですと、αは10-4、βは10-7、それよりさらに小さいものもあると。今言われたようなデザインベース、大規模な航空機衝突みたいなものはデザインベースかというと、それはデザインベースではなくて、このカラムでいうと2のところだと思いますけれども、今、1、2、3、全部を含めて世の中に外部事象というのは何があるでしょうかと。
その中で、設計または、1または2ですね、設計またはアクシデントマネジメントで考慮すべきものは何でしょうかというのを今議論させていただきまして、次の章で、その中からさらに1として考慮すべきもの、従来で言う設計基準の外部事象というのは何かという形で資料は整理させていただいております。
○更田委員
ちょっと補足しますけれども、資料2の目次と、それから参考資料3を並べて見ていただいて、資料2の説明を先に全部終わらせた方が、今のような御質問はなかったのかもしれないのですけれども、今、そこの資料2の構成としては、自然現象、外部人為事象、テロ行為も含めて、一度全てリストアップをしてしまって、この資料2の2.、設計基準の考え方のところで、参考資料の3で言う1の列のところ、設計において対処していく範囲を決めていくと。
外部事象によっては、設計だけではなくてマネジメントも含めて対処していく。それはその強度等や、例えば、津波でいえば、高さによって違うという部分はあるだろうと思いますけれども。
そして、この資料2の3.のところで、今度はその設計基準を超えた外部事象についての対処を定めるものについての議論に入っていって、それが参考資料3では2の列になるのですが、さらに、この3.の(2)の中には、参考資料3の3の列の部分、さらに、その発生頻度は極めて小さいけれども影響は懸念されるものに対して、その包括的な対処を講じていくもの。
テロなんかは頻度の概念が適用できませんから、来てしまえば頻度1ですので。そういったものに対する対処というのは、主にこの参考資料の3でいえば、3の列への対処になってしまう。
そこで、そのテロ行為等々についての対処を議論していくという、そういう整理になっています。阿部さん、どうぞ。
○阿部技術参与
今の段階では、これは全部例であると。こういうものをイメージして考えていきましょうということだと思うのですね。安全委員会の従来の設計指針で出しているのも、あれは例ですよね。
原則は全部考えることになっていたと思うのです。ですから、その考え落としがないためにここに色々なものが入っていると、こういう理解でいいですね、まず。それで、その次なのですが、資料の1番だったかな、どこかに火災と書いてありましたよね、その考えるべき云々に、資料の1番の1ページ目の一番下から2行目、テロ、火災とありますね。
そして、別の資料になると、これは全部外部からのもらい火の火災になっているわけですね。これは、最終的には内部の火災も外部の火災も同じように考えなくてはならないと思いますが、とりあえず今考えるときには外部からもらう火災だけをイメージして考えましょうと、こういう理解でいいですか。
それから、もう1点は、やはりこれもその枠組みの中なのですが、今、テロの話がありましたけれども、何で戦争は入らないのですか。要するに、外部事象の中で本当は一番深刻なのは戦争ですよね、きっと。
つまり、テロを入れて戦争を入れない理由というのはよくわからないです。
○更田委員
そうですね。そう、戦争を入れる。ただ、戦争への対処というふうに、もちろん対処について議論するかどうかは別として、事象として挙げておくという意味においては、事象として挙げておいて、それを議論すればいいのだろうと思います。
あからさまに、例えば、その頻度が小さい、隕石がぶつかるとかですね、そういったものに関しては、確かに考え出すと切りがないというところがあって、例えば、隕石の衝突なんかは入っていない。
だけれども、頻度から考えれば、戦争の頻度ははるかに高いと。意図的な航空機衝突とコンパラブルな頻度を考えなければならないと。ただ、恐らくここの資料で戦争が入っていないのは、むしろ、それに対する対処が想像できなかったからかもしれないのですけれども、ただ、それは議論が可能ならば、したいと思いますけれども。
補足はありますか。
○保安院 山形統括調整官
明示的に戦争というのは今まで入っておりませんでしたので、そういうことはこの資料には入ってはいませんので、それのどこまでを考えるのか。戦争を防ぐという意味ではなくて、何かの弾が飛んできたという意味だと思いますけれども、そういうのは安全についての議論というのが可能かどうかは、ちょっと今はあまり正確なお答えができなくて申し訳ありませんけれども。
○更田委員
イメージとすれば、例えばミサイルですね。
○保安院 山本審議官
戦争に関しては別の法体系で、いわゆる国民保護法ですか、そういった中で全体の対処をすべきという中の体系があります。その中で、原子力防災をどうしていくかというところに入ってくるのかもしれません。
したがって、外部事象としては、おっしゃるように、対象として考えるべきというのは当然であると思います。外部事象として考えるべき対象としてはあり得るというふうに考えられると思います。
○更田委員
ごめんなさい。実は私、その答えにあまり納得しないのは、ほかの法律で見ているからというのは安心できないのですよね。例えば、ほかの省庁の管轄だから当省は、とやっていると、いわゆる縦割りの弊害が出るわけで、法律も似たようなものだと思うのですけれども。
そういう意味ではないのですよね。
○保安院 山本審議官
すみません。ちょっと言葉が足らなかったけれども、先ほどの検討対象としては、戦争というのは、当然、外部事象に入るべきものということで、ただし、それの対処の方法は別途用意されているということであります。
○更田委員
ちょっと内部議論になりつつあって、できれば……。
○渡邉研究主席
先ほどちょっと更田委員がおっしゃっていましたけれども、対処のしようがないものを考えてどうするのだというのも一つだと思うのですね。戦争と一言で言ったって、戦争の中には色々なものがあって、先ほどちょっとおっしゃっていましたけれども、ミサイルが飛んでくる、絨毯爆撃する、それからファントムが突っ込んでくる、色々なものがあると思うのですね。
それぞれの1個1個に対して本当に考えるべきなのか、それとも航空機落下で対処できるところもあるだろうとか、そういう整理をしていくということだけでよくて、一口に戦争が入っていないねというのは、僕はナンセンスだと思いますね。
戦争というのは現象ではなくて、ここではやはり現象を捉えるべきであって、現象に対してどうするかというのを考えておくということが基本的なスタンスだと思います。それと、もう一つ、先ほどこれは全てを拾っているというような印象の御発言があったのですけれども、幅広に拾っているというか。
何か逆に、私は、幅狭にしているなと。というのは、ちょっと眺めてみると、再処理施設のところで書いてある部分が書いていない。では、どうして再処理の方で拾っているのに、ここで拾っていないのだと。
同じ日本の中にあるものに対して拾っていないというのは、やはり不思議な感覚で、むしろ、全てを見渡して、どこのプラント、管に引っかかるものであれば、全部入れておいて、自分のプラント、立地点に関わるものをそこの中から引っ張っていく。
さらに、それで抜けがないかどうかを考えるというのが本来のあり方ではないかなと思うのですけれども。それから、この3ページ目に整理してある表は、やはりすごく少な過ぎる。
再処理のことをきちっと考えて入れてほしい、そんな気がします。
○更田委員
この資料において再処理の事象を書いていないのは、これは今回の検討の対象が発電用軽水型原子炉だからということで除いたのだと思うのです、気分としてはね。ただ、他の種類の施設に対する自然現象だから、発電用原子炉に関わりなくていいかどうかというのは、検討した上で外せばいいことであって、最初からまな板の上からどけてしまうべきではないと、そういう趣旨ですよね。
○渡邉研究主席
そうです。
○更田委員
それはおっしゃるとおりだと思います。それから、対処のしようのないものを考えてどうするのかと。要するに、対処のしようがないのか、対処しても仕方がないのかと。ですから、それについても議論をしておくことは必要だと思うのです。
ただ、おっしゃるように、ミサイルであるとか爆弾であるとか、要するに、飛来物に関する検討というのはあり得るけれども、戦争全般というのは、阿部さんもそういう意味でおっしゃったのではないと思いますけれども、何かいかがでしょうか。
○阿部技術参与
最終的に戦争を入れるべきだなんていうことを言っているつもりはないのです。要するに、さっきの対処のしようがあるのか、ないのかといったような議論になったときに、テロは入れるけれども、戦争は入れないということについて、何かちゃんとした理由があるのかなと。
それから、テロは、これまでいつも安全審査段階には少なくとも入ってきませんね。しかし、それは、要するに別途ちゃんと対処するということが前提になって、入っていないのだと思うわけですね。
だから、ここでの基準の中に、例えば、テロを入れるのか入れないのかというのは、少しその議論をしてから決めるべきだし、私自身も、今、テロが出てきたので戦争という言葉を使いましたけれども、戦争の話をこういうところに入れても、結論としては仕方ないと思っていますが。
○更田委員
それでは、テロを入れる入れないということに関して、ちょっとお話を言いますけれども……。
○保安院 山形統括調整官
すみません。テロを入れるか入れないかということにつきましては、これは原子炉等規制法の改正法の中で……。
○更田委員
それを言おうとしていたのです。
○保安院 山形統括調整官
明確に書かれております。
○更田委員
もう既に御承知のように、方針は決まっています。平野さん、どうぞ。
○平野総括参事
3ページに列挙されている現象なのですけれども、例えば、有毒ガスだとか、もらい火の火災みたいなものは、この上にあるIAEAのSSR-2/1では、近隣の産業アクティビティですから、ニアバイインダストリーという、そういうコンセプトでくくってあって、ですから、漏れがあるとかないとかというよりは、こういうところを考慮しなさいという考え方をまとめておくことが非常に重要で、有毒ガスとかいうのは、そのうちの一つであるというふうな、一般性を持った骨子にしていくことが重要かなと。
これは単に現象を羅列すると、これはどういう意味なのか、何か抜けているのではないかという、そういう話になりますので、ある種のカテゴライゼーションなり、考え方を示していくということで、これが例示であるという感じになるのが望ましいと思います。
それは大した話ではないのですけれども、ちょっと気になるのは、基本的考え方のところにあります「外部事象に対する原子炉施設の安全性を評価するためには」と書いてあるので、これはそうではなくて「設計で対処するためには」ですよね。
これ、多分冒頭で議論があった、設計に対するリクワイアメントを議論しているのか、安全評価に対するリクワイアメントを評価しているのかというところの区別をちゃんとしていかないと、多分混乱してくるのではないかなと。
下のIAEAのSSR-2/1でそういうような影響を評価しなければならないと。その続きの文言があって、それは何のためにかというと、要するに、起因事象を考えたり、機器の設計をするときに、ロード、どういう荷重がかかるかとか、そういうことを設計で考えるために評価すると。
やった結果を安全評価で安全評価するのは、ちょっとそれは別の話なので、多分その辺を明確にしながら議論をしていくということが重要なのではないかなと思います。
○更田委員
後段については、全くおっしゃるとおり。これはちょっと安易に記載してしまったところがあると思うのですけれども、おっしゃるとおりで、ここで外部事象を挙げていっているのは、設計で対処する範囲、それからもう一つは、設計及びマネジメントで対処する範囲、そういったもののハザードというか、ロードという言い方でもいいですけれども、それぞれロードを考えていくための整理ですので、いきなり安全評価に飛ぶのではなくて、これは設計で対処すべき範囲、それから設計及びマネジメントで対処すべき範囲、さらに言うと、その議論の先には、非常に頻度は小さいけれども影響を考えなければならないものに対して、低頻度高影響事象というのを、そういうふうに言葉で使っていいかどうかは別ですけれども、参考資料の3にある3の列についての議論もその先にやっていく。
ただ、おっしゃるように、負荷を定義していくための議論のものですので、安全評価という言葉をここで使うのはふさわしくないというのは、定義に沿えば、おっしゃるとおりだと思います。
阿部さん、反論どうぞ。
○阿部技術参与
いや、反論ではない。これは私も、ここには安全性を評価すると書いてあったので、かなり気になったのです。ですから、意見は同じなのですが、「安全性を評価する」という言葉がすーっと出てきているから、今みたいな議論になるので、今、更田さんがおっしゃるように、設計の妥当性を評価するというところと、その設計の妥当性を評価するために、評価指針と設計指針があるわけですね。
そのほかに、ビヨンドデザインのところ、これ、その設計を超えてしまっているわけですから、設計の妥当性だけで評価できるはずがないわけですね。ですから、そういうところを見ると、マネジメントの妥当性ということまで含めて考えるのだろうと。
そういうことを含めて安全性を評価すると好意的に解釈したものですから、何も質問しなかったのですけれども。
○更田委員
今の議論は、渡邉さんは随分、最初に、安全評価に対して言われた、その設計が妥当に行われているかどうかを見る安全評価と、それから、設計とマネジメントと相まって対処が十分であるかどうかを見るための安全評価、安全評価その1、その2という言葉をこの先使うのかどうかわかりませんけれども、ただ、この資料はいきなりその評価について言っているのではなくて、設計目標という言葉が正しいかどうかは別として、設計で対処すべきロード、負荷の範囲はどうであると。
それから、設計とマネジメントが相まって対処すべき負荷として考える外部事象、それを特定しようとする議論のためのものです。梶本さん、どうぞ。
○梶本次長
この安全評価については、今、議論があったとおりなので割愛して、少し前になりますけれども、ここに有毒ガス、要するに、外的人為事象に対して、有毒ガスが新たにつけ加わるというふうにピックアップされているのですが、これは従来欠けていたのですね。
もともと有毒ガスについては、制御室居住性のために評価しないといけないことになっていると。発生するガス。そうすると、今までここに抜けていたわけです。だから、そういう意味で、こういうものをちゃんと中に挙げておかないと、外的事象について網羅して考えたことにならない。
だから、そういう意味で、ここのところを新たに付け加えるというよりは、今まで抜けていたという解釈もあるということだけですね。
○更田委員
ありがとうございました。安井さん、どうぞ。
○安井対策監
ちょっと切り口が変わってしまうかもわからないのですけれども、今の有毒ガスとも若干絡むのですけれども、外部事象というのはプラント外事象だというふうに思っているのですけれども、同じサイトにある隣接炉の事故、あるいは、今回でいえば水素爆発とか放射性物質の漏えいとか、そうしたものがこういうところに取り込んで考えなくていいのでしょうかというのを、ちょっと私、質問で皆さんの見解を教えていただきたいのですけれども。
○更田委員
元気よく手の挙がった平野さん、どうぞ。
○平野総括参事
私もその点が気になってIAEAのSSR-2/1を見てみたのですけれども、複数基に同時に影響をもたらす可能性のあるハザードについては、設計で考慮しなければならないというのがあって、それはここに書いていない。
本来入れるべきことであって、今おっしゃられたようなことも入れて、議論すべきなのではないかなという気はしますけれども。
○更田委員
渡辺さん、どうぞ。
○渡邉研究主席
今の平野さんの解釈も違うと思うのですけれども、それは、例えば、本当にサイトの外から複数のプラントに影響を及ぼすものの話であって、隣接の機が何とかなって、別な号機に影響を及ぼすことを言っているわけではないと。
今、安井さんがおっしゃっていたのは非常に難しい問題だと思うのですね。私は、それは内部事象として考えるべきであって、要するに、サイトの中の話なので、内部事象として考えるべきものだと。
それは、要は、プラントがそういうものを考えて設計をするかどうかということだと思うのですけれども、基本的に起こさないことを前提にしてつくっていくわけですから。
その外的事象というのは、自分が努力しても来てしまうものなのであって、来てしまうものに関しては、自分らは防ぎようがないから、それを自分らで守ると。そういう意識を持った方がいいのかなという気がしているのですけれども。
○更田委員
ちょっとこれに関して言うと、今の議論というのは多数基立地に関しても関連する話で、例えば、多数基立地に設計で対処すべきかどうか、隣に炉がいるのといないのとで設計は変わるべきか、変わらないべきか、それから、マネジメントもそうですけれども、ですから、隣接基の影響をどう考えるかであるとか、多数基立地というようなもの、ちょっとここでこのまま延々と議論をするよりは、誰かに論点ペーパーでもつくってもらって別途時間を設けた方がいいと私は思うのですが、特にどうしても続けたいという方があれば、意見を承りますけれども。
では、先に手を挙げていた阿部さんからどうぞ。
○阿部技術参与
さっき、これまでの規制に抜けているものとして、キーワードは二つあって、一つは外部事象に対する防護と、それからもう一つは、シビアアクシデントというふうに申し上げたのですが、それの複合体のところがあるのですよね。
今度の事故を見ても、外部事象が起きたために後段のマネジメントが困難になっているとか、それから、シビアアクシデントで色々な現象が起きたために、やはりそのマネジメントが困難になっているとか、そういうことがあるわけですね。
ですから、それの複合のところもあわせて考えなくてはならないと思っています。
○更田委員
それは教訓として非常に大きなことで、例えば、2号機、3号機で何かの操作をしようとしたときに、1号機が既にシビアアクシデントになっていたので、極めて作業が困難であったと。
実際にそういったことが出現しているわけですから。それに対してどう対処すべきか。それが設計の範囲なのか、あるいはマネジメントと相まってなのか、そういったことでの議論の対象となると思うのですが、ただ、ちょっと、ごめんなさい。
事前に用意した構成にこだわるわけではないですけれども、この議論は多分幾らでも延々とやれると思いますので、ちょっと少し検討をさせていただきたいと思いますが、場合によっては、どなたかに論点ペーパーをつくっていただいて、別途、改めてこの件については議論をしたいと思います。
私は、個人的には多数基立地ということが非常に気になっていて、1サイトに多数基がある場合において、1基建っている場合と同じでいいのかどうか。その対処というのは、それが設計に関わるものなのか、マネジメントに関わるものなのか、それは今の時点ではっきりした考えを持っていませんけれども、考えるべきことだと思っていますので、隣接基の影響という点はテイクノートさせていただいて、別途議論をしたいと思います。
それで、少し全体を見ていただいて、なお疑問なり、御意見ということもあると思いますので、ちょっとこの同じ資料で次に進めたいと思います。山形調整官、では、次が2.からですか。
○保安院 山形統括調整官
1.のところは、広めに設計とマネジメントを含めて考慮すべきという、先ほど説明しましたが、では、その中から設計基準、設計で対処すべきものはどういうものかという考え方でございます。
まず、2の(1)は自然現象に関する設計基準の考え方、7ページを御覧ください。現状でございますけれども、ここは現状の指針のところをコピーしておりますけれども、「安全機能を有する構築物、系統及び機器は、想定される自然現象によって原子炉施設の安全性が損なわれない設計であること」、具体的に対象となる自然現象は、ここはあれですけれども、過去の記録の信頼性を考慮の上、少なくともこれを下回らない過酷なものであって、かつ、統計的に妥当とみなされるものを「自然現象のうち最も過酷と考えられる条件」と、こういうふうにしております。
こういう条件に対して考慮した設計というのは、すなわち、安全機能を維持できることでございます。その下は地震について書いてございますけれども、地震につきましては飛ばさせていただきまして、基本的考え方、当然でございますけれども、最新の科学的技術的知見を反映した設計基準とするということと、それと、先ほど申しました、1のところで色々な事象をピックアップしましたが、その事象というものは色々な強さがありまして、一般的に自然現象でありますと、強い強度の事象というものが発生する頻度というのは低いというものもございます。
ですので、発生頻度の評価が可能な自然現象については、設計基準に含めるべきか否か、その発生頻度を参照してはどうかと、参照するということでございまして、箱の中になりまして、今後の自然現象に関する設計基準の考え方にありますが、一つ目の矢印で、現状の文章に対して、そういうもの、それと統計的に妥当なものと、最新の科学的技術的知見を踏まえて予想されるもの、そういうものの中から最も過酷な条件というものを設計基準とするというものでございます。
そして、発生頻度の方でございますけれども、発生頻度の評価が可能なものについては、設計基準に含めるか否か、それについては発生頻度を参照するということで、例えば、暫定値ではございますけれども、発生頻度が年10-4を超過する、そういう自然現象については、その影響を勘案した上で設計基準とする。
さすがに発生頻度が非常に高くても、影響がない、力が弱いというものは、設計基準とする必要もございませんので、そういう趣旨が入ってございます。ただし、この設計基準を超えた外部事象であっても、その他の対策、アクシデントマネジメントとかは必要でありますので、それは3.の方でまた議論をいたします。
そして、地震及び地震随伴事象の設計基準の考え方は、これは別の場で議論をしておりますので、そちらの方に検討を依頼するということ。8ページには、少し参考が書いてございますけれども、自然現象、海外はどうなっているのかということですが、最近、1、2週間ほど前に出ましたEUのストレステストの報告書に各国の状況がまとめてございます。
そうしますと、ほとんどの国が超過確率、年10-4以上のものの地震と洪水を設計基準としております。そして、あと、これは少し超過確率は違いますけれども、米国の方では、竜巻については、年超過確率10-7、これを設計基準としておりまして、10-7より低いものは考慮しないと。
③番目がイギリスの例ですけれども、これは色々なハザードがございますけれども、これについても、10-7未満のものは排除してよいというふうになってございます。次をおめくりいただきまして、9ページであります。
9ページは、この外部人為事象の中でも偶発事象といいますか、普通の世界での事故に相当するものです。現状では「安全機能を有する構築物、系統及び機器は、想定される外部人為事象によって、原子炉施設の安全機能を損なうことがない設計であること」というふうに要求がされている。
それで、この想定される外部事象でございますけれども、事故による航空機落下につきましては、今まで発生頻度が一つの炉当たり10-7/年を超えなければ、設計上の考慮を不要としておりますし、これは海外でも同様の考え方をしております。
それで、基本的な考え方でございますけれども、箱の中をまとめさせていただきました。一つ目の矢印は、今までと変わってございませんが、外部人為事象(偶発事象)によって安全性を損なうことのない設計であることと。
この中に、先ほど1の方で拾い集めたもの、外部人為事象とは飛行機の落下、火災・爆発、有毒ガス、ダムの崩壊、船舶の衝突、電磁的障害ということで、下線は現行指針に明示的に記載がなかったものということでございます。
詳しく申しますと、指針の中に自然現象ですと「何々等」というような表現をしておりまして、それで全て拾っているといえば、拾っているような表現にはなってございました。
それと、発生頻度の評価が可能な外部人為事象、先ほどの航空機落下のようなものでございますけれども、それについては、設計基準に含めるか否かというのは、発生頻度を参照する。
この場合でありますと10-7回/炉・年ですが、暫定値でありまして、今後の議論を踏まえてということになりますけれども、そういうものについては、その影響を勘案した上で設計基準とするということでございます。
これは繰り返しになりますが、だから、その正しい設計基準を超えるものであって、それで終わりということではございませんで、マネジメント策、その他の対策は必要ということでございまして、それは3.以降に御説明しようと思ってございます。
以上です。
○更田委員
今の説明は、参考資料3で言う1の列です。設計によって対処しようとしている外部事象に関わるもので、考え方を四角囲みでお示ししています。これを文章にして、くどいようですけれども、先ほどの参考資料5の形にしていきたいと。
ですので、中身がこれでいいかどうかという議論です。何か御質問、御意見。杉山さん、どうぞ。
○杉山研究主幹
7ページと9ページの一番最後の段の発生頻度の評価が可能な自然現象、ないし、外部人為事象、これ、発生頻度の評価が不可能なやつは、これはもう1個上の、つまり、参考資料3で言うところの2の方に持ち越すという意味なのですか。
それとも、ここでもう、そこで消してしまうという意味なのでしょうか。
○更田委員
2の方にだけではなくて、さらに言うと、3の方に持ち越さなければならないものだってあると思っています。
○杉山研究主幹
ここの記載方法というのは、何か言いっ放しだと、非常にそこが不親切かなと思うのですけれども。
○保安院 山形統括調整官
すみません。ここは、設計基準の考え方をまずまとめてございますので、では、その設計基準に対してどういう対策をとるのかというのは、すみません、ここには書いていないものですから、少し混乱が生まれていたのだと思いますけれども、すみません、それは偶発事象の方で確率や頻度を計算できないものはどうするのだという御趣旨でしょうか。
○杉山研究主幹
いえ。どちらもなんですけれども、単純にこれを読むと、可能な事象については、設計基準に含めるか否かの判断をすると。もちろん含めたら、どう対処するというのは、もちろん次の話であって、そこで評価した結果、当然、設計基準ではおよそ対処できそうもないとなれば、当然、次の方に、ステップに進むというのはもちろんわかるのですけれども、この頻度の段階で、発生頻度の評価自体が難しいとなったものに関しては、例えば、かなり保守的に仮定するなり、あるいは、もうそこは決定論的にやるなり、何か……。
○更田委員
それはもっともで、要するに、個別の事象について、その頻度の評価ができない事象については、個々に判断していくことになると思うのです。それが設計で対処できるのは、設計で対処する必要があるものだったらば、それは、おっしゃるように、どのような設計で対処するかという議論に入っていくし、ないしは、それはもう設計で対処できなくて、後ろへ送るというものもあるだろうし、ないしは、考慮すべき検討の対象から外れるというものだってあるだろうと思いますけれども、それは個々の現象ごとに議論していくことになると思います。
山本さん、どうぞ。
○山本教授
2点あるのですけれども、まず、1点目が、例えば、7ページに、発生頻度が10-4、こういう記載があって、ここで言っているところの発生頻度というのは、そもそも何を言っているのか。
何を言っているのかというのは、低頻度の事象になるほど、母集団の推定も含めて、頻度自体の不確かさが大分大きくなると思いますので、その平均なのか上限なのか、そういうところについて、ここで何か書くかどうかというのが1点目ですね。
もう1点なのですけれども、こちらは9ページの方で、二つ目の三角のところで、外部人為事象(偶発事象)とは、これ、これ、これというふうに決め打ちで書いているのですけれども、これは先ほど議論があったと思いますけれども、例えば、サイト固有の状況というのが、3ページには適切に考慮しなさいというのが入っていて、こちらにそれが入っていないのは、ちょっと抜けているかなという、そんな気がします。
以上です。
○更田委員
二つ目の方はよろしいですよね。それは、それぞれにきちんと書いておくべきなのだと思います、サイト固有のものに関しては。発生頻度については、何かありますか。
○保安院 山形統括調整官
一つ目の御意見の方は、すみません、ここも書き足りなかったところがあると思っております。こういうものが自然現象の、こういうものの中から適切に選定していくということを書き加えたいと思います。
○更田委員
もう一つ、そもそもこの発生頻度の定義というか。
○保安院 山形統括調整官
発生頻度の定義につきましては、ここは平均値にするのか、何%の信頼性をとるのかということは、さらに詳細な段階でまた御議論をいただくことになると思います。
○更田委員
諸外国の例を引いていますけれども、これはちょっと私は知らないですけれども、95%超過確率だとか、何かその一般的にとられている常識的なやり方はありますか。平均値ですかね。
○保安院 山形統括調整官
いえ。ちょっとそこは調べますので、宿題ということにさせていただきたいと思います。
○更田委員
ちょっと調べましょう。調べてください。ほかに、よろしいですか。平野さん、どうぞ。
○平野総括参事
7ページのところに書いてある、発生頻度10-4、ヨーロッパの多くの国で、フラッディングだとか、このぐらいの値を使っているというのは私も聞いています。完全な論理を構築するという観点からすると、こういう発生頻度、ハザードカーブを求めて、それをもとに安全の論理を構築していくと。
どういう意味かというと、異常な過渡変化とか、事故というのは、プラントの寿命中に1回起こるとか、それより低い頻度とか、常に安全を考えるときに、その頻度をベースにして考えるということで、こういう評価ができるものが望ましいと、そうあってほしいと思うのですけれども、必ずしもそれはなかなか難しくて、では、津波はどっちなのだという議論は、多分我々の議論ではなくて、どこかでやられるということになるわけですね。
○更田委員
おっしゃるとおりです。例えば、今、異常過渡の例を引かれましたけれども、寿命中に1回は起こるかもしれないと。それから、それをさらに超える頻度ですとか、その頻度で整理できることが望ましいというか、それを期待したいところですけれども、今、例に引かれた、例えば津波ですとか、そのハザードカーブが引けるものと引けないものというのがあると思うのですけれども、最も代表的な外部事象としての地震と津波については、別途検討チームが、この検討チームから恐らく1、2週間の遅れで動き始めますので、そちらで検討ということになります。
○平野総括参事
そこでコメントなのですけれども、まず、認識としては、決定的に重要であると。安全の論理の構築をする場合に、ベースになることで、頻度概念がなければ、安全の議論はできないと。
遅れてある種の情報が入ってくるということであれば、そういったものが入ってきたところで、また議論するというのを、ここでは単なる整理をしておくと。それだけのことなのかなと。
そういう確認です。
○更田委員
地震、津波について、別の検討チームが立ち上がりますけれども、冒頭で申し上げたように、そこでの議論はいずれ合流していかなければいけないと。ですので、それが第5回になるのか、6回になるのかわかりませんけれども、例えば、必要であれば合同でやりますし、それから、むしろ、あるべきであろうものは、地震、津波での検討の結果を受けて、こちらで議論をしていくという進め方になるだろうと思いますけれども、いずれにしろ、合流は考えております。
あと、リエゾンを置きたいとも思っておりますけれども。阿部さん、何かありますか。
○阿部技術参与
二つあるのですが、一つは、7ページの箱の中なのですけれども、「対象となる自然事象に対応して、過去の記録の信頼性を考慮の上」と書いてありまして、これは過去の記録を見るわけですよね。
「少なくともこれを下回らない」というのは、これは下限を決めているわけですね。その上に「統計的に妥当とみなされるもの」というのは、これは上限を決めているやつですね。
これが福島事故の原因ですよね。要するに、統計的に妥当なものということで、400年の津波データでやった結果として、10-3よりも大きな津波を見逃してしまったというのが一番大きな原因ですね。
それで、その後ろに「最新の科学的技術的知見を踏まえて予想される「自然現象のうち最も過酷と考えられる条件」」と入れられているのは、これはその前の上限は考えないことにしましょうということを言っているわけですよね。
そうすると、真ん中の、今までの統計的に妥当と思われるものというのは要らないと思うのですけれども。これが1点目です。それから、今のをもうちょっと細かく言いますと、予想されるというのは、これは10のマイナス何乗の範囲でということで考えているわけですよね。
だから、ここのところは、それを入れてしまうと、その前のところは要らなくなるはずだなというふうに思っています。それから、もう一つ、すみません、あと1点ね。それから、もう一つは、9ページですか、「発生頻度が10-7回/炉・年を超えなければ設計上の考慮を不要としている」とありますね。
これ、従来、みんな「考慮を不要とする」でしたね、設計での考慮を必要としないと。それに対して、箱の中の一番下の方に、これも発生頻度が10-7を上回るものについては、その影響を勘案した上で設計基準とすると書いてあるのですよね。
設計で考慮する必要がないというのと、設計の基準とするというやつの意味が違うのではないかと思うのですけれども、これについては、御説明をいただきたいと思っているのです。
○保安院 山形統括調整官
ちょっと補足させていただきますと、この9ページの航空機落下については、発生頻度が10-7を超えなければ、設計上の考慮を不要としているというものですが、昔のこれのもととなった報告書の方を読んで、私の理解ですけれども、そこは設計上の考慮を不要とするというふうに明確に書かれておりまして、設計及びマネジメントで考慮するという書き方ではなかった。
ここは後ほど確認すればわかるのですが。
○阿部技術参与
すみません。私の言い方がおかしかったのかもしれませんが、設計基準とするというのは、10-7のその事象そのものを設計基準とするという意味ですかと。そうなのですか。
○保安院 山形統括調整官
私が読んだ報告書では、そういう趣旨であって、これは多分その飛行機の落下というのは、起これば影響度が非常に大きいので、相当下の数字にされていたのかなという理解ではあったのですけれども。
ちょっとこれ、個別に、事実関係だけですので。
○更田委員
これは議論だと思うのです。例えば、10-7までの、例えば、津波を例にとると、10-7までの頻度の津波に対して、では、そのときの設計基準津波をどう考えるかというときに、10-7の頻度の津波をとるのか、それとも、それよりも発生頻度の高い津波を設計基準としてとって、マージンを持って10-7までカバーするのか、それはその評価のやり方と相まって、というのは、頻度の低いものほど、小さなものほど、不確かさが非常に大きくなってしまうので、安全評価の妥当性が下がって、信頼性が下がってしまうと思うのですね。
ですから、そういう意味では、阿部さん御指摘のように、10-7までカバーするものに対する設計基準津波であるとか、設計基準何々を、その頻度のものにするというのは、必ずしもそうではないだろうと思います。
○渡邉研究主席
今の文章のところとはちょっと違うのですけれども、その上の安全委員会の時代の文章をそのまま引っ張ってきて、最新の知見という言葉だけを入れているのですが、もともとの文章の意味がさっぱり理解できないのですけれども、少しこれを解釈していただけませんかね。
要は、先ほど阿部さんが、統計的に妥当とみなされるというのは、いわゆる400年の歴史しかないものを信用していたというような解釈をされているのですけれども、私は、必ずしもそうだとは思っていないので、どういう意図で書かれているのかよくわからないんですね、もともとが。
そもそもが、何がわからないかというと、過去の記録の信頼性を考慮するとはどういうことだと。何をもって過去の記録の信頼があるのだと。誰がどういうふうに判断して信頼できるものだというふうにするのだということ自体、さっぱりわからないわけですよ。
いずれにしても、こんな解説はあってもなくても意味がなくて、そうだったら、もう一番初めからこんなこと書く必要がないのではないかなと。
○更田委員
渡邉さんの質問は、要するに今の、今のというか、旧来の設計指針の解説そのものがわけわからんと、そういうことですね。
○渡邉研究主席
はい。
○更田委員
これは、どうしよう。山田課長、コメントありますか。
○保安院 山田課長
過去の記録の信頼性ということについてですが、私も、保安院にいたときの意見聴取会で地震・津波の関係の議論をされているのを聞いていての理解でございますけれども、過去の記録といっても、必ずしも正しく書き取っているかどうかとか、そういうことで、文献自体についての信憑性については、やはりきちんとチェックがされるみたいでして、要するに複数の文献に書かれているかとか、そこに書かれている文章の内容が、その当時の時代にこういうことが書かれているということは本当に適切かどうかとか、そういうものを評価をするというのが、文書の信頼性を考慮するということで議論をされているというのが私の理解でございます。
○渡邉研究主席
今のお話は、多分地震とか、ある意味極めて重要な、我が国で昔から重要とされていた自然現象だったらわかるのですが、これ、地震以外ですよね。そうすると、ますますわからないんですよ。
○更田委員
そもそも、この7ページの四角囲みの上のブレット、「最新の科学的技術的知見の反映」を意味する文章として、旧来の設計審査指針の文章を参考にそれを引っ張ってきているんだけれども、これがそもそも必要かという議論ですね。
○保安院 山形統括調整官
申し訳ございませんけれども、多分これを実際に条文にするときには、その点は厳しく文章を精査しないといけない。今までの指針というのはそういう議論を、まあ、法律屋さんのチェックを受けていない文章でございますので、今回はそれをしっかりしないといけないと思っております。
趣旨的には、私の理解ですけれども、過去の記録というものはあると。そうすると、今までの最大のものというのは何年周期でこういうのが起こっているというのが過去の記録でわかる。
例えば地震ですとか津波でわかる。そういうものと、プラス、私の一つの例で言えば、最新の科学的技術的知見というのは、プレートは二連動なのか三連動なのかということもあると。
その両方から、過去の記録から見る最大のものもあって、そういう新しい二連動、三連動というようなことから出てくる最大の地震があって、それを両方考慮した上で、大きい方を最も過酷な条件としなさいという趣旨だと思っておりますので、これを実際に骨子にするときには、そういうところをきっちり詰めた文章にさせていただきたいと思います。
○更田委員
ちょっと議論を踏まえて修文を考えましょう、その辺。ここの部分に関しては。櫻田審議官。
○櫻田審議官
文章の話は、今、山形調整官が述べたとおりだと思うのですけれども、地震、あるいは津波に関する話は置いておいてと。そうすると、そのほかについては、こういう記述が必要なのか、こういう御指摘だったのかなと思うのですけれども、この原案を弁護するという、そういうつもりがあるわけではないのですが、4ページのところに、その考慮すべき自然現象とか、3ページのところにもありますけれども、それを見ていくと、例えば洪水とか台風とか積雪とか、そういうのもあって、本当に大きな洪水とかというのは、ある種過去の記録があるのかもしれないとかいうことを考えると、あるものは過去の記録というのに当たって、それを信頼性を考慮して、少なくともこういうものが昔あったよねというところを斟酌するということは求めてもいいのではないかなという感じもするのですが、いかがでしょうか。
○渡邉研究主席
わかります。おっしゃる意味はわかります。ただ、かなり限定的だろうと私も思っていまして、洪水よりも、私は、台風の方が記録が残っているかなと思うのですけれども、そういう意味では、ただ、立地点特有のものということになると、その特有なところできちんとして、きちんとした評価をするというのが、もともとの本来の趣旨であって、そうすると、いわゆる基準というものの中にこういう考え方って本当に必要なのかと。
実際に評価をする側が、こういう考え方のもとで、だから信頼が高いのだとかいう説明をするという意味合いは当然必要だと思うのですが、こちらからそんなことをきちんと、初めから要求する必要があるのかという気持ちもあるのです。
ですから、あまりそういうところをリジットに求める必要はなくて、適切に評価しろということを規定すればいいのかなというぐらいなんじゃないかなと思うのですが。
○更田委員
適切な設計がなされているかどうかということを評価してくださいと、そういうイメージですか。
○渡邉研究主席
そうです。
○更田委員
阿部さん、どうぞ。
○阿部技術参与
私も渡邉さんのおっしゃっている話とほとんど同じなのですけれども、こうやって、ここにずらっとその外的事象の例を挙げて、考え落としをしないようにしましょうということ自体は悪いことではないと思っているのですが、実際にこれを評価しようと思うと、ほとんどのものは、そんなに一生懸命評価しなくていいよという結論になるのだろうと思っているわけです。
それから、実際に評価しようと思っても、なかなかデータがないというようなことになるんだと思っているのです。しかし、例えば今度の津波を見ますと、本来評価ができたはずのものが、その評価の漏れになっていたということの方がずっと大きな影響があったと思うんですね。
ですから、むしろ、重要な外的事象に対しての評価がきちんとできるようにするというようなことの方が、より重要だという感じがするのです。その次に、では、外的事象のその評価をしようとしたときに、後ろの方の、後段の方は別にして、一番最初のレベル1のところで考えると、従来は、さっきのハザードを評価してみて、10-7の切り捨て基準を考えますと。
その次には、もし、その10-7をオーバーしたときには、さっき少し議論がありましたけれども、10-7のものを設計基準にする場合もあるし、そうでない、もっと大きい頻度のものを設計基準にするものもあると。
それは僕はケース・バイ・ケースだと思っているのですが、そういうものを設計基準として防護設計をするということになるんですよね。だから、その3点セットなんですね。
最初にその切り捨て基準を考える。その次に、そのデザインベースのハザードを考えて、3番目に防護設計をすると。ここで、落下評価のやり方をきちんと書いてあるのは、多分、その2番目のところに書いてあるのは、1番目か。
それは、航空機落下だけでしょう、きっと今。それから、設計のやり方をきちんと書いているのは、耐震指針だけではないですか。だから、むしろその重要なものについて、そういうところの考え方をきちんと書いていくということの方が大事ではないかと思っているのです。
○更田委員
今の御意見、私は全く異論のないところではあって、参考資料3でいうところの、参考資料3の枠の下に「頻度」と書かれているところに、α、βとあるのですけれども、αが、今のところ念頭に置いているのは、大体10-4、βのところが10-7と。
それをそれぞれ、これは安全目標・性能目標の議論と相まって決めていかなければならない。さらに、1のカテゴリーの中では、これは設計で対処する。2は、マネジメントと相まってすると。
1のカテゴリーに対してどういうものを設計基準として用いるかといったら、恐らくこれはαの頻度のものだろうとは思うのだけれども、2のカテゴリーに対しては、先ほどと繰り返しになりますけれども、βの頻度を持ったものにするとするか、それよりももう少し頻度の高いものを――「設計基準」という言葉はおかしいですね、ここで言うと。
要するに、設計及びマネジメントを評価する上での指標となる事象として、ハザードとして、もう少し頻度の高いものにする可能性はあると。そういった議論はあるのだろうと思いますけれども、すみません、山口先生。
○山口教授
今の議論で少し意見を。この7ページ、2ですか、今まさに更田委員がおっしゃっていただいたのですが、安全目標・性能目標の議論を踏まえて検討という、ここが私はやはり非常に重要なところなんだと思うのです。
それで、今、自然現象が色々表として出されていますけれども、自然現象といっても、それがプラントに及ぼす影響の時間と距離の影響度というのは全然違いまして、例えば台風なんていうのは、随分前から、いつ来るかという予報ができるわけですね。
そういうふうに時間的に余裕があるものとか、距離的余裕があるものとか、色々防護対策を打てるものとか、そういうものを、その頻度というところだけで見ていくのは、私はあまり適切ではないと思いまして、今のこの表の中で整理されているのですが、それぞれの外的事象、自然現象に対しては、その影響が、時間的要因がどうか、距離的要因がどうか、あるいはマネジメント対策をとる余裕がどうか、そういったものを踏まえて整理した上で、どれぐらいの頻度が適切なのかというのを決めるべきだと思うのです。
実際に、設計基準として要求する場合には、例えば地震の場合にしても、過度に大きな地震を考えても、その周波数特性とか、その設計をやろうと思ったら地震の特性を決めないと設計できないわけですから、ところが現実的に、かなり大きなものをとっても、そういう特性を決定できなければ、果たしてそういった設計が有効になっているのかどうか検証できない。
そういう意味でいったら、設計は、決して発生頻度の低いところに対して配慮を払わないというわけではないのですが、設計はきちんと現実的な発生頻度のレベルで我々が物を設計できるような範囲でやるべきである。
その上で、ちょっと説明を聞いていなかったのかもしれませんが、この参考資料3には、これはいい整理だと思うのですが、マネジメントでどうできるとか、そういう観点で設計対策をどれだけ厚くとっているかという面で総合的に見ていくものだと思うのです。
ですから、むしろ今統計的に有意であるとか、あるいは、過去の記録の信頼性を考慮というところが議論になっているのですけれども、私は、あまりそういうところは本当は本質的なところではなくて、その外的事象の特徴とか、そういうものを踏まえて、それぞれに応じた設計対策をきちんと出していくというところに議論を集中させるのが有効であると思います。
○更田委員
今のは比較的コンセンサスとなる御意見だと思いますけれども、いかがですか。櫻田審議官、どうぞ。
○櫻田審議官
1点だけちょっと気になったところなのですけれども、実際に対策を講じるための余裕があるのかどうかというところが、一つの、実際にプラントを安全に保つことができるかどうかということを判断する上で大事なファクターであるというのは、それはおっしゃるとおりだと思います。
一方で、余裕があるから考えなくていいよというわけでは多分なくて、例えば台風とか、そういうある程度事業者が危ないなと思って準備をするということができる余裕があれば、こういう対策を講じることができるよねということも、ある種の。
ただし、非常に大きな被害が予想されるということがあらかじめわかっていないと、そういう対策を講じるということも多分できないので、配慮をするということを求めるということ自身はどこかで必要なのだけれども、それがどれだけ事業者にとって厳しいものになるのかというところが最終的に変わってくるという、そういうことではないのかなと思うのです。
したがって、ある程度頻度が高いものもそうですし、頻度が低いのだけれども、プラントに対する影響が非常に大きいということが見込まれるようなものであれば、それに対する、空間的余裕があればあまり被害はないのかもしれませんけれども、時間的余裕があるにしても、時間的余裕も込みにした対策は講じることはできますよという答えを出してもらえればいいという、そういうことなのではないかと思うんですけれども。
○山口教授
今の点は全く同感でして、まさにそれは安全目標・性能目標の議論を踏まえてというところとか、それから、例えばALARAというものを我々はどう理解して、そういう問題に対処していくか。
ALARAというと、色々な解釈をされがちなのですが、今おっしゃっていただいた点は、私も全くそのとおりだというふうに思います。
○更田委員
先ほど来、例えば平野総括参事が言われた頻度の概念が重要であると。それから阿部さんが言われたもの、山口先生、それから渡邉さんかな、ここら辺は、基本的には、例えば現象に応じた配慮に関して、これは骨子案に書いていくときに、どのグレードになるかというところはあると思うのですけれども、いわゆる従来のカテゴリーで言えば、解説に関する部分で考え方をきちんと示しておくことは、要するにこれは何かを、規則というか、規則そのものになじむかどうかはわからないけれども、その背景となる考え方として挙げておくべき事項は幾つかいただいたと思っていますけれども。
○保安院 山形統括調整官
これは条文を作るときに法律的な整理になると思いますけれども、外的事象について適切に考慮することというのは非常に大きな考え方になって、さらに、今挙がった観点ですと、頻度、それと時間的な余裕、それと影響度、多分飛行機のようなものであれば、頻度は低くても影響度も大きいし時間的余裕もない。
片や、生物学的影響の方で、毎年来るクラゲみたいなものは、時間的余裕もあれば、手で簡単に排除できるというものもありますので、そういう考慮すべき観点というのをきっちりと整理して、そういうものを解説といいますか、内規に書いて、審査官または事業者がどういうことを考慮すればいいのかということを整理して、基準の骨子案になっていくというふうにしていきたいと思います。
○更田委員
それで、さらに今日、議論に何が重要で、重要でないというのを言うのも何ですけれども、さらにもう一つ、肝となる部分で言うと、設計及びマネジメントで対処すべき外的事象に関して、2.の方で、これからまださらに、後段の2.の方で説明をしてもらわなければならないものですから、ちょっと時間も関係もあるので、先にこの資料2の説明を終えていただけますか。
○保安院 山形統括調整官
それでは、資料2の10ページをお開きを願います。2.のところは設計基準でございましたけれども、ここは、設計基準を超える自然現象、参考資料3で言いますと、2のカラム、3のカラムを合わせた部分になります。
まず、設計基準を超える自然現象に対する安全機能を有する、これはちょっとワープロを打ち間違ってございますけれども、設計基準を超える自然現象に対して、ポツというのが、すみません、抜けてございます。
安全機能を有する構築物等の安全機能喪失を、まず防止するということでございまして、現状、設計基準を超える自然現象に対して、法律に基づく規制というのは要求してございません。
これが今回の大きな反省ではございますけれども。そうしますと、基本的考え方で、まず、設計基準を超える自然現象に対して、この安全機能を維持できる範囲を増す、要は余裕ですね、安全マージン、余裕を増すように対策を実施して、それを常に向上させていく努力が必要で、そして、そういうためにはまず、1.のところで議論しましたような、考慮すべき自然現象に対して安全機能を有する構築物の「実力」を評価する。
設計というものはある程度余裕を含んでおりますので、そういうものを、余裕も含めた実力を評価する。そしてさらに、イベントツリーによる影響評価、今までですとストレステストの一次評価と同じようなやり方かと思いますけれども、そういうもの。
また、外的事象の確率論的リスク評価で、これはどの部分を強化すれば、どれだけリスクが下がるというようなことの重要度解析というのもできますので、そういうものを用いまして、どの設備を強化すればいいのかという選定ですとか、具体的な対策を実施するということでございまして、箱の中でまとめてありますのは、今説明しましたとおり、実力を評価する。
そしてイベントツリー評価によってどこまでもつのかという、ストレステスト一次評価的なものを実施する。さらに、個別に確率論的リスク評価を行って、合理的実行可能なリスク低減対策を求めるというものでございます。
これをまずできるだけ裕度を増していくというものでございます。11ページをお開きください。そうはいたしましても、やはり裕度を増しても、いつかは強度が増していきますと安全機能を喪失することがございます。
したがいまして、安全機能喪失への対処を考えなければなりません。基本的考え方としましては、大規模な自然災害、テロリズムなどの犯罪行為、そういうことが起こっても、安全機能は喪失する事態、それにあらかじめ用意しておく必要がございます。
この対処の方法には二つございまして、一つは、さまざまな事態に柔軟に対応できるような可搬型設備を中心とした対策。それと、さらに、そういう可搬型の信頼性を高めるために、これは設計基準を超える外的事象の、やはり設計基準に近い部分、相対的に頻度が高い事象について、一定程度の想定をして、より確実に対処できる恒設設備を中心とした対策をとると。
この二つがあるのではないか。特に日本の場合は、地震・津波リスク、そういうものも踏まえて検討していく必要がございます。12ページは参考でございますけれども、これは各種、国会事故調、政府事故調などでも指摘されておりますけれども、アメリカのB.5.b型と言われるようなものでございますけれども、12ページの左下の方に、見ていただきますとあれですが、具体的な発電所対応の例ということで、移動式電源、ポンプ、さまざまな、RCIC手動操作、そういう事故時の手順などを用意しておくというようなもの。
右の方に行きますと、アメリカでFLEXというふうに呼ばれてございますけれども、そういうようなものをきっちりと用意しておくというようなものでございます。これはある種柔軟な対応でございますので、応用操作をきかせれば、さまざまな事象に対応できるということがございます。
ですから、今まで議論しました参考資料3の2がメインでありますけれども、3の部分にも応用が可能かと思います。そして13ページになりますけれども、これは、ヨーロッパはフランスの例でございますけれども、今年でありますが、フランスの規制機関が電力会社に対して指示をしてございますが、こちらは、どちらかというと施設と、それと組織、両方でございますけれども、それに頑健性を求めていると。
ハードな対策になってございまして、特にハードンドコアと呼ばれているものですが、ハードンドというのは強化するということでございますし、コアというのは安全上非常に重要な意味のあるもの、そういうものを求めてございます。
こういうもので、左の一番下に書いていますように、ハードンドコア、そういう非常に防護されている外的事象に対して強くした電源供給手段というものも含んでございます。
14ページ。では、こういうアメリカですとかフランス、そのほかの国も同様のことをしておりますけれども、そういうものを例にとって、14ページ、3.(2)、可搬設備等を中心とした対策ということでございます。
ここに書いてございますように、大規模な自然災害、テロリズムなどの犯罪行為、こういうことによって安全機能を喪失した事態に備えた対処をあらかじめ用意しておくということで、これはB.5.bなどを参考にしておくと。
そして、こういうテロリズムを中心に、9.11以降に整備されたものでございますけれども、これは自然現象に対しても有効でございますし、また、参考資料3でいうところの極低頻度、極めて低いけれども高影響事象に対しても応用可能ということでございます。
そういうことを考えますと、下の箱になりますけれども、可搬設備等を中心とした対策というのは、対象事象としては、テロですとか航空機衝突、大規模自然災害によって、プラントが大規模に損傷した状況を想定する。
一つの機械が壊れたとか、そういうことではなくて、ある発電所の一部が被害をこうむったようなプラントの大規模に損傷した状況を想定いたします。防護の目標は、このような状況下におきまして、炉心、格納容器、使用済み燃料プールの冷却機能を維持または復旧させるということが目標でございます。
対策の例となってございますが、これはまだまだ議論が必要なのですが、イメージが湧くようにということで、例えばでございますけれども、このような関連設備、消防車ですとか電源車というものは、外部事象から適切に防護するということで、航空機衝突の場合は、原子炉建屋から離しておけばいい。
100mぐらい離しておけば大丈夫ではないか。津波の場合であれば、高台に置いておけばいいのではないかと、そういうことと、そうはいっても電源車はつなぎ込まないといけませんので、電源ですとか注水の外部からの接続口、こういうようなところは、プラントが大規模に損傷した場合でも接続が可能でなければならない、これは当然でございまして、15ページを見ていただくと、これは一つのイメージでございますけれども、もし非常に大きな地震ですとか津波、または航空機の衝突が起こったような場合、そうしますと、原子炉建屋というのは非常に壁厚が厚いので大丈夫なんですけれども、タービン建屋ですとか補助建屋というものは期待しないとした場合に、原子炉建屋から100m以上離れたところに、可搬設備、注水ポンプですとか電源車を、さらに高台に置いておくと。
そして、このような形で接続して、水、電気を供給するというものでございます。ですから、近くのものは、建屋は頑丈でございますけれども、その周辺は少し弱いので、そういうところは期待しない。
ただし、衝突の影響範囲というのは限られていますので、ある程度距離が離れたところに色々な設備を置いておこうと、そういうものでございます。16ページですけれども、今まで御説明しましたのはフレキシブルな対策ですが、次は恒設設備で、信頼性を高めるために、ある程度のところまでは恒設で対応するというものでございまして、箱の中であります。
対象とする事象は、特定の多重故障。外部事象ですので、原子炉建屋の外にある取水口、最終ヒートシンクですとか、送電線、外部電源、そういうものがございますので、そういう長時間の全交流電源喪失を含む、そういう多重故障を想定する。
これは当然地震などで起こった場合も含みます。そういうもの。それと②は、意図的な航空機衝突、テロリズムでございます。防護、どこまで、何を目標とするかということで、①につきましては、炉心損傷の防止、②は大規模な放射性物質の放出を制限するということでございます。
これはあくまでも例でございますけれども、対策の例として、①であれば、これは代替のヒートシンクですとか代替の電源を用意する。あと、当然それを制御するというものも含みます。
②の方は、格納容器スプレイで、これは最後の格納容器を守るということでございますので、格納容器を冷やすペデスタル。溶融炉心が落ちていれば、それを冷やさなければいけませんので、そこへの注水。
圧力を抜くためのフィルター付きのベント、それを制御するもの、というものでございます。これが17ページに大体の、今、口で言ったことを概念にしたものでございますけれども、格納容器への注水、そして落下しているであろう溶融炉心への注水、そしてそこから発生してきます蒸気を抜くためのフィルター付きのベントというものが、最後の最後、格納容器を守るために必要なものではないかということでございます。
そして、その前の段階におきましては、代替のRHRですとか電源、こういうものを当然使えるということで使っていこうというものであります。18ページは、今日の議論を少し大枠の整理ということでございますけれども、まず外的事象に対して、デザインベースは、これは設計上考慮して、安全機能は喪失しないようにしようということで、それに対して、やはりそれはもう少し色々な対策で裕度を向上させていく。
裕度を向上させて、当然、安全機能を維持させると。そして、資料の説明の順番で言いますと、それを超えるようなものについては可搬型設備で非常に大きな網をかけようと。
ちょっとこの図があれですけれども、可搬型設備は当然弱い、少し設計基準を超えたところも、大幅に超えたところもカバーして、さまざまな柔軟な対策をとれるわけです。
それで、さらにその可搬だけではなくて、信頼性を増すために恒設設備を置こうと。恒設設備を中心とした対策①というもので、ある程度のところまでは炉心損傷を防止いたします。
さらに大きなことが来ても格納容器を守っていこう。そして、それを超える部分については、可搬型のものがございますし、可搬型のものであれば、相当大きなものが来た場合においても、大規模放出の防止ですとか緩和に役立てていこう。
ここは、参考資料3でいいますと、コラムの3の部分のところまで、緩和対策というものをきっちりと考えて全体がカバーできるようにしようと、そういう整理を少ししてみたものでございますので、ここはぜひ御議論をいただけたらと思っております。
以上です。
○更田委員
ここのところは色々、多分資料の構成もあるのだろうけれども、なかなかわかりにくいと思います。最後の18ページのところに、設計基準を超える範囲のところにあっても、設計基準に関しては、御指摘の評価に基づいた対処がされていますから、それの実力評価をやって裕度があるだろうから、その裕度向上でもってカバーする部分。
それから、可搬設備等を中心としたものでシビアアクシデントを回避、炉心損傷回避になるもので、さらにその信頼性を高めるために、恒久設備、これは保安院での意見聴取会での報告書で使われていた用語で言えば、特定安全施設がそれに相当するのだと思いますが、フランスのハードンドコアが一つの例になるのかもしれませんけれども、特定安全施設等によって、炉心損傷防止に関しての信頼性を高めていく。
さらに、そういった恒久設備や可搬設備等は、炉心損傷に至った場合でも、その影響を緩和することに、放射性物質の大規模放出の緩和に使っていける。さらに頻度の低い話に関しては、参考資料3の表現で言えば、包括的な対処策、これは敷地外からの支援も含めた可搬設備によって対処していく範囲と、そういう整理になっています。
もちろん、これでいいかという話もありますし、それから特定安全施設に関しては、何を要件とするか、何を機能として要求するかというのも、それぞれ個別に議論のある話だと思っています。
今の山形調整官に説明してもらった部分について、何か御質問、御意見があればお願いします。渡邉さん。
○渡邉研究主席
幾つかあるのですけれども、まず最初に、10ページの評価のところなのですが、これは、いわゆる設計をするための評価という位置づけ、設計の妥当性を確認するための評価という位置づけなのだと思うんですけれども、この実力評価、それからイベントツリーによる評価、PSAと、この三つのそれぞれの目的を、私は、はっきりさせていただきたいと思うんですね。
先ほど更田委員がおっしゃっていたように、実力を評価して余裕を見るという、これは非常にいいことというか、やるべきことだと思っていまして、現実に、「地震安全の論理」という学会がつくったものでも、その重要性はきちんと謳っていると。
その活動も既に始まっていたというところで、残念ながら福島を迎えてしまったのですが、地震ならばある程度できるかなと。それ以外はどうかということを考えると、非常にこの実力評価というのは難しい面があって、逆に言うと、いわゆるイベントツリーのストレステストのような評価であれば、ある意味、「えいやあ」的な、保守的な考え方を導入して、クリフエッジを見つけていって、モグラたたきをやって、重要なところだけきちんとその実力を見ていくというふうなやり方をとれる。
そういう、うまい具合に使い分けるというか、組み合わせると、有意義なものになって、実効性の高いものになるのではないかなと。独立にこういうふうに書かれてしまうと、みんなやるのかと、そういう印象を持ってしまうので、そこのところをきちんと、目的をきちんと書いた上で、こういう評価をしなければいけないという書き物にしていただきたいというのがまず第1点です。
○更田委員
ちょっとまずそこでそれにお答えすると、おっしゃるとおりなのですけれども、資料を作る上において、サボったという表現は正しくないけれども、簡略化したというか。ですから個別のもの、例えば十把一絡げ全てに関して同じ手法を用いることが望ましいと言ってみたところで、実効的でなければ意味がないわけで、実効性の高い規制を考える上では、できるものに関してはそういう評価手法を用いるし、できないものに関しては次善の策をとるというやり方だと思います。
ですから、例えば具体的に言えば、津波なんかに関して言うと、ストレステストの一次評価に相当するようなものが、要するに推移を上げていってクリフエッジを見つけるというようなやり方が、実効性があるのかもしれない。
例えば津波のハザードカーブみたいなものが、ない物ねだりをしたってしようがないわけですから、津波PSAという、PRAというよりは、そういったやり方が正しいかもしれないです。
それで、それが考慮すべき自然現象個々について、そういった条件は違うから、個々についてきちんと書いていくべきだろうというのは、それはそれでおっしゃるとおりだと思います。
すみません。途中で止めてしまいました。二つ目をどうぞ。
○渡邉研究主席
もう一点は、ちょっと技術的な話でなくて申し訳ないのですが、規制庁、規制委員会のスタンスを聞きたいのですけれども、今ストレステストというのは、保安院時代にやったものが宙に浮いた状態になっていると。
それをまたここで、今度は、その基準の中の妥当性の評価という格好でストレステストを推奨するというか、やらせると。何か規制のポリシーとしての一貫性があまり見えないなという気がするのですけれども、その辺を少し、規制としての位置づけというか、そういうものを説明しないとまずいのではないかなと、そういう印象を持っています。
○更田委員
これは、規制委員会としての見解を今ここで述べるのがふさわしいとは思わないですけれども、ただ、規制委員長、田中委員長は、会見等の中で、今ストレステスト、特に、ストレステストといっても一次評価までですけれども、それを改めて見ることはしないというのは明言をしています。
ですから、これは規制委員会の方針と言っていいと思います。では、ここでストレステストが入ってくるのは矛盾するではないかのように見えると。ここに持ってきているのは、ストレステストの一次評価における手法を、例えば全てに対してではなくて、例えば津波に対しては、一つのある意味、今、私の時点での考え方ですけれども、地震に関しては例えばPRAをやると。
津波に対しては、PRAが不可能だったらば、ストレステストの一次評価で通っているようなやり方、イベントツリーによる評価をやっていくという。ここでストレステスト一次評価と同様の評価という書き方をしたのがふさわしいかどうかは別として、ストレステストにおける手法をここで用いるという意味で書いている。
○渡邉研究主席
ぱっと今聞いた印象だと、例えば津波にしても、今やっているストレステストの対象で、ストレステストに、ああいうやり方に向いた現象と向いていない現象がもちろんあると思います。
その向いた現象に対して、既にやったものがあって、それをどう使うかというのは、むしろ今こういうやり方を考えるのであれば、今までの結果をどう使うかというステートメントをどこかできちんと示さないといけないと思うのですね。
要するに、再度やり直すというイメージを、これだと持ってしまう。
○更田委員
有効なもの、有益なものについては、使えばいいのだと思っています。ごめんなさい、これはあくまで私の今の時点で、例えば、今ストレステストの一次評価を規制委員会が見出して、それによって、例えば個々のプラントの再稼働だの何だのという判断はしないと。
これは、田中委員長も言っているように、見解です。ただし、では、あのストレステストの結果が全て無駄だとか、捨てると言っているわけではなくて、それは今後の審査なり評価なりにおいて有効なものは使えばいいのだと思っています。
○渡邉研究主席
有効なものを使うかどうかという話なんですけれども、既に提出されているものですよね。だから、それを使うかどうかの判断は、規制庁がするのですか。規制委員会がするのですか。
○更田委員
そう思っています。
○渡邉研究主席
そうですか。
○更田委員
異論、反論、身内からでもいいですけれども、あればおっしゃってください。山口先生、どうぞ。
○山口教授
よろしいですか。
○更田委員
渡邉さん、ごめんなさい。ちょっと途中かもしれないけれども、山口先生、どうぞ。
○山口教授
10ページ以降を御紹介いただいたのですが、その10ページと、それから最後の18ページの図ですね、その関連で少し意見を申し上げたいと思います。10ページのところに、「設計基準を超える自然現象に対して、安全機能を有する構築物等の安全機能喪失防止対策」ということで、現状が、「設計基準を超える自然現象への対策は、規制に基づく要求事項となっていない」と書いてありまして、これは一見すっと読めてしまうのですが、非常にこれは違和感があって、その設計基準を超える自然現象への対策は、規制に基づく要求事項となっていないというのは、これはある意味では当たり前の話で、設計基準を超えているわけですから。
それを、何らかの考慮対象としないといけないとすれば、それは設計基準に不備があったということなわけですので、設計基準がそういうところがカバーできるようなものにすると。
それがある意味ではシビアアクシデント対策を何らかの要求事項にするということなのですけれども、それで、私の言いたかったのは、こういうふうに書かれると、設計基準とは一体これは何なのかという疑問を感じるわけです。
その上で、18ページの最後の図を見て、また色々思うのですけれども、まずこの図で、非常にいいなと、よかったなと評価したい点は、ちゃんと縦軸に防護目的を、炉心損傷防止、それから格納容器損傷防止、大量放出防止と、この三つをちゃんと明示的に書いていただいたというのは、これは私大変よいことだというふうにまず思います。
その上で、それに対してどういう防護策をとるかなのですが、CD防止は恒設設備を中心とした対策①とありまして、CFは恒設設備を中心とした対策②とありまして、その上、LR防止は可搬設備等を中心としたと書いてありまして、私は、こういう絵ではないと思うのです。
つまり、恒設設備と可搬設備というのは、それぞれの段階で適切に組み合わせて使うものでありまして、それで16ページを見ていただきますと、恐らくその①と②という、その恒設設備を中心とした対策①②は、16ページの一番下の対策例という、ここの①②をイメージして書かれたと思うのですが、これは決して、例えば代替電源、代替最終ヒートシンクが、そのCD防止のところだけで使うとか、そういうものではありませんし、むしろここは恒設設備と可搬設備を適切に組み合わせて使うという絵にしていただかないといけないと思います。
その上で、CD防止のところでは、恒設設備の重みというのが大分重くなると。それは確かだろうと思います。それが1点で、まずその縦軸のところ、その目的をきちんと書いていただいたのはいいのですが、そのバウンダリーをこういうふうに明確に区切るというのは、私はよくないと思います。
それからもう1点、横軸の方なのですが、横軸で、デザインベースがあって、設計上の考慮があって、その隣が「裕度向上」と書いてあるのですが、私はここは裕度評価なのだと思うのです。
裕度向上を本当にやるのだったら、それは設計上の考慮をしてやるべきであって、ここはきちんと裕度評価をやって、クリフエッジを見るなり、そういうことをきちんと見ますよと。
それに対して、何らかの弱点があるのならば、設計上の考慮でやるのか、あるいは可搬設備等で対応するのか、それを判断すると。ですから、ここに、私、「裕度向上」と書かれるのは適切ではなくて、むしろ裕度の評価をちゃんとやりますと書くべきだと思います。
それからあと、横軸で、横軸のイメージ、これは「外的事象に対する」と書いてあるのでということかもしれませんが、Ssの○倍、Ssの△倍と書いてありまして、この横軸は可搬設備等を中心とした対策で、CD防止、CF防止と書いてあって、これは結局Ssの何倍まで行ったらCDになると。それから何倍まで行ったらCFになるという絵になっているのですね。これは全くおかしくて、これは縦軸で本来書くべきことであって、そうすると、ではSsの何倍かという話は、要はデザインベースのその設計基準というところをどこに置くかという話で、これは横軸に書いてあるのは、まさにほとんど意味のない話なんですよね。
それで、縦軸の防護目的で大量放出にだんだん移っていくときに、恒設設備を中心としたものにどんどん可搬設備、最後は外部支援とかも加えていくと、そういうふうな流れの中で、Ssの何倍という地震があるレンジでこの辺りに関係してくるとか、そういうイメージで捉えるということだと思います。
それで、18ページの絵は、これ自体、私は非常にいい絵だなと思って、縦軸にきちんと防護目的を書いて、それに対して設計基準と、今回色々な防護策がどういう対応関係になるのかというのをわかりやすく示したいという意味で、非常に重要な絵だと思うのですが、今何点か申し上げた点で、この絵は非常に誤解を招くといいますか、適切ではない部分があるというふうに思います。
以上です。
○更田委員
順番にお答えしたいと思います。一つ目。一つ目はまず、何ページだったかな、設計基準、10ページ、「現状」で、「設計基準を超える自然現象への対策は、規制に基づく要求事項となっていない」と。
これを「現状」と書くのがふさわしいかどうかは別として、設計基準を超える自然現象への対策を規制対象としていこうとしていると、私は思っています。ですので、今までは、例えば設計基準地震動があったら、設計基準地震動までがその規制の対象であった。
だけど、その設計基準を超える負荷に対する対処も規制対象としていこうというのが、参考資料3でいうところの2列目、3列目に相当する部分と。それから、二つ目でいただいたのが、これはもう18ページの図で、「裕度向上」と書かれている部分、これは、裕度向上を求めているというのだとすると、「向上」と書くと、要するに設計基準を拡大しましょうと言っていることと同義になるので、それはおかしいだろうと。
設計基準がここにあるのだったら、ここは、ベストエスティメートをやってやれば、その裕度の範囲の中でここまでは実効的にカバーできているだろうと見るためのエリアなのだから、それは山口さんがおっしゃっているように、私は、これは裕度評価でカバーできる部分。
ですから、EMで、保守的評価で見ているけれども、実際にはここまで実力があってというところでカバーできるエリアだと。山形調整官の説明もそういう内容だったというふうに思っています。
それから三つ目、いい図なのだけれども、まずいところがあるという話で、それは、一つは、二次元で描こうとしているのでなかなか描き切れていない部分があるのは、どのエリアであっても、恒設設備と、それから可搬設備などを相まって対処していくというのは、それはおっしゃるとおりだと思います。
それは、だからこそこの部分というのは、マネジメントのエリアに相当するので、ここを恒設、可搬で分けてしまうというのは乱暴だというのは、それもおっしゃるとおりだと思います。
縦軸、横軸ですが、今度は、縦軸は防護策の目的別に書いていて、横軸は、これは設計基準というものを示したかったのと、それから負荷、ロードの大きさみたいなものを描いていきたかったのだろうと思うのです、イメージとして。
そこで、Ssというのを引いたのがいいかどうかはまた別問題なのですけれども、ここも、確かにここで、この面で示そうとしているものが、必ずしも、ここが恒設の守備範囲、ここが可搬の守備範囲とはっきり特定できるものではないものなので、そもそもちょっとこの横軸を引くのが難しかったと思っています。
ただし、この図に関しては、ブラッシュアップして、何とかわかりやすいものにしていきたい。というのは、この資料の検討を、私、山形調整官や、そのほかの人たちと議論をしているときに、実は私から、わかりにくいから何か絵を足してくれと頼んで提案をしてもらったのですね。
それがまだ混乱を招いているのも事実なんですけれども、やっぱりそれが1枚で済むかどうかわからないですけれども、こういうもので、なるべくいいものを足していきたいと考えています。
補足があれば、どうぞ。ごめんなさい。山口先生、どうぞ。
○山口教授
私も同感で、それでこの絵は非常にいい絵だと思うのです。それで、この絵は、むしろ私の感覚でいうと、同心円で描くようなイメージなんだと思うのです。それはちょっと。
それで、これで何が言いたかったかというと、さっき横軸も結局よく考えると、CDとCFの軸なんですよね、この絵は。ですから、今、更田委員がおっしゃったように、横軸は事象のシビリティを表しているのだという、そういう軸、つまり起因事象のシビリティを表して、縦軸が事故シークエンスの影響度を表しているという考え方は、またそれはそれで一つだと思います。
でも、私もこの絵はぜひ必要で、やっぱり要ると思いますので、ただ、今のこの絵ではちょっと不満があるという。もう1点、最初にお答えいただいた10ページのところなのですが、おっしゃっていることはよくわかるのです。
設計基準を超える事象に対しても規制の要求にしようと。ところが、最近、デザイン拡張状態ってありますよね。要するに、設計基準というものの解釈が今非常に揺れているんだと思うのです。
では、デザイン拡張と設計拡張状態というのは、設計基準なのか、設計基準外なのかというと、あれは設計基準なんですよね。つまり、設計基準の今まで外であったものを設計拡張状態としてデザインで考えるという。
それで、この表現が、私が気に入らなかったところは、設計基準を超える自然現象というと、そうすると、この世界は設計基準を超える自然現象と超えない自然現象の二つに分けているのです、結局この表現ぶりは。
それが、私は、最初の考え方としてよくないのではないか。つまり、設計基準を超える自然現象も規制要求とするという言い方ではなくて、そもそも設計基準というのはどういうところまで見て、設計基準を超える自然現象というのに対して規制要求として見るところは、どういうものをカバーしなければいけないのかというところがきちんと考察される必要があるので、最初の現状認識で、設計基準を超えるか超えないかという二分論といいますか、そういうものでこう書かれるというのは、私、現状認識としてはよくないのではないかと、そういう趣旨で申し上げました。
○更田委員
わかりました。それで、これは、今日の会合の最初のころに渡邉さんからも質問があって、設計基準事象という質問をしたときに、その設計基準事象というのはどこに置いているかと。
用語の定義が今後の議論で非常に難しいだろうと思ったのですけれども、そのときは、どこかにその定点を置かないと議論ができないので、最初の資料1の説明のときには、設計基準事象というのは、いわゆる従来の設計基準事象という言い方だった。
ここのところをどうするかというのは、これもまだ議論があると思うのですけれども、従来の設計基準を超えた負荷に対して、セベラルティに対して、どう対処していくかというときのアプローチとしても、そもそも設計基準を拡張するという考え方と、それから、設計基準は固定なのだと。
それを超えるものに関しては、だからこそマネジメントなのだという考え方もあると思いますし、それから、考え方なのか言い方なのかははっきりしませんけれども、深層防護の議論をしても、これが3の2なのか、4の1なのかという議論を延々にどこでもやりますよね。
個人的な希望を言えば、そこら辺であまり深みというか、ぬかるみに入りたくない。防護策が、それが3の2層だろうが、4の1層だろうがという議論は、それは決して嫌いな議論ではないですけれども、それを喧々囂々、1年、2年やっているわけにはいかないので、山口先生がおっしゃっていただいているように、どこかで定点を決めて、それぞれの持っている頭の中にある考えが、共通の座標に沿ってできるようには努力したいと思います。
そういう意味では、ここで単に「設計基準」と書いてしまったので、これは、どの時点でのどういう、例えばエクステンデッドされた設計基準なのか、従来の設計基準なのか、そういう意味でも曖昧になっているというのは御指摘のとおりだと思います。
山本先生。
○山本教授
この18ページの図、山口先生が先ほど御指摘になった点は大体私も同感で、右側のCF防止とCD防止が縦になっているというのはちょっと違和感がありましたので、まずこれを申し上げます。
あともう一つが、恒設設備なのですけれども、こちら、横軸の左の方を見ますと、設計基準内のところをずっと上に上がっていきますと、CD防止、CF防止、LR防止ということで、こういうパスに行くのは、例えば多重故障とか、そういうことを何か想定しないと行かないと思うのですけれども、仮にまずそういうことを考えるとしますと、その場合、恒設設備の、今後、重要度分類とかを多分議論をすることになると思いますが、例えばこの恒設設備の重要度分類はSクラスとしますと、そうなってくると、多重故障まで含めてCD防止をするということになって、それは先ほど議論があった設計範囲を拡張することとほとんど同義になると思うんですね。
そういう意味では、この恒設設備の位置づけですね、これがその設計基準に対応するものなのか、そうではないのかというところの切り分けというのは結構重要になってくるので、まずその辺の考え方をお聞きしたいというのが1点です。
次は、17ページなのですけれども、こちらに恒設設備の概念図、これは概念図なので色々簡略化されて描かれていると思うのですが、例えばフィルター付きベントとか、水源が中に入っていまして、これだけのものを中に入れるとすると、かなり大きなものになるということが想像されるのですけれども、大きくなるということは、それはそれで脆弱性がまた新たなものができる可能性があるので、これを、だからどういうところまで含めるかというのは今後議論されるというふうに理解していますけれども、そういうことでよろしいでしょうか。
以上です。
○更田委員
一つ目の点は、まさに御議論いただきたいところだと思っています。というのは、今、山本さんがおっしゃったように、ここの恒設設備と呼んでいるものに、既存の安全系と同じだけの高い信頼性を求めるのだったら、それは設計基準の拡張と同義ですから、そういう高信頼性を求めて対処するのだというのも一つの対処策だろうとは思います。
一方で、こういった恒設設備が機能を要求される頻度というのは低いのだから、既存の安全系並みの信頼性を求める必要はないだろうというのであれば、これは設計基準の外で、新たな別の世界、何て呼ぶのかは、まだ用語がはっきり定義できていませんけれども、特定安全施設として設計基準の外だという考え方もできると思います。
ただ、これはまさに技術的に議論しなければならないところであって、頻度は低いのだけれども、コンシークエンスが厳しいのだから、この特定安全施設に対しても高い信頼性を要求するべきだと。
既存の安全系並みの信頼性を要求すべきだという御意見もあってもおかしくないし、一方、特定安全施設にそういった信頼性を求めることは現実的ではないという意見も、これはこれであると思います。
ですから、ここは、それこそここで議論をすればいいのだと私は思っていますけれども。安井対策監。
○安井対策監
特定安全施設と昔呼んでいたものの位置づけの、今、確率論の話を更田委員がされていましたけれども、ロスオブラージエリアの原因になるテロとか、意図的航空機落下のようなものを考えるときには、施設から離れているということが非常に大きな意味を持っていまして、そういう意味では、確率論だけで考慮するのがいいとは私は思わないのでございます。
この点だけ補足させていただきます。
○更田委員
それは同時に考慮しなければならないことですね。テロを考えると、頻度概念が入ってくるわけではないし、という。それから、ちょっと先に、山本先生が二つ目におっしゃったことが――何だっけ。
ごめんなさい。
○山本教授
フィルター付きベントとか水源を恒設設備の中へ取り込むとかなり大きくなるので、そういうもの自体、大きくなるとそれ自体が脆弱性をはらむのではないでしょうかと、そういう議論です。
○更田委員
これもまさに議論の俎上にのせるべきことだと思います。その特定安全施設に何を求めるか。それからもう一つは、こういったものを新たに加えるときには、既存のものに悪さをしないかというのが非常に重要な視点ですので、ごてごて足せば足すほど安全性が高まるかというと、決してそういうものではないので、それは考慮が必要だと思います。
渡邉さん、どうぞ。
○渡邉研究主席
今までの議論、皆さん、恒設、仮設、両方あるということを前提にお話しされているのですが、それはもう決まりなのですか。要は、先ほど御紹介があったように、アメリカはFLEXで、ヨーロッパは恒設で、どちらかしか持っていないというようなイメージを多分持っているのですが、多分間違っていないと思うのですが、要するに福島を起こした国の責任として、両方きちんと整備しようというのが大前提なのかというのが、まず一つ伺いたいところですね。
それともう一つは、可搬式のものというのは、この資料に書いてあるように、いろんなときに柔軟に対応できるという、すごくいい利点があって、それをどう使うかというのが非常に逆に難しい面が出てくると。
恒設のものにすると、あらかじめその機能を想定しておいて、限定された機能しか多分使えない。限定された状態にしか使えない。それをうまく組み合わせるというのは、多分この資料の流れなのだと思うのですけれども、ただ、本当にそういうある種の限定的なものを必要とするのかと。
幅広く使えるものを多重に要求した方がいいのではないかと、そういう議論もあると思うんですね。その辺を抜きにして、はなから恒設、仮設ということを前提にした議論の進め方というのはどうなのかなというのが気になったところです。
○更田委員
前提としてはいないです。議論の大前提というものはない。ただし、だからこそ、これが今私たちの提案だと思っていただければいいです。私たちの提案は、今、御説明したように、恒設ありきになっています。
恒設ありきで、さらにそれに可搬を足して相まってという。それに対して、カウンタープロポーザルとして、恒設なんかに投資するよりも可搬をより一層充実させて、さらに可搬のマネジメントを成熟させた方がいいという意見もあると思います。
では、ただ、白紙から、さて皆さん、ここをどうしましょうかというわけにはいかなかったので、今、私たちの提案は、渡邉さんが指摘されたとおり、この設計基準を超えた範囲に対する対処としては、恒設設備ありきで、さらにそれに可搬を足したという提案になっています。
ですから、これ自体に対して意見があれば、どんどんおっしゃっていただきたいと思います。梶本さん。
○梶本次長
渡邉さんの意見もよくわかりますが、ただ、今回の福島の事故をちゃんと振り返ってみると、1号炉はもう非常に早いうちに炉心損傷に至っていると。そうすると、こういうものについて全て可搬で対応するのはかなり困難な面もあるだろうと。
そうするとやはり恒設のものを一部設けておいて、両方で対応するという、そういうことはかなり今回の福島でも言えることではないかと思います。だから、ここで十分議論すればいいのだと思います。
○更田委員
平野さん、どうぞ。
○平野総括参事
この18ページの図について議論をしているのですけれども、私も、山口先生が言われたように、大変優れた図だと思います。それはどういう意味かというと、これも先生がおっしゃったのですけれども、軸が、これが防護層になっていて、一方で、炉心損傷、あるいは格納容器の健全性に着目した事象のシビアリティ、これはひっくり返しなんですね。
上に行けば行くほど事象が厳しくなると。それに対応する防護が書いてあると。二つの意味を持っていると。それから横軸は、これは外的ハザードのシビアリティになっていて、右に行けば行くほど厳しくなっていると。
これに対する対策を考えているわけですから、そのひっくり返しはロバストネス、堅牢性を示しているというふうに考えています。この二次元でディフェンス・イン・デプス、深層防護を表現するというのが優れた点だろうというふうに考えています。
それで、恒設設備を中心とした対策の話なのですけれども、これがずっと出っ張っているということは、上の17ページのフィルター付きベントのついたこのシステムというのは、非常にロバストネスを高めてある。
頑健性がすごい、ごちごちの施設であると、そういうふうに理解するだろうと。ドイツで言えばヴァンガードシステムだとか、フランスで言えばハードンドコアとか、そういうものを提案する。
導入する。新たに作るということを提案されていると。それは今梶本さんが言われたように、非常に早いトランジェントに対しては、可搬式のものでは対応できないだろうということと、それからこういった信頼性の高い、堅牢性が強いだけではなくて、信頼性の高い可搬式のものよりも、そういった恒設の設備を導入すべきだという考え方があるということだと思います。
私個人はその考え方を支持したいと考えています。ということと、それから、先ほど山本先生ですかね、右側の方で可搬式設備を中心とした対策が縦になっているという意味がよくわからないというふうにおっしゃっていたと思うのですけれども、これは、外的ハザードが非常に大きくなると、いろんなものがばたばた壊れてしまうと。
そういう状況で、もう何も手だてがなくなっても、格納容器の健全性を守るための手だてを、可搬式のものを中心としてやることができると、多分そういう部分を表現しているのだろうと。
これをよりよくしていくというのは大変重要なことかなと。できれば、資料としても、これが基本なので、全体の資料の先頭に来るような、要するに安全を考えるというのは、深層防護を考えることと同じですので、基本的な考え方では、まず、深層防護の考え方がまず前に出て、その後に今日議論したようなことがくっついていくというのが本来のあり方かなというふうに思います。
以上です。
○更田委員
阿部さん、どうぞ。
○阿部技術参与
渡邉さんが前半に2件問題提起して、後半に2件問題提起して、私は、問題提起としては全部そのとおりだと思っているのです。後の後半の方から言いますと、今、梶本さんや平野さんが言ったように、可搬設備では間に合わないものがあるから、恒設のものも必要だろうと。
それから、その後に可搬のものを用意したとしても、いずれそれが、本当は恒設の方がいいよねということになれば、それを恒設にしていくこともあるだろうと。ただ、だから、そういうことについて、今、前提をなくして、少し議論しましょうということであれば、それはとても大事な指摘だというふうに思っています。
だから、これは後半の方はそういうふうに思います。それから前半の方で、10ページのところで、ストレステストとか、PSAとか、そういうものをやらせますと。ここのところに書いてあるやつがずっと問題なのは、渡邉さんがおっしゃったのは、これは目的は何ですかという話と、それから規制委員会、規制庁のスタンスは何ですかという話をされましたが、2番目の方は、これは誰が使うのですかというやつにつながるわけですよね。
それで、ここの一番下を見ますと、「合理的に実行可能なリスク低減対策を求める」と、これしか書いてないですね。そうすると、規制委員会は、こういうものを見たときに、求めるだけで、その判断基準はないんですよ、どこにも。
だから、こういうことをやらせて、何か考えさせること自体はとても大事な話だと思うけれども、では、それを受け取ったときにどうするかと。規制委員会としてどうするかということについては、ある程度そのスタンスを決めておいていただかないと、何していいかわからなくなってしまうなと思います。
それと、さっきの絵は、これは私も難しくて全然よくわからないのですが、これも途中まで出てきたように、外的事象を考えると、例えば地震のように全部の設備に同時に荷重がかかってくるものと、それから対津波設計のように何か特別な設備を作るというようなもので、これは全然違いますよね、そのやり方が。
そうすると、やっぱり個別の外的事象ごとに、一体どういうふうにその設計を担保するのかというようなことを少しイメージして書かないと、随分変なことになるのではないかと思っているのです。
さっき、横軸は、外的事象のハザードだという言葉がありましたけれども、例えばデザインベースという言葉一つとっても、これから防潮堤を造る、それから水密ドアを作るということになれば、そのための設計のために基準とするハザードの話と、それから従来のデザインベースか、そうでないかというような話と、それから今度は、シビアアクシデントになったときに働くための、例えば今出ているフィルタードベントを設計するためのデザインベースと、これは全部違いますよね。
だから、その辺は、そのデフィニションをきちんとして、それぞれのところで議論するということにしていけばいいのではないかと思っています。
○更田委員
まず、平野さんの御意見に対して。まさにおっしゃるとおりで、深層防護に対する各防護壁の堅牢性であるとか、深層防護に対する考えが正しくとられるかどうかというのは、まさに安全の根幹に関わることで、そこから議論が入っていくべきだというのは、おっしゃるとおりです。
ただ、一方で、深層防護の議論を始めると泥沼にはまるという実態も、私は恐れたものですから、あえてちょっとそこを避けたという部分はあります。ただし、深層防護とイクスプリシットに言っていないけれども、ただし、この最後の図が言わんとしていることは、深層防護と。
まさに深層防護の考え方を示そうとしているのと同義だと言っていいと思います。それから、阿部さんがおっしゃったもので、答えを求められたら、三つおっしゃった要点の中の真ん中の部分だと思うのですけれども、例えばIPやIPEEEに相当するようなPSAみたいなものを求めて、それで、これから規制委員会が行っていかなければいけない規制というのは、必ずしも事業者に何か評価をさせて、それに対して○をつける、△をつける、×をつけるというのだけではないと思っています。
合否判定だけが規制ではないと思っていて、むしろ、例えば届け出、ないしは、もっと極端に言えば、やっておいて持っていてくださいと。見たくなったらいつでも見ますからと、そういう規制のやり方だってあると思っています。
何よりもPSAに対して、PRAと言ってもPSAと言ってもいいのですけれども、リスク評価をやることによって、その事業者が自ら考えるということが非常に大事で、リスク評価を行うことによって、特に実際のプラントに日常的に接している部隊がPSAを行って、リスク評価を行って、網羅的な考え方をとって、これは実は阿部さんがあちこちで言っていることを私が今言っているだけなのですけれども、させる、してもらうということ自体が重要だと思っていますので、必ずしも規制委員会がそれに対するクライテリアを網羅的に持っていなければいけないとは思っておりません。
○阿部技術参与
2番目の内容について、私が言っていることだという話がありましたので、そのとおりで、何にも中身については問題にするつもりないのです。そのとおりだと思っていますが、そのことがわかるように、そういうスタンスを書いてくださいという意味です。
○更田委員
そう思います。山本先生、どうぞ。
○山本教授
先ほど、この恒設設備の重要度分類のところでちょっと出てきましたけれども、このクラス分けを考えるときに、先ほどの議論を拝聴していますと、その設計基準というものを、そもそもどう考えるのかというところについてある程度議論をしないと、結局のところ、重要度分類も決まらないのかなという気がいたします。
そういう意味では、次回以降だと思いますけれども、そういうことについて一度意見交換をするのがいいのではないかなというふうに思いました。
○更田委員
ありがとうございました。ちょっと恒設の施設について補足をしたいことがあるのですが、この資料で11ページですが、「安全機能を有する構築物等の安全機能喪失への対処」のところで、四角囲みの中で、「様々な事態に、柔軟に対応できる可搬設備等を中心とした対策を取る」と。
これがまず最初に出てきて、さはさりながら、信頼性を高めるために相対的に頻度が高いものについては恒設設備を用意していってはどうかと、そういう順番で読んでいただくのが、私たちの提案の趣旨だと思っています。
基本的には、ですから、要するにこの特定安全施設というか、ハードンドコアというか、とにかくこういった恒設設備が決定的な要件なのか。例えば時系列から言ったら、可搬設備による運用やマネジメントみたいなものの中から、特に、先ほど恒設にした方がいいよというものが出てくるかもしれないという御発言がありましたけれども、恒設の施設の方がマネジメントとしていいのであれば恒設をつくっていくという考え方もありますけれども、ある時点をとったときに、この恒設の施設というのは規制要求としてふさわしいものかどうかというのは、時間的な意味も含めて議論をしていただきたいと思っています。
櫻田審議官。
○櫻田審議官
念のための補足の説明とお考えいただければと思うのですが、18ページの図で、可搬設備等を中心とした対策でCD防止というエリアと、それから可搬設備等を中心とした対策でCF防止というふうに書いたエリアが、すごく狭く描いてあるように見えると思うのですけれども、絵を描いた当事者の意識としては、例えばCD防止と描いてある範囲については、Ssの○倍から△倍のところだけではなくて、もっと左側の方まで、その範囲が長く広がっていると。
広がっているのだけれども、その上に恒設設備を中心とした対策というエリアがちょっと重なっているものですから、この絵の中で、そこが何か見えないのですけれども、この裏側にそこがずっと広がっているという、そういうイメージで描いているので、もともと、何人かの先生方からお話がございましたけれども、この恒設設備を中心とした対策①とか②とかというところには、その裏側に可搬設備とかの対策が入っていて、両方相まった、そういう形になっているという認識で御議論いただければというふうに思います。
○更田委員
ですから、絵の作り方で、ハッチングなり何なり工夫すればよかったのかもしれませんけれども、今、櫻田さんが言ったのは、何て言えばいいのだろう、言葉で言うのは難しい。
とにかく、恒設設備を中心とした対策の裏には必ず可搬設備等を中心とした対策で、CDないしCF防止がそれぞれ要るということですね。山口先生、どうぞ。
○山口教授
おっしゃるとおりだと思って、多分出ていたのは、18ページの図には、今、更田委員がおっしゃっていた11ページのこの思想が見えないんですよね、結局。それで、アメリカのB.5.bのエッセンスは、何かというと、結局、恒設のものとか、あらかじめ計画していたものというのは役に立たないのだと、いざというときには。
だから、柔軟なものがこういうときには必要なのだと。今、我々がここで議論しているのは、本当にまれな状況なわけですね、こういうシビアアクシデントの。そういうときに、18ページの絵にあるように、恒設設備を中心とした対策を前面にこういう絵で出すのではなくて、例えばアメリカでB.5.bとか、フレックスで考えたような、ここに書いてある柔軟に対応できるものが一番そういうときに役に立つのだという、そういう思想が見えるような図にしていただかないと、そうしないと、この図を見ると、では恒設というのはどういうものから恒設で、何が仮設でという、つまらないというとあれですけれども、そういう議論に入り込んでしまうと、本来こういう防護を、恒設あるいはモバイルあわせてやろうとしていた趣旨からずれてしまうのを非常に懸念するということです。
○更田委員
ありがとうございました。予定の時間があと7分という感じになっているのですが、実は、私のというか、私たちのというか、皮算用は、今日の議論が、今ぐらいの時間にはもうコンセンサスに達していて、皆さん、参考資料5を書いてきてくださいというのが皮算用なのですが、到底難しいのですけれども、そうはいってもというところがあって、お願いをしたいのは、その参考資料5にスケルトンというか、あれがありますけれども、それに対して、皆さんにどの部分をというのはおかしな話なので、それぞれの案を書いてみていただけないかというのがお願いです。
さらに言うと、論点に関して、論点ペーパーでもいいですし、次回でもいいですけれども、ちょっと御意見を伺いたい。論点として、少なくとも私が浮かぶのは、特に論点になり得るのは、恒設の施設、設計基準外事象――設計基準外事象という言い方をすると、従来の設計基準を超えるようなハザードに対して対処するときに、今、方式としては、私たちの提案は、基本的には可搬のもので対処する。
さらに信頼性を高めるために、恒設としてこういったものを用いてはどうかと。ただし、その中で、これは不要だとか、あれは全て必要だとか、色々と御意見はあると思うのですけれども、さらにそれについては、信頼性をどこまで要求するかというのは、一つの大きな論点だと思います。
高信頼性を要求するのであれば、これはもう設計基準内のものですし、あくまで設計基準外のものとして、普通の常用というか、既存の安全系のような高信頼性を求めないというのであれば、これは新たなカテゴリーの施設ということになると思います。
ですので、ここら辺については、もちろん規制庁、JNES、私どもも含めて、論点に関しては整理をしたいとは思いますけれども、外部からいらしていただいている先生方にも、論点について御意見があれば、まとめたものをいただきたいと思っています。
今の予定では、来週ですよね。来週水曜日ですか。ということは、1週間ありませんで次回を迎えますけれども、次回は、ではどういうことになるかというと、今日の論点に関して御意見をいただいて、また少し議論をしますけれども、ではこれをずっとやるかというと、そうはいかなくて、こなしていかなければならない仕事がありますので、そして準備の関係もあるのは、実はちょっと今度はデザインベースの方の話をさせていただきたいと思っています。
先に一通り何をつくらなければいけないかというのを見ていただいて、もう1回議論に戻るということも、ある意味では方法としては有益だと思いますので、次回はちょっと――この参考資料6というのは全て配布されているわけではないのですか。
○事務局
傍聴の方はホームページ上で。
○更田委員
では、説明はごく簡略化していただきたいと思うのですけれども、あまりに電話帳みたいなものなので、傍聴の方にはお配りしていないそうなのですが、すぐホームページには載りますけれども、いわゆる設計基準事象、これまでの安全設計審査指針のようなものを、今度の新しい新基準ではどうしていくべきかということを、米国の基準ですとか、IAEAの安全基準等々と比較した資料になっています。
ちょっとこれについて簡単に説明を、山田課長。ただし、傍聴の方は資料を御覧になっていないので、ごくざっくりした説明をしてください。
○保安院 山田課長
では、中身ではなくて、どういうものですということだけ御説明いたします。現在あります原子力安全委員会の安全設計審査指針、これについて、今、59の指針がございますけれども、これを機能別に幾つかにグルーピングいたしまして、それでそれぞれのその機能に関して、内外の基準を一種のベンチマーク的に、何が足りない、何が不足しているかということを確認する上で、現在の安全審査指針、それから事故調等の教訓、それからIAEAの安全基準、米国の規制、それから欧州の規制というのでどういうことが要求されているのかということを並べておりまして、それを比較するという表をつくっております。
これを見比べていただきまして、日本の規制の中で、国際的な基準との間で過不足があるものについて確認をしていただいて、それを今後つくっていきますという、規制委員会の規則の中に取り入れるべきかどうかということを議論していくための参考資料ということでつくらせていただいているものでございます。
○更田委員
ありがとうございました。ですので、非常に大部にわたるものですけれども、目を通していただいて、新基準に盛り込んでいく形についての参考として、また考えていただきたいと思います。
それでは、あと2分なのですが……。
○渡邉研究主席
宿題を明確にしていただきたいのですが。
○渡邉研究主席
資料5のどこを書けばいいのですか。どこを書けという宿題なのですか。よくわからないのですけれども。
○更田委員
参考資料5の宿題、これの設計の問題ですけれども、基本的要求事項、要求事項の詳細、そして審査概要。
○渡邉研究主席
詳細は、これは委員会の内規ですよね。委員会の内規を今考えるのですか。まず、その要求事項が固まってからでないと委員会の内規をつくってもしようがないですよね。
○更田委員
基本的には、基本的要求事項を固めることが何より大事、それは間違いないです。
○渡邉研究主席
ですから、基本的要求事項に何を書くべきかというぐらいのものを示せばいいと考えていいですか。
○更田委員
ただし、その背景となる考え方に関して書いてもらわないと理解できないものについては、その枠の外のものも書いてほしい。
○渡邉研究主席
それと、締め切りはいつです。
○保安院 山形統括調整官
きれいに資料を揃えてということであれば、月曜の夜中にいただきたいですし、この場でいきなりということであれば、当日になりますけれども、やはり色々な意見を整理した方が議論はしやすいかと。
○更田委員
日曜日の夜までにいただいたものについては、資料の形に整理して提出をいたします。
○渡邉研究主席
すみません、もう1点。これはちょっと今日の話に出てきた話の絡みなのですが、テロの話なのですけれども、どこかの事故調が「サイバーテロ」という言葉を出していまして、実際にサイバーテロという、そこまで行っていないのですけれども、ウィルスがプラント内に入ってきたというような事例は、もう既に幾つか報告されています。
そういうものを、特にデジタル系を使うという最近の設備になると、そこをどう考えるかというのは、やはり本来考えておかなければいけないところだと思うんですね。特に、恒設設備で第二制御室なんていうものを設けても、そこに入られてしまったら何の意味もないと。
だから、そういうこともどこかできちんと考慮するような格好にしておかないと、ただ単にテロといっても、物理的なテロばかり考えるというわけにはいかないと思うのです。
その辺も少し、これは多分余力があったらだと思うのですが、御検討のほどを。
○更田委員
余力があったら、ぜひ紙に書いて出していただけると助かります。全体を通して何か御意見がありましたらお願いします。勝田先生、お願いします。
○勝田准教授
色々考えているうちに、もうあっという間に終わる時間になってしまって、何も言えないままでした。いろんな皆さんの意見を聞いてちょっと応えようと思っていたのですが、どこを見てもいいのですが、すみません、最後短い時間で。
例えば3ページのところですね。「考慮すべき外部事象の抽出・整理」とあるのですが、結局、今回の事故とかを見ていますと、例えばなるべく科学的に新しい事象を入れるという言葉があったのですが、例えば、特に国連とか、IPCCとか、あとは環境省の国環研とかよくやっているようなミレニアム環境評価というものがあるのですが、ああいう分析によると、やはりもう1950年代から今までにかけて、例えば洪水だと5、6倍に増えている。
特にアジア地方だと特に増えているわけですね。森林火災だったら、特にアメリカで本当に10倍近く増えているという状況が起きています。そういうことを考えると、発生確率とか、そういうことを考えるのはもちろん重要なのですが、年々、場合によっては10年単位で増えていくような事象ですね、それをどういうふうに考えるかというのは、恐らくこれからの課題であり、まさしく新しい安全基準を作るという意味では問われているものだと思います。
これは自然事象なのですが、今度は、ここに書いている外部人為事象の場合についてもやはり同様のことが言えると思っていて、今回、「複合震災」という言葉が出たように、その中身は、津波、地震、そしてそれに伴う原発の事故だったのですが、別な意味でも複合震災というのが起こり得たというふうに思っています。
あまり話題になっていないのが航空機の問題ですね。今回、東日本大震災があったときに、たしか空港が全部閉鎖になってしまって、記憶だと、たしか80機以上が降りる場所がなくなって、そのうちの10機以上、たしか14機ぐらいは、もう燃料がなくなって緊急事態宣言を出しています。
それは今までの考えだと、まさか津波が航空機に影響を与えるなんていうことは考えてもみなかったものですから、やはり個人的に懸念しているのは、震災が起きて、もちろん航空機がそこで原発に落ちるとは思わないのですが、そういう一時的な落下の確率の上昇というんですかね、そういうのを今回の東日本大震災というのは示唆していると思っています。
なので、そういうことも踏まえて、大丈夫なら大丈夫という評価をする必要があると思っています。それは飛行機だけではなく、ちょっとしたテロ行為もそうだと思っています。
今回は軽い感じで、たしか外部の侵入者が福島第二に入ったと思うのですが、結局、これもまた一時的な政情不安によって、ほかのテロ行為を誘発するということがあって、それもまた一時的なテロの行為の増加ということもあると思います。
そういうのを分析する必要があるような気はしています。あと、そういうテロの話は渡邉先生が既に言われたのですが、やはりサイバーテロはかなりこれから増えていくことだと思います。
それはまず基本的に目に見えない事象ですし、これに関しては、ほかの事象については、時間的に事象が起きて結果が出るのは時間が短いのですが、イランの今回のサイバーテロが示しているところは、あれは数年間、ウィルスがそのまま待っていたという状況があるので、今度は、時間のスパンが違う問題が起きていますから、そういうこともかなり分析しないといけないような気はしています。
時間という話を言ったついでなのですが、この15ページのところですね。今回、可搬設備についてのコメントがなかったので、せっかくですから、ちょっとコメントするのですが、さっき考えていたのですが、例えば100mという話をしているのですが、これは例えば外部事象のことを考えると、時速100kmの車だったら、秒速に直したら大体30m、秒速30mぐらいなので、下手したら3秒間でもう、100m先に見えたと思ったら3秒後にはもう目の前に立っているということが起こります。
それはテロだけではなくても、土石流とか火砕流だったら、大体やはり同じぐらいの速度ですので、そういう数秒単位で物事が、100mぐらいだとあっという間に終わることが起こるわけです。
そういうことを考えると、例えばテロリストだったら、間接に、別なところに置いたとしても、数秒間でそこに到達するということが起きますから、やはり時間の観念というのは非常に重要かなというふうに思っています。
すみません。時間が過ぎた中だったのですが、とりあえず簡単に、以上です。
○更田委員
ありがとうございました。色々と御指摘いただきましたけれども、特に最初の御指摘、ハザード、脅威に関して時間の概念を考えなければいけないと。時間とともにそのハザードが変化していく概念などは慎重に考えていかなければいけないと思っております。
ありがとうございました。それでは、議論は尽きないとは思いますけれども、予定をしておりました時間になりましたので、第1回会合を終わらせていただきたいと思います。
特に、外部からいらしていただきました先生方、ありがとうございました。それでは終了いたします。